『完結』(番外あり)ロクでなし魔術講師と帝国軍魔導騎士長エルレイ   作:エクソダス

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お待たせいたしました!
今回からエルレイ本編に戻ります!
退職しようとしているエルレイがどうなるのか乞うご期待!


エルレイ退職騒動
最悪の戦略と最低の戦略


「俺たちが・・・邪魔になっただと?」

 

エルレイの突然の発言にグレンは驚愕の声をあげる。

 

「そ」

 

エルレイはそう言いながらぱんぱんと手を叩いた。

 

「私の事はいい、臨時教師がいなくなる、みんなにとってはそれだけのハズ」

 

「な、納得できませんわ!何故エルレイ先生が辞めるという結論になるんですのっ!」

 

「言ったよ、守りたい人がいるから邪魔になったって」

 

ウェンディが興奮した様子で口を出すのをエルレイは軽く吐き捨てる。

 

「私も・・・エルレイ先生が辞めるのは・・・いや、です」

 

「そうっすよ!何もやめる事ないじゃないですかっ!!エルレイねえね!考え直してくださいよ!!」

 

リンとカッシュも止めてくれる、正直うれしい限りだ、エルレイとしては、しかしこの人形はエルレイではなく ‘‘リィエル=レイフォード‘‘ ルミア達か赤の他人をえらべと言われたら勿論、ルミア達を選ぶ覚悟がある。

 

「・・・考え直す必要はない、あなた達は間違いなく私の弊害になる」

 

「今回は僕もみんなに賛成です」

 

そこで口をはさんだのはギイブルだった。

 

「ギイブル・・・」

 

「別にやめる必要はないはずです、僕は先生の事情はわかりませんが、どうかご再考を」

 

真剣な目でエルレイの目をみるギイブル、エルレイは軽くこぶしを握り締めた。

 

「くどい、私はやめなければいけないの、これは決定事項」

 

「・・・エルレイ先生らしくないですよ・・・先生はどんなことがあっても合理的に物事を判断していたのに・・・なんでこんな強引に」

 

「・・・テレサが知らなくてもいいこと、口出しするな」

 

今度はテレサまで口をはさんできた・・・なんで・・・なんでそこまでして私を止める。

 

「レイちゃんもう一回考え直そうよ、どんな相談でも乗るよ?」

 

「余計なお世話」

 

セラの心配そうな目を見てエルレイは心が苦しくなる、何故、なぜここまでスムーズにいかない?

 

「エルレイ・・・いやリィエル、それは俺にも言えない事なのか?」

 

「ほざけ、貴方は私の知るグレンではないグレン、うぬぼれないで」

 

ついにはグレンまで兄面をして・・・ふざけるな、おまえは私の信頼するグレンじゃない。

 

「エルレイ先生・・・っ・・・私はまだ・・・先生に教えてほしいことが・・・」

 

「・・・っ」

 

システィーナのその悲しそうな声にエルレイは心をえぐられる、いくら別の次元とはいえ親友の泣きそうな顔など見たくはない。

 

「・・・教えるべきことは教えた、ほかは自分でなんとかしろ」

 

それでもエルレイは自分の信じる親友のためだと心の中で決意し、そう吐き捨てた、もう嫌われても別にかまわない。

 

「ねえね・・・私たちの事が・・・嫌い?」

 

リィエルはウルウルした目でエルレイを見つめた。

やめて、そんな目で見ないで。

 

「嫌いだ、邪魔でしかないか─」

 

エルレイがそういいかけた、その時。

 

ぱし・・・っ

 

「!」

 

突然エルレイの顔に何かが突き付けられて、そのまま地面に落ちる、確認するとそれは・・・・。

 

「・・・手袋」

 

手袋だった、投げつけられたということは誰かが投げて決闘を申し込んできた?いったい誰が?そう思いながらエルレイは周りを見渡す・・・すると投げた本人はすぐにわかった。

 

「・・・ルミア、オマエが?」

 

「・・・お受けください」

 

ルミアはそう睨みつけながら言ってくる、どうやら本気のようだ、なぜそこまでするのかエルレイは理解に苦しんだ。

 

「・・・ここまで、する?」

 

「エルレイ先生、貴方は言いましたよね?全部吐き出すのが一番だって」

 

「ん、言った」

 

「それじゃあ吐き出してくださいよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで泣いてるのか、その理由を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!?」

 

エルレイはここで初めて気づいた、自分が泣いているという事実に、初めて気が付いたエルレイは慌てて目を擦る。

 

「ち・・違う・・・これは」

 

「本当は離れるのがつらいんじゃありませんか?まだ一緒に居たいと思ってるんじゃありませんか?」

 

そう言いながらルミアは優しく微笑んだ。

 

「私が勝ったら、エルレイ先生の感情、喜怒哀楽、全部教えてください、私にやってくれたみたいに」

 

「・・・」

 

「ルミア・・・」

 

システィーナたちがこの状況を何も言わずにただ黙って見ている、ルミアのこの行動をみんな信じて。

 

 

「さぁ、手袋を、拾ってください」

 

 

 

★★★

 

魔術師の決闘。それは古来より連綿と続く魔術儀礼の一つである。

 

現在、エルレイとルミアの決闘が始まろうとしていた、等間隔に植えられた針葉樹が囲み、敷き詰められた芝生が広がる学院の中庭にて両者睨みあっていた。

 

「確認、使用可能魔術はショックボルトのみ、それ以外を使用した、場合敗北とみなす」

 

「はい、分かりました」

 

そういうとエルレイはコインをギイブルに渡す。

 

「審判はギイブル、任せる、いい?」

 

「・・・わかりました」

 

それを聞いたエルレイは指を三本立ててルミアに見せつける。

 

「勝敗基準、1、相手の戦闘不能 2、降参 3、反則行為

反則行為は部外者への攻撃をしたら即敗北、何か質問は?」

 

「・・・ありません」

 

そういうとルミアは構える、手を震わせながら、おそらく怖いのだろ。

 

「ぐ、グレン君・・・いざとなったら」

 

「・・・ああ、エルレイの奴がそんなことするとは思えんが・・・殺しにかかろうとしたら容赦なく俺たちが止める」

 

少し離れた辺りで、グレンとセラがそんな話をしている。

 

「・・・ルミア、勝てるでしょうか」

 

「正直、俺にもわからん、エルレイ・・・リィエルは授業を見る限りだとショックボルトはそこまで得意じゃないハズだ、だが」

 

「・・・グレン、だが、なに?」

 

セラとグレンは二人して何か引っかかるかのように考え込む。

 

「あいつ、‘‘本当にショックボルトで戦闘不能‘‘ が狙いなのか?」

 

「・・・っ!!まさかっ!」

 

セラは何かに気が付いたようだが、もう遅い、賽はもう投げられてしまっているのだ。

 

「ギイブル、初めて」

 

「・・・はい」

 

そういうとギイブルはコインを指に乗せ、親指ではじく、セラが止めようとした直後に始まってしまった、そしてくるくると高速で回転していたコインは数秒後。

 

 

 

チャリン…!

 

 

 

地面のコンクリートに落ち、決闘開始の合図の音が鳴り響く、その瞬間、ルミアはエルレイに手を向け、呪文を唱える。

 

「《雷精の紫電よ》──ッ!」

 

刹那、ルミアの詠唱したショックボルトはエルレイに一直線で飛んでいく、そしてエルレイは。

 

 

「・・・」

 

 

 

何もしなかった

 

そのままショックボルトが直撃する。

 

「・・・っ威力、だいぶ高い、でも所詮この程度」

 

「!?なんで・・・詠唱しないのですか!?」

 

エルレイのすまし顔にルミアは声を荒げる、するとセラが突然声を荒げる。

 

「レイちゃん!!!!」

 

「・・・なに?」

 

「やっぱりそんな事を・・・見損なったよ」

 

「どうとでも言って」

 

そのエルレイの言葉にグレンは悔しそうに近くの壁を叩いた。

 

「クソがっ!!!!そういう事かよ!」

 

「グレン・・・・どういうこと?」

 

状況に理解できてないのかリィエルがグレンに首をかしげながら聞いてくる。

 

「アイツは元々戦う気なんてなかったってことだよ!!あいつの本当の狙いは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルミアを精神的に潰すことだ!!」

 

「「「「っ!?!?」」」」

 

そのグレンの言葉にクラス全員驚きで凍り付く。

 

「今更気づいた?そ、それが狙い」

 

そう言いながらエルレイは不敵にほほ笑んだ。

 

「ルミアはつよい、それは私もよく知ってる。精神的にもね・・でも ‘‘知り合いを攻撃しなければならないという状況‘‘ まではこの子は想定していない」

 

そう、それがエルレイの狙いだ、ルミアの気持ちも逆手にとり、エルレイを半永久的にショックボルトで痛めつけなければならないという状況を作り、精神をすり減らすのが目的、元々本気で戦う気などなかった、ショックボルトだけにしたら、エルレイが負けるのは目に見えている、そして何より、このルミアを傷つけたくない、だからあんなルールにした。

 

勝敗基準、1、相手の戦闘不能 2、降参 3、反則行為

 

反則行為 部外者への攻撃

 

 

そう、 ‘‘当てたら勝ちではないのだ‘‘

 

それに気付けなかった時点でルミアの負けは確定的に明らかだった。

 

「さ、降参して、貴方が何度ショックボルトを撃とうが、私を戦闘不能にすることはできない」

 

「・・・っ」

 

ルミアは考えた、必死に、本気で考えた、どうやったらこの人に勝てる?どうやったら勝ち目が出てくる?どうやったら。

 

「エルレイっ!!」

 

そう考えていると向こうから怒鳴り声が聞こえる、エルレイが振り向くとグレンが叫んでいるようだった。

 

「なに」

 

「ルミアにアドバイスを、伝えたい、それくらいはいいだろ」

 

「・・・許可」

 

そういうとグレンはルミアと話し始めた。

 

「・・・」

 

エルレイはとりあえず目をつぶり、できるだけい体力回復に努めた、どれだけ作戦を練ろうが、所詮はショックボルト、殺さなければ勝てないであろう、負けるわけがない・・・そうエルレイは確信していた。

 

 

「・・え、それほんとにやるんですか?」

 

「・・・それしかねえ、それが俺が知る ‘‘エルレイ唯一の弱点‘‘ だ」

 

「・・・私の弱点?」

 

そんなものをグレンに見せた覚えはない、そもそもそんな弱点があったら自分が知りたいくらいだ。

 

「わ、分かりました・・・やってみます」

 

「よしっ!!行ってこい!」

 

そういうとルミアは何とも言えない顔でエルレイの前にもう一度立った。

 

「・・・ほら、動かないであげる・・・その私の弱点とやら、見せてみろ」

 

そう言いながらエルレイは両手を広げた、まるで自分がまけることはないとルミアに訴える様に。

 

「っ!!」

 

ルミアはそのままエルレイに向けて突っ込んでくる、詠唱も何もせず、そしてそのまま。

 

 

ぎゅっ。

 

「・・・」

 

エルレイに抱きしめた。

 

「・・・ごめんなさい」

 

「拍子抜け」

 

謝るルミアにエルレイは心底呆れる。

 

「ショックボルトを使って、自爆?いい考えだとは思うが、それで倒れるのは確実にルミア、お前の方─────ふひぁ!!」

 

その言葉の途中にエルレイはなぜか突然可愛い声をあげる、耳から変な生暖かい感触が伝わってくる。

 

「にゃぅ・・・どういう・・・こと」

 

「はあああああああああああああっはっはっはっはっはっは!!」

 

そう思考を巡らせているとグレンの甲高い笑い声が聞こえる。

 

「ぐ、グレン君・・・なにをルミアちゃんに教えたの?!なぜかルミアちゃんがレイちゃんの耳舐め始めたんだけど!?!?」

 

「・・・ふぅぇ?」

 

どこかで感じたことがある感触かと思ったらルミアに耳をなめられてたのか・・・でもなぜそんなことを?

 

「覚えているかな?奇妙な番外編で忘れかけている読者諸君!!この作品が唯一R‐18になりかけたあのモテ薬の悲劇を!!!」

 

「読者諸君言うな・・・メタ発言やめ・・・にゃぁ!・・・る、るみあ・・手を服に潜りこませないで・・・───っ!」

 

「ねえね・・・ほんとに・・すいません、ねえねぇ・・・・」

 

そう言いながらルミアは謝るがこの至近距離でルミアにねえねと言われる、しかも今回は全員が見ている前で。

 

「________~~~~~っ!!!!」

 

エルレイは今なら恥ずかしさで死ねると初めて思った。

 

「だああああああああああああああっはっはっはっはっはっはっは!!!ショックボルト以外の魔術は禁止だったか???自分がねえねと呼ばれるだけで恥ずかしがる超~~恥ずかしがりやな事を哀れにも忘れていたようだなぁ!!!だああああああああああああっはっはっはっは!!!」

 

そう言いながらグレンは高笑いをする、こちらの作戦勝ちだ、とでも言わんばかりに・・・。

 

((((ごくりっ・・・))))

 

勿論その状況はお年頃の男子にはすさまじい破壊力があり、男子生徒全員生唾を飲み込む。

 

「にゃぁ・・・・・!・・・・ちょ・・・・っと・・・んぁ・・・そんな目で・・・見ないでぇ・・・っ」

 

もう恥ずかしさで涙目にすらなっているエルレイ。

 

「はああああああああああっはっはっはっは!!!どぉだ!!俺のパあああああああフェクトな作戦は!!!」

 

「先生っ・・・なんて作戦を・・・っ!いいぞもっとやれ!!!」

 

「ぐぁぁぁ!!!これが・・・エルレイねえねの大人の・・・色気・・・やっば鼻血止まらん」

 

「やっぱエルレイねえねは最高ということだな!?!?」

 

「「「「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」」」」

 

テンションの余り男連中は我を失い、エルレイ以外の周りが見えなくなっていた。

 

 

女子の視線にも気付かずに。

 

 

「「「「「《この・阿保・共》がぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」」」」

 

 

「「「「「え?・・ぎゃあああああああああああああああ!!!!」」」」

 

その場にいる女子は全員全男子に目掛けて自分の得意な攻撃系魔法を容赦なくぶっ放した。

 

「ちょ!!何すんだよ白猫白犬!!!」

 

「何すんだよじゃないよ!!!それはこっちのセリフだよ!?!?」

 

「そうですよ!!いくら勝つためとはいえ外道なやり方にもほどがあるでしょう?!」

 

「「「「ねえねが可愛いからOK!!!」」」」

 

「「「「《この・変態・共》がああああああああああああああ!!!!」」」」

 

阿保のように性欲に忠実な男どもが女子の反感を買うのはわかり切っていたことだ、だがここまでやるとは・・・・。

 

「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

エルレイは息を整えた後ため息をついた。

 

「あ、あの・・・ホントに・・すいません」

 

「大丈夫、さっきのは確実に、グレンが悪い」

 

正直、今グレンに言いたいことは山ほどあるが騒いでいるようなので今はやめておこう。

 

「ごめん、ルミア」

 

「え?」

 

「正直。私にもよくわかんないんだ、私がここに居たいのか、居たくないのか」

 

そう言いながらエルレイはルミアの頭を撫でた。

 

「・・・エルレイ先生」

 

「・・・さっきのは引き分けでいい?ごめん、少し頭を冷やさせて。」

 

そう言い残して、エルレイはその場を何も言わないで去ろうとする。

 

「ねえね・・・」

 

リィエルが目の前にいた、とても悲しそうな表情だ、エルレイは胸ポケットに入っているいちごタルトを取り出して、リィエルに渡す。

 

「・・・ごめん、少しだけ・・・待ってて」

 

 

 

 

★★★

 

「・・・・・はぁ」

 

エルレイは身近な喫茶店で特に何も考えず、コーヒーを飲んでいた。

 

「疲れちゃった?リィエル」

 

「うん、まあ」

 

ミアルが心配そうな声でたずねてくるのでエルレイは苦笑いで答える。

 

「疲れちゃったらちゃんといわなきゃ駄目だよ?」

 

「ルミアは優しいね」

 

「別に優しくなんてないよ?私はリィエルが心配なだけ・・・」

 

「そっか・・・ありがと」

 

「ふふっ・・どういたしまして」

 

エルレイがそういうとミアルは優しく微笑んでくれた、ああ、そうだ、この顔だ、私はこの顔を守りたいんだ・・・なんとしてで・・・・

 

 

 

 

 

 

 

ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・一つ聞いていい?」

 

「?なに」

 

エルレイはなぜか今頭に浮かんだ疑問をぶつけることにした。

 

「えっと・・・ルミア、なんで・・・・ここにいるの?」

 

「・・・え?今気づいたの?」

 

ミアルは驚きの声をあげる、正論だ、正論すぎて言葉を失う・・・が。

 

「いや・・・うん」

 

正直違和感がなさ過ぎて普通に会話してしまった、思わず友達とお茶にきているノリで。

 

「そりゃあ、普通に話しかけられたら、普通に返すでしょ」

 

この間までミアルと戦闘していたのに今度ばったり会ったのは戦場ではなく 喫 茶 店

 

「いや、でも普通気付かない?この間まで戦闘してたんだからさ」

 

「か、返す言葉がございません、エルミアナ様・・・」

 

正直まだ少し、エルレイは困惑している。するとミアルは突然リィエルの手を掴んだ。

 

「じゃあ、気分転換に、どこかに行こうか」

 

「・・・どこに?」

 

「う~ん、散歩?」

 

「友達かっ!!!」

 

「友達でしょ?!」

 

 

そのあと二人は本当に外に出てぶらぶらと友達のように街を回り始めた

 

※少し前まで戦闘しあってた二人です。

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