『完結』(番外あり)ロクでなし魔術講師と帝国軍魔導騎士長エルレイ 作:エクソダス
久々の投稿で忘れてると思うから、あらすじ。
システィーナとぶつかった
以 上
「こ、こちらこそ、不注意で……ってリィエル!?!?」
「し、システィーナ……?」
エルレイは現在進行形で開いた口がふさがらなかった。
ライツェル・クルス鉄道駅のホームのどこかで、何故か自分の未来にいる親友と出くわしたのだ…、驚愕もするだろう。
リィエルの短期留学…何かあるとは思っていたが。
「あ、アンタ…なんでこんなところに」
「それはこっちのセリフ、なんでシスティーナが…」
エルレイは少し動揺したが、とりあえず手を差し伸ばしてシスティーナを立ち上がらせた。
「…もしかして、リィエルもあの手紙を?」
「う、うん……。つまりシスティーナも?」
「ええ、変な手紙が届いてて気がついたらここに…」
どうやら、システィーナも同じく手紙でこの世界に飛ばされたらしい。いったいどれだけこの世界に呼べば気が済むんだ…。
「そっか…」
「あっ!!こんなことしてる場合じゃなかった!」
システィーナが突然声を荒げて、あたりを見渡した。
「リィエル、エルザ見てない?」
「エルザ?」
エザリーならば今特務分室にいるハズ、エルレイは首をかしげながら答えた。
「うちのエルザなら、ここの特務分室だよ?」
「そうじゃなくて!こっちの世界のエルザ──って私たちの世界のエルザもここに?!」
「ん」
「面倒くさっ!!」
気持ちはもっともだが、もうエルレイはこの状況に慣れてしまった。
エルレイは苦笑いしながらシスティーナを見つめた。
「ていうか、なんでこの世界のエルザ、探してるの?」
「え?ああ、私今聖リリィ魔術女子学院の講師してんのよ」
「え?そうなの?」
システィーナの突然のカミングアウトに、エルレイは素っ頓狂な声を出してしまった。
「ちなみにアンタはなんでここに?」
「えっと…私、今アルザーノで講師やってる、から」
「え?じゃあアンタが天才錬金術師のエルレイ?!」
「?????」
私はそんな変なあだ名がついていたのか…?
エルレイはため息をつきながら話をつづけた。
「多分、それ」
「…アンタが講師とかないわ…」
「…ほっといて」
エルレイは一番気にしていることをシスティーナに言われ、少し頬を膨らませた。
「………そういえば」
エルレイは今思い出した。
今回の短期留学に向け、あらかたリリィの情報に目を通したのだが、明らかに自分の過去と異なり、見覚えのない講師の名前があった…その名は…。
「シスナっていう、見覚え無い名前あった…もしかして」
「あ、それ私」
マジか……。
エルレイは、どんどん出てくる新情報に頭を悩ませている…その時。
「あ!シスナ先生!」
「ねえね、いた」
ふと、少し遠くのあたりから、聖リリィ魔術女子学院の制服を着た、眼鏡をかけた少女がやってくる。
「見つけました!この子があのリィエルですよね?」
「え、ええ。そうよ」
シスナは、面倒な時に来たとでも言いたげな表情で、二人を見た。眼鏡をかけている少女は…間違えるはずがない。
「…エルザ?」
そう、エルザだ、正直すぐに分かった。ひょんなことから、少し前にこの年のエルザに会ったし。
「え?ああ、はい。私がエルザですけど」
エルザはなんで名前を知ってるんですか?と言わんばかりの顔でエルレイを見てきた。
「………?」
おかしい、
「…エルザにはリィエルの事情は話してるわ。ついでにマリアンヌは学院にいないから」
「……は?」
エルレイは混乱の余り、目を白黒させた。
──────
「「「……」」」
列車の中、現在進行形、エルレイ、システィーナ、ルミアは唖然としていた。
なぜならば……。
「よっし!勝ちぃ!!わりぃなフランシーヌ!賭けのチョコはいただきだ!」
「くっ…もう一度勝負ですわ!コレット!」
お嬢様学校のはずなのに、金髪の女の子と黒髪の少女が、トランプでかけ事をしているのだ。システィーナとルミアはそのことに驚き。
(……仲良すぎね?)
エルレイは、目の前の二人に違和感しかなく、目をまた白黒させていた。
「…混ざる」
「めっ」
楽しそうだと思ったのだろう、ひょこひょこと行こうとするリィエルを、エルレイは髪の毛を引っ張って止めた。
「あ~、あんまりきにしなくていいっすよ?」
そういって、銀髪の髪を編んでいる少女、ジニーが話しかけてきた。
「ある程度は決まり守ってるっすから」
「あの…ジニーさん?今回はどういった成り行きで?」
そういいながら、エルザは苦笑い気味に聞いてきた。
「…ごめん、エルザ。私も詳しくはみてないんだわ」
「……そうですか」
そういいながら、二人して苦笑いをしていた。
「こらあぁぁ!!二人とも!!!」
「やっべ!シスナ先生だ!」
「こ、今回はお菓子以外はかけてませんわ!本当ですわよ?」
「な、なんか…エルレイ先生の胃に穴が開きそうね…」
「う、うん……」
「これ以上、そういうの勘弁」
そういいながら、エルレイはため息をついた。
────
「──っ」
リィエルは、自分の執務室で自身に注射で薬物を投与していた。
「……」
一体、どれだけ投与しただろうか、正直記憶があいまいで、よく覚えていない。
「疲れた、眠い」
リィエルは最近口癖になりつつある言葉を口にした。
コンコン。
突然、ドアのノック音がリィエルの耳に響いた。
「騎士長、入ってもよろしいでしょうか」
ドア越しに女性の声が聞こえる。
「入って」
「失礼します」
ドアが開かれ、入ってきたのは20代くらいの女性だった。
黄髪のロングヘアーに赤い球体のような装飾が可愛らしいゴムで、小さくポーニーテールのようにまとめた女性。現副騎士長、コルワ=ライクールだ。
「コルワ、ただいま帰還いたしました。今回の任務の報告書です」
そう言ってコルワはリィエルに書類の入った封筒を差し出した。
リィエルは軽く書類に目を通した後、コルワに微笑みを向けた。
「お疲れ様タルト」
ごくごく当たり前のようにいちごタルトを差し出したリィエルに、コルワは苦笑いをしながらそのいちごタルトを手に取った。
「騎士長、どうですか最近は」
「平和そのもの…特に問題なし」
「そうではありません、騎士長自身です」
そう言ってコルワは、リィエルの手を優しくとって、リィエルの手に持っていた注射器を悲しそうに見つめた。
「
「……」
リィエルは少し辛そうに、少しだけ俯いた。
「騎士長…もうやめましょうよ…。いくら上層部の指示とはいえ、投与し続けて、その抗体で特効薬を作るなんて……バカげてます」
「…大丈夫、一度この方法で、成功してる」
リィエルはそう言って、悲しそうにほほ笑んだ。そう、一度成功しているのだ。
まだリィエルが学院を卒業していなかった頃…、ビルデネアという国があり、そこには病弱な女性の科学者がいた。
その女性は魔術ではなく、科学のあらゆる手段を使って、何とか生きながらえている状況だった。
リィエルは多少その女性と、その女性の夫と面識があり、妻のために必死に科学を進歩させようとしているその女性の夫の顔が忘れられず…、どうにかしてあげたいと無我夢中で行ったリィエルの強引な治療法だ。
「もう一度出回ってもいいように、人形を犠牲にして特効薬を作る。現在考えうる限り、最も効果的な最善策」
一度抹消できたと思ったら、また再度出回ったのだ、抹消できないと判断したならば、誰かを犠牲に特効薬を作る。いかにも正義面した人間が考えそうなことだ。
「ですが!!」
コルワのその叫び声はとても悲しく、辛そうな声だった。これ以上見ていられない。と目が訴えている。
「だいじょうぶ」
そう言ってリィエルは優しくコルワを抱きしめた。
「……ぁ」
「大丈夫、何とかなる…大丈夫…」
リィエルは、何度も何度も大丈夫と、そう言い聞かせた。まるで自分に言い聞かせているかのように。
「……騎士長、おねがいです。辛かったら、たよってくださいね」
「ん、ありがと」
リィエルはそういって、コルワの頭を何度も撫でた……。
「…………辛い」
「……え?」
「…胸…ないから。抱きしめるの。自虐」
「ああああああぁぁぁもう!!そういう変なところ気にするのやっぱりリィエル騎士長かわいすぎますううううううぅぅ!!」
そういって、コルワに強めに抱きしめられる。…苦しい。
・
・
・
リィエル!大変!コルワがっ!!
っ!!容体は?!
もう中毒症状が出てる…!このままだと……!
…エルザ、報告書を書いて。
…!リィエル!!
早くなさい、エルザ=ヴィーリフ。
コルワ=ライクールの
────
「───!」
エルレイが目を覚ますと、そこは真っ暗な列車の中だった。全員眠っているようだ。
「……ひどい夢」
エルレイはポケットから、コルワの写っている写真を取り出して、ため息をついた。
「大丈夫?かなりうなされてたけど」
「……システィーナ」
「こっちではシスナ、間違えないで」
そういいながら、シスナは微笑んだ。エルレイはため息をつきながら、いちごタルトを頬張る。
「…やな夢見た…思い出したくもない夢」
「……そう」
そういって、シスナは優しくエルレイの頭を撫でた。
「これを思い出すと、自分が何をしてるかわからなくなる。私が何のために生きてるのか」
「……」
そういいながら、エルレイは窓の外の景色見ながら、ぼーっと目を細めた。
「…ごめん、今言うことじゃなかったね」
エルレイは少し微笑んで、シスナを見つめた。
「……何のために生きるかなんて、簡単にわかるわけないでしょ」
「……だね」
その通りだと、エルレイは苦笑いをした。
「ねぇ……システィーナ。私は人間?」
「…ちがうわ。アンタは私利私欲のために魔術を使う者とは違うでしょ?」
「……やっぱり、システィーナもそういうんだよね」
最近、講師になってからだ。リィエルだったころに当たり前だったことが、誰かに心配される、することが多くなった。一人で突っ走ろうとしても止められるし、ルミアではないほかの人を心配してしまうことも多い。
「……はぁ」
「あんたよっぽど疲れてるのね…」
そういって、シスナはホットココアを持ってきて、エルレイへと差し出した。
「焦る気持ちもわかるけど、とりあえず気楽にやりましょうよ」
「…ん、そうだね」
エルレイは、そういって肩の力を抜いたように、そのホットココアを受け取った。
「気楽にいく」
「そ、それでこそよ」
「ありがと……最近、旦那様に頭が上がらないくせに」
「なによ!悪かったわね!?」
「ふふっ……」
昔に戻ったような話をして、エルレイは気持ちよさそうに笑った。
「あれ…?先生方?」
突然、奥のほうからエルザの声が聞こえてくる。どうやらリィエルも一緒のようだ。
「…って、アンタらまだ寝てなかったの?」
「す、すいません…本を読むのに熱中しちゃって」
そういいながら、エルザは苦笑いをした。
「……リィエルは?」
「なんとなく、一緒にいた」
そう返すと思った。多少予想できていた返しに、エルレイは苦笑いをしながらリィエルの頭を撫でた。
「つうかアンタ……自分自身を撫でるってどうなの」
「いわないで?」
「ねえねに、撫でられるの気持ちい」
「ねえねって呼ばせてんの?!きもっ」
「やめて?」
「ええっと……仲がよろしいんですね」
「………」
こいつらあとで〇す…
と少しだけ思った。
─────
「……ふぅ」
場所はリリィ学院の職員室、エルレイはとりあえず荷物をそこにおいて、借りている椅子に腰かけた。
「…思ったより、羽は伸ばせそう」
記憶はまだ戻らないが、ここではエルザとのイザコザがあったので、記憶は忘れていても体が嫌でも覚えている。
「……システィーナのおかげで、楽ができそう」
エルレイは、そう思いながら書類を整理した。できるだけ錬金術の講義をして、状況に応じてほかの科目もやれば文句も出ないだろう。そう思いながら、エルレイはその場を後にした。
────
「勝負よ!」
「ええ!望むところ!」
……システィーナとシスナが喧嘩しそうだから帰っていいかな。