『完結』(番外あり)ロクでなし魔術講師と帝国軍魔導騎士長エルレイ   作:エクソダス

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エルレイ「ルミアに会いたい」

エザリー「え?いつも会ってるじゃん。どうしたの急に」

エルレイ「そうじゃなくて、憑依した、ルミア」

エザリー「ああ、そういう……」

エルレイ「『第二王女なので人生イージーモードだと思ったら放逐された(笑)』面白いよ 」

エザリー「うん…………それで?」

エルレイ「それで……とは?」

エザリー「拡散の許可は?」

エルレイ「今とってる」

エザリー「いまっ?!?!」

エルレイ「まあ、メッセで唐突に宣伝されたから、いいかなって」


エルレイ先生が自習がしたい

「…………んで」

 

 

 なぜか喧嘩をおっぱじめようとしているシスティーナとシスナを横目で見ながら、エルレイは面倒そうにため息をついた。

 

 

「どうして、こうなった?」

 

 

 まだ授業時間が始まって5分もたってないはずだが…、その五分の間にどこをどうしたらシスティーナとシスナが喧嘩する。という構図が出来上がるんだ?

 

 

「あ、エルレイ先生っ」

 

 

 真っ先にエルレイに気が付いたルミアが、足早にエルレイのもとに駆け寄ってくる。

 

 

「それが……」

 

 

「シスナ先生!撤回するなら今のうちですよっ!」

 

 

 ルミアが状況を話すより先に、エルレイの耳にシスティーナとシスナの会話が通過する。

 

 

「何度でもいうわよ。リィ……、エルレイには講師は向いてないわ、せいぜいグータラ講師がいいところね」

 

「そんなことありません!!エルレイ先生は──」

 

 

 エルレイはやっと、状況を次第に理解し始めることができた。

 どうやら話を聞く限りだと、エルレイが講師に向いていないと思っているシスナと、いい講師だと思っているシスティーナで議論が繰り広げられているようだ。

 ぶっちゃけ、どちらかというとエルレイ自身も講師に向いてるとは思っていないので、シスナに賛成なのだが……。

 

 

「はい、はいはい、すとっぷ」

 

「あ、エルレイ先生」

 

 

 こちらのほうに気づいたのか、エルザがエルレイのほうを見て助けを求めてくる。

 コレットとフランシーヌは、どこか野次馬のごとく言葉を飛ばしていて、一方のジニーに関しては、目に見えてめんどくさい、という顔が浮かんでいる。

 

 

「システィーナ、気持ちはうれしいけど。確かに私は、講師には向いてないよ」

 

「なっ!?そんなことは───」

 

 

 声を荒げようとするシスティーナに、エルレイは人差し指でシスティーナの口を止めた。

 

 

「だいじょーぶ、私に任せて」

 

「……え?」

 

 

 エルレイは、一度リィエルの頭を撫でた後、シスナに向き直る。

 

 

「システィ……、シスナ、一限目は任せてもらっても……いい?」

 

「それは誰としての命令?」

 

「あなたにとっての……リィエルとして」

 

 

 エルレイは、シスナに小さな声でそう答えた。

 

 

「了解。任せるわ」

 

「おkおk」

 

 

 まるで友達と話しているような口調で、二人は笑いあった後、エルレイは黒板をトントンと叩いた。

 

 

「ってことで。まずは私が……授業する…いい?」

 

「え?いいんスか?シスナの姉御」

 

「シスナの姉御って呼ばせてんのキモイ」

 

「ちょっと!息継ぎなしの罵倒やめなさいよ!!」

 

 

 どうやらコレットはたまに、シスナのことをシスナの姉御、と呼んでいるらしい。

 違う世界とはいえ、同い年に姉御と呼ばせるなんて人としてどうかと思う。

 

 

「でもシスナ先生?本当にいいんですの?今日はシスナ先生がきっちり、あちらの生徒たちに魔術の心理を教えてやるって」

 

 

 フランシーヌはシスティーナたちを見渡した。

 

 

「今すぐやんなくても別にいいからね、あとでじっくりと」

 

「きゃー、シスナの姉様かっこいいー(棒)」

 

「「「「「ひゅ~!!!」」」」」

 

「うっさいわねアンタたち!課題倍に増やすわよっ!」

 

 

 ……エルレイのいじり方とは少し違うが、かなりいじられててエルレイ的には苦笑いしかできない。

 

 

(システィーナも……大変そう)

 

 

 そんな思考を巡らせながら、エルレイは授業を始めようと口を開いた。

 

 

「じゃ、授業ね。今からやってもらうのは────」

 

 

 エルレイは、カツッカツッ……と音を立てながら、黒板に大きく文字を書いていく、そこに書かれていた文字は…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

自習

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「……………は?」」」」」

 

 

 システィーナたち、アルザーノ魔術学院以外の人間が、そのような素っ頓狂な声を上げた。

 

 

「………ふざけてんの?」

 

 

 ぴくぴくと眉を動かしながら、シスナが震えた声で聞いてくる。

 

 

「ん、おおまじ」

 

 

 エルレイがそういうと同時に、システィーナ、ルミア、リィエルはおとなしく自習を開始する。

 

 

「あの……普通に授業をしてほしいんですけど……」

 

 

 エルザが恐る恐るといった表情で聞いてくる。

 

 

「だめ、自習」

 

「えー………」

 

「やる気がないならシスナ先生と変わってくださいまし!」

 

「そうだよ!出しゃばられてもめいわくなだけだ!」

 

 

 そんな感じで、かなりの罵声の雨あられが、エルレイに降り注いでくる。

 

 

「………なる、これが違いか」

 

 

 そう言いながら、エルレイはため息をついた。

 

 

「三人、自習一旦やめっ」

 

 

 そう指示すると、三人ともぴたりと自習の手を止める。

 

 

「どうやら、一度説明をしなければいけないらしい」

 

「え?それってどうゆう………」

 

 

 シスナがその言葉にかみつこうとするよりも先に、エルレイは話題をシスティーナに投げかけた。

 

 

「三人とも、おさらいだよ。システィーナ、授業とは何?いってみて」

 

「はいっ!他から新しい知識を入れる行為です!」

 

 

 突然の哲学な問いに、システィーナは迷うことなく元気に答える。

 

 

「良し。リィエル、実技授業とは何?いってみて」

 

「ん、体に、覚えさせる……行為?」

 

 

 うろ覚えのようだが、きちんと覚えているらしい。うれしい限りだ。

 

 

「良し。最後にルミア、自習とは何?いってみて」

 

「はいっ、知識を膨らませる行為です」

 

「よろしい」

 

 

 教えたとおりの答えがすべて帰ってきて、エルレイは少し笑みを零す。

 

 

「私の持論だけど。覚えておいて、()()()()()()()()()()()()

 

 

 その言葉を聞き、クラスがどよめた。

 

 

「いい?授業、大切。でも限度はある。()()()()()()()()()()()()があるから」

 

 

 そう言って、エルレイは今度はフランシーヌに話を振った。

 

 

「フランシーヌ、電気を作るには、どうしたらいい?いってみて?」

 

「え?えっと……ショックボルト?」

 

「おk、上出来」

 

 

 エルレイは、とりあえずフランシーヌの頭を撫でる。

 

 

「それがなんだってんだよ?」

 

「風力、水力、太陽光」

 

 

 そんな感じで、エルレイは単語を並べていく。

 

 

「全部、電気作れるね。なぜ?」

 

「え?なぜって……」

 

 

 その言葉に、ジニーは考え込む。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。知識は新しい物だけじゃない、当たり前のものが『なぜそうなのか』というのも、立派な知識」

 

 

 そう言いながら、エルレイはため息をついた。

 

 

「授業だけをするのは、それは自分から考えるのをやめて、()()()()()()()()()()()()()()、という事だよ」

 

「………へぇ」

 

 

 シスナは、とても興味深そうに、そして嬉しそうにエルレイを見ている。

 

 

「なぜ、自分が魔術を極めるのか、極めて何がしたいのか、それを極めるには何が必要なのか。それを知らなければならない」

 

 

 そう言って、エルレイは教科書を持ち上げ、投げる。

 

 

「授業で入れた知識が必要か否か、実技授業でやった行動が最適か否か。それを頭の中で整理するのが……自習。知識だけを求め、それで満足しているような人はここから出てって」

 

「「「「「………」」」」」

 

 

 生徒たちは、ただ沈黙する。

 

 

「いいね、それじゃあ……」

 

 

 

 

 

 

「『なぜそれが必要なのかを知る行為(自習)』を始めて」

 

 

 

 

───────

 

 

「………ふぅ」

 

 

 エルレイは、借りた自分の部屋で、お茶を飲みながらくつろいでいた。

 生徒たちの反応は上々、これである程度信頼は勝ち取れたであろう。あとはリィエルのガンバリしだいだ。

 

 

「ま、そのあたりは、あまり心配いらないね」

 

 

 何せ、この世界にもエルレイ、リィエルが信頼してやまないエルザがいるのだ。

 実際そこまで心配はしていない。

 

 

「…………」

 

 

 まあ、実際、問題は()起こっているわけだが。

 

 

「………いこう」

 

 

 

─────────

 

 

「ふふっ…まさかリィエルがあそこまでやるとはね」

 

 

 真夜中の校庭、シスナは嬉しそうにスキップしながら見回りをしていた。 

 自分の妹分であるリィエルが、あそこまで実力をつけていたのがうれしくて仕方ないのだ。

 

 

「あれなら。もう心配はなさそうね」

 

「何が?」

 

「え?…うわっ!!!」

 

 

 突然近くにいた女性に驚き、シスナは1、2歩下がる。

 そこには金髪のロングヘアーでおっとりしている見た目の女性が、シスナに向けて微笑んでいた。

 

 

「って、ルミア!?」

 

「うん、久しぶり、システィ」

 

 

 そう、この世界ではミアルと名乗っている。シスナにとっての親友、ルミアだ。

 

 

「ま、今はミアルって名乗ってるけどね」

 

「ふぅん、んで?何しに来たの?」

 

「ああ、まあちょっとね」

 

 

 そう言いながら、ミアルはため息をついた。

 

 

「ちょっと、面倒なことになってるみたい」

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

「………」

 

 

 エルレイは、誰もいないであろう場所を、静かな足音を立てながら、まるで散歩するかのように歩く。

 

 

「……そろそろ。出てきてくれない?」

 

 

 エルレイがため息交じりに言葉を出すと、近くの木陰から、フードを被り、ローブをつけた者が近づいてくる。

 

 

「………よく、気が付いたね」

 

 

 まるで無表情の機械のように、その者は言葉を発した。どうやら声からすると女性のようだ。

 

 

「あなた、だよね?()()()()()()

 

「………」

 

 

 その言葉を聞き、そのローブの女性は黙っている。

 

 

「沈黙は、肯定と受けとる」

 

 

 そう言って、エルレイはすぐさま大剣を生成した。

 

 

「来ると思ったよ。そろそろ」

 

「………」

 

「私が自力で帰れるのが…ふつごー、なんでしょ?」

 

 

 エルレイは大剣を構え、ローブの女性に向けた。

 未来での愚者の後継者、その者と2度目の対峙をしたときに、ミアルとともに自力で帰ってこれたのが、このものにとってはおそらく想定外な出来事。すぐに反応が来てくれて助かった。

 

 

「………」

 

 

 そのローブの女性は、何処からか片手半剣(バスターソード)を持ち、構える。

 

 

「………ひめと同じ片手半剣(バスターソード)?どこでそれを」

 

 

 その女性が持っていたのは、エルレイの体の中にいるもう一つの人格。エリエーテの物とても酷似している。

 

 

「…………」

 

 

 どうやら答える気はないらしい

 

 

「ま、いいや。始めるね」

 

 

ダンっ!!!

 

 

刹那────。

 

 エルレイは自分の持てる力をすべて生かし、ローブの女性に大剣を盾にしながら突進する。

 

 

「やぁぁ!!」

 

「……っ」

 

 

 エルレイの大剣と片手半剣(バスターソード)がかち合い、その世界の空気が振動するのを感じる。

 

 

「せっ──!」

 

 

 一旦大剣から手を放し、跳躍をしてくるりと回転。そのまま足で大剣をローブの女性に押し込んだ。

 

 

「っ」

 

 

 その攻撃は食らうことなく、その女性はふわふわと、まるで空気のように交代する。そして。その女性の片手半剣(バスターソード)

 

 

 

 

 

()()()()()が宿る。

 

 

「っ!?!?『孤独の黄昏(トワイライト・ソリチュード)』!?」

 

 

 エルレイが見間違えるはずもない。その光は、エリエーテが使える能力と同じ。『孤独の黄昏(トワイライト・ソリチュード)』の光だ。

 

 

「────っぐぁ!!!!」

 

 

 しかし、気が付いた時にはその刃はエルレイの体を切り裂いていた。エルレイは苦痛な声を上げる。

 

 

「『孤独の黄昏(トワイライト・ソリチュード)』、なぜあなたが……」

 

「………」

 

 

 やはり無言、どうやら教える気はないようだ。

 そして厄介なことに。

 

 

「……しかも、接続経路『イザナミ・マキナ』が使()()()()。貴方のせい?」

 

 

 そう、エルレイの奥の手である、『イザナミ・マキナ』が使えないのだ。それもおそらくこの女性のせいであろう。ひめの力を使っても、勝てるかどうか。

 

 

 仕方がない。

 

 

「ねえ。きいて」

 

「…………」

 

 

 聞いているかはわからない、だがエルレイは話をつづけた。

 

 

「あるところに、先生がいたの。その先生はね、イチゴタルトが大好き」

 

 

 エルレイはそう言いながら、ポケットからイチゴタルトを出す。

 

 

「その人のポケットはね、いつもイチゴタルトが入ってる。そのためだけに固有魔術(オリジナル)収納魔術を作ったと。みんなそう、()()()()()()

 

「……!」

 

 

 エルレイは、ポケットから何かを取り出そうとしている。

 

 

「けど、そのイチゴタルトは偽り、普通に考えれば。そんなに多く、大人がイチゴタルトみたいな甘いものを食べないなんて。誰でもわかる」

 

 

 そして、エルレイはポケットから何か()()()のようなものを取り出した。

 

 

 「この固有魔術(オリジナル)の名前を教えてあげる。『偽りの苺撻(フェイク・ストロベリータルト)』そしてその中の、本当の姿は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天使の塵(エンジェル・ダスト)()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぶすっ。

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

「さ、だいに、らうんど」

 

 

 エルレイは、注射をさしながら不敵に微笑んだ。

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