『完結』(番外あり)ロクでなし魔術講師と帝国軍魔導騎士長エルレイ 作:エクソダス
エザリー「はーい、うちでは毎回恒例の無断拡散だね」
エルレイ「ん、セラの、妹」
エザリー「というかさ、うち。そろそろ最終回だよ?いいの?」
エルレイ「『風の戦巫女を継ぐもの』良き、みんな見よう」
エザリー「ところで、宣伝の許可は?」
エルレイ「コラボの許可はとった」
エザリー「はああああああぁ!?!?!?」
最終決断
「あーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあー」
「うるせぇよセラ!」
アルザーノ帝国魔術学院の2組で、ある講師が無意味に声を出していた。
勿論、セラである。
「少しくらい落ち着いてください、どうしたんですか?」
「だって~……………」
呆れながら聞いてくるシスティーナに、セラは涙目になっている。
「レイちゃんが~~~………」
「また家にいなかったんですか?」
「うん……」
「あのですねぇ……」
システィーナは言葉が出ない。前にもこんな事があったのだから、少しは慣れていてもおかしくないのだが………。
「えと……、今日は何か…、用事があるのでは?」
リンはまるでエルレイをフォローするように言う。
「ようって何!?まさかほかの女!?ゆるさ──」
「エルレイ先生は女性ですわよ!!」
まるでヤンデレ彼氏のようにデッドヒートするセラに、ウェンディの渾身のツッコミが炸裂する。
「今日は休みなんですか?」
「いや、そんな話は聞いてねえ」
ルミアの問いに、グレンは考えながら答える。
「ねえね……どこ?」
リィエルはその間、ずっとエルレイを探すかのようにきょろきょろとしている。
「やっぱ、お前に愛想じゃね?」
「えー!!!」
そんな日常的で、どこか和やかな話をしている。その時であった。
ガラガラ……。
突然廊下に続くドアが開く、そこに現れたのは眼鏡をかけた女性だ、生徒たちは不思議そうにその女性を見る。
「あ、エザリーちゃん」
「突然の来訪、失礼します」
セラがエザリーの名を口にすると、エザリーは礼儀正しくお辞儀をした。
「先生、この方は?」
恐る恐るといった表情で、ルミアはグレンに聞いてくる。
「大丈夫だ、知り合いだから」
「それで、エザリーちゃん。何の用?」
「それはですね────」
──────
────
──
「ここを出ていく?」
「うん」
シュウとイヴの二人だけの声が、特務分室の部屋を包んだ。
「前に話したよね?僕らはこの世界の人間じゃないって。ついに帰るべき時が来た…。それだけだよ」
「……なんでか、聞いてもいいかしら?」
「わかった」
シュウは、頭をかいて申し訳なさそうに話をつづけた。
「1つ、これ以上僕たちが存在してると、
「………」
「これ以上未来の存在がこの世界にいると、時空、次元、空間、全てがぐちゃぐちゃになってもとに戻らなくなる可能性が高い」
シュウはお茶を注ぎながら話をつづけた。
「2つ、僕たちがここに来た理由はなぜか、それがわかったから。これ以上はいる必要がないこと」
エルレイ達をこの世界に連れてきたのは
その少女が言うには、『どうしても、狂っているねえねが見てられなかった』
そう言っていた。だから、これ以上この世界に存在していたら…。
この世界の大人リィエルが依存し、
「3つ…、これが一番問題なんだけど、リィエル…、エルレイはね?この世界が嫌いなんだ」
「………え?」
「あの子はいつも、誰かのために頑張ってきた。そして、それで何人も救われた。
僕やエザリーだってその一人だ」
入れたお茶をイヴに渡し、シュウも一息つく。
「ただ…、それが足枷になっちゃってるんだ。エルレイは今。
この世界にいるという事は、元の世界に帰れないという事。
それはつまり、元の世界で知り合った者達、エルレイを心から信頼してくれた人たちを放っていることになる。
「僕やエザリー、ロクサスに、ミアルとシスナ。来ている可能性のあるものは全員見つけたんだ。これ以上は……あの子が持たない」
「……そう」
「正直エルレイに何人か、この世界の者達が依存しているのは確かだ。これ以上いたら、離れられなくなる」
エルレイに依存している。リィエルを思い出してくれればわかりやすいだろう。
エルレイは
─────
───
──
─
「……と言うわけです。ご理解いただけましたでしょうか?」
「…………」
グレンたちは何も言わなかった。否、何も言えなかった。それはエザリーの言ったことがすべて真実だからだ。
ここでエルレイを止めるのは、明らかに『愚策』自分から依存していますと言っているようなものだ。
「では、これがエルレイの辞表です。短い間でしたが、うちのリィエルがお世話になりました」
まるで作業のように、エザリーは頭を下げる。そして、セラに辞表の入っている封筒を優しく渡した。
「う………うん……」
「では」
エザリーはそのまま淡々と、何も言わずに去っていこうとする…………が。
ぎゅ……
不意に、誰かがエザリーの裾をつかんだ。
「……放して、リィエル」
「…いや……」
そう、リィエルだ。眠たそうな表情だが、どこか悲しそうで儚げで、エザリーは心から『あの子、愛されてるな』と心底思った。
「えざりー…はなすの……、いや」
リィエルのその目には、涙が浮かんでいる。言っていることはわからないと思うが、おそらく直感的に『ねえねが離れてしまう』と思ったのだろう。
「………」
「リィエル、止めてくれ」
「っ………」
リィエルの肩をつかみ、止めたのはギイブルだ、リィエルは反射的に、まるで親と離れた子供のように、悲しそうににらみつける。
「君の気持ちもわかるが、この人の。エザリーさんの言っていることは正しい」
ギイブルは少し俯きながら話をつづける。
「おそらく、リィエルに止められることは、エルレイ先生だってわかったたはずだ。だから、これ以上顔は見せないように、この人に辞表をまかせた」
「………」
リィエルだって、わかってはいる、わかってはいるが…、どうしても。割り切れない。エルレイという先生の…、姉の存在があまりにも大きすぎる。
「……………」
「………でも、どうにかなりませんか?エザリーさん」
ギイブルは、そのままエザリーに向かって頭を下げる。
「ぎい……ぶる?」
「無理なお願いなのはわかっています。ですが、どうかもう一度だけ、リィエルに会わせてあげてくれませんか?」
クラスの全員が驚愕する。なにせギイブルが頭を下げているところなんて誰も見たことが無かったからだ。
「お、俺からもお願いします!」
次に頭を下げてきたのはカッシュだ。エザリーはただ黙っていて、何も言わない。
「…………」
「わ、ワタクシからも…!」
「私からも、どうかお願いします」
「お、おれからも!!」
「私からも!どうか!」
ウェンディにテレサ、リン、ほかにもほとんどのクラスの生徒が頭を下げる。
もう一度……、もう一度だけと……。
「………」
エザリーは黙って、そっぽを向く。
「わかりました、貴方方がそう望むなら、5人だけ。ついてきてください」
「…………ありがとうございます」
頭を下げるギイブルに、エザリーは頭を撫でた。
「こんな子たちに信頼されるなんて。あの子は…、
その笑顔は、どこか心地よさそうで、どこか安心している笑みだ。
「よしっ」
とつぜん、グレンが腰を上げて、声を出す。
「五人だったな、俺、セラ、システィーナ、ルミア、リィエルで行く。問題ないな?」
あっけらかんというが、この布陣が、エルレイにとって一番心を開いてくれる可能性があることをグレンは理解している。普通に行っても、門前払いを食らうだけだ。
ならば、できるだけ、門前払いの可能性が低い者たちを連れて行くのがよい。
グレンの言葉に、セラたちは静かに、しかし力強く頷く。
「………………わかりました。ついてきてください」
────
──
─
エザリーに連れてこられたのは、どこかの廃墟だ。ツタが所々に絡みついていて、苔が張り付いている。まるでホラーの映画に出てきそうな見た目で、どこか気持ち悪い匂いが充満している。ここにエルレイがいる。
「ここです」
「ありがとな、俺たちのわがままにつき合わせちまって」
「いえ」
エザリーは、グレンの言葉を軽く返す。
「では、私は先に行っています。準備ができたらすぐに」
そう言い残したエザリーは、真っ暗闇のドアの奥に入っていく、後を追おうとしてもそこにはだれも存在せず、妙な静寂だけが残っていた。
「私たちに協力するつもりはない。そういう事でしょうね」
システィーナは手袋をはめ直しながら、決意を固めた。
「……あいつ、ほんとに変っちまったんだな」
「グレン君………」
エルレイ、リィエルの変わり果てたやり方に、グレンは唇をかんだ。セラも少し悲しそうに目を細め、うつむいた。
「…………」
「…行きましょう。みなさん」
悲しそうなリィエルをさすりながら、ルミアはエルレイのいるであろう廃墟と足を踏み入れた。
「ぐ………が……ぁ…」
ある一室で。彼、ライネルは絶望していた。強大過ぎる敵に、人間とも思えない。その存在に……心から恐怖を感じていた。
「終わり………だね。兄さん」
「まっ…────」
一閃─────
エルレイの振り下ろした大剣は、ライネルの首に直撃し、ライネルだったなにかはころころと赤い液体を床につけて、やがて動かなくなる。
「さすがさすが、リィエル。成長したな」
「…………」
気味の悪いように笑うロクサス。その言葉の後にエルレイは脱力し、ミアルが体で何とか抑えた。
「おっと…、大丈夫?」
「……………ん」
兄のような存在を殺して、エルレイは脱力した訳でも、殺した罪悪感で力が抜けたわけでもない。
「ねえ、やっぱりやめない?」
「………いや。やる」
エルレイにとっては、この後が問題。心の拠り所を潰す作業をしなくてはならない。この世界に未練が残らないために。
「………」
ロクサスは、少しめんどくさそうに、本を開いてエルレイに伝える。
「エルレイ……来たぞ」
「ん………わかってる」
そう、グレンたちがここに来るのは想定の範囲内。
エルレイの目的はここに来させることにある。
「本当にやるつもり?
「……ん」
その答えを聞き、シスナは呆れたなぜならば…………。
───────
────
──
─
「おおおおおおおい!!エルレイ!どこだ!」
不気味に太陽の光があたりを照らす廃墟で、グレンはできるだけ大きな声で彼女の名前を呼んだ。
「……どこでしょうか、エルレイ先生」
システィーナも懸命に探しているが、エルレイの姿も、人の気配すらも見つからないというありさまだ。
「………」
「大丈夫、絶対また会えるよ?」
セラが、やさしくリィエルの頭を撫でた……。
その時。
「どうも、グレン先輩、セラ先輩」
「っ!誰ですか?」
「誰とは失礼だな」
突然現れた者達に、ルミアは一瞬顔が強張る。
そこに立っていた2人は男性で、一人は赤髪で10代くらいの女顔な男の子だ。
もう一人は青髪で、片手に古式の拳銃を持っている。
そう、シュウとロクサスだ。
「あ、ハル君?どうし───」
シュウのこちらの名前を、セラが出そうとした瞬間、セラの顔がこわばった。
瞬間的に気が付いたのだ。この二人は敵だと、この二人は自分たちの敵だと、そして…。
こいつらはやばい。それを自覚した。
「………そこをどいてください」
「それはできねえな。お前らにうちのリィエルを会わせると、いろいろと不都合なんだよ」
ロクサスはそう言いながら、恐怖を感じそうな顔で凶器的に笑った。
「ま、そういうことです、申し訳ありませんが」
シュウのその声と同時に、ロクサスはパチン!!と指を鳴らす。するとそこから
大きな懐中時計のようなものが出てくる。そして、シュウは紫の剣をゆっくりと構える。
「「「「「!?」」」」」
明らかな殺意だ。どうやら、本気で通してはくれないらしい。
「さあ、弟よ」
「うん、兄さま」
「「俺たちの
2人は、不敵に笑いながらそう宣言した。
────
──
─
「さて、私たちも動くわよ」
「うん」
シスナの言葉に、ミアルは笑顔で頷く。
「……すいません、こんなことになってしまって」
「気にしないで、ここまでは想定通りよ」
申し訳なさそうなエザリーに、シスナはやさしくそう答えた。
ここまでは彼女たちの想定通りなのだ。
「それにしても……あいつ、気づいてるのかしら」
シスナは、その場で精神統一をしているエルレイを見ながら、つぶやいた。
「あいつ、あんなに顔がぐちゃぐちゃになるまで