『完結』(番外あり)ロクでなし魔術講師と帝国軍魔導騎士長エルレイ 作:エクソダス
リィエルが好きなので大人なリィエルの
妄想です、にわかなので描写の間違いがあってもご了承ください。
魔導騎士長エルレイの憂鬱
自分の存在する意味は何か。
それを考え始めたのは何時くらいだっただろうか。生まれた時から?それとも誰かに問われたから?よく覚えていないが、勿論私は生きていたいし、守りたい人もいる。理由なんていらないと言われたらそれまで、でもわたしは何か自分がここにいる理由が…欲しいなぜなら。
今が退屈すぎるから。
「この書類を、上層部へ」
「はい、リィエル騎士長」
何もかもがつまらない。
「…ん、この件あとは私がやる、さがっていいよ」
「かしこまりましたリィエル騎士長」
自分の執務室で帝国軍魔導騎士長、リィエル=レイフォードは退屈していた。
「はぁ」
リィエルは壁にもたれ掛かり、ため息をついた。
青髪のスレンダーで小柄な体とは裏腹に、騎士長という肩書を持っているこの女性は…アルザーノ帝国魔術学院の卒業生あり元特務分室ナンバー7 戦車と呼ばれていたほどの実力者だ。
「疲れた」
「眠い」
リィエルは仕事の日々に飽き飽きしていた。
仕事が嫌いなわけではないが、特に重大なこともここ最近は起きていないので退屈を覚えていた。
欠伸をしながら執務室の自分の机にある自分の学生時代の写真を眺める。
そこには4人の人物が映っていた。
真ん中に自分が写っていて、右側には銀髪の耳のようなリボンが特徴的な女の子、システィーナ。
もう一人は金髪の緑色のリボンをつけた女の子、ルミア。
二人ともリィエルにとって、かけがえのない友達だ。
「ルミア、システィーナ」
小さな声で自分の心から信頼している友達の名を口に出す。そして…
「グレン」
システィーナの肩に肘をのせている男。
リィエル=レイフォードの一番の理解者であり兄貴分、そして恩師でもある男、グレン。
三人とも、リィエルにとってとても大切な人達だ。しかし最近は仕事も忙しく、1年に一回会えるかどうかわからないほど、疎遠になりかけているのが現状だった。
「ひさしぶりに会いたいな、無理だと思うけど」
騎士長という立場上緊急の仕事も多く、自分の借りているマンションに戻るとすぐにぱたりと眠ってしまう事が多い。
自分から遊ぼうなんて言う体力など、残っていないことが大半だ。
リィエルはもう一度ため息をつき、ポケットからいちごタルトを取り出してサクサクと食べる。
「リィエル騎士長様、少し良いですか」
副騎士長君が来た、マッハで食べよう。
サクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサク!!
ごくんっ。
「なに?早めに済ませて」
副騎士長君が頭を掻きながらため息をついた。
「って、またいちごタルト食べていたんですか?お体に触りますよ?」
「いちごタルト、万能薬、すべての病を治す」
「いや…んなわけないでしょうが!」
「君もお食べ?少しは頭もグニョングニョンになると思うよ?」
「遠回しに頭が固いって言ってますよね?!余計なお世話です!!」
リィエルは退屈すぎて、副騎士君をいじるのが趣味になりかけていた。
ある訓練時に自分が飲んでいた水を彼に渡したら、間接キスが~とかなんとかとても初心な反応が返ってきたため、その反応が忘れられず…癖になってしまったのだ。
「ま、いいや、本題は?」
「あ、はい、手紙が送られてきていたのですが、私の存じ上げない方でして」
「手紙?」
副騎士君に差し出された手紙を手に取る。
「ん、渡しておく、お疲れ様」
「はっ」
「お疲れ様タルト」
「いりません!!」
副騎士君が立ち去ったの確認してから宛名を探す。
さて、宛名はと…。
親愛なる、イルシアヘ。
その宛名を見た途端、リィエル=レイフォードは硬直した。
「なにもの?」
私の記憶のオリジナル、イルシア=レイフォードの名を知っているのはごく数人のはず。その知り合いの中の誰か?
「いや、こんなイタズラをする人は、いないと信じてる」
リィエルはもう一度写真を見る。
知り合いの誰かがProject:Revive lifeの情報を流した?それとも関係者の残党?考えるだけで頭が痛くなってくる。
「考えても仕方ない、開けよう」
リィエルは考えるのをやめ、手紙を開けた。
面倒なことになりそうと思う反面、少しウキウキしながら手紙を開けていた。
★★★
「……ん」
リィエルは目を開けると、そこは知らない天井だった。ベッドで寝かされている。
(ここはどこ?)
リィエルはあたりを見渡す。
手紙を開けたまでの記憶は残っているが、そこから何があったか…いまいち思い出せない。
「あ、起きたみたいだね,よかった~」
すると突然、枕元にいる女性が話しかけてきた。
その女性は銀髪の長い髪で緑色の服をしたおっとりした感じ女性がリィエルの枕元にある椅子に座っていた。
「・・・」ぺこっ
軽くリィエルは頭をさげる。
なんとなく雰囲気は、システィーナや宮廷魔導士時代のグレンの隣にいた人に似ている。
「どこも怪我はしてない?」
「たぶん」
「君、いきなり空から落ちてきたからびっくりしたよ、どこもいたいところはない?」
…どうやら私は空から落ちてきたらしい。
そんなことがあるはずはない、私はさっきまで手紙を見ていただけなのだ。それがどう間違ったら上空から落ちてくるということになるんだ。
「空、から?」
「うん、いきなり私の家の前に落ちてきてさ…びっくりしちゃったよ」
「そっか、助けてくれてありがとう」
「えへへっ怪我がないようでよかったよ」
銀髪の女性はニコッっと、優しく笑った。
「あ、自己紹介がまだだったよね、私はセラ=シルヴァース、セラって呼ばれてるよ」
「……セラ?」
そういえば、グレンとよくコンビでやってたのってセラだっけ…そう思いながらもう一度助けてくれた恩人、セラ=シルヴァースを見る。
そういえばグレンの恋人?のセラも銀髪だった気がする、それに雰囲気も似てる気がする……ん?
リィエルはある違和感にたどり着く。
それは自分の元同僚でグレンとよくいた人、セラという人とまったく一緒な気がするのだ。
でもそれはありえない、あの人は死んだとグレンから聞いた。
すべての状況を踏まえて、頭の悪いリィエルでも嫌な予感が横切る。
「ここは、まさか」
死後の世界?
「?」
ここが死後の世界だと仮定するのならば、手紙を開けた途端に魔術が発動し暗殺された。と考えると辻褄があってしまう……。
(そんなはず無い…)
リィエルは軽く頭をふり、自己紹介をした。
「私はエルレイ、騎士のお仕事していた」
嫌な予感がしたのでとりあえず偽名で名乗った。するとセラは疑う様子もなく。
「いい名前だね、私のことは気楽にセラでいいよ、私もレイちゃんって呼ぶね」
「ん、それでちょっと聞きたいんだけど」
笑顔で返してきたセラに軽くお辞儀をする。
まずはこの状況を把握したかったリィエル…、現在名エルレイは、セラに日付や場所…自分が落ちてきた詳細を詳しく聞こうとしたが………。
ぐぅぅぅ……。
「……」
「……」
突然エルレイのお腹の辺りから音が鳴った。
エルレイはそのまま赤くなり俯く、手紙を開けてからどれだけの時間がたっているのかわからないが、空腹を感じるということはかなりの時間がたっていることは間違いなかった。
「…気にしないで」
「あははっ、ご飯食べる?丁度昼食なんだ」
エルレイはそのまま、恥ずかしそうにうなずいた。
★★★
出してくれたのは簡単なスープとパン肉の炒めものだった。
食べる前に手を合わせたあとにスプーンを持つ、セラが出してくれた料理をモグモグと黙々と食べ進めて。
「…おいしい」
小さな声で感想を言った。
「そっか、それはよかった」
その言葉を聞いてセラはニコッと笑う。
「ところで」
「何かな?」
セラが首をかしげる。
「私、空から落ちてきたんだよね、なんで食べ物食べさせてくれるの?」
落ちてきたという話、普通だったら落ちてきたら気味悪がって通報するか、見て見ぬふりをするかどちらかだ…そう思ったエルレイは疑問の言葉を口にした。
セラは顎に手を当てて。
「うーん、私これでも帝国魔導士だから、困ってる人は野放しにしたくないんだ…たとえ空から降ってきた女の子でもね」
「…」
うろ覚えだが…性格も同僚のセラによく似ている。エルレイは少し頭を抱えた。
「あとレイちゃんが同僚の宮廷魔導士によく似てたから」
これは多分、自分の事なんだろうと思い、今度は少し苦笑いをした。
「ところでレイちゃんはなんで空から落ちてきたの?」
至極当然の疑問だった。
素直に答えてもいいかと思ったエルレイだったが…、ふとこの状況は幻覚や夢の可能性もあると直感で感じて、理由をでっち上げた。
「いちごタルト食べてたら、お腹破裂して空まで飛んだ」
「えっ?!」
即席で作ったのでクオリティーが低くて、いや低すぎる。
適当に言い過ぎたとエルレイは心の奥底で言った後に後悔した。
「…えっと」
「いちごタルトって食べすぎると爆発するんだ!?食べないようにしなきゃ」
「……ん?」
…どうやらなぜか上手くいったようだ。
言いくるめ成功───。
この人純粋でよかったと心の底から思ったエルレイだった。
★★★
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末でした」
食べている時にエルレイは、多くの情報をセラから得ていた。
1つはセラは宮廷魔道士特務分室執行官ナンバー3《女帝》。つまりはグレンの隣にいた女の人と同一人物だということが確定に。
そしてこの場所は、自分のいた場所から5年ほど前の過去だということが判明した。
しかし妙な点があり、この人の本職は帝国宮廷魔導士ではなく、アルザーノ魔術学院だということだ。エルレイの記憶が正しければ、この頃にはセラ=シルヴァースは死んでいるはず…。
エルレイの頭は混乱するばかりだった。
「レイちゃんってこの後どうするの?」
「それ聞かれると、困る」
「お父さんとお母さんが心配してるよ?お家どの辺りかわかる?」
「・・・小柄だけど、私二十代」
「そうなの?てっきり13くらいだと・・・」
「成長は、とまった」
エルレイは、セラの胸と自分の胸を目で比べながら…眠そうな目でため息をついた。
「今は、帰るところがない」
「…そっか」
そう、ここが死後の世界であっても、過去の世界であっても関係なく…エルレイにとっては今住む場所がない。
「じゃあここで住もうよ!」
「え」
「一緒に、ここで、住もうよ」
「…詠唱しなくても、聞こえてる」
エルレイは驚いたように口を開けた。
何故その表情になっているのか理解できていないのか、セラは首を傾げた。
「わたし、落ちてきた」
「うん」
「落ちてくる=変な人」
「そう、かもね?うんうん」
「一緒に、住もう?」
「うん!」
「????????????」
リィエル、現在名エルレイは過去一番理解不能な状況に陥った。
何か裏があるとは思えない、ていうかあったばかりだから何も知らないハズ、何故?
「も~、だから困ってる人を助けるのが宮廷魔導士なんだってば!」
「いや、限度、ある」
しかし、エルレイとってこれ以上いい話はない。お言葉に甘えてそうさせてもらいことにした。
「でも、ありがとう、迷惑になると思うけど、よろしくね」
「うん!こちらこそ」
そしてエルレイとセラは握手をした。セラは笑顔で…そしてエルレイは眠たそうな目で軽く笑いながら。
★★★
アルザーノ帝国魔術学院、アルザーノ帝国の人間でその名を知らぬ者はいないだろう。この時代からおよそ四百年前、時の王女アリシア三世の提唱によって巨額の国費を投じられて設立された国営の魔術師育成専門学校だ、今日、大陸でアルザーノ帝国が魔導大国としてその名を轟かせる基盤を作った学校であり、常に時代の最先端の魔術を学べる最高峰の学び舎として近隣諸国にも名高い学院、それがアルザーノ魔術学院だ。
勿論そんなことを覚えているわけがないリィエル、現在名エルレイは、ひょんなことから自分の学び舎である件のアルーザーノ帝国魔術学院のあるクラスに入って、ある場面をただ黙って、眠たそうに…そして冷たい目で見ていた。
「えー、本日の一限目の授業は自習にしまーす」
さも当然だと言わんばかりに、目の前にいる自分の兄貴分、グレン=レーダスが黒板に自習と書いた後。
「・・・眠いから」
最後に睡眠宣言をしてから、教卓に突っ伏した。
「………………」
誰もしゃべらない沈黙の数秒後。
「ちょおおっと待てぇええええ━━━━━━ッ!!!」
それを見ていた銀髪の耳のようなリボンが特徴的な少女。システィーナは、分厚い教科書を振りかぶって猛然とグレンへ突進していった。
「…くさはえる」
それがエルレイが見た昔の自分のクラスの印象だった。
どうしてこんな状況になったかというと…どうやらセラはグレンのクラスの副担任らしい。
それじゃあイヴはどうなるの?というツッコミは心の奥底にしまい、グレン君の監視は私一人だと大変だから手伝ってほしい…とのことだった。
エルレイとセラが朝のうちに挨拶をして、授業はほとんどセラが進めていた。その間に女性がきたと騒ぐ男どもをエルレイが制裁(頭ぐりぐり)の途中に担任のグレンが来てこの始末…というわけだ。
「えっと、システィーナちゃん落ち着いて!グレン君~!起きて~!」
「…うっせ白犬、睡眠学習は大切なんだぞ」
「あ、そっか、睡眠するとメリット多いからね、それじゃあ私もお休み…」
「セラ先生も乗せられないでください!!」
「あ、エルレイ先生!さっき俺にやったグリグリっ!あの先生にやってくだせえ!!」
そう叫ぶカッシュを横目に…。
サクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクッ!!
エルレイはリスの如くいちごタルトを頬張ていた。
一口かじるごとに、エルレイの頭をふわふわした幸福感が包んでいく。
エルレイにとっていちごタルトは、酒やたばこと同様の効果が得られる(リィエル=レイフォード談)
「いちごタルト、うまっ」
「何を他人事のように黙々といちごタルトを食べていますの?!?!」
ウェンディが食べ進めるエルレイに、ビシッとツッコミを入れた。
「何なのよこの先生方はあああああああああああああああぁぁぁ━━━━━━っ!!」
この日、ほぼずっとシスティーナの怒鳴り声が聞こえていたのは言うまでもない。
ほとんどの場合はルミアが落ち着かせてくれたが。
★★★
放課後、すべての授業が終わった夕方ごろ…エルレイ、グレン、セラの先生組三名は学院東館の屋上バルコニーで話し合おうというセラの提案によりみんなで(グレンは半ば強制的に)バルコニーにきて夕日を眺めていた。
「もー!レイちゃんなんであの時止めてくれなかったの?」
「ん、なんでと言われても」
グレンがあの状態になったら、基本的にやる気を起こさないことを知っていから。
ではあるがそれだとグレンの事を知っているということになり、辻褄が合わなくなる。
「いちごタルトには飛行能力だけじゃなくて、強い中毒性がある、麻薬食材、だから」
「麻薬なの?!生地のほう?!それともいちごが麻薬なの?!」
「ンなわけねえだろ、お前もセラに変な吹込みすんじゃねえよ」
「信じるほうが、おかしい」
「…まあ百理あるが」
「二人とも遠回しに私の事バカにしてる?」
セラはため息をついた後、話を続けた。
「それでどーすんのさ~、生徒たちの評価だだ下がりだよ?」
「いいんじゃね?そもそも俺、やるきねえし」
「も~、セリカさんがくれたチャンスなんだからちゃんと生かさなきゃダメ!」
そんなやり取りをしているセラとグレンを、エルレイは意外そうに見ていた。
リィエル=レイフォードが入った時はロクでなしなところはあったが、基本的にグレンは授業を真面目にこなし、システィーナに個別で教えたりと…熱心なところがよく見られたから昔こうなっていたのは意外だった。
「そういえば聞き忘れてた、お前誰」
エルレイの目を見ながらグレンが聞いてきたので、エルレイは自己紹介をした。
「…エルレイ」
「エルレイ……ねえ」
手を顎に当てながら、じっとエルレイのほうを見て数秒後…。
「なんか、似てんだよな」
「あ、グレン君もそう思った?」
「ああ、どうにもこいつがリィエルに見えて仕方ねえ」
「……私に、似てる人がいるの?」
悟られないように、エルレイは軽く返した。
「なあお前…Project:Revive lifeって、知ってるか?」
おそらく、グレンの頭の中にエルレイがコピー体の可能性が嫌でも頭に浮かんでしまったのだろう。
エルレイは焦らず冷静に、眠たそうな目で。
「知らない」
そうはっきり答えた。
「そうか、変なこと聞いて悪かったな」
「ん、大丈夫」
「っていうか二人ともホントにどうすんのさ~!このままじゃホントにすぐさまクビになるよ?」
「俺的にはそっちのほうが本望だ!!」
「私的にはよくないのっ!!!!」
二人の喧嘩を片目で見ながら、エルレイは壁にもたれ掛かり。
ポケットからいちごタルトを取り出してまたサクサクと食べ始めた。
「私、魔術は使えるけど教育免許持ってない、あきらめて」
「レイちゃんまで・・・」
最も、剣術なら教えることができるが…魔術は教えることが大の苦手であるエルレイはこの状況を。
少なくともグレンがほんの少しのやる気を出してくれるまでは、黙ってみているしかないのだ。
「でも、給料分のお仕事はする、色々考えてはおく、錬金魔術の基礎くらいなら、教えれるから」
「真面目だね~関心関心!その調子で俺のやることが無くなる位頑張ってくれよ若人よ!!だぁあああっはっはっはっはっはっはっ!!」
「グレン君はもうちょっと真面目にやって!軍にいたころはそこまでじゃなかったでしょ?!」
そんな会議も虚しく、グレンの態度は一向に良くはならなかった。
一時的にエルレイが錬金術講座を開き、場つなぎをしていたがたかが時間稼ぎ…そこまで長い時間持たなかった。
そしてセラはというとグレンを説得しようとしても結局、流されてしまうのがテンプレになってしまっていた。
★★★
「書類仕事が長引いた」
職員室で書類をさばいていたエルレイが、足早に教室まで移動する。
今日はどうやって場つなぎしようかとか…いっそいちごタルトの演説して、いちごタルト信者を増やしてやろうかとか…色々な事を考えながら教室に入った。
「ごめん、遅れた、ん?」
エルレイが入った教室はみんないるがとても静かだった。
教卓のほうを見るとおろおろしているセラと…グレンを睨みつけているシスティーナ、そしてグレン本人がいた。
グレンの近くにはシスティーナが着けていたであろう手袋が床に転がっている。
(システィーナ、昔こんなことをしてたんだ)
エルレイは迷わずにシスティーナの手袋を拾い、システィーナの前に出す。
「だめだよ、こんなことしちゃ」
「エルレイ先生は黙っててください」
そうシスティーナにバッサリと言われた、流石に心が痛い。
「私は、フィーベル家の次期当主として、グレン先生のような魔術を貶める輩を……看過することはできません!」
システィーナは、エルレイの知っている頃から気高くて真面目。そうなってしまう気持ちも…もちろん1人の親友としてわかっている。
分かってはいるが、兄貴分であるグレンとの決闘を容認できないのも、エルレイの気持ちの一つだった。
「落ち着いて、気持ちはわかるけど、感情のコントロールは魔術師の基本、そう教わらなかった?」
「う……」
システィーナが口ごもる。
正攻法で話し合えば、システィーナはわかってくれるとそうエルレイ信じていた。
しかし、エルレイの持っていた手袋をグレンがひょいと奪い取る。
「何するの、グレン」
不機嫌そうにエルレイは、グレンを睨みつける。
「もう賽は投げられたんだ、白猫が俺に手袋を投げてきた時点でな、それともお前の知り合いは…頭に血が上って決闘を申し込む魔術師はいないのか?」
「……」
「戦いで分からせるしかねえんだよ、悪いけどな」
その目は鋭い目だった。どこまでも真っすぐで…魔術師らしい顔。
「セラ、保健室の先生、呼んできて」
「ちょっ……レイちゃん!!止めようよ!今ならまだ」
「もう私には…何もできない、後は決闘次第」
エルレイは大きくため息をつき、やるなら外でやってと校庭を指さした。
良ければ評価、感想をお願いいたします、励みになります。
エルレイ「次回最終回、エルレイ先生最後の授業」
え?