荒野の番犬   作:ジャック伍長

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第七章 Blind Spot

昼間のグラオヴェスペ隊の襲撃を無事切り抜けた羽衣丸は現在航行をやめて空戦が発生した地点に簡易係留されていた。昼食前にマダムルゥルゥに頼んでグラオヴェスペ隊のBf109の残骸を回収するためだ。おそらく何かしらの情報が得られるだろうと思ったからだ。ミーティングはその後ということになった。

整備班の残骸回収を待つ間俺は自室で愛銃のメンテナンスをしていた。思えばこの相棒との付き合いも長くなったものだ。各部のブルーイングは擦れ落ち下地のシルバーが露出していた。一方で人間の方の相棒は自分のベッドの上でボヤいていた。

「なんであの娘はあんなにパンケーキ食えるんだよ…普通飽きるだろ…」

奴らの襲撃前に話題になっていたキリエがパンケーキを何枚食べるかの賭けの結果はピクシーが大きく予想を外しこいつの大負けだった。こいつにとっては賭けの結果云々より無尽蔵にパンケーキが入っていくキリエの胃袋の方が衝撃的だったようだ。

「散々俺をからかったバチが当たったんだろうぜ」

「あいにく神だの仏だのを信じる主義は持ってない。で、どうするんだ?結局どこにお誘いするか決めたのか相棒?」

言ってるそばからからかってきやがる。

「今すぐこの銃組み上げてお前で試射してもいいんだぞ?」

バラした銃のフレームを突きつけて言った。だがこいつの言う通り決めるなら早い方がいいのだろう。だが誘うにしてもどう誘えばいいのやらさっぱりだった。誘うのなら良い雰囲気の店がいいのだろうが、アレシマのそういう雰囲気の店を俺は知らない。

「なあピクシー、お前…」

ダメ元でピクシーにそういう店を聞こうとした時船内放送が流れた。ナツオ整備班長の声がスピーカーから響く。

<<サイファー ピクシー 二人共格納庫まで来い>>

「ピクシー、お呼びのようだ。行くぞ」

「了解」

ズボンの後ろ腰に組み上がった拳銃を差して二人で格納庫に向かった。

 

格納庫では俺たちの機体が置いてあるスペースのすぐ近くにBf109の残骸が置かれていた。ほぼバラバラの二機と多少原型を留めている一機という状況だ。こちらに気づいたナツオ班長がこっちだと手招きしている。彼女に近づいたとこで腕を組んで残骸を見ながら彼女が言った。

「どうせならちゃんと形を保った状態のこいつを見たかったもんだな」

「今度奴らが来たら不時着出来るように墜とした方がいいか?」

ピクシーが冗談めかして言うと班長が言った。

「キリエから聞いたが結構手強い奴らだったんだろ?へんな手心加えようとしてお前らの機体壊されたらその方が面倒だからな」

以前慣らしの時に思い切り機体に無茶をさせて班長を怒らせたことを考えるとへんな手加減をするべきではないなと理解できた。

そんなことを思ってると班長が作業台に避けて置いてあった残骸をこちらに持ってくる。被弾して炎上した影響か煤まみれになっていたが一部分だけ煤が落とされていた。綺麗になった部分に銘板が貼られているのが見えた。

「でだ。お前らを呼んだのは他でもない。この銘板の文字のことだ。私らにはさっぱり読めん、お前らなら読めるかと思ってな」

班長が見たことのないの文字の解読を俺たちに頼む。言い換えてみれば俺たちがこのイジツの住人ではないというアタリをつけているということだろう。思い切って聞いてみる。

「マダムから聞いたのか?俺たちが穴の向こうから来たってこと」

「お前の機体を初めて整備した時になんとなく気づいたよ。高度計がクーリル式じゃなかったしな。正確に知ったのはこの間キリエとチカが話してるのをたまたま聞いたときだな」

それを聞いて少しため息がでる。この調子じゃ主要なクルーだけじゃなくそのうちラハマ中に知れ渡ってそうだ。そんな俺の肩を叩きながらピクシーが言った。

「いずれマダムから伝えられてただろう。それで班長、銘板ってのはどれだ?」

ピクシーの言葉を聞いて班長が残骸の銘板がついた部分を俺たちの方に向けた。

「『ノースオーシアグランダーIG』…聞き覚えがないな」

ピクシーが首を傾げながら言った。だが俺はこの名前に聞き覚えがあった。

「…こいつらか…面倒なことになったな」

再びため息をついた。ナツオ班長が俺の方を見ながら言った。

「その様子じゃなんか知ってるみたいだな」

「ああ、ピクシーも昔の名で言えば分かるだろう。というかお前はここが作った機体に乗った経験があるだろ?」

それを聞いてピクシーが合点がいった顔をした。

「『南ベルカ国営兵器産業廠』か」

「そうだ。…少し厄介なことになりそうだな」

二人で納得しているとナツオ班長が聞いてきた。

「要するにお前らの世界の工廠がこっちに戦闘機を送ってるってことか?」

「そういうことになるな。そしてそいつらはこっちで自由博愛連合の過激派と組んで何かをしようとしている…」

思わずため息が出た。あの戦争で多大な犠牲が出たというのにベルカはまだ懲りていないのか。そんなことを考えた時再びスピーカーから声が聞こえた。今度はレオナの声だ。

<<サイファー ピクシー 娯楽室へ来てくれ>>

時計を見ればミーティングを開始予定時間になっていた。レオナたちにもこのことを伝えなくてはいけない。

「班長、この残骸少し借りてっていいか?」

「構わねえぞ、どうせ残りは山ほどあるんだ」

「助かる。ピクシー行くぞ」

残骸を持って俺とピクシーは娯楽室へ向かった。

 

娯楽室に着くと大テーブルの周りにコトブキとマダムが立って待っていた。そのテーブルの上に先ほど借りたBf109の残骸を置くとマダムが口を開いた。

「ここにこれを持ってきたということは何か手がかりがあったようね」

「ええ、とても厄介な手がかりですがね。みんなこれを見てほしい」

残骸を銘板が見やすいようにテーブルを囲むコトブキたちの方へ向けると。チカが真っ先に覗きこんだ。

「ん〜?…これなんて書いてあんの?ケイト読める?」

読むことができなかったチカがケイトに振る。

「ケイトもこの文字は見たことがない。解読は不可能」

「ケイトにも読めないなんて。どこの文字ですの?」

エンマの問いに俺が答える。

「この文はノースオーシアグランダーIGって会社名を書いてる。……俺たちの世界の会社だよ」

「これがサイファー達の世界の文字なんだ〜……あれ?ってことは…」

キリエの頭に浮かんだ疑問にピクシーが続ける。

「こいつらは自由博愛連合の過激派にパイロットと機体を与えてるってことだ。なんの為かは分からないがな」

それを聞いたマダムが眉を顰めながら口から紫煙を吐き出してから言った。

「この件は今回の会議でユーリア達にも伝えておくわ。詳しい対処が決まるまではこれまで通り。どんな空賊が来ようと羽衣丸を守って」

再びマダムがキセルに口をつける。次に口を開いたのはレオナだった。

「サイファー、空戦中にお前達が通信した相手もお前達の世界の人間なのか?」

「そうだ。そういえば本来ならあいつらの事についてのミーティングだったな」

「通信を聞く限り知ってるのはあの部隊の一番機と二番機よね?」

ザラがレオナに続いて疑問を投げかけてくる。

「ああ、少なくとも俺とピクシーが昔戦ったことのあるのはあの二機だけだ。三番機以降は自由博愛連合のパイロットだろうな」

「そういえば空戦の後に言ってた『ラルド派』だかってどういう意味なの?」

キリエが聞く内容にはピクシーが答えた。

「ラルド派ってのは俺達が戦ってた敵国の空軍内の派閥の一つだ。所謂タカ派の連中だな」

「ああ、だがラルド一派は俺がこの世界に来る直前に失脚して、ラルド本人は姿を消している。…なぜその派閥の連中がこの世界で暗躍してるかは見当がつかないが…」

大きくため息が出た。本来なら穴を見つけて帰るのが最重要だった。しかしこの世界に奴らが現れたとなればそうは行かなくなってしまう。この世界にまで俺たちの世界の憎悪を持ち込ませるわけにはいかない。何があろうとも奴らを止めなくてはならない。

その後レオナがまとめて今回のミーティングは解散になった。それにしてもこの世界で再びかつての相棒と再会し、さらにはベルカの陰謀まで絡んでくるというのはなんと皮肉なのだろう。ベルカ戦争後に止まっていた俺の運命の歯車が再び動き出している気がした。

 

グラオヴェスペ隊との空戦から一夜明け羽衣丸はアレシマまであと少しというところまで来ていた。当初の予定ではユーリア議員の乗るガドール船籍の飛行船との合流を予定していたが、空戦と回収作業の影響で航路途中で合流せずアレシマに向かうことになっていた。

一方の俺は悩み事を抱えていた。グランダー社やグラオヴェスペ隊のやつらのことではなく、空戦前にピクシーから提案されたレオナを食事に誘うという件についてだ。今までの人生の中でそんな事は試したことがない。どうきっかけを作れば良いのかすら分からなかった。

「PJ…お前ならどうする…」

今は亡きかつての僚機の名前を呟く。この世界に来て何度も思っていたが彼が今ここにいればどれほど頼りになっただろう。

「よう、頭を抱えてるみたいだな」

船室のドア越しに顔を見せたのはこの件の発端になった憎たらしい妖精だった。前は見せなかったような顔でこちらを見ている。

「まだ誘うとは決めてないって言っただろう…」

「火付きの悪いヤツだな…そんな相棒にいい情報を持ってきた」

そう言ってピクシーは胸ポケットから小さなメモを取り出し俺に渡した。見てみればアレシマの住所が書かれている。

「なんだよこれ」

目の前に立つピクシーを見上げながらメモの内容を問いただす。

「前にアレシマに行った時に立ち寄ったバーの住所だ。なかなかいい雰囲気の店だったんでな。こういう時にはいいんじゃないかと思ってな」

「お前はからかってるのか応援してるのかわからないやつだな…」

皮肉屋だが理想家でもあり、クールなようで熱い。そんなこの男の二面性は未だに理解しきれていなかった。

「まあもしなんかあったら使わせてもらうよ」

「しっかり決めてこいよ。『円卓の鬼神』」

「だから誘うかどうかは決めてないっての…」

「ああそうだ、もし行ったら『グッドフェローの知り合いだ』って言ってこの手紙をマスターに渡してみろ。少しはサービスしてくれるはずだ」

ピクシーがメモとは別の紙を俺に渡した。それをジャケットの内ポケットにしまい込み言った。

「…行ったらな」

そんな会話をしているうちに羽衣丸はアレシマへと近づいていた。

数時間後、西の空が赤く染まった頃に羽衣丸はアレシマへと到着した。飛行場の飛行船停泊場所には数隻の飛行船が停泊していた。ラハマでは見られない壮観な光景だ。

停泊した羽衣丸では積荷の岩塩の荷降ろし作業が順調に進んでいる。これで往路の目標は無事に終わった。

自由博愛連合過激派への会議自体は明日昼過ぎにアレシマの高級ホテル『オーシャンサンフィッシュホテル』で行われる予定だ。コトブキ飛行隊とガルム隊はその上空警備に当たることになり、荷下ろし作業の完了後にコトブキとガルムでガドールやポロッカ等の警備関係者と打ち合わせをすることになった。

会議を前に俺は一度羽衣丸を降りた。数日ぶりに気流で揺られることのない地面に降り立つ。やはりしっかりした地面は良い。自分が艦載機乗りであれば羽衣丸の方が気に入っていたかもしれないが、俺にとってはこの動かない地面の方がしっくりきた。

夕陽がアレシマの街を照らしている。イジツの荒野が夕陽でより紅く見えた。その紅さに照らされながら飛行場のクルーが忙しなく動いている。ついこの間ポロッカに行った時を思い出す。思えばたった一、二週間の間に随分と色々あった。

そんなことを考えていると不意に横から誰かがこちらに向かって声を上げているのが聞こえた。その方向を見てみると若い男がこちらに手を振りながら走って近づいてくる。

「おーい!…はぁ…はぁ…ふぅ…あんた、もしかしてガルム隊のサイファーか?」

男が息をつきながら話しかけてきた。近くで顔を見ても誰かは分からなかったが声はどこかで聞いたことがある気がした。

「…そうだけどそっちは?以前どこかで会ったか?」

相手にそう尋ねると男が息を整えきって言った。

「ふぅ……突然声をかけてすまなかった。やっぱり分からないか。あの機体を見ればわかるかい?」

男が指差す先に視線を向けるとウガデンの緑色の飛行船のそばに翼を赤く染めた九六式艦戦が駐機してあった。この機体には見覚えがあった。

「お前…もしかしてアカツバメ隊の?」

「当たり!前にラハマの近くで助けてもらったアカツバメ隊。隊長のデトだ」

そう言って若い男、デトが右手を差し出してきた。その右手を掴んで軽い握手を交わす。

「よろしく。それにしてもよく俺が分かったな」

俺がそう言うとデトが笑みを浮かべながら自分の右上腕を指で指しながら言った。

「あんたのジャケットのそのワッペンさ。赤い犬のマーク。助けてくれた時に機体に書いてあったのと同じだったからな!俺は受けた恩は忘れないタイプなのさ!」

彼が言っていたのはレオナに違う世界の存在とバレてから再びジャケットに貼り付けていたガルム隊のマークのことだ。自慢気に言うその顔は自信と活力に満ちていた。さすが期待の若手といったところか。

「そういえばあんた羽衣丸から降りてきたってことはオウニ商会の用心棒なのか。明日は胸を借りるつもりで飛ばせてもらうよ」

「あそこに機体があって明日はってことは…お前も会議の護衛か?」

俺が聞いた内容に彼が答えようとした時今度は後ろから俺を呼ぶ声がした。振り向いてみればピクシーとコトブキ飛行隊がこちらへ歩いてきている。

「サイファー、そろそろポロッカの飛行船に…この若いのは?」

デトに目のついたピクシーが俺に聞くとそのデトが自分から自己紹介をした。

「アカツバメ隊のデトだ」

彼がピクシーに右手を出して握手を交わす。握手を終えて今度はレオナ達コトブキの方を向きながら言った。

「そちらの女性達はコトブキ飛行隊だろ。こうして直接会えるなんて光栄だよ」

デトがそう言って右手をレオナの前に差し出した。レオナが握手に応じて言った。

「コトブキ飛行隊隊長のレオナだ。あなた方アカツバメ隊の活躍はこちらの耳にも入ってる。会えて光栄だ」

その後ろでキリエとチカがボソボソと小声で話していた。

「なんか頼りなさそうな顔してるけど大丈夫なのかなこの兄ちゃん?」

「機体も九六式みたいだし…」

それを横で聞いていたエンマが肘でキリエを小突く。その声が聞こえていたのかデトが苦笑いしながら二人に言った。

「まあコトブキからは頼りないって言われても仕方ないよな。でもこう見えても今まで仕事でしくじったことはないんだ。少しは安心してくれてもいいよ」

それを聞いたレオナが後ろのキリエとチカをにらみながら謝罪した。

「すまない。あの二人には後できつく言っておく」

それを聞いたキリエとチカが『げっ』というような顔をしてしょぼくれる。そうしているうちに今度はデトの後ろの方から大きな声が聞こえた。

「おーい!デト!そろそろ時間だぞ!」

その声の聞こえる方に目を向けると男一人と女二人が見えた。アカツバメの隊員だろう。デトが振り向いてその声に応える。

「すぐに行くよ!…それじゃあまた後で。といってもすぐ会うか」

そう言ってデトが隊員たちの待つ方へ走り出した。

「さて、我々も行こう」

レオナが歩き出しそれにコトブキと俺たちが続く。

「それで?あの若いのとはどういう関係なんだサイファー」

「ついこの間ラハマに向かって飛んでた時に護衛任務中に空賊に襲われてる彼らを見つけてな。援護したんだ」

「相棒も変わらないな。こっちでも空で人助けとは…」

ピクシーとそんな話をしながら歩いていると警備会議を行うポロッカの飛行船『ポロッカ四号』にたどり着いた。以前イケスカ動乱で撃墜されたポロッカ一号の後継となる飛行船らしい。羽衣丸より一回り以上大きく近くに来るとでかすぎて全貌が見えない。

感心しながら立ち止まって見上げているとピクシーから止まらず歩けというように背中を叩かれる。すでにコトブキ達は船内へと入っていた。この広い船内で逸れたらかなわないと思いながら俺たちも彼女たちを追って船内に入った。

 

 

予想していたより会議はスムーズに進んだ。こういう多くの組織が合同で行う作戦というのは往々にしてお互い手柄を奪い合おうとしてごたつくものだが、今回はごたつくことはなかった。ごたつく間も無く勝手に話を決められていってという方が正しいかもしれないが。

会議の結果、目撃情報が多く空賊の接近してくる可能性の高い北東方面にアレシマ市立飛行警備隊の一部が、同じく可能性の高い南東方面にポロッカの飛行隊が配置されることになった。どちらも今回の会議の護衛にあたる部隊では数の多い隊だった。

一方の俺たちは北西から南西にかけての空域に配置されることになった。北西側の一番安全の確保されている空域にガルム、コトブキ、そしてガドールのユーリア親衛隊が。南西方面にデト達アカツバメ隊を含むウガデン飛行隊が、という具合だ。各方面に増援が必要になった時に備えてアレシマ市立飛行警備隊の一部が地上待機ということになった。

敵機侵入の可能性が一番低い方面に俺たちを配備したのは敵の裏をかいてのことだったのか、はたまた前のイケスカ動乱のようにガドールやオウニ商会に手柄を取られたくなかったのか。いずれにしろ全方面を合わせれば100機を超える大所帯だった。流石にこの状況で攻撃をかけてくるということはあまり想像できない。会議中レオナなどはとりあえず一安心という様な様子だったがチカなどはつまんないと言いたげな表情をしていた。

警備の会議が終わり俺たちは羽衣丸へと戻ってきた。とりあえず今日の予定はひと段落といったところだ。……ある一点を除けば。俺は今羽衣丸の女性船室区画の入り口のところに立っていた。

「一言いっしょに飲みに行こうと誘うだけだ…」

そう小声で唱えながらおそらく10分程度経っていた。誘ってみるだけ誘ってみようと決心はしたものの次の一歩が踏み出せなかった。

「サイファー!」

立ちすくんでいると後ろから大きな声で呼びかけられた思わず身体がビクリと跳ねる。振り返ってみると後ろにいたのはキリエとエンマだ。平静を装いつつ言った。

「……なんだ二人か」

「なんだとはなにさ。どいてよ入りたいんだから…ってこんなところで何してるの?」

キリエがムッとした顔をしてから聞いてきた。

「んあぁ…その…ちょっとレオナに…いやなんでもない…」

最後まで言おうとしたところで誤魔化した。

「何?レオナに用事?…レオナ〜!サイファーがレオナに用事だって〜!」

「ちょっ!?」

思わず普段出さないような声が出た。

「なんだか今のサイファーはサネアツ副船長みたいですわね」

「なんかそう言われると傷つくな…」

「それを聞いたらサネアツ副船長が傷つきますわよ」

エンマがため息をつきながら言った。どうにも今回は自分のペースで行動できてないような気がした。少ししてからレオナがやって来てそれと入れ違いにキリエとエンマが廊下の奥に消えていく。

「すまない待たせた。用事というのはなんだ?」

現れたレオナは普段着ているベストを脱いでシャツとスパッツだけの状態だった。

「あぁ…えぇっと…せっかくアレシマに来たんだし…行きたい店があるんだが俺はアレシマの土地勘ないし予定が空いてるなら一緒にどうかなって…」

「私とか?私は別にザラほど酒に強くはないぞ?」

「あ、いや…ええと、ほら明日の俺たちの方の打ち合わせも兼ねてな?」

「? それならジョニーのところでザラ達も同席させた方がいいんじゃないか?」

「あーその…ほらお互い部下の愚痴とかもあるだろ?」

すごいみっともない誘い方だと自分でも思った。PJにこういう時の誘い方を聞いておくべきだったと再び感じた。

「……分かった。ただし明日は昼から警備だ。少しだけだぞ。20時に搭乗口に集合でいいか?」

「あ、ああ…それでいい」

レオナが自室へと戻っていく。なんとか一歩目を踏み出すことはできた。すぐに顔が熱くなる。よくよく考えればバーに行った後のことは何も考えていなかった。

「空戦より緊張するな…これ」

思わず口からそんな言葉がこぼれた。

 

20時を回りピクシーから貰ったメモを片手に握りしめながら俺は搭乗口の近くに立ちながら外を眺めていた。陽はすでに沈みアレシマの飛行場を照らすのは照明の光のみになっていた。

「すまない、待たせた」

声の聞こえた先に目をやるといつもの格好をしたレオナが立っていた。

「いや、俺も今来たところだ。…行くか」

まさかこんなよくある言葉を自分が言うとは思っていなかった。ステップに足を踏み出して大地に足を下ろす。

「それで行きたい店というのはどこなんだ?」

レオナの問いかけに俺は手に持っていたメモを彼女に見せた。

「ここは…すぐ近くだな。飛行場から歩いて10分程度の場所だ」

「行ったことあるのか?」

「いや行ったことはない。だが場所の検討はつく」

彼女が街の方へ向かって歩き出し俺がその横に着いて行く。街の方にも明かりが煌めいている。

「そういえばレオナは何回くらいこの街に来たことがあるんだ?」

なんて事のないありふれた質問を彼女に投げかけた。

「何回だろうな…数えられないくらいはここに来ているはずだ。土地勘がないと行ってたがサイファーは来た事ないのか?」

「アレシマにはないな。こっち方面に飛ぶことは少なかったし…そういえばタネガシの方で仕事したことはあったな。ちょうどラハマに来る少し前の話だ」

「タネガシか…ついこの間までマフィア同士の抗争があったようだが。…その抗争に参加したのか?」

「いや、俺が仕事をしたのはその後の話だ。俺みたいに雇われた二人組と荷物を運んだんだ」

俺の脳裏には当時のことが思い出されていた。腕の良い隼と零戦の二機編隊。少し変なノリの奴らだったが腕は確かだった。ほんの少し前の話なのにもう随分昔のように思える。それだけ最近事情が一変したということかもしれない。

「…ここか?」

そんな話をしているうちに目的のバーに着いた。ドアを開けるとベルが鳴りそれに合わせてバーカウンターに立つ男がいらっしゃいと決して大きくない声で言った。店の中には男が数名。騒がしい感じはなくジャズのレコードのかかる静かな雰囲気の店だ。店内には階段があり、そこを上った中二階に個室があった。カウンターに近づいて男に言った。

「すまない、グッドフェローの知り合いなんだが…マスターはあんたか?」

「グッドフェローの?確かに俺が店主だが」

マスターだと確認が取れたところでジャケットの内ポケットにしまい込んでいたピクシーの手紙をマスターに渡した。

「彼がこれをあんたにと」

「あいつが…?どれ…」

マスターが手紙を受け取り中を見る。彼が少し微笑を浮かべてから言った。

「上を使ってくれ。何か適当に持っていく」

「ああ、ありがとう…」

例を言ってレオナと二人で階段の方へと歩いていく。あいつの手紙に何が書いてあったのだろうか。知り合いだ言ったとはいえいきなり上の個室を使わせてくれるのが妙に思えた。そんな考え事をしながら中二階へと上がる。中二階の個室は二人が対面で座れるテーブルが置いてある小部屋だった。下の階がよく見渡せる。

「こじんまりしてるが静かで良い雰囲気の店だな」

「私もアレシマにこんな店があるとは知らなかった。さっきの店主との会話を聞く限りピクシーが知ってたのか?」

「そんなところだ。…そういえば頭の傷はどうだい?まだ痛むか?」

見る限りは傷痕も残っていなかったがふと気になってレオナに聞いた。

「もう大丈夫だ。…あの時はありがとう。この借りはいつか…」

「借りだなんて…当然のことをしたまでだよ。傷が残らなくてよかった」

ホッとしたところでドアがノックする音が聞こえた。マスターが入って来てツマミと酒を

テーブルに置いた。肉料理とサラダ、それにビールといった具合だ。マスターが戻り側に俺に耳打ちした。

「…頑張って口説けよ」

驚いて思わずマスターの方を向くと悪い笑みを浮かべながら彼が部屋を出て行った。なんとなくあのイタズラ妖精の手紙の中身が思い浮かんだ。

「どうしたんだ?何かマスターが言ってたようだが…」

「いやなんでもない…それよりせっかく来たんだ。温くなる前に一杯飲もう」

俺がそう言ってジョッキを持つとレオナが少し不思議そうな顔をしてもう一つのジョッキを持った。

「それじゃあ…ええと…レオナの快気を祝って」

この場でやるのはおかしかったかもしれないが乾杯の音頭がパッと浮かばなかった。それを聞いてまたレオナが眉をひそめながら言った。

「このぐらいの傷で快気もないだろう。ただその…気持ちは頂いておく」

二人のジョッキがコツンと音を立てる。そのまま口をつけてビールを流し込む。だが味なんか分からなかった。こうして彼女と二人きりでいることで緊張しているのだろう。いざ真正面で彼女と酒を飲むと全然酒が効いている気がしなかった。

しばらく二人で酒を飲んで過ごした。もっとも俺の方は酔いがまわるような余裕はなかったが色々と話が聞けたのは楽しかった。彼女の育ったホームのことや、ザラに初めて会ってコトブキを結成した時のことなどだ。早いものですでに来店してから二時間ほど経っていた。時刻は22時を過ぎたあたりだ。

「ん?…もうこんな時間か。そろそろ戻ろう。これ以上は明日に差し支える」

レオナが壁にかかっている時計を見て言った。たしかにもう良い時間だ。だが俺はまだここに来た本来の目的を果たしてはいなかった。このまま何もしないまま帰ってしまって良いものなのか。そう思う気持ちはあったがどうすればいいかが思いつかなかった。

「さあ行こう」

レオナがイスから立ち上がる。もう考えている暇はない。

「レオナ!」

そう大きく声を上げて俺はドアへ歩こうとしていたレオナの手を掴んだ。もうやぶれかぶれだ。

「サイファー?どうかしたのか?」

キョトンとした顔で彼女が俺の顔を見ている。俺はとっさに掴んだ彼女の腕を離せずにいた。俺とレオナの間に沈黙の時間が流れる。

「酔ってるのか?最後に水でも頼むか?」

レオナは相変わらずこちらの様子には気づいていないようだ。俺は掴んだ彼女の手を引きそのまま彼女の身体を抱きしめた。

「おい、悪酔いしすぎじゃ…」

こうして抱きしめられても動揺せずにそう言ってる彼女に向かって俺は言った。

「酔ってはいない…酔うわけがない」

「…?」

「あの日、あの廃墟で一晩過ごした時から…俺はお前が気になってしょうがないんだ」

「それは危なっかしいという意味か?…心配をかけてすまない。だが私は…」

俺の言ったことは伝わってないようだった。彼女には危なっかしい自分を心配しているという風にしか捉えられていない。……もう打つ手は一つしかない。

「違う、そういう意味で言ったんじゃない」「…?ならどういう意味なんだ?」

俺に抱きとめられたままのレオナが再び問う。最後の手だ。

「なあ、俺は口下手だから…行動で示してもいいか?」

「えっ?」

言葉をレオナが飲み込まないうちに俺は彼女の唇を塞いだ。

「んっ!?」

驚いたレオナが抵抗しようと俺の胸に両手を押し付ける。数秒後、互いの唇が離れレオナが俺を押し離す。レオナが驚いた顔でこちらを見ながら声を上げた。

「突然なんだ!酔った挙句の悪ふざけにも程が…!」

その声を遮って言う。既にとんでもないことをしているのだ。もう恐れることはない。できる限り落ち着いた静かな声で彼女に伝える。

「ふざけてなんかない。俺はお前が好きだ」

彼女の目を見て言い放つ。未だに彼女は状況を飲み込めていないようだ。彼女もこういうことは初めてなのかもしれない。

「どういうことなんだ…!?」

「伝わるまで何度でも言う。……俺はお前が好きだ」

一度離れた距離を再び詰める。レオナが下がるかと思ったが彼女はその場を動かなかった。先程までまっすぐ俺を見ていたその視線は今は床に落ちている。

「サイファーが…私を…」

彼女が小さな声で呟く。

「もう一度言った方がいいか…?」

「い…いや少し待ってくれ…」

彼女が片方の手を胸の前でぎゅっと握りしめる。呼吸が荒く身体に相当力が入っているようだ。俺もやっと冷静さを取り戻し始める。改めて思えばやりすぎた行動だ。彼女に何をされても不思議ではない。

「ごめん…」

自然と口に出していた。

「……流石にやりすぎだ…突然こんな事」

「すまない」

レオナが大きく深呼吸する。思い切り息を吐き出して呼吸を整えたとこで彼女が言った。

「普通こういうことはもっと親密な間柄の男女がやる事だろう…」

「本当にすまない」

冷静になった今はただひたすら謝る事しか出来なかった。

「だがまあ…サイファーの想いの強さは分かった。…本当に私でいいのか?」

彼女が紅潮した顔で俺の顔を見上げてくる。

「えっ…と、当然だろう!お前が好きなんだ。そうじゃなきゃこんな事やらないよ…」

同じように顔を赤くしながら答える。

「それなら…その…よろしく頼む」

レオナが右手を差し出す。俺はその右手を優しく握る。そして再び彼女を引き寄せて抱きしめ言った。

「ありがとう…強引なやり方してごめん…」

今度はレオナも手を俺の背に回してくれた。

「ああ…」

抱きしめた彼女の体はとても暖かい。

 

個室を後にしてカウンターにいるマスターに金を払うと彼が笑顔を浮かべながら言った。

「上手くいったみたいだな」

「ああ、おかげさまでな」

「またアレシマに来ることがあれば寄ってくれ。グッドフェローにもたまには寄れと伝えておいてくれ」

「分かったよ。気を利かせてくれてありがとうマスター」

挨拶を交わして店を後にしてレオナと来た道を戻っていく。まだお互いさっきの恥ずかしさが残っているのか来た時よりも二人の間隔は広がっていた。流石にこの状況で手を繋ぐなどという勇気は俺にはなかった。だが今はこの距離がなんだか心地いい感じがした。心は前よりも近づいた気がしていた。

羽衣丸に着いて男女の船室の分岐場所まで来た。

「それじゃあここで……今日はありがとうな」

俺の言葉にレオナが遅れて反応する。

「あ、ああ…その…改めて聞くが本当に私でいいのか?」

不安そうな顔をするレオナに微笑んでいう

「レオナが好きなんだよ。他の誰でもなくね」

レオナが顔を赤らめ視線を外しながら言った。

「ありがとう。それじゃあ…」

レオナが廊下の奥へ消えていく。彼女が部屋に入る音を聞いた後に俺も自分の船室へと戻った。

部屋に入るとピクシーが奥の小上がりで原稿用紙に向かっていた。俺に気づいたピクシーが言った。

「よう、どうだった。上手くいったか?」

「…ああ…なんとか上手くいった。すごい疲れた」

ジャケットを脱ぎ捨ててベッドに横になる。気疲れしたせいか眠気が襲ってきた。

「で、どこまで行ったんだ相棒、手を握るくらいはしたか?」

ピクシーが事情聴取のように聞こうとしてくるが今はとにかく眠気が勝っていた。まぶたを閉じて半分眠りに落ちながら言った。

「彼女にキスしながら告白した…」

「なっ!?おい相棒今なんて言った!?」

彼が再度聞いてくるのも御構い無しに俺は眠りに落ちる。瞼の裏にはあのバーでの事が浮かんでいた。

 

翌日の昼頃、俺たちはアレシマの飛行場で発進の準備をしていた。100機近い戦闘機が順に離陸するとあってアレシマの飛行場も大忙しだ。

<<ポロッカ第三小隊 滑走路進入を許可!直ちに離陸せよ>>

<<こっちの離陸順はまだか?もう30分も待ってるぞ!>>

<<ウガデン第二飛行隊 その場で待機せよ 君たちはアレシマ警備隊の後に離陸だ>>

無線がひっきりなしに流れている。どこの隊も早くこの混雑から抜けたくてしょうがないようだ。離陸は北東と南東へ向かうアレシマ飛行警備隊とポロッカの飛行隊が優先されていた。その部隊が上がった後にウガデンの飛行隊やコトブキは上がる手筈だった。

<<あーもう! いつになったら飛べるのさ!全然列が動かないし!>>

キリエのボヤキが無線で響く。

<<もう少しの我慢よ ね?レオナ?>>

<<…えっ…ああそうだな>>

ザラの問いかけへのレオナの返事が遅れた。

<<なんか今日のレオナは変ですわね>>

<<いや…なんでもない 私は大丈夫だ>>

いつもより沈んだ声でレオナが取り繕う。…やはり昨日の事が原因なのだろうか。あのタイミングでやってしまった事が彼女への負担になってしまっているのかもしれない。なんだか申し訳ない気持ちになってくる。

<<集中力が欠如した状態での飛行はミスを起こしやすい 体調が優れないのであれば地上待機するべき>>

ケイトがいつもと変わらぬ口調で淡々と言った。

<<…本当になんでもない 私は平気だ>>

<<レオナがそんな風になるのって珍しいよね?何かあったの?>>

<<えっいや…>>

チカがレオナに質問を投げかける。レオナが回答に困っていると別な無線が飛び込んでくる。

<<こちらアレシマ警備隊第六小隊 エンジントラブルだ 離陸を断念する>>

どうやら滑走路に侵入して離陸しようとしていたアレシマ飛行警備隊の飛燕がトラブったようだった。本来であれば地上待機組の警備隊と交代するのだろうが滑走路までの誘導路は詰まりに詰まっていた。管制塔からの無線は意外なものだった。

<<こう詰まっていてはやむを得ん 第六小隊の次に離陸予定だった隊を臨時に北東方面部隊に編成する>>

その言葉を聞いてまた別の声が無線から響く。

<<こちらアカツバメ隊 次の離陸は俺たちだ 北東方面に飛べばいいのか?>>

<<その通りだアカツバメ隊 離陸後に北東で警備隊の第五小隊と哨戒飛行せよ どうせ空賊など来やせん 滑走路への進入を許可する>>

管制塔からの声を聞いてアカツバメ隊の九六式艦戦4機が誘導路から動き出す。

<<了解した やっぱりこう混んでると上手くいかないもんだな>>

アカツバメ隊の4機が編隊を組んだまま離陸滑走に移っていく。ふらつきは見えるが編隊を組んだまま彼らは大空へ飛び上がった。

さらに20分程度の時間が経ったところでやっとコトブキと俺たちガルムの離陸順が回ってきた。先に上がるのはコトブキ飛行隊だ。

<<コトブキ飛行隊 滑走路への進入を許可 そのまま離陸せよ>>

<<こちらコトブキ飛行隊隊長レオナ 了解した>>

コトブキが滑走路へと進入し、一時停止をかけてから滑走していく。デト達もうまいもんだったがやはり彼女達の腕は別格だ。綺麗に編隊を組み離陸していく。

<<離陸を確認 ガルム隊 滑走路進入を許可する>>

<<こちらサイファー 了解>>

進入許可を得て俺たちも滑走路へと歩を進める。操縦桿をグリグリと動かし操縦翼面の最終チェックを行ってからラダートリムを右にセットしてフラップを離陸位置にする。スロットルを徐々に開けていくと回転が上がり2000psのホマレエンジンが唸る。尾輪が浮き上がりその後すぐに主脚も地面を離れる。レバーを操作して脚をしまい、フラップを上げる。上昇しながら右に旋回し北西に機首を向けて哨戒エリアまでの飛行を開始する。戦闘空中哨戒なんていつぶりだろうか。そんなことを考えながら哨戒エリアを目指した。

 

割り当てられた南西エリアに到着し哨戒を開始してから40分ほど経った。今の所どのエリアでも会談を邪魔しようとするような敵性航空機は見えていなかった。コトブキ達も警戒はしっかりしているが無線で会話をして暇つぶしをしているような状況だ。その時管制塔から無線が入ってきた。

<<こちらアレシマ管制塔 レーダーが北東に大型の機影を捉えた 距離45キロクーリル>>

それを聞いてチカが声を上げる。

<<ついに来た!待ちくたびれたよ!>>

<<待てチカ 来たのは北東だ 我々の区域じゃない>>

<<ちぇー つまんないの>>

レオナがチカを諌めるとチカがブーブーと文句を言った。

<<ん…?レーダーがおかしいぞ 故障か?>>

管制官の声が再び聞こえる。レーダーの調子が悪いと言ったのが聞こえたがそれに違和感を覚えた。

<<なあピクシー 機影が見えた直後にレーダーの調子が悪くなるってのはなにか怪しくないか?>>

<<タイミングが良すぎる気がするな…>>

ピクシーも同じ考えだった。

<<こちら管制塔 こちらのレーダー不調の機影を確認できない アレシマ飛行隊 直接目視で確認せよ>>

管制塔がレーダーのことを言うたびに胸騒ぎがした。ちょうどその時北東方面のアレシマ警備隊から無線が入る。

<<こちらアレシマ第五小隊 確認に向かう アカツバメ隊 援護を頼む>>

<<こちらアカツバメ隊 了解だ そっちについていく …ん?なんだあれは>>

デトのその言葉が無線で聞こえた瞬間だった。大きな爆発音が空に響いた。

<<なに!?なんの音!?>>

<<なんだ!>>

<<何が起こりましたの!?>>

コトブキのメンバーやピクシーが声を上げる。現在の飛行している場所から東、爆発音のした方向に目をやると惨状が見えた。空に大きな爆発が起き、バラバラになったモノが火を噴きながら大地へと墜ちていく光景だ。

<<一体何が起きているんだ…>>

そう呟くのが精一杯だった。

 

 

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