視点はなしで
次の日の朝、十代と遊星と一夏、そして同室の箒は朝食を食べていた
その様子を見て、周りの女の子は騒いでいたりしていた。一部の子たちは一緒に食べようと声をかけていた
「「ねえ、ここいいかな?」」
「ああ、いいよ。遊星さんも十代さんもいいですよね?」
二人は頷いた。箒は自分には聞かないのかと少し不機嫌になっていた
「それにしてもたくさん食べるね。やっぱり男の子だからなのかな?」
「俺は朝多く食べるようにしているから」
「ここの飯ってうまいからさ、つい食べたくなるんだよな」
「普段はそんなに多くは食べないが、なんとなく一夏たちに合わせたんだ」
質問の答えは上から一夏、十代、遊星だ。ふと見てみると、一緒に来た子たちの女の子の食事の量が少ないことに一夏は気付いた
女子はあれだけで足りるのか……としみじみ思ってしまった
「しかし、ここの飯って本当にいいよな! 俺が昔いた所なんて、ほぼ毎日、ご飯とめざしとみそ汁と沢庵だけだったからな~」
「俺の場合は、きちんと食事ができればいい方でしたから。こういうのは素直に楽しみになりますよね」
その言葉に一夏と周りにいた女子が驚いた……いったい彼らはどんな生活をしていたのか……
授業中、三人の男子は一生懸命になっていた。やはり知識がないため、とにかく追いつくためには授業をしなくてはと思っているらしい。十代の場合、それに加えて初日に眠っていたところを千冬に出席簿で殴られ、その痛みを二度と喰らわないために頑張っている
一夏には休み時間になると、分からなかったところをすぐに聞く姿勢がついていた
その様子を見て、千冬は少しご機嫌になっていた
「……まあ、わたくしと戦うのですから、あれくらい頑張ってもらわなければ……」
小声でセシリアはつぶやいていた
放課後、特訓をしようと思ったのだが、昨日十代のミスのため、ISを使った特訓はできない。そのうえ、予備の機体もない。そして彼らは検査で先ほど出て行ってしまった。どうしようかと一夏は考えていると
「おい、一夏。私が鍛えてやる。遊城と不動はISを使えないのだからな」
箒がそう提案してくれた。ちょうどいいと思い、特訓を頼んで彼女についていくことにした
……数十分後、剣道場で倒れていた。この時、一夏は何がちょうどいいだ……と過去の自分に言ってやりたくなっていた。そもそも彼自身、なぜ自分は剣道場にいるのかもわからなかった
「情けない! まさかここまで堕落していようとは……IS以前の問題だ!」
「そもそも、女に負けてなんとも思わないのか!?」
「いや……確かにかっこ悪いとかあるけど……」
一夏の答えに不満な箒
「恰好を気にするのか!? 情けない!! ええい、鍛えなおしてやる!!」
その様子を見て、たまたま道場にいた女子は、一夏が本当に大丈夫なのか? と不安になっていた
その後特訓……いや、剣道は、3時間ほど続いた
瞬く間に一週間が過ぎた
一夏は、放課後は3時間ほど剣道、夜は十代達の部屋に集まり、勉強会。ハードな日が続いた
「……なあ、箒」
「何だ?」
「十代さんと遊星さんがいたから助かったようなものの……ISについて教えてくれるんじゃなかったのか?」
一夏の問いに箒は顔をそむけた
「箒?」
「し、仕方がないだろ。そもそも機体がないのでは……」
「お、織斑君……ここにいましたか」
箒が何か言おうとした時、山田先生が慌てて入ってくる。そのことに少しほっとしていた箒だった
「と、届きました。織斑君、専用のISが」
一夏のISのあるところに行くと先客がいた。千冬と遊星、十代だ
「来たか、時間がない。すぐに準備をしろ。フォーマットとフィッティングは実戦で行え」
「へえ、これが一夏のISか……かっこいいじゃん。まあ、気楽に頑張れよ」
「一夏……大丈夫だ、今まで勉強してきたことを信じろ」
千冬には指示を、十代と遊星には励ましの言葉を受け取り、一夏は純白のISを装着する
彼には、なんとなくだが使い方が分かってきたのだろう。少しボーとした感じがする
だがすぐにしっかりと意識を持ち
「行ってくる」
「頑張れ……一夏」
箒の言葉を最後に一夏はアリーナのステージに向かった。それを確認すると、十代と遊星は別室に行こうとした。それを不思議に思い、千冬は呼び止めた
「おい、試合を見ないのか?」
「ええ、だって先に見たら不公平じゃないですか……相手が代表だか何だか知らないですけど、俺は正々堂々やりたいんです。じゃあ、隣で待っています」
そう言って彼らは、部屋にこもった。千冬は呆れ半分、面白半分で彼らを見ていた。ふつう、相手の情報を得ておきたい。戦う相手について知りたいと思うのは自然だろう。だが、彼らはしなかった。その心情に感心していた
「ふ、バカな奴らだ」
「……」
箒は少し不機嫌になっていた
十代と遊星は別室に入るとすぐに十代はISを起動させ、遊星はその様子を見ていた
「うし、異状なし! まあ、何とかなるだろう」
「そうですね……それよりそのISですが……あまり多くのモンスターを展開しない方がよさそうですね。シールド・エネルギーを多く消費してしまいますし」
「だな、それに装備魔法もきついよな。破壊されたときにエネルギーが減るから……」
お互いに意見を言い合い、これからの戦いについて考えていた
30分くらいしただろうか、ノックの音が聞こえる
「遊城君、そろそろスタンバイしてください」
山田先生の声に反応して立ち上がる。そして遊星に一言
「じゃあ、行ってくる。楽しくやらせてもらうさ」
「はい」
十代の笑顔を見て、遊星も笑顔で返した
(こういう状況でも楽しもうとするなんて……さすがですね)
十代がアリーナ・ステージに入るとセシリアが待っていた。すでに準備ができているようだ
「まあ、とても貧相な装備ですこと……それはそれとして最後のチャンスを上げますわ。このままやってもわたくしの一方的な勝利はもはや揺るがないものと思いますの。ですから今ここで謝れば……」
「そんなことどうでもいいからさっさと始めようぜ」
セシリアの言葉を最後まで聞かず、十代は構え始めた。この行為にセシリアの堪忍袋の緒が切れた
「では、地面に這いつくばりなさい!」
レーザーライフルからエネルギー弾が発射され、十代はまともに受けた
直撃したのを見て、一夏は不安そうに、箒は当然だという感じだった。彼女にとって十代は戦いをなめていると思っている
しかし、煙が晴れると十代は笑っていた。というより、ほとんどダメージを受けていない
よく見てみると、十代のISが粘土の塊に包まれて防御力が上がっていた
「さすが、クレイマンの防御力だ。ほとんどエネルギーが減ってない」
十代は攻撃を食らう前にクレイマンを守備表示で召喚し、自身の防御力を上げていた
続いてバーストレディを召喚した。攻撃に移るつもりなのだろう。すぐに炎の弾丸を飛ばして、セシリアを攻める
「何ですの!? あなたのISは!?」
セシリアは変わった攻撃を仕掛けるISに驚きを隠せず、少し冷静さを欠いている。しかしすぐに気持ちを切り替えて、セシリアはビット、ブルー・ティアーズを起動させた
その砲撃に十代は焦った
(まずいな……クレイマンを展開しているから、機動力は落ちている……ここは、こいつを召喚して、火力を上げるか)
「N・フレア・スカラベを召喚」
しかし……十代のシールド・エネルギーが減っただけで、何も変化がなかった。そもそもフレア・スカラベのカードは場に出た瞬間、すぐに手札に戻ってしまった
「……へ? 何でだ!? もう一度……」
しかし結果は変わらない。その間にもセシリアの攻撃を受ける
そのため十代のシールド・エネルギーはどんどん減っていく
「こうなったら……クレイマンとバーストレディをリリース、ネオスをアドバンス召喚!!」
自身の能力上昇をすべて消してネオスを召喚しようとしたが……先ほどのフレア・スカラベと同じことが起こってしまった
「……!! まさか、Nとネオスは使えないのか!? ってうわ」
十代が納得していると、セシリアによる砲撃をまともに受けてしまった。これにより十代のシールド・エネルギーは残り2ケタほどになってしまった。一方、セシリアはまだまだ余裕があるようだ
「何をしているのか知りませんが、そろそろ終幕にいたしましょうか?」
セシリアの嘲笑とも取れる言葉に十代は笑って返した
「何言っているんだ? まだまだこれからだぜ!」
その言葉にイラつくセシリア、なぜ彼……いや、男は諦めないのか……と
十代は受け答えをしながら、カードの準備をしていた。オーバーソウルのカードを使ってクレイマンを復活、即座に融合を発動
「手札のスパークマンと場のクレイマンを融合! E・HEROサンダー・ジャイアントを召喚、すぐに効果発動、ヴェイパー・スパーク!!」
十代が叫ぶと、彼の周りに電気が発生した
その瞬間、セシリアのブルー・ティアーズを1機破壊した。驚いている間にもう一機も破壊される
「一気に決める! ヴォルティック・サンダー!!」
両手で電気の塊を作り出して、セシリアにぶつけようとした。その予想もしない攻撃に彼女は動けなかった。しかし……攻撃が彼女にあたることはなかった
十代のシールド・エネルギーが尽きてしまったからだ。その影響で放出した電撃が消滅してしまった
そのまま、あおむけでアリーナに寝ころがった
「あ~あ、負けたか……でも、楽しかったぜ! またやろうな」
セシリアは何と返していいのかわからず、黙ってしまった。しかし一人その言葉に不快感を受けたものがいた
「……負けたくせに楽しかった? 前々からふざけた男だと思っていたが……最悪だな」
そう呟くものがいた
感想・指摘等あればよろしくお願いします。