試合の後、十代は千冬に自身のISを軽く説明し、そのまま解散になった
その後、十代と遊星と一夏、そして箒の4人で寮に向かっていた。箒は少し肩身が狭そうにしている
「そっか……一夏も負けたのか……まあ、これから頑張っていこうぜ! それとさ……一夏の試合の映像、後で見せてくれよ」
「わかりました。じゃあ、夕飯の後に十代さんの部屋に行きますね」
「楽しみにしている……とそうだ! 俺たちは少し用事があるから先に行く。また後で」
遊星がそう言うと、十代も何か思い出したみたいで、二人に一言挨拶をしてから走り出した
「……ふう、やっと静かになったな」
「箒? どうしたんだよ? いきなり」
「いや、まあ……なんだ。お前はやっぱりあの二人と話しているのが楽しいのか?」
そんなことを急に聞かれたので、少し驚いたが、すぐに返答した
「まあ、そうだな。同じ男子というのもあるけど、なんだか気が合うからな。それと……兄ができたみたいな感じかもしれないな」
「兄……か。不動はそう感じるが、遊城はあまり感じないな。彼は子供みたいにはしゃいでいるように見えるぞ」
箒の言葉に一夏は怒らずに納得していた。そういう風に見えるのかと初めて気づいたみたいだ
「そうだな……十代さんは、小さな子供みたいに純粋に色々なことを見ているんだと思う。そういう気持ちは大切だなって見ていると感じるよ」
一夏の明るい笑顔に少しむっとした箒
(まったく……そんな顔をされては何も言えないではないか……)
「まあいい、それよりも一夏……明日から特訓なのか?」
「そうだな。千冬姉にも言われたし……もしかして今回は教えてくれるのか?」
「今回はって何だ!? まるで私が教えてこなかったみたいじゃないか!」
だって剣道しか……と言おうとしたが、彼女の雰囲気に押されて何も言えなかった
「まあ、一夏がそう言うなら……いいぞ」
箒の機嫌が少し直った。そのことに少しほっとした一夏。そのまま寮に向かった
次の日
「ということで、一年一組のクラス代表は織斑一夏君になりました。あ、一つながりで縁起がいいですね」
山田先生の言葉に驚く一夏。彼は負けているはずなのに何故セシリアがクラス代表ではないのかと
「それはわたくしが辞退いたしましたからですわ!」
いきなりセシリアが立ち上がって話し始める
「勝負ではあなたたちの負けでしたが、考えてみれば当然のこと。わたくしが相手だったのですから……まあ、わたくしも大人気なく怒ってしたことを反省しまして」
「一夏さんにクラス代表を譲ることにしましたわ。ISの操縦には実戦が何よりも大事ですからね」
そうセシリアが終わらすと、クラスの女子は、やっぱりセシリアわかってる、クラスで男子を持ち上げておかないとね、など様々な言葉が飛び交った
一夏は十代達に助けを求めようと見てみたが
(まあ、頑張れ!) BY十代
(すまないがどうしようもない) BY遊星
そんな視線を感じたため、一夏は逆らうことを諦め、クラス代表になった
セシリアが何か言いたそうにしていたが、一夏は気づかなかった
「というわけで……」
「「「織斑君! クラス代表おめでとう」」」
パンパーンっとクラッカーが鳴り響いた。代表が決まった日の夜、1年1組のメンバーは食堂を借りて一夏のお祝いをしているようだ
当の本人は、あまり乗り気ではない。やはりいきなりそうなってしまったからだろう
十代はすでにいろいろとお菓子をつまんでいて、遊星はゆっくりと飲み物を飲んでいた。二人は二人でそれなりに楽しんでいるようだ
その様子を見て、一夏も楽しもうと思えた
「はいはーい、新聞部の副部長、2年の黛薫子でーす。今日は話題の子、織斑一夏君、遊城十代君、不動遊星君の三人に特別インタビューしたいと思いまーす」
突然乱入してきた彼女の言葉に一夏はもちろん、十代と遊星も驚いた。なぜ自分たちもインタビューされなければならないのかと
「ではまずは織斑君から、クラス代表になった感想を一言!」
ボイスレコーダーを一夏に向けてインタビューを始めた
「えっと……その……頑張ります」
「もっといいコメントちょうだいよ~」
一夏の顔が、そんなこと言われても……と言うのが誰から見てもわかる
「まあ、ここら辺は適当に捏造しておくとして……次に遊城君! 君はそうだな……ISの操縦について一言!」
「え!? そうだな……まだ乗って間もないけど、いろいろできて楽しい……かな?」
あまりインタビューを受けたことがないため、少し緊張して答えた
「楽しい……か、まあまあのコメントね。じゃあ最後に不動君! 君はこの学園についてどう思う?」
「……俺は今まで学校というものに通ったことがなかったが……ずいぶん明るくていいところだと思う」
遊星の答えに少し周りの空気が沈んでしまったが、彼の笑顔で元通りに戻った
「ありがとうね。最後に男の子三人で写真を撮ろうかな? じゃあ並んで! 並んで! あ、あとでツーショットとか取ってあげるから今はみんな入らないでね」
本人たちの許可なく急いで三人をベストポジションにおいて写真を撮る薫子
気のせいかパシャパシャと何枚……何十枚とシャッター音が聞こえる
その後、クラスの女子からツーショットを頼まれる。気が付くと、歓迎会が撮影会になっていた
最後に全員集合写真を撮ってお開きとなった。三人の男の子は部屋に帰ってベッドにダイブして一言
「「「疲れた!!」」」
三人はそのまま熟睡してしまった
「遊城十代、不動遊星……あなたたちに伝えることがあります」
その夜、十代と遊星に語りかける声があった。その声の主は彼らの夢の中に現れている
「あんたは……次元の精霊……どうしたんだ?」
「敵の目的のうちの一つが分かりました……織斑一夏の確保みたいです。彼を自分たちの仲間に引き入れるそうです。申し訳ありませんが……今わかっているのはこれくらいです……また何かわかったら伝えます」
そういって姿を消した。そのまま二人の目が覚めた
「今のは一体……」
(おそらく忠告だろう。気をつけろよ、十代)
「ユベルお前……治ったのか!?」
十代の問いに答えたのはユベルだった。どうやら傷も治ったようで出てこられるようになったらしい。しかし騒ぎが起きるのは面倒だから今までどおり、彼の中にいることにした。一夏には後で説明しようと十代は決めておいた
「織斑君、おはよー。転校生の噂聞いた?」
教室に入るなりそんな話が飛び交っていた
「へえ~珍しいな。いったいどんな奴なんだ?」
「中国の代表生なんだって」
十代がいろいろとクラスの子に聞いている。遊星も少し聞いている
「代表か……いったいどんな奴なんだろうな……」
「中国か……あいつを思い出すな」
一夏は一人何かを考えてみたようだ
「おい、一夏! 女子のことを気にしてないで、お前は来月のクラス対抗戦のことを考えておけ!」
「そうですわ! 実践的な訓練をいたしませんと! 専用機持ちであるわたくしと一夏さんの二人で!!」
箒とセシリアが一夏に対して説教中。専用機持ちは十代さんもだろ……とセシリアに突っ込もうと考えたが、やめた。いらない出来事が起きそうな気がしたからだ
「今のところ1組と4組だけが専用機を持ってるクラス代表なんだから大丈夫だよ」
「その情報、古いわよ!!」
クラスの子が言ったセリフを待っていましたと言わんばかりに教室のドアのところにもたれかかっていた子がいた
「今、2組には中国代表候補生の鳳鈴音、つまり専用機持ちのあたしがクラス代表になったから簡単に優勝はできな……」
バシン!
最後まで言う前に千冬の出席簿攻撃を受けていた。SHRの時間なのにここにいること。そして通行の邪魔であることが攻撃の理由である
「さっさと自分のクラスに戻れ」
「ハイ……また後で来るからね! 一夏!」
そう言い捨てて鈴は教室を去って行った。クラスの大半が何だったんだろうと首をかしげていた
「どうしたんだよ、お前ら? 今日は先生に注意されてばかりだったよな」
「なんだかイマイチ集中しているように見えなかったが……どうしたんだ?」
昼休み、昼食をとるために一夏、十代、遊星と箒とセシリア、その他クラスメイトの何人か、計十人くらいで食堂に向かっていた時のことである。十代と遊星の指摘に少し対応に困る二人の女子
理由は朝やってきた少女である。彼女は去り際に一夏の名前を親しげに言っていた。つまり知り合いということは想像しやすい
「「一夏 (さん)のせいだ (ですわ)」」
箒とセシリアの答えに十代と遊星は苦笑いを一夏は少しあきれ顔になっていた
学食に到着し、券売機で昼食のメニューを選ぼうと思った時
「待っていたわよ! 一夏」
券売機の前に立ちはだかっているのは今朝の女の子
「悪いが、どいてくれないか? 食事の準備ができない」
「ああ、すみません……ってあんたたち誰よ!? 何で一夏以外の男がこの学園にいるのよ?」
遊星の言葉に静かに対応しようとしたと思ったらすぐに大声を上げていた
「とりあえず鈴、騒がしいから落ち着こうぜ。飯も来たから座って話そう」
「そうね……ったく感動の再会もあったもんじゃないわね」
一夏になだめられて、鈴は落ち着いたが小さくぼやいていた。すぐに席が見つかり、みんなが着席した後、一夏が話し始める
「こいつは鳳鈴音、俺の小学校後半から中学2年までの幼馴染だ」
「それでこっちは箒、いつか話したことがあるだろう? 昔、剣術の道場に通っていて、その道場主の娘のこと」
一夏が二人の幼馴染の紹介を終えると、二人はよろしくとあいさつをしていた。しかしその間には仲良くしようというものが感じられなかった
「……で? そっちの男たちは一体……」
「ちょっとお待ちなさい、わたくしの存在を忘れてもらっては困りますわ。中国代表候補生の鳳鈴音さん?」
鈴がセシリアを無視して話していたため我慢できずに自分から話しかけ始めた
「……誰? まあ、たぶんどこかの国の代表らしいけど、あたしほかの国とか興味ないから……それで、そいつらは?」
一蹴した。そのため怒りで顔がものすごく赤くなっていた。被害を受けたくないため、周りの人はほっておいている
「俺は遊城十代、よろしくな。鈴音」
「不動遊星だ。よろしく」
軽く自己紹介をする二人。鈴は途端に興味がなくなったのか一夏に話をふっていた
「あんたクラス代表なんでしょ? よかったらISの操縦を見てあげてもいいけど?」
少し恥ずかしそうにしゃべる鈴。どうしたのかと不思議に思った一夏だが、それよりも操縦を見てもらえるということが嬉しかった
「よかったな、一夏。これで、指導してくれる人が増えるな」
「そうだな。代表生というだけあって彼女の実力も十分だと思う。受けてもいいんじゃないのか?」
十代と遊星は賛成したが
「一夏に教えるのは私の役目だ。頼まれたのだからな」
「冗談ではありませんわ! あなたは2組、つまり敵になるのですからそのような施しは受けませんわ」
「あたしは一夏に言ってんの。関係ない人は引っ込んでいてよ」
箒とセシリアは反対、その反対意見に鈴が反対。ものすごくもめている
「……なあ、一夏。なんかこれ続きそうだからさっさと食べて教室に戻ろうぜ」
十代の言葉に遊星と一夏は頷き、さっさと食べてその場を去った。しかしその行動が少しまずかったと後に一夏は思うだろう
放課後、一夏は十代と遊星の3人でIS特訓をするつもりだった。しかしそこには予想していなかった人物が2人もいた。ISの訓練機である打鉄(うちがね)を装着している箒とブルー・ティアーズを装着しているセシリアだった
どうやら彼女たちは一夏の特訓の指導をするために来たようだが、肝心の本人に許可を取らないままやってきていた
「さて一夏、特訓を始めるぞ」
「お待ちなさい! 一夏さんと特訓するのはこのわたくしですわよ」
しかも二人ではなく自分が教える! という雰囲気である。意見が合わない二人はそのままにらみ合う
「そんなに言うなら今二人が戦って勝った方が一夏に教えればいいじゃん」
十代の一言が戦いの火蓋となり二人は早速戦い始めた
「さて……俺達は俺達でやろう。織斑先生の期待に応えるんだろう?」
「ええ、そうですね」
遊星の言葉に一夏の気合が入り、十代と特訓を始めた
この後、女子二人の決着がつく前に特訓しているところを見つかったため、一夏は二人の女の子から説教をされていた
なぜ私とやらないのかと
一夏は思った
(なんで俺……特訓してるのに怒られるんだろう……)
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