鬼提督は今日も艦娘らを泣かす《完結》   作:室賀小史郎

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新キャラ登場!


その愛は

 

 あるところに素敵な聖女様がいました。

 聖女様は周りの人々にとても愛され、多くの愛を一心に受けて、美しく成長しました。

 

 しかし、その聖女様は少し変わっていて―――

 

 好きになった人を独り占めすること

 

 ―――が、本当の愛だと思っているのです。

 

 ―――――――――

 

「部長、私本日は旦那と約束がありますので、お先に上がらせて頂きます」

 

「ああ、今朝言ったことか。旦那さんとの記念日なんだってね? 楽しんでくるといいよ」

 

「ええ、ありがとうございます。それではお先に失礼します」

 

 洗練された美しい敬礼を決め、泊地総合部の執務室をあとにするこの女性。

 名は間島愛奈(ましま あいな)と言い、総合部の副部長の座に就いている。

 

 彼女の実家である間島家は戦前からある軍家。

 母親は嫁いでいる身で一般人であるが、直系の父親は現役の陸軍中将。三人兄妹の末っ子で、長男は陸軍で次男が空軍にそれぞれ入隊している。

 兄二人が入隊した一方で、愛奈は両親からも兄たちからも軍人にならなくていいと言われ続けてきた。

 

 しかし元々お国のため軍人になる気でいた愛奈は今の時代では最も過酷な海軍に入隊。

 そこで彼女は運命の相手とも言える相手と出会い、海軍でも最も危険な任務を請け負う特殊部隊に入り、艦娘が誕生するまでの厳しい間を見事に生き抜いた。

 

 その功績もあって、今の地位にいる。

 

 年齢31、身長は162センチで女性らしい曲線美を描く体は若々しい色香に満ち、死線を潜り抜けて来たのにもかかわらず傷跡も無い白い肌は輝いて見える。

 藍色掛かったミディアムヘアの黒髪。前髪を姫カットで整えたその髪は彼女が動く度に豊かに波打つ。

 ブラックオニキスを埋め込んだかのような神秘的な瞳を持つ豪奢な煌めきを放っている垂れ目なアーモンドアイ。

 

 その見た目から総合部でナンバーワンの美貌を持ち、誰にでも優しく微笑み、気さくに声をかけるそんな彼女を周りの人々は「聖女」と呼ぶ。

 

 ―――――――――

 

 そんな彼女ではあるが―――

 

「ただいま、あなた」

 

 ―――普通とは掛け離れた素顔があった。

 

 自分が暮らすマンションに帰ってきた愛奈。

 声をかけながらリビングへ行くが、そこには誰もいない。

 あるのは広いリビングなのに二人用の丸テーブルに二人掛けのソファー、テーブルの上には二つのPC画面と一つのキーボードととても寂しい。

 しかし―――

 

 

 

 

 

 

 壁や天井に所狭しと貼り付けられた写真

 

 

 

 

 

 

 ―――を見る限り、この空間は狂気的だ。

 

「今あなたの好きな私のビーフシチューを作ってあげますからね」

 

 無数の写真に話し掛ける愛奈は、それがまるで本当に話しかけているかのように「ええ、ええ」、「待っててください」と時折華やいだ返事をする。

 

「もう、そんなに名前を呼んで欲しいんですか? 恥ずかしいです……それくらいあなたのことを私は愛してるいるんですからね?」

 

「あっ、いじけないでください―――

 

 仁

 

 ―――きゃっ、何度呼んでも恥ずかしいですっ」

 

 愛奈の言う旦那とは、この『写真に写る鬼月仁』のことであった。

 

 ―――――――――

 

 愛奈は元特殊部隊の諜報担当隊員。過去に深海棲艦の通信妨害や通信内容の解読等を成功させた功績を持つ凄腕の諜報員。

 そして鬼月とは諜報員であっても同じ部隊の隊員として戦地に立った仲だ。

 

 愛奈は海軍特殊部隊に入隊する資格を認められた天才。他にも彼女と同じく入隊している女性隊員や既に入隊していた女性隊員もいるが、彼女の場合は身体能力も合格点の上、何よりも優れていた暗号解析部門とハッキング部門で期待されていた。

 期待の新人として入った彼女の面倒を良く見たのが当時特殊部隊の隊長鬼月で、彼は隊長として積極的に日頃からコミュニケーションを取り、他のメンバーたちとも打ち解けやすくさせ、そのお陰で彼女は部隊に馴染めることが出来た。

 

 そして彼女も参加した戦地下での任務。

 愛奈はそこで失敗した。空爆範囲外だと計算し、構えていた場所が深海棲艦の無差別空爆によって空爆範囲になったのだ。

 これまで何度も危険な任務を遂行し、生還してきた。何万回も繰り返したシュミレーションと同じ手順を踏んだ。

 しかし通常が意味を持たないのが、戦場である。

 

 愛奈は死を覚悟した。

 しかし後悔は一切無かった。

 お国のために死ねることが誇らしかったからだ。

 

 でもその覚悟は要らぬ覚悟に終わった。

 空爆が始まったと同時に愛菜の上に重くて硬い何かが覆い被さったのだ。そのお陰で大事には至らなかった。

 閉じていた瞼を開けると、装甲カバーを手にして自身を守るように覆い被さって、右眼からどろっとした赤黒い血を流す鬼月がいた。装甲カバーとは空爆等から身を守るために開発されたカバーであるが、一度空爆を受ければ使い物にならなくなる。しかし当時の考えでは無いよりは良いだろうというのが精一杯だった。

 

 逆光で表情はハッキリと見えなかったが、彼の顔には下弦の白い月が浮かんでいて―――

 

『この状況下で良く動いてくれた。しかし最後の最後で諦めるのは減点だ』

 

 ―――鬼月は優しく愛奈を抱き上げて、危険区域から脱出するのだった。

 

 ―――――――――

 

 その時から、愛奈にとって鬼月隊長は旦那になった。

 彼女の脳内の中でだが……。

 作戦は失敗し、これにより壊滅的な被害を受けたことでその作戦を最後に部隊は解散し、それと入れ替わるようにして艦娘の登場によって海軍はガラリと体制が変わったのだ。

 

 退役という選択肢もあったが、愛奈は退役しなかった。

 旦那が自分は必ず軍に留まる、と聞いていたからだ。

 

 ただ詰めが甘かった。

 この時の鬼月は前線指揮経験豊富ということで出来たばかりの泊地総合部に、これまでの功績もあって部長として起用されることが確定されていた。それを知っていた愛奈はこれまで通り鬼月と共にありたいと総合部に入ったのだが、当の鬼月が現場主義を貫いて部長就任を拒否したのだ。

 よって彼は艦娘を指揮する提督として軍に留まり、愛奈は同じ軍でも総合部に移って愛する旦那との時間が無くなってしまった。

 

 でも考え方によってはこれで良かったと愛奈は思っている。

 何故ならデスクワークが圧倒的に増えたことで、愛する人を見守り、自分なりに彼を守れるようになったからだ。

 入隊前より鍛え上げられたハッキング技術で旦那の鎮守府の防犯カメラ等と、自身のパソコン画面を常時繋げ、単身赴任中の旦那との時間共有を実現させる。

 これで夫婦最大の危機を免れたのだ。

 

「〜♪ 〜〜♪」

 

 鼻歌交じりにビーフシチューを作る愛奈。

 時折、そこら中にある鬼月の写真に目をやり、微笑む彼女は絵に描いた聖女のような可憐さがある。

 しかし―――

 

「最近、妙にあなたを評価する人が増えてきたんですよね。困っちゃいます。あなたの良さは私だけが知ってればいいのに、ね?」

 

 ―――微笑む聖女の眼は全く笑っていなかった。

 

 鬼月の鎮守府にいる艦娘たちが彼を慕い愛すことは、愛奈としては一向に構わない。寧ろあれだけ素敵な男性を慕わない方がおかしいからだ。

 それに艦娘がどんなに愛したところで彼とは結ばれない……仮染めの契りしか結べない。

 それが分かっているから、愛奈は彼に蝶のふりをする蝿が群がるのを静観している。いや、寧ろ自分の方が優位なので高みの見物に近い心境だろう。

 

 しかし相手が艦娘以外の人間ならば排除しなくてはならない。

 男性であろうと、彼の素晴らしさを知れば周りに話してしまい、生物学的上人間とされる害虫が彼に群がってくる。愛菜にとっては鬼月と自分以外は大差無い生物としてしか見ていない。

 なのに彼に群がるのが生物学的上人間のメスであるなんてことは以ての外だ。

 

 だから愛奈は旦那を魔の手たちから守るために、色んな手段を用いた。

 艦娘着任の願いを裏から手を回して揉み消したり、艦娘が日々泣かされている等と自分の手を汚さず、ただどこかから耳にしたと総合部員たちややってくる提督たちに囁いてみたり……あることないことをバレない程度にでっち上げて旦那に変な虫が付かないようにしていたのだ。

 

「うん、大丈夫ですよあなた。私はあなたを信じてます。あなたに必要なのは私だけですし、私に必要なのもあなただけですから」

 

 こうして愛奈と旦那の愛は"今宵も深まる"のだった。

 

 ―――

 ―――

 ―――

 

 次の日。

 今日は月に一度の定例会議。

 当然、愛奈にとって旦那と会える機会だ。

 会議が終われば、鬼月は必ず喫煙ルームに向かう。彼の趣味は喫煙だから。

 

「お久し振りです、隊長♡」

 

「む……おお、間島。相変わらず元気そうだな」

 

 偶然を装って喫煙ルームに入る愛奈に、鬼月は何の疑いも抱かずに戦友として言葉を返す。それに恐れられている鬼月がいる今ならば、わざわざこの場に入って来る輩もいない。

 こうしてたまに会える戦友に会えるのは鬼月としても嬉しいのだ。彼はそういう人間なのである。

 しなやかな長いコンパスでするするっと鬼月の隣にやってきて座る愛奈に、鬼月は戦友に向ける親しみ深い笑みで迎えた。

 因みに愛奈は部隊にいた頃の癖で未だに鬼月のことを"隊長"と呼び、鬼月ははじめの内はもう立場が違うからと改めさせようとしたが、本人が一向に直そうとしないので二人の時限定ということで諦めている。

 

「隊長は相変わらず凛々しいですね。あ、火をお借りしてもいいでしょうか?」

「マッチでいいか?」

「私もマッチ派なので大丈夫です」

 

 鬼月からマッチ箱を受け取る際、わざと相手の指に触れ合うよう受け取る愛奈。

 そしてこういう時のためだけに吸う煙草の入った専用のケースを胸ポケットから取り出して、彼と同じマッチで点火した。

 

「ありがとうございました」

「マッチの一本くらいで気にするな」

「隊長は相変わらずパイプなんですね。部隊の頃は私と同じように同じ銘柄の煙草だったのに……」

「今はあの頃と状況が違うからな。喫煙は俺にとって唯一の趣味だ。あの頃より時間に余裕があるから、気長に味わえるパイプに切り替えただけの話だ」

「パイプって、そんなにいいんですか?」

「個人的にはそうだな。銘柄にもよるが味もいいし、紙煙草と比べて吸える時間も長い……何より、灰が落ちる心配もないから行儀は悪いが執務中でも作業しながら喫煙出来る」

「なるほど〜」

「それにパイプは肺喫煙じゃなくて、口腔喫煙だからな。吸えなくてイライラするといったことも以前より軽くなった。これでも紙煙草の頃より頻繁に吸わなくなったんだ」

「それなら私もパイプにしようかなぁ?」

 

 愛奈は嬉しかった。久々の夫婦(妄想)の会話……それがこんなにも弾むことが、思わず涙が出る程に。

 鬼月はそんな愛奈の涙に一瞬ギョッしたが、愛奈が「煙が目に……心配ありません」と言うので安堵した。

 

「……まあ、好きにするといい。ただし手入れの手間や紙煙草よりもヤニが歯に付きやすいというデメリットがあるのも忘れるなよ?」

「あ〜、やっぱりそうなっちゃいますよねぇ」

「間島は折角綺麗な白い歯をしているからな。それに俺みたいにヘビースモーカーでもない。なら紙煙草で十分だと思うぞ?」

「なら今のままにしまぁす♡」

 

 そう言いつつ、愛奈が甘えるように頭を軽くコツンと鬼月の肩に乗せる。対する鬼月は小さく微笑んで頷きを返すのだった。

 

 ―――

 

 切りよく一本を吸い終わった間島は断腸の思いで喫煙ルームをあとにする。

 しかしあれ以上一緒にいたら色々と溢れてしまうので、愛奈にとっては致し方ない選択だった。

 

(ふぅ、危なかった……もう少し一緒にいたら下着を替えなきゃいけなくなるところだったわ)

 

(あ〜、それにしてもやっぱり私の旦那様は素敵! どうしてあんなにも素敵なの? どうしてあんなにも絵になるの? 本当に私がちゃんと守ってあげないと、旦那様が危ないわね)

 

 募らせる愛によって少々度が過ぎる妄想が頭に駆け巡る愛奈であるが、顔は外行きモードなのでキリッとしている。

 なのでそんな愛奈をすれ違う者たちは男女問わず、その美しさに視線を奪われていた。

 

 しかし―――

 

 

 

 

 

「仁様、探しましたわ!」

「お、おぉ……沙羅提督」

 

 

 

 

 

 ―――視界の端で信じ難いことが繰り広げられていたことで、愛奈の外行きの仮面はガラガラと音を立てて崩れ落ちる。

 

 

 

 なんだ、あれは?

 

 

 

 なんで、そこにいる?

 

 

 

 そこは、お前の場所ではない

 

 

 

 そこは、自分の場所だ

 

 

 

 お前は、誰なんだ?

 

 

 

 視界の先にいるソレから目を離さず、己が拳を強く強く握り、皮膚が白く染まる。

 幸い爪は伸ばしていないので血は出てないが、伸びていれば確実に手のひらから出血していたと思わせるくらいに、愛奈の握り具合は強かった。

 

 しかし未だ、ソレは自分の旦那(妄想)の隣に卑しくも陣取り、さり気なく二の腕や肩をねっとりとした気色の悪い手つきで撫でている。

 愛奈は思わず吐き気がした。それでもソレを脳裏に焼き付けるように映し続ける―――

 

 

 

 

 

 人のモノに手をつける害虫は排除対象

 

 

 

 

 

 ―――ソレの顔を決して忘れないようにするためだ。

 

「仁様、どうせ談話室に戻ってもすることはいつもの無駄なお喋りですし、私たちは私たちでいつもの所へ参りましょう?」

 

 何を言っているんだ、アレは?

 いつもの所とはどこだ?

 何故ソレはそんなことを言っている?

 

 お願い、断って!

 

「そうか……しかし、無駄とは言い過ぎだ。他の鎮守府の提督との情報交換も大切だ」

 

 そうだ。そもそもお前みたいなヤツといるだけで穢れる。

 

「そうなのですね……ですが、あの人たちったら話す内容が偏ってて、聞いてると滅入ってしまいますの」

 

 猫をどれだけ……何匹被っているんだ、アイツは?

 しかし妻(妄想)である自分の目は誤魔化せない。

 

「それは難儀だな……分かった。だが、それを口実にするのは今回だけだと約束してくれ」

「はい、仁様っ」

 

 ちょ、なんなの、アイツ!?

 優しいのをいいことに私だけが絡める権利のある隊長の腕になんてことを!?

 よし……決めた。

 

 そうと決めた瞬間、愛奈は体を翻して鬼月たちがあとにした談話室へと向かうのだった。

 

 ―――――――――

 

 一方、沙羅は愛しの鬼月と共にいつもの公園へと向かって歩いていた。

 その後ろには二人の秘書艦である高雄たちもいるが、沙羅の高雄はやれやれと嘆き気味でこめかみに手を当て、鬼月の高雄は苦笑いしか出来ないでいる。

 何故なら―――

 

「……何故そんなに身を寄せてくる?」

「お友達ですから! 私、特に仲のいいお友達とはこうして歩くんですの!」

 

 ―――沙羅の猛アピールを目の当たりにしているからだ。

 

 距離が近い……傍から見ればそれは美女と野獣のようでいて、熟年した仲睦まじいカップルに見える。

 現にすれ違う人々や遠目に見える人々はそんなカップルを生温かく見ている。

 

「しかしだな……未婚の女性が異性にこうも身を寄せるのは宜しくないだろう」

「あら、仁様ったら純粋なのですね?」

「……それは、見目麗しき女性がこちらに身を寄せているんだからな。意識しない方がおかしいだろう。俺だって男だからな」

「〜〜〜っ」

 

 恥ずかしいような、照れたような、そんな風に僅かに視線を泳がせて言う鬼月の仕草に沙羅のハートはドックンドックンとときめきの銅鑼を鳴らした。

 鬼月の高雄も主のこの反応には驚いたが、いい傾向なので沙羅に心から軍艦マーチを送りたい気分になった。

 

 しかし沙羅は攻めたいのをぐっと堪えて鬼月の腕から離れた。ここで無理に攻めても、余計に警戒心を高めてしまうと思ったからだ。

 

「ごめんなさい、仁様とこうして歩けるのが嬉しくて、舞い上がってしまいました」

「……いや、こちらこそすまない」

 

 沙羅は良かったと心の中で安堵する。やはりあのまま攻めていれば距離を置かれてしまっていただろうと思えたから。

 友人関係となってもう1か月。おまけにこの前は演習で前に貸したハンカチだけでなく、鬼月からお詫びのお菓子と鬼月には内緒でこっそりと彼の高雄からも手紙まで貰った。

 手紙には『提督のために応援しています』と書かれていたので、沙羅からすれば100万の兵を……それ以上の援軍を得たに等しい。

 現に今もチラリとその高雄へ視線をやれば、正しい判断だと言うように頷きを返してくれている。

 

「……仁様」

「何かな?」

「私、仁様をもっと知りたいです」

「…………そんなに面白い人間ではない」

「それでも知りたいのですっ」

 

 感極まり思いの外大声になってしまった沙羅の顔はほんのりと赤く染まっていて、鬼月はあっけにとられていた。

 しかしすぐに小さく笑い―――

 

「本当に変わったお嬢様だ」

 

 ―――沙羅の左手をそっと握る。

 

「仁様……」

「貴女が思っている程、俺はいい人間ではない」

「自分のところの艦娘にあれだけ好かれているのに、ですか?」

「彼女たちに決して憎く思われていないとは自負はしている。だが、俺は彼女たちを良く泣かす」

「涙を流す理由を聞いたことは?」

「…………怖くて、訊けない。俺はもう人に嫌われるのは嫌なんだ」

 

 そこまで聞いた沙羅はそれ以上を今は聞かないことにした。

 だから―――

 

「では、交換日記をしませんか?」

 

 ―――ゆっくりと事を進めることにする。

 

「交換日記……?」

「はい。どんな些細なことでも構いません。週に数回は演習を組む機会がありますから、その際に交換するように致しましょう」

「……それで君がいいと言うのであれば」

「いいから提案してるんです。では、早速私たちの交換日記のためのノートを買いに行きましょう、仁様!」

 

 沙羅は満面の笑みを浮かべてそう言い、鬼月の手を両手で包み込んだ。

 すると鬼月は小さく頷き、沙羅に手を引かれるがままに付いていくのだった。

 当然、その後ろには二人の高雄が新しい一歩を歩み始めた主たちを微笑ましく見つめ、静かに付いていった―――。




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