刑「ま、そうなったらまた別の物語が始まるだけだがな。……では第二十七話、楽しんでくれ」
樹海の中を突っ切るようにして、ピスケス・バーテックスが潜航と跳躍を繰り返しながらこちらにやってくる。と、青色の霊力で構成された銃弾がピスケス・バーテックスの頭に直撃、巨体が煙を上げて大きく態勢を崩す。さらに二、三発と弾丸が直撃すると、上空から銀が双斧を大きく振りかぶって落下してくる。
「おりゃああああああああっ!!」
ズン!! と強烈な一撃がピスケス・バーテックスの頭部に直撃し、逃げるように体がずぶずぶと地中に沈んでいく。
「あまみん!」
「分かってる!」
園子の指示に素早く応えると、志騎はスマートフォンを操作し、ドライバーにかざす。
『ピスケス!』
『ピスケス・ゾディアック!』
うお座の紋章が志騎の体に吸いこまれ、志騎がピスケス・ゾディアックの姿に変わると地中に潜航し逃げようとしているピスケス・バーテックスの巨体目掛けて爆発するクナイを三本投げる。クナイが巨体に突き刺さると次の瞬間勢いよく爆発し、地中から引きずり出される。
「やぁあああああああああああああああっ!!」
無防備になった腹目掛けて園子の気合のこもった突撃が直撃、ピスケス・バーテックスは大きく吹き飛ばされた。
(これなら……)
三人の戦いぶりを見て、須美は警戒を緩めないようにしながらも戦いに対する手ごたえを感じた。新しいシステムのおかげか自分達の攻撃力は大幅に上がっている。連携もまったく問題なし、このままいけば押し切れる。
と、そこまで考えた所で。
「わぁっ!」
「「園子!!」」
園子をアリエス・バーテックスの触手から放たれた雷撃が襲い、思わず園子が足を止めてしまう。しかし雷撃が直撃するかと思われた瞬間、彼女の目の前に烏天狗が顕現し、バリアのようなもので雷撃を防いだ。と共に、園子の腹部にある蓮を模したゲージが一つ溜まる。
「大丈夫か園子!?」
「大丈夫~。ありがとう、セバスチャン!」
園子が礼を言うと、烏天狗はこくこくと頷いた。
が、さらにバーテックスの反撃は続く。園子に吹き飛ばされたピスケス・バーテックスがガスを吐き、アリエス・バーテックスの触手が雷撃を帯びる。ガスの範囲は以前よりも広範囲で、三人はおろか後ろにいる須美にも届いているようだった。
「爆発か!」
「志騎、地中に逃げろ! アタシ達はバリアがあるから大丈夫だ!!」
銀が叫ぶと同時、志騎は地中に潜ってガスを回避する。その瞬間、ガス目掛けて雷撃が放たれ、四人がいた場所を大爆発が襲う。
「きゃあああああっ!!」
「くっ……!」
火炎にダメージはないとはいえ、あまりの威力に園子が悲鳴を上げ、須美が両腕で顔を覆う。攻撃に須美のアサガオを模したゲージが一つ溜まり、園子のゲージも溜まる。
二人が攻撃に足止めを食らっていると、炎の中から銀がピスケス・バーテックス目掛けて飛び出し、双斧を振りかぶる。
「前はよくも志騎をやってくれたな……! お返しだぁぁあああああっ!!」
ゴッ!! という轟音と共に攻撃がアリエス・バーテックスに直撃、体が大きく傾き雷撃が止まる。攻撃を食らわせた銀はくるりと体を回転させると、火炎が荒れ狂う地面に着地した。よく見てみると、先ほどのバーテックスの攻撃で銀のゲージも全て溜まっているようだった。
「これが、勇者の新しい力……!」
「キタキタキター! 行っくよ~!」
「よーし! 一気に決めるぞ!」
ゲージ----『満開ゲージ』が全て溜まりきった事を確認した三人は、高らかに告げる。
「「「満開!!」」」
叫んだ直後、三人を凄まじい光を包み込み、空中に花の形をした巨大な霊力が形成される。同時に樹海の根が力を失うように一気に石化、朽ちていく。
現れた三人の姿は、荘厳極まりない物だった。服は勇者の戦闘衣装から変わり、羽衣のような白い服を身に纏い、背後に大きな輪のような物が浮かんでいる。その姿はまさに、神に仕える巫女と言える。
さらに、三人それぞれが異なる乗り物に搭乗していた。
須美は多数の砲門を備えた巨大な戦艦に乗っており、園子は巨大な槍をまるでオールのように動かしている、これまた巨大な船に乗っている。銀は他の二人とは違ってまるで四足獣のような乗り物になっており、爪に当たる部分が全て斧の刃になっていた。三人の両手には、それぞれの乗り物を操作するためのものか球体が浮かんでいる。
「……すごいな。あれが満開か」
地中から浮かび上がった志騎は三人の新しい力に感嘆しながらも、自らもスマートフォンを手にする。
「じゃあ俺も、出し惜しみなしで行くか」
『アインソフオウル・アインソフ・アイン!』
アイコンをタップすると男性音声が発せられ、目の前にリンドウを模した文様と背後にセフィロトの樹を模した図形が出現する。さらにスマートフォンをドライバーにかざし、音声がドライバーから発せられる。
『ユニゾンセフィロティック!』
『Evolution to Infinity! Sephirothic Form!』
『It's over the ultimate』
図形の十二のセフィラとリンドウの紋章が志騎と一体化し、志騎はセフィロトの樹を宿した姿『セフィロティックフォーム』へと姿を変える。
脅威を感じ取ったのか、アリエス・バーテックスが須美目掛けて雷撃を再度放つ。だが、雷撃は展開されたバリアに阻まれ、須美に届く事は無い。
「お前達の攻撃は、もう届かない!」
須美が右腕を前に突き出すと、戦艦の全ての砲門が青色のエネルギーを一つにまとめ、次の瞬間一気に発射。膨大な霊力で構成された砲撃は核もろともアリエス・バーテックスを貫くと共に、七色の光が空に昇り、その体は砂となって崩れ落ちていった。
一方、ピスケス・バーテックスは園子に狙いを定めたのか、巨体を生かして彼女を船ごと叩き潰そうと襲い掛かる。
「おお~、潰しに来た~!」
が、残念ながら園子には何の意味も無かった。園子が乗る船のいくつもの巨大な槍が一気に伸長し、ピスケス・バーテックスの巨体を貫く。最後に衝撃波を放ちピスケス・バーテックスを大きく吹き飛ばすと、園子は口元に自信の満ちた笑みを浮かべると指を鳴らす。巨大な刃が一気に散開し、ピスケス・バーテックスを取り囲む。とどめと言わんばかりに園子が両手を合わせると、刃が一斉にピスケス・バーテックスの体に突き刺さった。哀れにもサボテンのようになったピスケス・バーテックスはアリエス・バーテックス同様砂となって崩れ落ち、七色の光が空に昇って行く。
「とどめはアタシ達だ! 行くぞ志騎!」
「ああ!」
銀は四足獣に乗って、志騎はどういう原理か空中を文字通り飛んでレオ・バーテックスに突っ込んでいく。それを防ぐようにレオ・バーテックスから火球が次々と放たれるが、銀の方に飛んで行ったそれらはバリアによって防がれ、志騎の方に飛んだものは全て彼の目の前で止まってしまう。止まった火球を避けながら、志騎は空中で止まると、
「火の扱い方がなってないな。手本を見せてやるよ」
そう言って右手の掌をレオ・バーテックスに向けると、ギュッと握りしめる。するとレオ・バーテックスの全身がゴウッ!! と炎に包まれ、巨体がわずかに揺れる。
「ま、効果は薄いだろうな。でも熱いだろ? 冷ましてやる」
パチン、と志騎が指を鳴らすと、レオ・バーテックスの体が巨大な氷柱に覆われる。さらに追い打ちをかけるようにさらに指を鳴らすと、周囲にいくつもの氷で形成された剣が出現、レオ・バーテックスの巨体を貫いた。
なんでもあり。刑部姫曰く、それがセフィロティックフォームの能力らしい。
今の志騎が体に宿すセフィロトの樹とセフィラには強大な力と属性のようなものを秘めており、それらを組み合わせ、操作する事で様々な事象を起こす事ができるというのが刑部姫の言葉だ。
なので志騎が操作しようと思えば、今のように炎や氷を出したり、さらには自分と火球の間の空間を操作する事でそもそも攻撃が届かないようにする事も出来るし、さらに細かく力を操作できるようになれば時間や短時間での世界改変も可能となるようだ。
「ま、今の俺にはまだ無理だけど……お?」
空中に立っていた志騎が驚きの声を上げる。凍り付いたレオ・バーテックスの巨体、および突き刺さっていた氷の剣が急速に溶けていく。よく見ると、レオ・バーテックスの体が赤く発光しており、周囲が熱のせいか歪んで見える。
「さすがにこの程度で終わってくれないか」
これで終わってくれれば楽だったのだが、流石にそうはうまくいかないようだ。レオ・バーテックスが自分に痛い目を合わせた志騎を攻撃対象とみなしたのか、大量の火球を出して志騎を攻撃しようとする。
「アタシを、忘れんなぁああああああああああああっ!!」
だが、四足獣に乗った銀がレオ・バーテックスに飛び掛かり、攻撃を邪魔する。さらに四足獣を操作すると、いくつもの斧の刃が搭載された右腕を大きく振りかぶりレオ・バーテックスの体を切り裂く。さらに銀が操作すると、四足獣が左腕を突き出し、刃が発射される。不規則な動きで動き回る刃はレオ・バーテックスの体を次々と切り裂き、園子の真似なのか銀が不敵な笑みで指を鳴らすと刃が一気にレオ・バーテックス目掛けて集まり、次の瞬間巨体をズタズタに引き裂いた。
「どうだ志騎! カッコいいだろ!」
「はいはい。カッコいいカッコいい」
「返事が適当! もっと心を込めろよなー!」
「戦いが終わったらいくらでも褒めてやるよ」
大ダメージは与えたが、まだ終わったわけではない。だがこれであとは、志騎が必殺の一撃を叩き込むだけである。そうすればバーテックスは確実に倒れるし、仮に倒せなかったとしてもセフィロティックストライクにはバーテックスの再生能力等を阻害する力がある。どのみち、一撃加えればそこで戦いは終わりだ。戦いに終止符を打つべく、志騎がスマートフォンを操作しようとする。
が、その時だった。
「わっしー!?」
背後から園子が驚く声が聞こえ、志騎が振り返ると地面に向かって落下していく須美の戦艦があった。それだけでなく、園子の乗っている船、さらには銀が乗っている四足獣が消え、三人は地面に落下していく。
「なっ……!?」
志騎は戸惑いながらも、落ちていく銀に走っていく。地面にぶつかりそうになった瞬間、バリアが銀の落下を受け止め、銀はゆっくりと地面に落ちた。二人の方を見てみると、どうやら二人ともバリアによって護られたらしく、ダメージなどはないようだ。
「銀! どうした!? 何があった!?」
「分かんない……。何か急に力が抜けたと思ったら……」
銀が答えると、彼女の右腕の周りに何かの装備が現れた。突然現れたそれに志騎が訝しげな表情を浮かべると、銀から困惑の声が漏れる。
「あれ?」
「どうした?」
「……右腕、動かないんだけど」
「何っ!?」
彼女の右腕を手に取って観察してみるが、特に外傷のようなものは見られない。しかし彼女が嘘を言っているとは思えない。試しに志騎が右腕に手を当てて回復能力を発動、白銀の光が銀の右腕を包み込む。
が、
「駄目だ……。全然動かない……!」
「くそ、どういう事だ……!?」
外傷のせいではない。回復する事も出来ない。何が理由なのかも分からない。二人が戸惑っていると、
「……っ! 志騎!」
「……っ!」
銀が左腕で指差した方には、こちらに向かってくるレオ・バーテックスの姿があった。ついさっき志騎と銀に、大ダメージを負ったにも関わらず、だ。
「嘘だろ、もう回復したのか!?」
「そんな、ここは大橋に近いのに……!」
だが二人の戸惑いをよそに、レオ・バーテックスがさらなる行動に出る。
突然体が左右に分かれたかと思うと、分かれた体の間から炎を纏った何かが大量に湧き出してくる。
「何だよ、あれ……!?」
現れたそれは全身が炎に包まれているので赤く見えるが、どうやら白色をしているようだった。手も足も無く、口しかないという見る者に生理的な嫌悪感を抱かせるそれは、次々と四人に襲い掛かってくる。
「くっ……!」
志騎はブレイブブレードを、銀は左手で黒い斧を手にすると襲い来る白い怪物を迎撃する。
強さはそこまでではない。耐久力はバーテックスに比べると脆いし、攻撃手段も単純な体当たりしかない。
ただ、数が多い。志騎は空間を操る事でバーテックスからの体当たりを防ぎ、銀達もバリアのおかげで攻撃は受けていないが、怪物達の対応に手いっぱいでレオ・バーテックスを攻撃する事が出来ない。そうこうしているうちに、怪物達の攻撃を受け続けた三人の満開ゲージが溜まり、満開が再度可能になる。
「……っ! そのっち! 銀!」
「うん!」
「ああ!」
須美の合図に、園子と銀は了解すると再び力強く叫ぶ。
「「「満開!!」」」
直後、再び神の力によって少女達は強大な力を得て、一騎当千の力を持つ兵器が顕現する。しかし樹海の根は次々と石化、枯れ果てていき、大橋の位置にある鳥居は消えていく。まるで、神樹の力が枯渇していくのを表しているように。
砲撃、槍、斧が次々と怪物達を打ち砕き、数を減らしていく。志騎もセフィロティックフォームの力を全開にし、ブレイブブレードに巨大な白銀の霊力を纏わせ、振り回し怪物達をまとめて屠っていく。
この時、四人は一つミスを犯した。
怪物達に気を取られ、先ほど戦っていたはずの存在を一瞬ではあるが頭から消し去ってしまっていたのだ。
四人の注意から外れたレオ・バーテックスは巨大な炎球を形成し、それを四人目掛けて放つ。あまりの熱量に枯れた根が砕かれ、その外見はまるで太陽のようだった。
「しまった!」
「わっしー!」
須美が攻撃に気づいた時にはもう遅く、炎球はすでに四人のすぐ近くまで迫っていた。危険を察知した園子が須美の前に槍でできた盾を形成、防ごうとするが大きさがあまりに違い過ぎる。槍による防御を行えない園子は攻撃の余波で吹き飛び、同時に満開が解除され地面と落下していった。
「そのっち!」
「園子!!」
叫ぶ銀の前に、炎球が迫りくる。銀は四足獣の爪の刃を全て分散させると、自分の前に展開し攻撃を防ごうとする。さらに加勢するように、志騎が四足獣に乗り右腕を前に突き出す。
「ぐっ!」
どうにか能力を発動し攻撃を防ごうとするが、威力が強すぎる。攻撃の威力を全て殺す事が出来ず、襲い来る炎の熱で右腕が焼かれ、爪が音を立てて割れる。
そして、三人の目の前で炎球が破裂。
園子が構築した防壁、そして銀の刃による防壁と志騎の力のおかげでどうにか三人は無事だったが、目の前に広がる光景に三人は言葉を失った。
「大橋が………」
「無くなっちゃった……」
炎球が破裂した際の爆炎により、大橋は跡形もなく壊れてしまっていた。樹海のダメージは、現実世界に影響を及ぼす。これほどの破壊は、現実世界にどれほどの影響をもたらすのだろうか。
さらに追い打ちをかけるように、炎を纏った白い怪物が襲い掛かってきた。三人は再び怪物達を迎撃するが、園子を欠いたこの状況では焼け石に水である。
そして志騎が怪物をまた数体まとめて薙ぎ払うと、銀の四足獣が消失し、彼女の小さな体が地面に落下する。
「銀!!」
志騎が人差し指を立てると、落下する銀の体が急に減速し、志騎は銀目掛けて飛行する。銀の体を支えると、彼女は力の抜けた笑みを浮かべながら、
「あはは……。ごめん志騎……。ちょっと疲れた……」
「気にするな。それより、どこか異常はないか?」
だが、何故か銀は不思議そうな表情を浮かべると、志騎にこんな事を言った。
「……? ごめん、もう一回言ってくれない? 何か、よく聞こえなかったからさ……」
直後、彼女の左耳の辺りにまた何かの装備のようなものが現れた。それを見て、志騎は表情を歪める。----恐らく、銀の左耳の聴力が失われている。
銀は志騎の顔を不安そうな表情で見上げていたが、不意に何かに気づいたのか志騎の真後ろに叫んだ。
「須美!!」
銀の声に志騎が振り返ると怪物を迎撃している須美の隙をついて、怪物の一体が須美目掛けて突っ込んでいた。
「しまった……!」
須美が焦りの表情を浮かべ、志騎が能力を発動しようとするが時すでに遅く怪物が須美に急接近する。
だがその怪物を、上空から槍が貫いた。三人が見上げると、そこには園子が右手で槍を握って怪物を貫いていた。彼女の左腕には、銀のものと似た装備が追加されている。
「そのっち! 良かった、無事だったのね!」
須美が安堵の声を上げるが、須美の戦艦に乗った園子は不安に満ちた声音で、
「ねぇわっしー! なんか変だよ! こんな戦い方で良いの!?」
と、そんな事を言った。それに銀が眉をひそめると、志騎が何かに気づいたように目を見開く。そして銀を抱えたまま空中から須美の戦艦目掛けて跳躍し、戦艦に降り立つと二人に尋ねる。
「単刀直入に聞く。銀の右腕が動かなくなって、左耳の聴力が無くなってる。お前らは?」
志騎の言葉に二人は目を見開くと、須美は自分の両足を、園子は自分の右目と左手に手をやり、
「私は、両足……」
「私は、右目が見えなくて、左腕が動かない……」
「………っ!」
二人の言葉に志騎は息を呑み、銀は自分の聞き間違えであってほしいと思った。だが、残念ながら聞き間違いなどではない。
「……嘘だろ? なぁ二人共、嘘だよな……?」
そうあってほしいという悲痛な願いがこもった声で銀が言うが、二人の表情が嘘ではないと否定している。親友二人の異変に、銀が絶望に満ちた表情を浮かべた。一方、志騎は奥歯を噛みしめ、目をきつく閉じてから再度開けて言う。
「三人共、もう満開は使うな」
「な、何を言ってるの志騎君!?」
「薄々分かってるんだろ!? 満開には何かがある! これ以上使うのは危険だ!!」
しかし志騎の言葉に、須美は首をふるふると横に振り、
「……駄目よ。あなたの言う事を聞くわけにはいかないわ」
「須美!!」
「だって、今はこれしか手がないじゃない! 神樹様をお守りしなきゃ、世界が終わってしまう! そうなったら、全部無くなるのよ!? 私達の家族も、護りたい人達も、全部!」
須美の言葉に、志騎は黙るしかなかった。確かに、今襲い来るバーテックスと怪物に対抗するには、志騎のセフィロティックフォームと須美達の満開の力がどうしても必要だ。どのような代償があるにせよ、今はそれに頼るしかないのだ。
志騎が拳を強く握っていると、何かに気づいた園子が真正面をはっとした表情で見据え、三人も彼女の視線の先を追った。
視線の先には、先ほどと同じ大きさの炎球を生成し、構えているレオ・バーテックスの姿があった。
「さっきの攻撃!」
「くそっ、下がってろ! 俺が防ぐ!!」
銀を戦艦に下ろし、志騎が戦艦の前に立とうとする。さすがに自分が丸焼けになるのは防げないかもしれないが、自分は再生するし、三人を庇う事はギリギリできるはずだ。
が、
「----大丈夫よ志騎君。私に任せて」
え? と志騎が振り返ろうとすると、戦艦の全ての砲門が霊力を充填し、巨大な砲弾を形成する。
「お前達なんかに……この世界も、私の友達も、何も奪わせない!!」
須美の叫びと共に戦艦から巨大な霊力の砲弾が発射され、さらにレオ・バーテックスも巨大な火球を発射する。砲弾と火球は激しくぶつかり合い、周囲に爆風と炎をまき散らす。
やがて互いの威力に耐え兼ねて、砲弾と火球は同時に大爆発を起こす。爆風が戦艦を揺らす中、力を使い果たしたように須美がしゃがみ込む。
「わっしー!」
「須美!」
園子と銀が須美の体を支えると、彼女は疲弊しながらも笑みを浮かべると三人の友達を見据えて、
「そのっち……銀……志騎君。あとはお願い。あいつを止めて……!」
「……うん! 任せて、わっしー!」
「すぐに終わらせるからな! そうしたら、またイネスに行こう!」
「絶対に勝って戻ってくる。約束だ」
三人の言葉に、須美はこくりと笑顔のまま頷いた。三人が戦艦から飛び立つと、ちょうど戦艦が光の粒子となって消滅する。レオ・バーテックス目掛けて突進しながら、園子と銀は空中で勢いよく叫ぶ。
「「満開!!」」
空中で船と獣が再び顕現し、志騎は白銀の霊力を纏い、炎を纏った怪物達を蹴散らしながらレオ・バーテックスに突撃する。
「どいてぇええええええええええええええええええええええええっ!!」
「どけぇえええええええええええええええええええええええええっ!!」
突撃する三人の前に、さらに怪物達が殺到する。だが今の三人の前にはそんなもの障壁にもならず、さらに志騎がスマートフォンを手にするとアイコンをタップしてドライバーにかざす。
『セフィロティックストライク!!』
胸部の十個の円形が光り出し、十の光が金色のラインを辿って志騎の右足へと収束。色とりどりの輝きが右足に宿り、空中で跳び蹴りの体勢になると背中から十の光がまるで翼のように噴出される。
その勢いのまま園子と銀の突撃、そして志騎の蹴りがレオ・バーテックスに直撃。目も眩む莫大な閃光が辺りにまき散らされる。
「ここから、出ていけぇえええええええええええええええええっ!!」
「ぶっ飛べぇええええええええええええええええええええええっ!!」
「はぁああああああああああああああああああああああああああっ!!」
三人の凄まじい気迫と共に、レオ・バーテックスの巨体が凄まじい速度で後ろへ押し返されていく。そのまま三人は、ついに樹海の壁へとぶつかってようやく動きを止めた。
これで終わり……と思われたが、三人の目に壁の外へと飛んでいく三角錐が見えた。半壊している所を見るとダメージは与えたようだが、破壊するには至らなかったらしい。三角錐は壁と外の境目まで来ると、まるで見えない壁を通過するように消えてしまった。
「逃がすか!!」
「待て!!」
「おい、外はウイルスが……!」
志騎は空間を操作している上にバーテックス・ヒューマンなので心配は無いだろうが、神の力を身に纏っているとはいえ二人に何の影響もないとは言い切れない。追おうとする銀と園子に志騎が呼び止めようとするが、二人の耳に入っていないようだった。仕方なく志騎は飛行して二人の後を追おうとすると、突然園子と銀が苦しそうな表情を浮かべ、次の瞬間壁の根へと落下した。
「銀! 園子!」
志騎が壁の根へと着地し、二人の様子を見る。園子は苦しそうに息を吐き、銀は腹に手をやっている。
「一瞬心臓が止まったかと思った……」
「アタシも……何か、急に体の中が痛くなって……」
「二人共、ここにいろ。あのバーテックスはもう死にかけだし、俺でも倒せる」
満開をした以上、二人にはまた何らかの異常が起こっているはずだ。しかし二人を首を横に振ると、
「だ、大丈夫大丈夫。ちょっとくらっとしただけだから……」
「うん、急ごう。ここで逃がしちゃったら、わっしーの頑張りが無駄になっちゃう……」
「二人共……」
無理やりでも引き止めたいが、二人共ここで引き下がるような性格ではない。仕方なく志騎は歯噛みすると、二人と一緒に壁の外へと向かう事にする。いざという時は、自分が二人を無理やりでも壁の中へ連れてくれば良い。
そして三人は、生まれて初めて壁の外に出た。
「………っ!!」
「……何、これ」
「………分かんない。何なんだよ、これ……!!」
目の前に広がる光景を見て志騎が息を呑み、園子が呆然とした声を上げ、銀が動揺を露にして言う。
彼らが目にしたのは、炎だった。
いささか分かりにくい表現になってしまうが、それほどまでに非現実的すぎる光景であると同時に、そうとしか表現できない光景なのだ。
目の前一体に炎が広がり、地平線はおろか空までもが赤く塗りつぶされている。三人が立っているのは輝く神樹の形をした結界であり、それ以外は全て炎に支配されていた。こうして立っているだけで熱風が三人の頬を撫で、普通の人間が入ったら一分も持たないだろう。
「ねぇ、二人共……あれってもしかして……バーテックス?」
震える銀の視線の先には、自分達が今まで戦ってきたバーテックスが複数体いた。体色は炎と同じ赤色なので今まで戦ってきたバーテックスとは違うのかもしれないが、あれがさらに成長して同じものになるのは想像に難くない。
次に三人の目に飛び込んできたのは、ついさっきここに逃げ込んできた三角錐だった。三角錐にあの白い怪物達が次々と群がり、体を形成していく。それはまるで死にかけの人間にたかるウジのようで、銀は
思わず吐き気をこらえるように口元を抑えた。
二人が呆然と立っていると、志騎が一歩前に踏み出した。
「………志騎? どうしたんだ?」
彼の様子を心配した銀が彼に声をかけると、志騎はポツリと言った。
「……知ってる」
「え?」
「……俺は、ここを知ってる……」
そう言って、志騎は目を見開きながら自分の頭に手をやる。
そうだ。自分はここを知っている。
いや、正確には自分ではない。
自分の中の、バーテックスの細胞が、ここを知っている。
「そうだ……。俺は、俺達は、ここで生まれたんだ……。ここが全てのバーテックスの始まりの場所……」
「し、志騎!! どうしちゃったんだよ!? 志騎!!」
突然そのような事を言い出した志騎を銀が今にも泣きだしそうな声で落ち着かせようとする。次々襲い掛かる予想外の事態に、流石の彼女も耐え切れなくなってきているのだ。
一方、志騎の言葉を聞いた園子は震える手で自分の胸に手をやる。
通常なら伝わってくるはずの心臓の鼓動は、伝わってこなかった。
(……ああ、そっか。私、分かっちゃった)
今の志騎の言葉。目の前に広がる炎の世界。消えてしまった自分の胸の鼓動。
それら全てから、園子はこの世界と自分達が今までいた四国の真実を知った。
だが、ゆっくりしている暇などは無い。
ここは、四国とは違う、人間の生存が許されぬ世界。
三人に、白い怪物----『星屑』が、一斉に襲い掛かった。
力を使い果たし、石化した根の上に少女はいた。
彼女の周りは先ほどの激戦のせいで荒れ果てており、最初に見た神秘的な雰囲気は微塵もなく、ただ寒々とした風景だけが横たわっている。
荒く息をつきながら、少女は辺りを見回す。
「街は……!?」
自分が普段住んでいる街を探そうにも、何もない。右手には、
わけが分からず、少女がしゃがみ込んでいると、どこから見知らぬ声が少女に向かってかけられた。
「わっしー! 大変!」
上を見ると、槍を持った少女、斧を持った少女、剣を持った少年が自分目掛けて降ってきた。三人の少年少女達----園子、銀、志騎は少女の目の前に立つと、園子が焦った声音で少女に言う。
「大変なんだよ、壁の外がね……!」
しかしそこまで言いかけた所で、園子はある事に気づく。
少女のまなざしは、友達を見るようなものでは無く、まるで初対面の人間を見るかのような不審と困惑が入り混じったものである事に。
「誰……ですか?」
「え……?」
「は……?」
「………」
少女の口から飛び出した言葉に園子と銀は言葉を失い、志騎は彼女が満開で失ったものに気づき唇を噛み、拳を強く握る。
「な、何言ってるんだよ須美。アタシだよ! 銀だよ!! アタシ達、ずっと一緒だったじゃんか!! ずっと友達だって言ったじゃんか!!」
「な、何を言ってるんですか!! あなた達なんて知りません!! それより、ここはどこなんですか!? クラスのみんなを、私の家族はどこに行ったんですか!? ……もしかして、あなた達が何かしたんですか!?」
「わっしー!!」
突然自分に向かってわけの分からない事を話す銀に少女は警戒を露にした声で叫び、それに銀が絶望的な表情を浮かべ、園子が血を吐くように叫ぶ。
そして、状況をさらに悪化させるものが現れる。
壁の外から体を真っ赤に発光させた怪物----バーテックスが、一斉に姿を見せる。今まで志騎達が倒してきたものに加え、つい先ほど苦戦したレオ・バーテックスの姿も見える。……これほどの数を倒すために、どれほど満開を繰り返し、どれほど傷つけば良いのか、全く見当もつかない。
現れたバーテックスに少女が怯えた表情を浮かべ、銀と園子は立ち尽くし、ただ一人志騎は拳をこきりと鳴らし迎撃の意思を示す。まるで、今から自分の中の感情を一気にぶつけようとしているかのように。
銀と須美は一度目を閉じると、須美の前にしゃがみ込み彼女に優しく語りかけた。
「大丈夫。あとは私達が何とかする!」
「さっきはごめんね。わけ分かんなくて、混乱させちゃったよね。でも大丈夫。お前は、アタシ達が絶対に護るから」
まるで自分を安心させるように笑う少女達に、つい先ほどまで警戒していた少女の中から急速に疑いの感情が消えていく。園子は少女の右手に丁寧にリボンを着けながら、
「私は乃木園子」
「アタシは三ノ輪銀。で、あっちは幼馴染の天海志騎」
そしてリボンを着け終えると、優しい口調で園子は少女の名前を告げた。
「……で、あなたは鷲尾須美。四人は友達だよ。ずっ友だよ。……私達は死なないから。また会えるから。だから……ちょっと行ってくるね」
そう言って園子をバーテックス達をまっすぐ見据え、銀も左手で斧を構え、志騎はブレイブブレードを握る。三人に少女は手を伸ばそうとするが、急に体が重くなっていき、やがて少女の意識は闇に沈んだ。
「……ミノさん、あまみん」
「どうした? 園子」
「用件は手短にな。ちょっと骨が折れそうだ」
園子の言葉に志騎と銀が言葉を返すと、園子はぐっと湧き上がる悲しみを抑え込みながら、
「私、忘れないから! わっしーの事も、ミノさんの事も、あまみんの事も! 誰一人忘れたりなんかしないから! だから……一緒に帰ろうね! 約束だよ!」
「……ああ!!」
「……当たり前だ」
誓いを新たにし、三人は目の前のバーテックスの軍勢を睨みつけると、一斉に跳躍する。
「「満開!!」」
空中で園子と銀の両名が満開し、巨大な霊力で身を包んで突進する。
たった三人とバーテックスの軍勢による、絶望的な戦いが幕を開けた。
もう何体倒したか、正直数を数えるのも面倒になってきた。だがそれでも、三ノ輪銀は斧を振るのをやめない。満開を繰り返し、満開が解除されて何かを失ったら斧を振るい、ゲージが溜まったら再び満開を行う、その繰り返し。その過程で両目は光を失い、両腕は感覚が消え、内臓の機能はほとんど死んだ。もうはっきり残っていると分かるのは、右耳の聴覚ぐらいだ。何回満開をして、どれほど敵を倒し、何を失ったのか分からない。
彼女の中にあるのはただ一つ。絶対に四人一緒に帰るという強い感情のみ。
なお、園子はついさっき力を使い果たし、自分と同様体機能のほとんどを失った彼女を須美の横に寝かしてやった。彼女からは気を付けてねという言葉と、志騎にパンプキンパイ楽しみにしてるからねという伝言を請け負っている。それにくすりと笑いながら、銀は再びバーテックス達を屠り続ける。
ボロボロになりながら何体かのバーテックスを倒すと、ようやく一区切りなのかバーテックスの気配が周囲から消える。銀は追加された装備でよろよろと地面を歩きながら、ふぅと息をつく。まだここで安心するわけにはいかない。もう敵を全部倒したという保証はどこにもないのだから。とりあえず再びの襲来までに、体力を回復しとかなければならない。
ふらふらと銀が歩いていると、どん、と誰かにぶつかってしまった。悪いと思いながらも、銀は口元に思わず笑みを浮かべてしまう。自分以外に残っている人間など、もう一人しかいない。
「……あれ。志騎か。へへ、ごめんね。ちょっと疲れちゃって……」
ぶつかってきた自分に志騎が口を開こうとする気配を感じたが、自分の視線がどこかに向いてしまっている事に気づいたのか、志騎が困惑した様子で聞く。
「……銀。お前、まさか……」
「ああ。両目やっちゃったらしくてさ。何も見えないんだ。右耳はどうにか聞こえてるけど、それ以外はまったく……。あはは……キッツいなぁ……。これじゃあジェラート食べても味分かんないし、金太郎を抱っこも出来ないよ……」
この状態で帰って何ができるんだろうという想いはあるが、生きていればそれでいい。生きていればまた園子や須美と話せるし、志騎とだってどこへでも行ける。ああ、そういえば志騎とまだデートに行けてないなぁと思う。帰ったら、須美と園子にその事を話さなければ。須美は記憶を失ってしまっているので、まずはそこからだ。
「何体倒した、志騎」
「面倒だから途中から数えてない」
「あはは、アタシも」
寄り添いながら、銀は声をあげて笑う。両目が見えないので彼がどのような表情を浮かべているかは、分からない。
「園子はついさっきリタイア。パンプキンパイ楽しみにしてるってさ」
「……阿呆め。こんな時に言う事じゃないだろう」
「それだけお前の料理が楽しみなんだよ。良い事じゃん。アタシなんてもう、料理できないしさ」
「………」
「黙るなよー。料理できなくても、お前の料理を食べる事ぐらいはできるしさ。でも両手使えないから、食べさせてくれない?」
「いちいちお前に食べさせるのは面倒なんだが……」
「アタシは怪我人だぞー? 労われよー」
「お前のような元気が良すぎる怪我人がいるか、馬鹿」
ぺちり、と自分の額に彼のデコピンが当たる。
ああ、彼のこの呆れたような声も、仕草も、全てが愛おしい。こんな時にこのような事を考えてしまうのは自分でもどうかと思うが、好きなのだから仕方ない。
本当なら、ずっとこうしていたい。だが、そういうわけにもいかない。
須美と園子と他愛のない事でずっと笑い合って、大切なこの人と寄り添って生きていく。これからも四人で過ごし、志騎と生きていくためにも、ここで全てを投げ出したくないのだ。
もぞり、と志騎が横で動く感じがした。恐らくバーテックスが来たのだろう。そのような気配が遠くで生まれるのを自分も感じたのだから。
「よし、行くか!」
「………ああ」
志騎が返事をして立ち上がり、銀もそれに続いて立ち上がろうとする。
四人の未来のためにも、もうひと踏ん張りだ。
と、そう考えた時。
突然衝撃が銀の首筋に走り、体が急激に力を失っていく。
(あれ?)
銀は声を出そうとするが、声が出ない。指も動かず、ただ体勢を崩して地面に崩れ落ちそうになる。
まさか、敵襲? そう考えて志騎に注意を促そうとするが、唇はまったく動かなかった。
動けない、志騎一人、勝てない、帰れない、逃げて、勝って、帰ってきて、あとは頼む。そんな矛盾した思考が銀の脳内を埋め尽くし。
三ノ輪銀の意識は、闇に包まれた。
「………」
倒れた銀の体を優しく支えながら、志騎は銀の後ろに目をやる。
そこには、大赦の黒い神官服に身を包んだ女性----氷室真由理の姿になった刑部姫が、手を手刀の形にして佇んでいた。彼女は志騎をジロリと見ると、
「これで良いのか?」
「ああ。助かった」
そう言って志騎が銀を刑部姫に手渡すと、彼女はちっと舌打ちし、
「どうして私がこんな小娘を……」
「こんな時ぐらい、俺の言う事を聞いてくれよ。頼むから」
志騎の表情は、真剣そのものだった。それからバーテックスがやってくる壁の方に視線を向ける。
壁の向こうからは、新しいバーテックスの大群がこちらに向かってやって来ていた。やってくる大群を見ながら、刑部姫言った。
「不思議だったんだ。前に戦ったバーテックスは強化されてたのに、今回のバーテックスは修復されてはいたけれど強化されてなかった。……でも、考えてみれば話は簡単だった。一体のバーテックスを強化したとしても、俺のセフィロティックフォームは再生能力を阻害する。それだったらその分の力を数を増やす方に使った方が、効率が良い」
「…………」
「あいつらの狙いは、俺だろ?」
志騎が刑部姫に尋ねると、彼女は髪の毛をくしゅくしゅと掻きながら、
「……きっかけがお前である事は否定しない。バーテックス達の親玉----天の神は、これまでのバーテックス達とお前達の戦いを観察した結果、お前が神の眷属たるバーテックスの細胞を使って作られた事に気づいた。それだけでも我慢ならないのに、お前は天の神に寝返らず人間の味方をし、さらには神に至る可能性を秘めたセフィロトの樹の力を手に入れた。それで奴は完璧にぶち切れた」
「で、裏切り者である俺もろとも目障りな人類を殺しつくすために、ここまでのバーテックスを揃えたってわけか……」
「言っておくが、例えお前がいなくても天の神は人類を殺しつくそうとするぞ。お前のせいじゃない」
「はは、お前にしちゃ随分優しいな。なんだ、悪いもので食べたか?」
「----お前が命を捨てる理由にはならないと言っているんだ」
刑部姫の言葉を聞いた瞬間、志騎の動きが止まる。二人はしばらくの間黙っていたが、先に口を開いたのは志騎の方だった。
「----なぁ、刑部姫。銀達は怒るかもしれないけどさ、俺は自分が生きてて良い存在だなんて一度も思った事は無いよ」
「………」
「バーテックスは、世界のほぼ全員を殺しつくした。自分はやってないから関係ないとか、知らないから関係ないとかいう話じゃないんだ。バーテックスが犯した罪は一生背負わなくちゃならないし、許されていいものでもない。だってそうしたら、バーテックスに殺された人達の想いはどうなるんだ。……俺達が犯した罪は、重すぎる」
静かに話す志騎に、刑部姫は何も言わなかった。ただ黙って、彼の話に耳を傾けている。
「それにさ、『満開』っていうのは要するに大きな力を得るために何か代償を払うシステムなんだろ? 俺、三人が記憶や視力、味覚を失うのを見てさ、怒るのと同時にどこか納得してたんだ。『ああ、そうだなよぁ』って」
「………」
「分かるだろ? 結局は俺もバーテックスと同じなんだ。犠牲が無ければ良いとは思ってるけど、そんな事は出来ないって心のどこかで思ってる。結局何かを成し遂げるためには、犠牲を払う必要があるって冷たい考えが頭の片隅にある。結局俺は、人のふりをしたバーテックスでしかないんだよ」
そう言うと志騎は刑部姫が抱える銀の頭に手をやり、優しく撫でながら、
「でも、こいつらは違う。犠牲なんてない方が良い、犠牲なんて絶対に出さないって心の底から思ってる。他人の幸せを本当に願う事ができる、本物の勇者なんだ。………俺のような化け物とは違うんだよ。だから、こいつらには生きていて欲しいんだ。----例え、どのような代償を負ってしまったとしても」
一方、刑部姫は銀を冷たい視線で見下ろしながら、
「……帰った所で、こいつらはもう普通の生活なんてできない。大赦の管理下で、一生祀られる事になるだろう」
「それでも、幸せを見つける事はできるはずだ。どんな状況であっても。……ま、俺のエゴかもしれないけどな」
「こいつらの幸せ、か。そんなあるか分からないもののために、お前は命を捨てるのか?」
刑部姫の問いかけに、志騎は迷いなんて一切ない表情で返した。
「そのために、命を懸けるんだよ」
二人はしばらく見つめ合うと、刑部姫がため息をついて銀をまるで荷物でも扱うように片腕に抱えた。
「……それがお前の意志なら私は何も言わない。ここでお別れだ。何か言い残す事は?」
「特には……。あ、そうだ。俺の部屋の机の引き出しに指輪が入ってるから、銀に渡しておいてくれ。そいつにもらったものなんだ」
「指輪ぁ? そんな洒落たものをもらってたのか」
「結局、もったいなくてつけられなかったけどな」
何故か機嫌が悪そうな表情を浮かべる刑部姫に、志騎が苦笑を浮かべる。
「……分かった。渡しておく。他には?」
「ない。残された人を悲しくさせるだけだからな。言葉は残したくない。……でも、そうだな。刑部姫」
「何だ?」
刑部姫が振り返ると、志騎は彼女の顔をまっすぐ見据えた。
「短い間だったけど、ありがとうな。色々苦労させられたけど、お前との生活は案外悪くなかったよ」
「--------」
刑部姫は驚くように目を見開くと、それを隠すように後ろを向くとふんと鼻を鳴らす。
「……なぁ、志騎」
「何だよ」
「お前はさっき何かを成し遂げるためには、犠牲を払う必要があると言ったな。それに関しては私も同意見だが、お前は違う。確かにお前は何かを成し遂げるためには犠牲を払う必要があると考えているかもしれないが、大赦の奴らや私と違ってそれを良しとして受け入れてない。そうするしかないと思ってはいるが、本当にそれしか手が無いのか、他に何か手があるんじゃないかと、苦悩しながら最後の最後まであがく事の出来る奴だ。----私のような、人でなしとは違う」
普段の彼女らしくない言葉に、志騎は思わずぷっと吹き出し、
「何だよ、それ。もしかして励ましてるのか?」
「まぁ、な」
「そっか。……うん、ありがとう」
「礼などいらん。……じゃあな」
「ああ」
そう言って刑部姫は、銀を抱えて飛び去って行った。彼女の背中を見ながら、志騎は目を閉じて四国にいる大切な存在に思いを巡らせる。
街で出会った人々、学校のクラスメイト達、安芸、刑部姫、須美、園子、銀。一つ一つの顔を思い出しながら、志騎はゆっくりと目を開ける。
「須美」
友達の名前を呼ぶ。
「園子」
まるで、大切な宝物を、一つ一つ確認するように。
「----銀」
三人のかけがえのない友人の名前を口にした志騎は、最後に笑顔を浮かべた。
悲しみのかけらもない、あまりに純粋すぎる、太陽な笑顔を。
「さよなら!」
そして、志騎は一人バーテックスの大群に向かって走り出す。右手にブレイブブレードを、左手に白銀の霊力で生成された、銀が手にしていた白い斧を手にし、迫りくるバーテックスを迎え撃つ。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
両手の武器に白銀の霊力を纏わせ、迫りくるバーテックス何体かと星屑を蹴散らす。たった一人の志騎目掛けてサジタリウス・バーテックスが大量の矢を浴びせかけるが、それらの矢は志騎の目の前で止まり、お返しと言わんばかりに志騎はブレイブブレードをぶん投げる。高速回転する剣はサジタリウス・バーテックスを貫くと、さらに何体かの星屑を粉砕しながら志騎の手元に戻ってくる。
ブレードを一度腰のホルスターに戻すと、白銀の弓を生成。一度斧を消して矢を生成すると、右手を離して矢を放つ。強力な霊力で構成された矢は次々と星屑を倒していくが、キャンサー・バーテックスの六枚の盾を貫いた所で消失し、キャンサーバーテックス本体を倒すには至らなかった。すぐに体勢を立て直し右手に白銀の槍を生成すると、キャンサー・バーテックス目掛けて投擲。雷のような霊力を辺りに放出して星屑達を倒しながら、キャンサー・バーテックスに直撃、粉砕する。
「はぁ……はぁ……本当にきりがない……!」
何体かを倒したものの、バーテックスと星屑はまだ数えきれないほどいる。おまけに先ほどから銀達と一緒に戦い続けていたため、体力も限界に近づいていた。
だから、一瞬油断してしまっていた。
「ぐっ!?」
突然右肩に激痛が走り、確認するとサジタリウス・バーテックスの光の矢が一本突き刺さっていた。よく見てみると、背後には三体のサジタリウス・バーテックスの姿が確認でき、背中には大量の矢が空中で停止している。だが完全に停止しているわけではなく、ゆっくりとだが確実に志騎の背中に近づいていた。
「くそっ!」
自分に毒づくと、肩に刺さった矢を抜いて放り捨てると、肩の傷が再生されていく。
(疲れのせいか、能力の制御が上手くできなくなってきてるのか……!)
いかにセフィロティックフォームが強力でも、それを扱う志騎の体力が無限にあるわけではない。大量のバーテックスの戦闘で集中力が切れ始め、そのせいで能力の維持ができなくなりつつあるのだ。
追い打ちをかけるように、志騎に無数の矢が発射され、能力でそれらを押しとどめる。が、さらにアクエリアス・バーテックスの水、ヴァルゴ・バーテックスの爆弾、さらには星屑までもが突っ込んできて志騎の能力を阻害しようとしてくる。平常時ならどうにかなるだろうが、体力・集中力が切れかかっている今の状態では防ぐ事すら危うい。
どうにか能力を全開にして攻撃を全力で防ぎ、高速でサジタリウス・バーテックスに接近して体に手を当てる。次の瞬間から手から巨大な白銀の刃が生成された巨大な体を貫き、さらに一気に剣をぶん回して周りにいたバーテックスを薙ぎ払う。さらに左手に炎を宿すと近くにいた星屑の体を貫き、その勢いのまま業火を放出、後ろにいたバーテックスと星屑を焼き尽くす。
息をついてさらにバーテックスを倒そうとするが、志騎の腹に何かが勢いよく突き刺さった。
「がっ!?」
その勢いのまま志騎は樹海の根へと叩きつけられ、体中を激痛が襲う。後ろを振り返ると、スコーピオン・バーテックスの鋭い針が自分の腹から抜けるのが見えた。
「まずい……能力の維持が……。いや、それよりもまずは回復を……」
空間操作の能力ができなくなった所に毒針の一撃を食らってしまい、志騎の視界が一気に暗くなっていく。毒はセフィロティックフォームの能力で解毒できるが、ここまで大きい傷だと再生に少し時間がかかる。そして、目の前の星屑達はそれを見逃さない。まるで死体にたかるハイエナのように、大量の星屑の口が一斉に襲い掛かってくる。
「ああ、くっそ………!!」
まだ動けない志騎がどうにか右腕を動かしてスマートフォンを出現させ、左手で何かを取り出した直後、彼に一斉に星屑が食らいつく。大量の星屑で志騎の姿が見えなくなり、目の前の餌を星屑が咀嚼し一気に食らいつくそうとしていたその時。
音声が、星屑達の中から響いた。
『WARNING! WARNING! This is not a test!』
『アンコントロールモード! キリング・ブレイブ!』
星屑達の下から業火が天まで上り、たかっていた星屑達を焼き尽くす。やがて星屑達が消えると、炎の柱の中から手甲と具足を装着し、背中から漆黒の翼を生やした志騎が両目に赤い幾何学模様を浮かべ、漆黒と血のような赤を基調にした勇者衣装を身に纏って現れた。彼が手にしているスマートフォンには、キリングトリガーが接続されている。
酒呑童子と大天狗。それが志騎が今宿している精霊の名だ。
比類なき力の権化であり鬼の王である酒呑童子。神にも比肩する大妖怪であり、天上世界を一夜にして灰燼に帰した魔縁の王、大天狗。大赦の知る精霊の中でも極めて強力で、危険な精霊。そんな精霊を二体宿し、兵器と化した志騎は翼を大きく広げると、バーテックスの大群の中を一気に突っ切る。どうやらキリングフォームに関しても刑部姫が改良を施したらしく、それだけで周りのバーテックスが一斉に炎上し、核ごと焼き尽くされ灰へと変化する。
アクエリアス・バーテックスが水のレーザーを放つが、レーザーは志騎に届く前に蒸発し、自分に攻撃してきた愚かな獲物に狙いを定めた志騎は左手を向けると、左手から地獄の業火と呼べる極太の炎のレーザーを発射してアクエリアス・バーテックスだけでなく周りの星屑やバーテックス、さらにレーザーを横薙ぎに振るって一帯のバーテックスを消滅させる。あまりの高熱に空気が熱されたためか、その辺の光景が歪んでみる。
それほどの攻撃を生み出した代償として左腕の肘から先が消滅していたが、すぐに再生され手甲を纏った左腕が元の姿になる。さらに右腕の拳を前に突き出し炎を纏わせると、近くにいたバーテックスに次から次へと突撃しその数を一気に減らしていく。高速で動く志騎にはさすがのバーテックスの攻撃もとらえきれず、なす術もなく化け物はより強い化け物へと蹂躙されていった。
無論、リスクがないわけではない。攻撃のたびに志騎の全身の皮膚は火傷でただれ、無理な空中機動で内臓と脳は壊れ、凄まじい攻撃力に両腕の骨は耐え切れず砕かれていく。常人ならばもうショックで死んでしまってもおかしくないほどの痛み。しかしただれ、壊れ、砕かれていくたびに志騎の体は再生される。そもそも、キリングフォームの志騎は再生能力が限界まで高められているため、例え脳や心臓を貫かれても再生する。今の彼を殺すには、遺伝子の欠片も残さないほどの攻撃で全身を消し去る必要がある。
痛みなど感じず、目の前の敵がいなくなるまで止まる事無く戦い続ける。兵器として生まれた本分を果たすように。
地獄の業火が人を殺す怪物を焼き、翼を生やした兵器が飛び回り、世界を赤く染め上げる。それはまるで、世界の終わりを示すような光景だった。
そして志騎が左拳に力を入れ、大規模な炎による攻撃を放とうとすると、攻撃の溜めを狙ってアリエス・バーテックスが電撃を放つ。当然攻撃を食らっても志騎が死ぬ事は無く、気にする事無く左腕で狙いを定めて先ほど放った極太の炎のレーザーを放つ。
が、それは囮だった。それを狙ったかのように別の方向にいたピスケス・バーテックスがガスを志騎に放つ。ピスケス・バーテックスのガスには引火性があるのはこれまでの戦いですでに明らかになっている。このガスに炎が当たれば、結果はまさに火を見るより明らかだった。
ガスに引火した事で大爆発が起き、志騎の体を大爆発が襲う。戦闘服は焼き焦がされ、羽はボロボロになり、全身は酷い火傷を負い、地面へと落下していく。そんな最中でも体を高速再生しながら反撃をしようと空中で体勢を立て直しスマートフォンを出現させるが、させないと言わんばかりにスコーピオン・バーテックスが尾による薙ぎ払いを放り、尾は志騎のブレイブドライバーと左手にあったスマートフォンに当たる。
刑部姫の技術によるためか完全に破壊される事は免れたものの、ダメージを受けたドライバーとスマートフォンは火花を散らしながら志騎の体から離れ、志騎と一緒に落下していく。やがてドライバーとスマートフォンは花びらと共に、空中から消えていった。
変身の源が消えた事で志騎の体は花びらが散ると共に変身が解除され、元の神樹館の制服姿に戻る。そして地面に思いっきり叩きつけられ、自我が戻った志騎は体を思いっきりしかめた。
「……あー、くそ。体が痛いしだるいし……。骨が何本か折れたなこりゃ……」
キリングフォームを使った反動で体が猛烈にだるいが、不幸中の幸いと言うべきか骨が折れた事による痛みでどうにか意識を飛ばす事は免れた。
とは言っても、状況は変わらず最悪だ。倒れている志騎にバーテックス達がとどめを刺そうと群がってくる。キリングフォームのおかげで数は大分減らせたが変身不可能、満身創痍と笑ってしまいそうなほどに絶望的な状況だ。
なのに、志騎の顔に絶望の色は無い。
そもそも、生きて帰ろうなどという思考は彼には無かった。
刑部姫と別れたあの瞬間に、生きて帰るという方法を捨てた。
嘆きも悲しみもしない。いつか来るだろうなと思っていた時が来ただけだ。
自分の罪を自覚し背負うと決めたあの時から、人並みの幸せも、真っ当な死に方も、全て諦めた。自分のような存在が、そんな事を望んではいけないのだとすら思うようになった。
しかし、そういった事を諦めたというのならば、どうして自分は今ボロボロになって必死に戦っているのだろうか。ここでバーテックスを全て倒したとしても、一時の時間稼ぎにしかならないというのに、どうして。
そんなのは決まっている。
四国で自分が出会ってきた人達。自分達を応援してくれた神樹館のクラスメイト。自分を兄のように慕ってくれた、鉄男と、まだ幼い金太郎。育ててくれた安芸。自分を作り出した刑部姫----氷室真由理。かけがえのない友達となった須美、園子。
そして、銀。自分の幼馴染。いつも太陽な笑顔を浮かべて、いるだけで誰かを笑顔にする少女。
例えエゴであっても、彼女達には生きていて欲しい。
例え自分がそばにいなくなっても、幼馴染の少女には幸せであってほしい。
だから、戦う。
ここで命を散らす事になっても。
自分の行いが全て無駄になるかもしれないとしても。
彼女達の幸せと平和のために、戦うのだ。
「ま、あいつらとの約束に嘘をつく事になるだろうけど……」
きっとこんな事を知ったら三人は悲しむだろう。怒るだろう。
彼女達を悲しませるのは不本意だし、あの太陽のような笑顔が似合う少女を泣かせてしまうのは本当に辛い。
でも、許してほしいと思う。
これが、自分にとっての最後の嘘だから。
身勝手だと自分でも思うが、どうか自分の事など忘れて幸せになってほしいと思うから。
例え嘘をついてでも戦うと、少年は決めたのだ。
「……勇者は根性、だよな。銀」
呟きながら自分の右腕だけを異形の右腕に変化させると、純白の大刀が右腕から生成される。軽く振って感触や刃渡りを確認すると、右腕だけを元に戻して目の前に迫りくるバーテックス達を見る。
「……考えてみれば、お前達も哀れだよな」
意志もなく、感情も無く、ただ命じられるがままに人間を殺す兵器。
自分もこうなるかもしれかったと思うと、不思議と憎しみや怒りではなく、同情すら湧いてくる。
「でも、悪いな。お前達は俺には勝てないよ。……知ってるか? 命って、すごく温かくて重いんだ」
志騎は思い出す。
銀に三ノ輪家に誘われた日。抱いた金太郎の笑顔を。そして、あの命の重さと温かさを。
「……あの温かさと重さを知らないお前達に、俺が負けるはずがないんだよ!!」
大刀を構え、志騎はバーテックスへと突っ込んでいく。迎撃するようにバーテックス達が次々と攻撃を加える中、志騎は体中から血を流しながらバーテックスの力を発動、大きく跳躍し体を回転させながら大刀を振るった。
一時間後。
樹海化が解除され、戦闘が終了した事を知った大赦は戦闘の現場に何人かの調査員を派遣する。
四人の勇者とバーテックスの激闘が起こった大橋は完全に破壊され、死者四名、重傷者多数という未曽有の大事故となった。だが大赦のある科学者によれば、今回襲撃したバーテックスの規模と四人の戦力から考えるとこれでも被害は最小限らしく、最悪これ以上の死者が出てもおかしくはなかったとの事だった。
三名の勇者、鷲尾須美は記憶を失った状態で保護され、乃木園子、三ノ輪銀の両名は体機能のほとんどを失った状態で保護され、意識はまだ戻っていない。
そして、勇者でありバーテックス・ヒューマン、天海志騎は樹海化が解除された後も見つからなかった。戦闘中に生命反応が消失した事、半壊し機能停止したブレイブドライバーと彼のスマートフォンが科学者の研究室に転送されてきた事から、大赦は天海志騎をお役目中に死亡したものと判断。万が一のために現場を捜索したものの生存者らしき人物は確認できず、また彼の存在・処遇について考慮し、捜索を打ち切ると共に、天海志騎の告別式などは一切行わない事を決定。
こうして、四人の勇者とバーテックスの、後に『瀬戸大橋跡地の合戦』と呼ばれる戦いは、終わりを告げた。
今回襲撃したバーテックスの総数は、原作で園子が戦った数よりも多い設定になっています。今回は三人で相手をした事を、志騎の存在がバレているため天の神が怒り、それで完全に人類を叩き潰そうとバーテックスの数が多くなりました。
ここまで来るのに一年弱もかかっていまいました。次はついに今章のエピローグになります。