天海志騎は勇者である   作:白い鴉

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皆様、大変お待たせしました。最近本当に忙しかったため、四ヶ月ぶりの投稿になってしまいました。文章もそこそこ長いですが、楽しんでいただけたら幸いです。


第五十四話 友奈とタタリと銀の覚悟

 

 刑部姫が東郷が友奈の家に忍び込んでいるのを発見した後、友奈の部屋であるものを発見した東郷はその足で風と樹が住むマンションに向かった後、勇者部全員を呼び出した。

 が、友奈を除いた残り一人である志騎だけが姿を見せていない。念のために銀が志騎にチャットアプリでメッセージを送っても、既読すらつかなかった。

「銀、どう? 志騎から返事は来た?」

「……いえ、来ないです」

 風からの問いに、銀は首を横に振った。メッセージを見ていないならば電話をかけてみるというのも一つの手なのだろうが、今日の昼間に志騎と言い争いをしてしまった事を思い出すと、どうしても気まずくて彼に電話をかける事ができない。意外と女々しいな、アタシ……と銀は心の中で自嘲した。

 こうして勇者部を呼び出した以上、早く話を進めなければならない。しかしだからと言って志騎がいない状態で話を進めるわけにもいかない。勇者部が無言でいると、突然夏凜の頭上に花びらが散った。そこに現れた人物を見て、銀が驚きの声を上げる。

「刑部姫、お前、どうしてここに……」

 現れたのは志騎の精霊である刑部姫だった。しかしいつもの彼女とはどこか様子が違い、いつもニヤニヤと人を馬鹿にしたような笑みを浮かべているはずの彼女は何故か今日は険しい表情を浮かべていた。それから一同を見回して志騎以外の全員が揃っている事を確認する。

「この面子を見ると、唯一来ていない志騎を待っていたという所か」

「え、ええ。そうだけど……。あんた、志騎がどこにいるか知ってるの?」

 志騎の精霊である彼女ならば、志騎がどこにいるか知っているかもしれない。それどころか彼女は基本的にいつも彼と一緒に行動しているのだ。たまに別行動している時もあるが、彼女ならば志騎が今どこで何をしているかも分かるだろう。が、刑部姫が険しい表情を崩さぬまま風に告げた。

「志騎は今大赦がらみの急用が入っていてな。こちらには来れない。その代わりとして私がここに来たという事だ。ちょうど、監視にも引っかかったしな」

 そう言って刑部姫がスマートフォンを取り出して画面を全員に見せつけると、そこには東郷が精霊と一緒に友奈の自宅に侵入している動画が流れていた。それを見て、勇者部全員の顔が強張る。

 刑部姫は基本的に志騎の味方だが、勇者部の味方ではない。彼女が行動するのは自分のためだし、そのためならば大赦だって利用する。つまり彼女達がこうして集まっている事を、大赦に報告する事だって考えられる。六人は思わず悪い予感を膨らませるが、刑部姫は肩をすくめると東郷達の予想に反してスマートフォンを着物にしまいこんだ。

「勘違いしているようだが、私はお前達をどうこうするためにここに来たんじゃない」

「じゃあ、どうしてここに来たんだよ」

 銀が噛みつくように刑部姫に言った。自分のために動くこの精霊がこんな事を言ってもにわかには信じられないというのが銀の正直な意見だろう。それに関しては樹以外の少女達も同じらしく、怪訝な眼差しを刑部姫に向けている。刑部姫はその視線をうざったそうに見つめながら、やれやれと言うように話す。

「最近になって、どうも大赦の動きがキナ臭くてな。私に黙ってコソコソ裏で何かをしている上に、連絡の一つも無い。私も大赦に入ってそれなりに経つが、こんな事は一度も無かった。私にたてついて技術の全てを奪い取ろうとしているのかとも思ったが、それにしてもあまりに動きが目立ちすぎる。で、さらに東郷美森の不法侵入だ。ここに来れば何か分かるんじゃないかと思い、こうして足を運んだというわけだ。理解できたか? お前達の脳みそがクソなのは分かっているが、何度も説明するのは私も面倒だからどうにかして一回で理解しろよ」

 本当は東郷が勇者達をここに呼んだ理由も分かっているし、友奈がタタリにあっているのも知っているが、ここはあえて彼女達に説明はしない。その方が話が早いし、テーブルの上にある本を通して大赦の動きを手早く知る事ができるからだ。……だからついさっきの事も彼女達には話さない。少なくとも、今は。

「……じゃああんたは、今私達が集まっている事を大赦に話すつもりは無いのね?」

「お前達がクーデターでもやらかそうって言うなら話は別だが、そうじゃないなら別に話す必要はない。私はただそいつの中に何が書かれているかを知りたいだけだ。……志騎にも、情報は共有しておかないとならないからな」

「………っ」

 刑部姫から出た志騎の名前に銀が辛そうな表情を浮かべるが、刑部姫はそれを指摘するような事はしない。ただ、氷のような冷たい眼差しを銀に向けただけだった。

「さて。じゃあこうして一人いないとはいえ全員揃った事だし、さっさと話を進めてくれ。お前だって早く何があったか知りたいだろう」

「……分かってるわ。私もそのために、これを友奈ちゃんに黙って持ってきたんだから……」

 そう言って東郷はテーブルの中央にある一冊の書物に視線を向ける。彼女に続いて、他の面々も東郷が持ってきたその本に視線を向けた。

「これを友奈が書いたって事か……」

 書物には『勇者御記』と書かれていた。しかし以前園子が一同に見せたものとは違って表紙などが真新しく、新品同然である。そして何よりの違いは、東郷がそれを発見したのは友奈の部屋だったという事。つまりこれは、風の言う通り友奈が書いたものなのだ。おまけに東郷がこれを発見した当初は百科事典のカバーで隠されていて、彼女以外の誰の目にも触れられない状態となっていた。

「最近友奈ちゃんの様子がおかしかった。その原因が書かれていると思うんです」

「………っ!」

 心当たりがあるのか、東郷の言葉を聞いて夏凜が息を呑む。

「こんなもんが出てくるなんて……」

 と、東郷に続いて園子も口を開いた。

「私からも良いかな?」

「そのっち?」

「園子……」

 東郷と銀が園子に視線を向けると、彼女は普段とは違うはっきりとした口調で一同に言う。

「私もゆーゆが心配になって調べてみたんよ。最近みんなより早く帰ってたでしょ? 実は大赦に行ってたんだ」

「大赦……」

 園子の言葉を聞いて、風の声が震える。今まで彼女達が大赦から受けた事を考えれば、それも仕方ないだろう。いかにそれに、そこに悪意がこもっていなかったとしても。

「結論を先に言うと、ゆーゆの様子がおかしいのはね、ゆーゆが天の神のタタリに苦しめられているからなんだ」

『えっ!?』

 園子の発した事実に勇者部一同が驚き、声を発する。唯一刑部姫だけは眉すら動かさず、ただじっと園子の表情を観察していた。一方で、園子も刑部姫が表情を変えていないのを確認すると彼女に尋ねる。

「やっぱり、あなたも気づいてたんだね」

「ああ。一応お前達が早とちりしないように言っておくが、私がそれに気づいたのは最近だ。大赦に知らされたからじゃない。それにしても、結城友奈のタタリの事を私にも知らせないとは……。はっ、大赦の奴ら、本格的に何を企んでいる?」

 自分が大赦の完全な味方ではないのは事実だったが、それでも大赦は今まで刑部姫に隠す事無く様々な情報提供をしてきた。その彼らが東郷達にはおろか、自分にすらも友奈と志騎のタタリについて隠していた。刑部姫は口元に鋭い笑みを浮かべてはいるが、その心中は穏やかではないに違いない。

「でもそのっち、それは……!」

 特に東郷にとって、それは受け入れがたい事だっただろう。何故ならその役目は本来東郷が担うはずだったのだ。しかし勇者部が東郷を助け出した事により東郷はお役目とタタリから解放され、今こうしてみんなと一緒にいる事ができる。その、はずなのだ。

 困惑した東郷が園子に近づくが、その前に「聞いて、わっしー」と園子は静かに東郷を制すると話を続ける。

「大赦の調べで、このタタリはゆーゆ自身が話したり書いたりすると伝染する、それが分かったの。……だから、この日記は非常に危険なものなんだ。……それでも、みんな見る?」

 ここで勇者御記を見てしまったら、自分達も友奈が味わっているような目に遭うかもしれない。園子は暗にそう言っているようだった。

 しかし、それに対する答えは全員既に決まっているようなものだった。

「見るわ。友奈ちゃんが心配だもの!」

 東郷に応えるように、全員が力強く頷く。彼女達の覚悟を前にして、園子も頷くと、

「……うん。じゃあ読んでみよう。ゆーゆの御記を!」

 そして刑部姫を加えた勇者部一同は、友奈が書いた御記を開いて読み始めた。

 

 

 

 御記の冒頭は、『はじめに。』という友奈の文字から始まっていた。

 そもそも友奈がこの日記を書き始めたのは、年末に大赦の神官達が友奈の変化に気づいて家にやってきたからのようだ。事情は神託や研究を交えて知ったので、神聖な記録として残したいから勇者御記を残して欲しいと彼らは頼んできたらしい。つまりもう年末の時から大赦は友奈の事情に気づき、刑部姫にもその事は知らせないで密かに動き出していたという事だ。

 次に書かれていたのは、そもそもどうして友奈がタタリにかけられてしまったかという事だった。

 御記によると、友奈は先のバーテックスとの戦いの時に相当な無理をしたらしく、体中をほとんど散華してしまった。さらに敵の御霊に触れてしまった事で魂が肉体から分離、御霊に吸い込まれてしまった。気が付くと彼女は、東郷を助けるために向かった場所にいた。

 どこまでも広がる世界。果てなど無い世界。生命が存在しない世界。

 誰もいない世界に、友奈は一人ぼっちで取り残されていた。

 どうにかその世界から脱出しようともがいてみたが、果てが無い世界に出口などあるはずがない。魂のみとなってしまった友奈はどうする事も出来ず、その世界でうずくまるだけしかできなくなっていた。もしもそのままの状態でいたら、流石の彼女も脱出する事を諦めていただろう。

 そんな彼女を助けたのは、何もないはずの世界に現れた二つの存在だった。

 一つは、青いカラス。

 カラスは自らを乃木若葉……乃木園子の先祖を名乗り、自分にこう言った。

 生きろ。ただ生きてくれ、と。大切な人がいるのなら、その人の事を思い起こしてほしい。そして、自分の大切な人の所に必ず戻ってあげてくれ、と。

 その言葉で友奈は自分の大切な人達……東郷、風、樹、夏凜の事を思い出し、再度無の世界からの脱出を図る。しかしだからと言って都合よく出口が現れるはずがなく、再び途方に暮れかけた時、二つ目の存在が無の世界に現れた。

 それは、以前自分達に襲い掛かった未知のバーテックス――――アンノウン・バーテックスだった。

 一度自分達を圧倒した存在を相手に警戒を露にした友奈だったが、次の瞬間彼女はさらに驚く事になる。何故ならアンノウンが流暢な日本語で話しかけてきたからだ。

 アンノウン――――否、友奈を助けに来た志騎は言った。東郷は今も友奈の名前を呼んで友奈が帰るのを待ってると。よく耳を澄ませて聞いてみれば、聞こえるはずだと。

 一度目の接触の時とは違い、自分の身を本当に案じている相手の言葉を信じ、二人で一緒に耳を澄ませた。

 すると志騎の言う通り、東郷の声が聞こえてきた。涙で声を震わせ、友奈がいないという現実に押しつぶされそうになりながらも、ただ一心に彼女が返ってくるのを待っている東郷の声が。

 志騎はさらに続けた。自分も最近大切な人を泣かせてしまったと。その人を二年間一人ぼっちにさせてしまって、泣かせてしまったと。そして最後にこう言った。

 大切な人を、泣かせちゃ駄目だ。

 青いカラスと志騎。この二つの存在で、友奈の挫けかけていた心に力が戻る。

 直後、二人の頭上を青いカラスが舞ってから空間の果てへと飛んでいくと、その方向に光が生まれるのが見えた。友奈は自分を見送る志騎に再会と感謝の言葉を交わすと、カラスを追って光の方へと向かって行った。

 そして友奈は、東郷の隣へと戻る事ができた。

 が、全てが元通りに戻ったように見えたのは表面だけ。友奈達の体は、以前のものとは少し違うものになっていた。友奈を含む讃州中学勇者部の面々、そして銀と園子は散華から回復したが、それは神樹に捧げられた供物が戻ってきたわけでは無かった。大赦の調査によると、友奈達に戻ってきた体の機能は神樹に作られたものらしい。それが自分の体になるまで……言い方を変えると馴染むまで時間がかかった。体機能が戻る時間が個々で異なっていたのはきっとそのせいだろう。

 特に友奈などは、強引な満開をしたせいで体のほとんどを散華してしまい、それを直すために全身が神樹が作ったパーツになったというのが大赦の話だった。そのため現在大赦は、友奈の事を『御姿(みすかた)』と呼んでいるとの事だ。

 御姿についての詳しい詳細は友奈は教えられなかったが、大赦の一応の説明によると御姿はとても神聖な存在なので神様からは好かれるそうだ。

 だから友奈は、友奈の望んだ事が友達の代わりになる事が出来て、それで世界のバランスが守られた。

 ――――友奈は知らない。

 友奈が東郷を助けようと決めて壁の外に来る事すら天の神の思惑通りだった事を。

 最初から友奈を祟る事が目的だった事も。

 友奈の御記を銀達と一緒に読みながら、刑部姫はこの場にいない友奈の事を思って静かに目を細めた。

 それから大赦は異変に気付き、友奈の体の事について色々と調べてくれたようだ。自分には一切の情報を寄こさない癖に、と刑部姫は御記を見ながら内心で毒づく。

 大赦の調査の結果分かったのは、炎の世界がある限り友奈の体が治る事は無いという事。

 そして……友奈は、今年の春を迎えられないという残酷な運命だった。

 そのすぐ後には天の神によって祟られた友奈の苦しみ、自分が迂闊に喋ったせいでトラックに轢かれかけた風と彼女を庇った志騎に対する罪悪感が書かれていた。

 それからも友奈の御記は書かれていたが、その内容は今まで自分の身に起こった事を記していたのに対し、その日一日の出来事を書くという日記のような形になっていた。まぁ、御記というのは日記のようなものなのでそれで別に間違いはないのだが。

 が、御記には友奈の苦しみと悲しみが生々しく書かれており、それを見るたびに勇者部が顔を歪ませる。

 正月にみんなと集まった際に甘酒を飲んだが、帰宅した時に吐いてしまった事。

 吐き気は酷いものの部室にいる時は心がホワホワする事。友奈は最近、『また明日』という言葉が好きらしい。……『また明日』と約束をすれば、明日が来ると思う事ができるから。できればこの場所にずっといたいなぁと、御記には書かれていた。

 しかし、その友奈の願いを嘲笑うように天の神のタタリは強くなっていく。友奈の体はタタリに蝕まれ、自分の近づいてくる死の気配に友奈は怯えるようになった。暗いものに包まれてしまいそうという理由で、寝る時に電気を消す事を恐れるぐらいに。

 そして今日は、夏凜を傷つけてしまった。

 友奈に夏凜を傷つける他意があったわけではない。が、彼女の心を傷つけてしまったという事に変わりはない。日記には夏凜に対する謝罪の言葉と、さらに自分の苦しみと痛みと悲しみが書かれていた。まだ十四歳の少女の感情が、その日記には吐き出されていた。

 が、そこで友奈の中の、勇者としての感情が彼女の素直な気持ちに蓋をしてしまう。

 弱音を吐いたら駄目だと。自分は勇者だから、覚悟していたのだから、もう泣かないと。必死に自分を奮い立たせる結城友奈の言葉が書かれていた。

 そして、最後のページにはこう記されていた。

『とにかく、夏凜ちゃんと仲直りしたい。でも、本当の事を話せない。どうすれば良いんだろう。もう、ここでいっぱい書く。夏凜ちゃん……私、夏凜ちゃんのこと大好きだよ。夏凜ちゃん、本当にごめんね』

 夏凜への謝罪への言葉を最後にして、御記は終わっていた。

 

 

 

 読み終えた勇者部一同の間に重すぎる沈黙が広がった。あまりに衝撃的な事実に誰も口を開く事ができない。

「そんな……」

「治らないってどういう事よ……。春は迎えられない……え?」

 何かの間違いだという事を証明するように、風が呆然と呟きながらページをめくる。が、そこに書かれている内容に嘘はない。このままなら友奈は春を迎える前に、天の神によってこの世を去る事になる。 

 と、東郷が何かを決心したような表情を浮かべるとどこかへ向かおうとする。だが彼女の体を、園子と銀の二人が両腕で抱き留めて彼女の動きを抑える。

「待ってわっしー!」

「落ち着け、須美!」

「止めないで! 全て私のせいじゃない! 天の神の怒りは収まっていなかった! 私が受けるべきタタリなのよ!!」

「日記に書いてあったでしょ!? わっしーに移っても、本人は祟られたままなんだよ!」

「………そんな……」

 園子の言葉で、東郷が動きを止める。

 仮にここで東郷が友奈を助けるために何らかの行動を起こして祟られたとしても、園子の言った通り友奈は変わらずに祟られたままだ。しかもそうなった場合、二人もの人間が祟りに苦しめられる事になる。

 そんな事は、園子も銀も許容できるはずがない。

「大赦はまた……私達に重要な事を黙って……!!」

 一度ならず二度も自分達に秘密を隠した大赦に、風が今にも大赦本部に殴り込みを掛けそうな表情を浮かべる。しかし、まるでフォローするように園子が口を開いた。

「迂闊に説明すると、みんなにタタリが行くかもしれないから話さなかったんだよ。……私もそうなんだ。タタリについて正しい事が全部はっきり分かったのは、ついさっきだから」

「……大赦の方は、タタリをどうにかする方法を見つけてないのかな……」

「見つけてない、と思う。見つけてたら一刻も早くゆーゆを治療してるはずだもん」

「……大赦でも、できないのかよ」

 東郷を落ち着かせるように背中をゆっくりと撫でながら銀が悔しそうに呟く。彼女も大赦に対しては色々と思う所はあるが、それでも大赦は勇者システムなど自分達の知らない未知のシステムを使ってバーテックスとの戦いをサポートしてきた。そんな大赦ならば、何か解決策の一つでも……と少し期待していたのだが、今回限りはそれを頼る事はできないらしい。

「………っ」

 突然、全員の耳に嗚咽が聞こえてきた。彼女達が視線を嗚咽が聞こえた方に向けると、そこには両目から涙をこぼす夏凜の姿があった。

「夏凜さん……」

「ゆ、友奈が、そんなに苦しんでるのに……私、私……酷い事言っちゃった……! 酷い事言っちゃったよぉ……!!」

 そしてついに耐え切れなくなったように、夏凜は膝から崩れ落ちてしまった。彼女を介抱しようと樹が夏凜に近づくと、銀が刑部姫に尋ねる。

「おい、刑部姫……。お前なら天の神のタタリをどうにかできるんじゃないのか?」

「無理、だ。さすがに今回は私もお手上げた。一応タタリの術式を解析してみたが、あれは人間ではどうあがいても理解できん。あれならまだバーテックスの遺伝子の解析の方が簡単だった。……あれを解呪できるのは、あの術式を作った天の神だけだ」

「……お前でも、無理なのかよ……」

 最後の頼みの綱すらも絶たれ、勇者部の間に絶望的な雰囲気が漂う。誰も友奈を助ける方法を考える事ができず、何もできない。夏凜の嗚咽がリビングに響き、一同の間に再び重い沈黙が広がり始める。

「――――もしも」

 と。沈黙を破ったのは後頭部に両手を回して椅子に座り込んでいた刑部姫だった。全員の視線が刑部姫に注目すると、刑部姫はこう言った。

「もしも、結城友奈を確実に助ける方法が一つだけあると言ったら、お前達はどうする?」

「っ!!」

「本当!?」

 するとその瞬間勇者達は色めき立ち、刑部姫の椅子の横に集まると夏凜が叫ぶように刑部姫に尋ねた。

「本当に、友奈を助ける方法があるの!?」

「ああ。ある。それも一か八かの賭けじゃない。確実に、結城友奈の命を助ける事はできる」

 刑部姫の断定的な言葉に勇者部の表情に希望が生まれかけるが、刑部姫の性格をよく知っている銀が疑わし気な視線を彼女に向ける。

「って、待てよ。お前今タタリの解呪は無理だって言ったじゃん」

「解呪は無理だ。だが、それ以外の方法で結城友奈を助ける方法が一つだけある。確実に、しかも奴の体には何の後遺症もなく」

 はっきりと断定され、ついに勇者部の少女達の顔に希望が宿る。友奈を助ける方法が一つだけとはいえあり、しかもそれが友奈には何の後遺症もないというのだから、喜んでも仕方ないだろう。

 ――――だからこそ、誰も気づく事が出来なかった。

 刑部姫の表情が、氷のように冷たい事を。

 先ほどから結城友奈の『命』を助けたりや、『体』には何の後遺症もなくと言っている事を。

 ――――まるで、友奈の『心』だけはどうなるか分からないと言っているような事に、誰も気づく事が出来なかった。いつもは真っ先に気づきそうな園子でさえも、だ。

 が、それは仕方ない。

 絶望の淵にいた所に、刑部姫から友奈を助ける方法が一つだけあると言われたのだ。例えるならば、水一滴ない砂漠で水をあげると言われたようなもの。誰だってその言葉には飛びつきたくなる。大切な友達の命が掛かっているならば、なおさらだ。

 ……例えその言葉(みず)に、どす黒い『殺意(どく)』が込められていたとしても。

「そ、それでその方法って何? どうすれば友奈ちゃんを助ける事ができるの?」

「その前に一つだけ、私からもお前達に聞いて良いか?」

 質問を質問で返された東郷は一瞬きょとんとした表情を浮かべるが、そんな彼女の構わず刑部姫が問う。

「お前達に、どんな事をしても結城友奈を助ける覚悟はあるか?」

「……っ。あなたが何を考えているのか分からないけど、そんなの当然よ。友奈ちゃんが助かるためなら、私はどんな事だって……」

「そうだな。お前ならそう言うと思った。では質問を変える。……結城友奈の命を救うために、お前は他の命を奪う覚悟はあるか?」

「……え?」

 刑部姫の言葉の意味が分からず、東郷は思わず声を上げた。いや、それはきっと他の勇者部部員達も同じだっただろう。少女達の心の内を代弁するように、風が口を開く。

「ちょっと刑部姫、どういう意味よ。友奈を救うために、他の命を奪うって……。それってつまり、他の人を殺すって事?」

「まぁ、そうだな。とは言っても、その命を奪うのは東郷美森じゃないが」

「わけ分かんない事言ってないで、ちゃんと説明しなさいよ! どうして友奈を助けるために、他人を殺す必要があるのよ!? 友奈を助ける方法って何!? もったいぶらないで、はっきり言いなさいよ! あんたは何を知ってるの!?」

 刑部姫の態度に耐え切れなくなったのか、夏凜が叫ぶ。勇者御記を読んだ事で友奈の命が春まで持たないと知り絶望しかけていたところに、刑部姫が友奈の命を救う方法を知っていると言い出して希望が生まれたと思いきや、東郷に友奈を助けるために他の命を奪う覚悟はあるなどわけの分からない事を言いだしたのだ。夏凜でなくとも怒鳴りたくもなるだろう。

 するとさすがに刑部姫もひっぱりすぎたと思っているのか、ふぅとため息をつく。

「そうだな。話を長引かせるのも面倒だしさっさと説明するとしよう。だが結城友奈の命を助ける方法を話す前に、何故私がその方法を知ったのかだけ説明する。その方が理解しやすいだろうからな」

 そう前置きして、刑部姫は説明を始めた。

「このマンションに来る前に面倒な奴と出会ってな。そいつから、結城友奈のタタリを解除する方法を聞いたんだ」

「その面倒な人って、誰なんですか?」

「天の神」

 しん……と刑部姫の口からその単語が発された直後、リビングに沈黙が降りた。

「は……天の、神? あんた、一体何を言って……」

「色々とツッコむ所が多いのは私も自覚している。だが今は黙って聞け。話が進まん」

 どうやら自分でも理解するのが難しい話だという自覚はあるようだが、今は細かい説明をする時間すら惜しいのだろう。一同が黙り込むと、刑部姫は話を続ける。

「天の神はある事情から精神体だけで壁の内側に来ていた。もうこちらに来る事はないだろうが、去る前に奴は結城友奈を助ける方法を私に教えてきた」

「でも、どうして天の神はそんな事を……?」

「間違いなく嫌がらせだ。その証拠に、奴はお前達なら絶対に反対する方法を私に教えてきた」

「私達だったら、絶対に反対する方法……?」

 もうその言葉だけで、嫌な予感しかしない。友奈を助けられる方法とは言うものの、知らない方が幸せなんじゃないかとすら思えてくる。が、ここでいつまでも足踏みしているわけにはいかない。タタリで苦しんでいる友奈を見捨てるわけには、なんとしてもいかないからだ。

「聞かせて、刑部姫。天の神は……どうしたら、ゆーゆを助けてくれるって言ったの?」

 園子の言葉に、刑部姫は静かに告げた。

 友奈の命を助ける、最悪の方法を。

「三ノ輪銀が志騎を殺す事。それができたら、結城友奈の命を助けても良いらしい」

 空気が、死んだ。

 おかしな表現になってしまったが、それが今の状況にはふさわしいだろう。勇者部全員その言葉を聞いた時、一瞬言葉の意味が分からなかった。ようやく言葉の意味が理解できた時、彼女達の胸に湧き上がってきたのは怒りではなく疑問だった。

「ちょ、ちょっと待てよ……。どうしてそこで、志騎の名前が出てくるんだよ。どうしてアタシが殺す事で、友奈が助かるなんて話になるんだ?」

 そしてそれに誰よりも強い疑問を抱いているのは、やはり志騎の幼馴染である銀だった。

「簡単な事だ。天の神はお前達が何を選ぶのかを見たいんだよ。志騎と友奈の二人が死ぬのを選ぶのか、それとも志騎を殺して友奈を助けるのを選ぶのか」

「志騎が、死ぬ? ねぇ待ってよ刑部姫、あんた何を言ってるの? どうして志騎まで死ぬなんて話に……」

「志騎も結城友奈同様、タタリにかかっている」

 直後、刑部姫からもたらされた真実が勇者部全員の頭に凄まじい衝撃を与えた。全員の呼吸が文字通り一瞬止まる中で、刑部姫はただ一人淡々とした口調で説明を続ける。

「とは言っても志騎がタタリにかかったのは、結城友奈の後のようだがな。その性質は結城友奈同様、誰かに話せばその人間もタタリにかかるもののようだ。だがそれだけならまだ良いが、志騎が私にも相談しなかった所を見ると、志騎が誰かに話したりすればその影響が結城友奈にも及ぶ……つまり、二人のタタリは共有されている可能性が極めて高い。つまり、このまま時間が経てば……」

「……友奈だけじゃなくて、志騎もタタリで死ぬって事……?」

 呆然としながらも風が刑部姫に尋ねると、刑部姫は黙ってこくりと頷いた。すると、それまで話を聞いていた東郷が口を開く。

「でも、どうして志騎君を殺せば友奈ちゃんを助けるなんて……」

「このままなら確かに二人共死ぬ。だが、志騎を殺せば結城友奈の命を助ける事はできる。が、その代わりお前達の心には消える事のない傷が残る」

「つまり……そうする事で、アタシ達の戦力を少しでも削ごうって事なのかよ……!」

「いや」

 志騎にタタリをかけた天の神に銀が憤りの声を上げるが、それを何故か刑部姫はあっさりと否定した。

「奴に……天の神にこちらの戦力を削ごうなんて考えはこれっぽっちもない。奴がしようとしているのは、ただ単なる嫌がらせだ。こちらの戦力がどうなろうが奴にはどうでも良い。天の神は単に、お前達が苦しむ顔を見ていたいだけなんだよ」

「……そんな、理由で? そんな理由で、天の神は友奈と志騎を苦しめてるの? それで銀まで利用して、志騎を殺せば友奈を助けてやるなんて……」

「ああ」

「………ふざけるな。ふざけるなぁあああああああああああああああああっ!!」

 ドン!! と風が怒りの感情を思いっきり吐き出しながら拳を横のテーブルに叩きつける。友奈と志騎の苦しみを知らなかった今までの自分への怒り、そしてこうなる状況を仕立て上げた天の神への怒り……。しかしそうしても状況が良くなるはずはなく、風はただ奥歯を砕けんばかりに噛み締めるしかなかった。重い沈黙がその場を支配し、誰も言葉を発する事が出来ない。そんな一同の姿をじっと見つめてから、刑部姫は改めて口にした。

「で、どうする? 志騎を殺して結城友奈を助けるのか、それともこのまま二人を見殺しにするのか」

「……あんたそれ、本気で言ってるの? 志騎を殺すなんて、できるわけないでしょ!? 大体、天の神がその約束を守るかどうかすら分からないのに!!」

「いや、奴は本気だ。本当に三ノ輪銀が志騎を殺せば、奴は結城友奈のタタリを解呪する」

 刑部姫が銀に視線をやると、彼女はびくりと体を震わせた。一方、刑部姫の言葉を聞いた園子が口を開く。

「あなたがそこまで言い切る根拠は何?」

「簡単だ。そうしなければお前達を苦しめる事が出来ないからだ。天の神の言葉は全て嘘だとこちらが思ってしまえば、奴の言葉は全て聞くに値しない戯言に成り下がる。が、そうでなければ迷いが生じるのはこちらの方だ。奴ほどの力があれば、結城友奈のタタリを解呪する事など造作もない事だろう。……さっきも言っただろう? 天の神はお前達が苦しむ顔を見たいだけだと」

「………じゃあ天の神は、銀が志騎を殺したら本当に友奈を助けるつもりでいるの……?」

「ああ。確実に、な」

 それはあまりにも、残酷すぎる選択だった。志騎を殺して友奈を助けるか、それとも二人共見殺しにするか。仮に志騎を殺して友奈を助けたとしても、助けられた友奈と大切な人を殺した銀、そして残された勇者部の心には消えない傷が一生残る。それで友奈が助かったとしても、勇者部が以前のような活動を送れる事は二度とない。最悪の場合、勇者部という存在自体がゆっくりと消えて行ってしまう可能性すらある。

 かと言って、友奈と志騎を見殺しにするのも論外だ。しかし二人共助ける方法はまったく見つからない。頭脳だけは銀達も認めている刑部姫すらも、二人にかかったタタリを解呪する事は不可能だと断じてしまっている。

 刑部姫の言葉で少し明るくなった雰囲気が、再び暗くなってしまった。いや、再びではなくさらに暗くなってしまったという方が正確だろう。友奈だけでなく志騎もタタリにかかり、このままでは二人共死んでしまうという事実が明らかになったのだから、それも仕方のない事だが。

 すると、樹が恐る恐るといった表情で刑部姫に尋ねる。

「あの……刑部姫さんは、どうする事が一番良い方法だって考えているんですか?」

 彼女の言葉に刑部姫はチロリと樹の方に視線を向けてから、自分の考えを口にした。

「犠牲を最小限にする方向で考えるなら、結論は一つだ。……三ノ輪銀に志騎を殺させて、結城友奈の命を助ける。これが一番だろう」

「………!」

 刑部姫の言葉に、銀の体が硬直する。一方、東郷は残酷な答えを簡単に口にした刑部姫を怒りのこもった目で睨みつける。

「……あなたは、また同じ事を繰り返すつもりなの? 二年前と同じように、また志騎君を切り捨てるつもりなの!? しかも今度は銀に志騎君を殺させるなんて……! そんな事、銀にさせられるわけが……!」

 すると、チっと刑部姫は苛立ち交じりに舌打ちをすると東郷の顔をじろりと睨み返す。

「じゃあどうしろと言うんだ? 結城友奈と志騎、二人の命を救う方法がお前にあるとでも言うのか? そもそもの話、こうなったのはお前が暴走して壁を壊したからだろうが。こうなった引き金を引いた当事者のくせに何被害者ぶってんだよ」

「……! くっ……!」

 刑部姫の苛立ち交じりに放たれた言葉に東郷は反論する事も出来ず、悔し気に奥歯を噛み締める事しかできない。実際に東郷が壁を壊し、三百年前に結ばれた天の神との約束を破ってしまった事が今回の件の引き金となっているので、さすがの彼女も言い返す事が出来ない。

 ……まぁ、いずれ人類を滅ぼすつもりであった天の神にしてみたら、わざわざ人類の方から約束を破ってくれてラッキーぐらいにしか考えていないかもしれないが。

「そもそもの話、志騎の命はもう長くなかったんだ。どうせ死ぬのならば、結城友奈の命を助けて死んだ方が、あいつも本望――――」

「――――ちょっと、待てよ。それどういう意味だ?」

 半ば呆然としたような銀の言葉が刑部姫に向けられる。いや、正確には彼女だけではなく今この場にいる勇者部全員の視線が刑部姫に向けられていた。そこで刑部姫は、ようやく自分が何を言ったのか気づいた。だが自分の失言を後悔するような素振りも見せず、

「……ああ、そう言えばお前達には話していなかったな。だがそうだな。もう志騎の命も長くないだろうし、お前達には話しておいた方が良いか」

 そう言って刑部姫は、志騎に口止めされていたはずの話を銀達に話し始めた。

 まずおさらいとして、志騎の命は元々バーテックス・ヒューマンとして作られる過程で薬物や呪術による強化を受けた事で、二十歳ぐらいしか生きる事が出来なかった事。この事実について知っている人間はこの場だと銀、東郷だけだったため、それ以外の四人は当然の如くその事実に凍り付いていた。銀と東郷の二人は以前からその事実を知っていたため一見すると冷静さを保っていたが、彼女達の拳が強く握りしめられている事に風は気付いた。

 だが、驚愕すべきは刑部姫の話の続きだった。

 志騎は二年間の間壁の外でバーテックスと戦い続け、その過程で体は何度も傷つき、そのたびにバーテックスの細胞の力で体を修復していた。しかし破壊と再生を繰り返すたびに彼の体は徐々に脆くなっていき、今はもう体そのものが限界を迎えている状態で、大赦の調整を行ったとしても命を延ばす事はできず、友奈と同じように春を迎える事は出来ないとの事だった。

 そしてその体はもう変身にすらロクに耐えられず、仮にできたとしてもあと一回。もしもあと一回変身すれば、天海志騎という存在は確実に終わる。それらの情報を、刑部姫は科学者としての口調で淡々と勇者達に話した。

 やがて全て話し終えると、ふぅと刑部姫は息を吐き出した。

「……これが、私が知りうる限りの志騎の今の状態だ」

「……何よ、それ。だって志騎、正月の時にはあんなに元気で、ケーキだって、美味しそうに食べて……」

 正月の時に見た、志騎の数少ない年齢相応の姿を思い出しながら風が刑部姫の話を否定しようとするが、それを刑部姫は許さない。

「美味そうに食べているように見せていただけだ。正月の時点で、あいつの体機能のいくつかはぶっ壊れてた。左目はもう見えてなかったし、味覚も失われていた。それをお前達にどうにか悟られないために、演技をしていただけだ」

「そんな……そんな、事って……」

 あの時の時点で志騎の体はもう壊れかかっていたのに、自分は何も気づかなかった。いや、志騎の事だけではない。友奈が苦しんでいる事にすら気づかなかった。志騎と友奈の二人の部員が苦しんでいる事に気づかなかった自分に怒りと絶望を感じながら、風はテーブルに両手を置いてしゃがみ込んでしまう。

 すると、刑部姫の話を静かに聞いていた園子が彼女に尋ねる。

「……こんな事を聞いても、あなたの言う事は決まってると思うけど……どうして、話してくれなかったの?」

「お前達に話す義理も義務も、私にはない」

「………」

 半ば予想していた言葉を聞いて刑部姫を見る園子の視線が険しくなるが、直後刑部姫の口から予想外の言葉が飛び出した。

「それに、志騎から口止めされていたからな」

 え? と勇者部全員の視線が再び刑部姫に向けられる。彼女は志騎に寿命について話した時の事を思い出しながら、彼女達に言う。

「あいつが春までしか生きられないと知ったら、お前達は死に物狂いで志騎が生きられる方法を探す。だが仮にその方法が見つからなかったら、お前達は心の底から悲しむ。ようやく日常に戻ってきたお前らに、自分なんかのために悲しんでほしくない。そう言ってあいつは、お前達には話さないで欲しいと私に頼んだんだ」

 刑部姫の口を通して告げられた志騎の想いに、勇者部は誰も言葉を発する事が出来なかった。

 自分の寿命が残り少ない事を告げられても、志騎は自分の事よりも勇者部の事を案じていた。だから刑部姫に、この事は勇者部には言わないで欲しいと告げたのだ。

「………何だよ、それ」

 今にも泣き出してしまいそうな声が部屋に響く。

 その声の主はもちろん、志騎が最も大切に思うと同時に、勇者部の中で誰よりも志騎の事を大切に思っている少女の声だった。

「何だよ、それ!!」

 銀は大声で怒鳴ると、その場に膝をついて床に両手をつく。彼女の両目には、後悔と悲しみの涙が溜まっていた。銀はそのまま、感情のままに声を張り上げる。

「アタシ、知らなかった……!! 志騎がそんなに苦しんでるなんて、志騎がどんな想いでアタシ達と一緒にいたかなんて、全然知らなかった!! ……それなのにアタシ、志騎に酷い事言って、志騎を傷つけて!! 何が勇者だ、何が幼馴染だ!! アタシは志騎の事を、何も分かってなかったじゃないかよ!!」

 言葉のたびに、彼女の拳が床を叩く。

 拳が床を叩くたびに、彼女の目から涙が床へと落ちて行く。

「アタシ……あいつを傷つけてた……。何があっても志騎のそばにいるって決めたはずなのに、あいつの事なんて何も考えないで、自分の事しか考えてなかった……」

 まるで血を吐くように、後悔の言葉を呟く銀に、神樹館からの仲である東郷と園子はおろか風達ですらも声をかける事は出来ない。すると、涙を流しながら銀が刑部姫に言う。

「……なぁ、刑部姫。本当に何か他に方法は無いのかよ。友奈も志騎も助ける事ができる方法は」

「ない。二人共死ぬか、結城友奈だけを助ける方法はあるが、二人共助けられる方法はない」

「………っ!!」

 ばっ!! と起き上がった銀が素早い動きで刑部姫に詰め寄ると彼女の着物を勢いよく掴んだ。

「大人ぶってんなよ!! 何とかしろよ!! お前天才なんだろ!? アタシなんかより頭がずっと良いんだろ!? だったら、友奈も志騎も助けられる方法なんてとっくの昔に見つけられてるんだろ!? だったら、早く――――」

 突然、銀の言葉が途中で途切れた。着物を掴まれていた刑部姫の姿が急に氷室真由理のものになり、銀の胸倉を逆につかみ返すと銀の体を床に叩きつけたからだ。カハッ、と銀の口から酸素が吐き出され、激痛で体の動きが止まる。突然の真由理の行動に二人を除いた全員の動きが硬直すると、真由理の怒りを押し殺した声が部屋に響き渡る。

「……何とかしろ、だろ? では聞くが、この私が今まで何も考えてこなかったと思っているのか? お前達馬鹿でも考えられる事を、考える事すらできない事を、私が今まで何も思いつかずに生きてきたと思っているのか?」

 そして。

 氷室真由理の、感情剥き出しの声がその場に響き渡った。

「――――舐めるなよクソガキが!!」

 ひっ、と樹の怯えた声が小さく響く。彼女の声の大きさに恐怖を覚えたのではない。

 生まれて初めてとすら思えるほど、感情を剥き出しにした声が、どうしようもなく怖かったのだ。

「考えたに決まっているだろうが!! 何回も何回も何回も何回も!! どうしたら志騎の寿命を延ばす事ができるのか、どうしたら志騎にかかったタタリを解呪する事ができるのか、何回も考えたさ!! どうにかできないか何回もあらゆる呪術のデータを洗い直して、何回も志騎の体のデータを調べて!! どうにかしてやると思ってたさ……」

 が、そこで銀の胸倉を掴む真由理の手の力が弱まる。彼女は俯くと、今まで聞いた事がないほど弱々しい声で呟いた。

「……だが、駄目だった。何回も調べなおして分かったのか、志騎と結城友奈にかけられたタタリは解呪不可能で、志騎の寿命を延ばす事は不可能だという事だった。……当然だ。私はあらゆる事ができる天才だが、たかが人間だ。全知全能の神じゃない。……私に志騎を救う事など、不可能だ」

「……刑部姫……」

 そこで勇者部は、ある事に気づいた。

 彼女は日頃から自分を天才だと言って憚らないが、今考えてみるとあれは彼女の自慢であると同時に自分に対しての自嘲でもあったのだ。自分は確かにあらゆる事ができる天才かもしれないが、できない事が絶対に存在するちっぽけな人間の一人。そんな自慢と自嘲の意味が込められているのが、彼女の『天才』という呼称だったのだ。

 そして、その彼女が友奈と志騎のタタリを解呪する事は不可能だと告げた。それはつまり――――事実上の敗北宣言だった。自分では天の神に勝てないと、彼女は暗にそう告げているのだ。

「……刑部姫。あなたの今の言葉を聞いて、あなたも志騎君を救いたい事は痛いほど伝わって来たわ。でも、ならどうして彼を今まで兵器扱いして、切り捨てるような事をしてきたの?」

 東郷の指摘に、真由理ははっと自嘲するように笑い、

「当然だ。私が志騎を作り出したのは、バーテックスに対抗する兵器を作り出すためだ。……もしも私に少しでも母親としての情が残っていたら、志騎を作り出してもバーテックスとの戦いに放り込むような事は間違ってもしなかっただろうよ。……だが、私は自分の化学者としての欲望に従った。自分の手で最強の兵器である生命を作り出したいという欲求に勝てなかった。その結果、バーテックスを殺す最強の兵器である志騎が作られた。……分かるだろ? 私は志騎の母親である事より、科学者である事を選んだんだ。そんな奴が、志騎に対して母親面なんてできるかよ」

「………」

 真由理の言葉を聞いて、樹は思い出した。

 志騎が真由理の息子だという事を知らされてもなお、彼女は自分達の前で志騎を『息子』と呼んだ事は一度も無かった。それはもしかしたら、彼を兵器として生み出したがゆえの負い目があったからなのかもしれない。自分には志騎の母親でいる資格はない。何故なら、自分は母親でいる事より科学者でいる事を選んだのだ。ならば、最後まで科学者として志騎に接しよう――――。そう考えた事が、志騎を兵器扱いして切り捨てようとした理由だったのだろう。

 が、結局彼女は母親としての自分を捨て去る事ができなかった。もしも彼女が完全に母親としての自分を捨て去る事ができていたら、自分達の前でこんな姿を晒す事は間違っても無かっただろう。

 真由理の告白を一同は黙って聞いていたが、やがて何かに気づいた銀がかすれた声で彼女に尋ねる。

「……ちょっと待てよ。じゃあ、もう、駄目なのか? 友奈も志騎も助ける方法は、お前でも見つける事は出来ないのか? ……あの二人を助ける方法は、本当にないのか?」

 銀にとって氷室真由理はとてつもないほど嫌な奴で、唯一の天敵だ。

 が、彼女のその頭脳だけは認めている。彼女が真由理に掴みかかったのも、天才的な頭脳を持つ彼女ならば、二人をまとめて助ける方法を導き出せるかもしれないと思ったからだ。

 だが、その真由理が事実上の敗北宣言を出した。それはつまり……二人を助けられる方法は、もうこの世に存在しないと言っているのも同然だった。

 すると制限時間が来たのか、真由理は大量の花びらを散らして刑部姫の姿に戻る。しかし、彼女の今にも泣きだしそうな険しい表情は何一つ変わらなかった。

「……ああ、ない。私達に残された方法は、二人が死ぬのをこのまま見届けるか、お前が志騎を殺して友奈を助けるか。その二つに一つだ」

「………そ、んな………」

 ついにこらえきれなくなったのか、銀の両目から涙が溢れる。銀の小さな体を唇を噛み締めた東郷が静かに抱きしめるが、銀の涙が止まる事は無かった。刑部姫は床にしゃがみ込みながら、唐突にこんな事を言いだした。

「なぁ、お前ら。勇者というのはどういった存在なのか分かるか?」

 それに、風が沈んだ声で答える。

「……世のため人のためになる事をする人、でしょ?」

「違う。権力者の掌の上で転がされる都合の良い舞台装置。それが勇者だ」

 しかし、刑部姫は風のその言葉をばっさりと切り捨てた。

「世のため人のためと言えば聞こえは良いが、そんなのは使い捨ての金貨と同じだ。使えば他の誰かの手に回る。そもそも、その世のため人のためというお題目すら権力者たちが作り上げた架空のものに過ぎない事だってある。……お前達ならもう分かるだろ」

 誰も、その言葉に納得する事しかできなかった。実際に自分達もそれぞれの目と耳で確認するまでは、大赦から告げられた真実を鵜呑みにして戦っていたからだ。

「勇者は権力者達から与えられた情報を鵜呑みにして戦う。それが世のため人のためと信じてな。そして一つの戦いが終わればまた別の戦いに身を投げ、それが終わったらまた別の戦いへ……。その繰り返しで残るのは、使われ続けて見る影もないほどボロボロになった金貨だ。だが、金貨がそうなっても権力者達は何も変わらない。使えなくなったらまた別の金貨を探し出して使えば良いだけの話だからな」

「……友奈と志騎も、そうなるっていうの?」

「そうなりかけている、と言った方が正しいだろう。ただ結城友奈の方を救いたいのなら、さっきも言ったが志騎を殺すしかない。……もうそれ以外に、方法なんて無いんだ」

 重い口調でそう言ってから、刑部姫は泣き続けている銀に視線を向ける。

「三ノ輪銀。お前が何をしようが私はもう口を挟まないが……。勇者としての本分を果たすなら、お前は志騎を殺さなくてはならない。それが結城友奈という人間の命を救う、たった一つの方法だからだ」

「………」

「だが、警告しておく。もしもお前が志騎を殺したら、お前は完璧な『勇者』になる。世界を、人間を護るためだったらどんな犠牲でも払い、世界と人間を護り続ける『勇者』にな。だがそれは『人間』じゃない。さっき私が言った『勇者』という名の舞台装置だ。感情も何もなく、ただ無情に世界を守り続ける装置にすぎん」

「……それって、『兵器』と何が違うんだろうね」

 園子がポツリと呟くと、刑部姫は吐き捨ているように言った。

「何も変わらん。目的が『人を殺す』か『人を護る』かの違いだけだ。……どちらにせよ、選ぶのはお前だ。誰かを助けるためなら最も大事な人間すらも切り捨てる勇者になるか、切り捨てる事ができず結局二人を見殺しにする愚者になるか。……ま、どちらを選んでもお前を待っているのは地獄だがな」

「……銀。分かってると思うけど、駄目よ。私は、友奈ちゃんのためならどんな事だってする。でも、だからと言って志騎君を犠牲にするなんて絶対に駄目。私は、志騎君にも生きていて欲しいのよ。……だから、いくら友奈ちゃんを助けるためとはいえ、彼を切り捨てるような事は、しないで」

「……須美……」

 銀が自分を抱きしめる東郷の顔を見る。彼女は最初固い表情を浮かべていたが、まるで銀を安心させるように笑みを浮かべる。

 しかし、銀には分かってしまう。

 彼女のその笑みが、どこかぎこちないものである事を。

 自分を抱きしめてくれるその手が、かすかに震えている事を。

 東郷の志騎に生きていて欲しいという想いは間違いなく本物だろう。

 が、同時に彼女が友奈を失う事を何よりも恐れているというのも確かな事実だった。

 このままでは志騎だけではなく、友奈も死ぬ。そうなったら、東郷美森という少女は間違いなく壊れる。

 けれど。

 自分が、どうにかすれば。

 自分が、志騎を殺せば。

 友奈だけでも助ける事はできる。

「……………」

 東郷の言葉に、銀は言葉を返さなかった。

 その後は結局誰も言葉を発する事は無く、何の解決策も出せないまま解散という流れになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、銀は志騎のマンションの部屋の前にいた。今日は志騎から体調が優れないので学校にいけない事がチャットアプリを通じて知らされたので、学校に登校する前にその様子を見に来たのだ。なお、志騎によると学校にもすでにその事は知らせているらしい。

 が、昨日刑部姫から志騎の真実を知らされた銀にはもう分かる。志騎が今日休んでいるのは天の神にかけられたタタリによるものだ。おまけに昨日は刑部姫曰く色々あったらしいので、今日は一日部屋から動けないだろうとの事だった。

 銀は鍵を取り出すと、ドアに差して回す。カチャンと小気味良い音が聞こえてきて、鍵が開けられる。もちろんこの鍵は銀のものでは無く、昨日刑部姫から密かに貸し出されたものだ。

 ――――彼女曰く、自分の中で腹が決まった時のために必要になるから、と。

「………」

 銀は鍵をポケットにしまって扉を開けると、静かに閉める。リビングに向かってゆっくりと歩いて中を確認してみるが、中は薄暗く志騎の姿はなかった。とすると、きっと自分の部屋にいるのだろう。

 銀はリビングから離れて志騎の部屋に向かうと、扉をゆっくりと開けた。

 ――――いた。

 彼は、部屋の中のベッドの上で毛布に包まれて眠っていた。恐らく銀にメッセージを送った後、また眠ってしまったのだろう。普段から遅刻しがちな自分に色々と言っている癖に二度寝とは、と少し前の自分なら彼を散々からかっていたに違いない。

 ……今ではもう、そんな事すらできないが。

 銀は志騎のベッドに近寄って彼の顔を見下ろすと、志騎はどこか苦し気な表情を浮かべていた。悪い夢でも見ているのか、それともタタリによって苦しめられているのか。

 じっと志騎を見下ろす銀の脳裏に、昨日の刑部姫の言葉が蘇る。

『三ノ輪銀。お前が何をしようが私はもう口を挟まないが……。勇者としての本分を果たすなら、お前は志騎を殺さなくてはならない。それが結城友奈という人間の命を救う、たった一つの方法だからだ』

 友奈を殺すには、幼馴染の志騎を殺さなければならない。そうすれば、友奈を確実に助ける事ができる。

 だがそうすれば、きっと東郷は怒るだろう。いや、彼女だけではない。園子や夏凜、風と樹。さらには助けられた当人である友奈すらも怒るに違いない。彼女達は友奈に志騎に生きていて欲しいと心から願っているが、二人を助ける過程で犠牲を出す事など少しも望んでいないのだからだ。

 しかし、もうこれ以外に道はない。

 このまま何もせずにいれば、二人は確実に死ぬ。しかし、志騎を殺す事ができれば友奈を確実に助ける事ができる。

 二人を見殺しにするか、確実に一人を助けるか。

 ……そんなのもう、決まっている。

 友奈は東郷にとって大切な人で、東郷は自分の大切な親友だ。

 その親友が悲しむのを止めるためならば、自分はどんな事だってやる。

 例えがそれで、自分にとって大切な人を切り捨てる事になったとしても。

 でも、仕方ないではないか。

 誰かを救うという事は、誰かを救わないという事なのだから――――。

「……………」

 銀は無言のまま志騎の首に右手を伸ばす。

 そして、指先が彼の首に触れようとしたその時。

「…………銀?」

 ベッドで眠っていたはずの志騎が、薄眼を開けて銀の顔を見つめていた。部屋の空気がかすかに変わった事を感じたのか、それとも人の気配を感じたのかは分からないが。

 だが幸いと言うべきか、志騎は銀が何をしようとしているのか把握していないらしい。だとすると、志騎を殺す事ができるチャンスが失われたわけではない。このまま会話を続けながら、志騎の首を絞めて殺してしまえばそれで良い。

 それで、全て上手くいく。

 志騎は死ぬけれど、これで友奈は助かって、大切な人が助かって東郷は悲しまずに済んで、勇者部だってきっと元通りになる。

 そのために、今自分がすべき事は――――。

「お、おはよ志騎! いつまで待ってても来なかったけど、まさかあの志騎さんが寝坊とはさすがのアタシも予想外だったよ。まったく、お前も案外抜けて……」

 が、いつも通りの声音を発する銀の顔を、志騎は何故か心配そうな表情で見つめながら尋ねた。

「………銀。何かあったか?」

 ズキリ、と。自分の胸がまるで刺されたように痛んだ気がした。

「ん、どうして?」

「……だってお前……今にも泣きそうな顔してるから………」

 志騎の言葉に、銀の思考が止まる。

 しかしすぐに思考が動き始めると共に、視界がぼやけ始める。

 ああ――――駄目だ。

 どうにかして自分の感情を必死に押し殺して、自分らしくないと思いながらここまで来たけど、やっぱり駄目だ。

 例え大切な須美(しんゆう)のためであったとしても、それで誰かを助ける事ができると言われてたとしても。

 自分の大好きな人を、自分の手で殺すなんて事ができるわけがない。

 その事を志騎の瞳に映る、今にも泣きだしそうな表情をした自分の顔が何よりも強く証明していた。

「………っ!」

 直後、顔をくしゃっと歪めた銀は志騎の体をぎゅっと抱きしめた。普通ならば温かい体温が伝わってくるはずの彼の体は、抱きしめているこちらが不安になるほど冷たく感じられた。

「………銀?」

 戸惑ったような志騎の声が聞こえてくるが、銀はそれを無視すると今にも震えそうな声を必死にいつものように装う。

「……あはは。ごめん、なんでもないんだ。ただ、急にこうしたくなっちゃってさ……」

「なんだそりゃ………」

 銀の返事に志騎は呆れながらも、銀の体を引きはがすような事はしなかった。それほどまでに銀が弱々しく見えたのか、それともその力すらも今の彼には残っていなかったのか。

「……そうだ。志騎、覚えてるか? 木場のばあちゃんちの、トラ太郎の事」

「……ああ、覚えてるよ。当たり前だろ」

 嘘。木場という年配の女性がいるのは本当だが、トラ太郎ではなくトラジローだ。

「あそこのばあちゃんちのせんべい、美味しかったよな。……また、食べに行きたいな」

「食べにいけるだろ。なんなら、今週空いてる時間を見つけて、久しぶりに会いに行くか……」

 嘘。木場はせんべいはあまり好まず、餡子が使われたどら焼きや羊羹などの和菓子を好む。以前道を歩いていたトラジローを保護し、彼女の家に連れて行った時にお礼としてくれたのも、どら焼きや羊羹だった。

「………うん、そうだな。また、行きたいな……!」

 ――――もうこれで確定した。

 いつもなら間違いなく気づくはずの銀の嘘に、志騎はまったく気づいた様子がない。

 つまり、忘れているのだ。志騎の体の崩壊が、彼の視力や味覚だけでなく記憶にまで及んでいる。

 このまま時間が経てば、彼の記憶はさらに消えていき、最後には勇者部の事も、自分の事も忘れてしまう。

 銀は奥歯を噛み締めて必死に嗚咽を抑えると、志騎の肩に顔を強く押し付ける。そんな銀に志騎の怪訝な表情が向けられるが、今の銀に理由を説明する余裕などありはしなかった。

(………神樹様。お願いします。アタシにできる事だったら、何でもします。だから………)

 もうこれ以上、彼から何も奪わないで。

 しかし、当然少女の心の声に答える者はいない。

 自分の無力さに銀は声を抑えながら志騎の肩で泣き続け、志騎は泣き続ける銀を心配そうに見つめながら、彼女に自分の肩をしばらく貸すのだった。

 

 

 

 

 




今回の銀の行動は彼女の性格の事を考えるとありえないはずですが、友奈のタタリとそれによって親友の東郷が悲しんでいる事、志騎との喧嘩別れによるショックと彼もタタリにかかっていた事、そして助けるとしても志騎と友奈の二人に一人しか救えない事など悪い事が重なりに重なってしまった結果、作中のような行動に出てしまいました。今回の話の銀の行動は、それほどまでに銀の心が追い詰められていたという事を表しています。
では次回でまたお会いしましょう。できるだけ早く書くつもりですので、少々お待ちくださいませ。
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