不定期刊短編集   作:速川渡

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個性的な友人達

 なんの取り柄もない一般人だとか、何処にでもいる普通のとか、物語の導入でよく使われるけれど。

 僕に言わせてみれば、人間何かしらの取り柄を持ってるし、その人にしかできない固有のものはある。何処にでもいると言うのも、その人はその人自身しかいないのだし、普通って基準は何を参考にしているのか分からない。

 

 つまり、僕はこの物語の導入でこう言うべきだろう。

 

 僕は、真面目が取り柄の変人を寄せ付ける性質を持った高校生、浅野繁樹だ。()()的な名前だろう?

 いや、変人を寄せ付けるは少し違うな。まあ、個性的な友人を多く持っている。例えば、僕の家の隣のおじさんはロックな生き方だぜぇい! とよく分からないことを言っているし。昔から遊んでいる幼馴染みは性別が行方不明で僕に愛の告白を毎日のように申し込んでくるし。そう言った友人を挙げて行けばきりがない。

 

 これは、そんな個性的な友人を沢山持っている僕のとある一日を取り上げて、小話に纏めたものだ。退屈はさせないつもりだから、暇なら聞いていってくれ。

 

 

 

 そう、確かその日の朝は隣のおじさんが下手くそなギター演奏とありふれたような歌詞を合わせていつものように歌っていた。聞き飽きたはずの、その歌はなんというかクセになる。素晴らしい歌で万人の心を打つものということではないと思うけど、気まぐれに口ずさんでしまいそうなそんな歌だ。

 

「おじさん、おはよう」

「おう、シゲ坊! おはよう! 学校か? 青春謳歌して、たっぷり失敗して、たくさん学んでこいな!」

「あはは、何言ってんの? 失敗しない方が良いだろ」

「ふっ、何時か解るときが来る。あのとき、失敗して良かったって思うときが必ず来るのさ」

 

 しみじみと、そんな渋い台詞を吐いてる。この人もIT 企業のエリート社員(と、おじさんの恋人が言ってた)なので、人間って分からない。

 

「そうですか。進んで失敗しようとは思わないけど、心に留めておくよ」

「まあ、今はそれで十分さ。行ってきな!」

「はーい、行ってきます」

 

家から出て、四、五分もすると性別が男とも女ともとれる顔立ち、容姿、声帯を持つ幼馴染みが現れて、学校まで一緒に行くことになる。

 

「おはよー! そして、僕とお付き合いしてくれー!」

「性別行方不明で、気味の悪い生物との交際はちょっと……」

「性別など関係無い! そこに愛があれば!」

「そうやって、自分を誤魔化す人間と愛を語らうことは、僕には出来ないね」

 

 ここら辺の会話は、僕らにとって挨拶のようなものだ。こいつが告白して、僕がなにか理由をつけて断る。端から見たらコントのような感じに見えるだろうが、最早日常の一部になりつつある。慣れって恐ろしい。

 え? 幼馴染みなら本当の性別も知ってるはずだろって? もちろん。だが、ここは敢えて不明としておく。そんなささいな事実を知ったところで、得や益はないから。

 

閑話休題。

 

 学校に着くまでの間、流行りのゲームやテレビ番組、宿題の有無の確認など他愛の無い会話をする。その事あるごとに、告白をしてくるが一つ一つをしっかり断る。スルーなぞしたら、勝手に無言の承諾を受け取ったとか言い出して、面倒なことになる。というか、なった。

 

 そんなことは、さておき。学校に着き、下駄箱で幼馴染みと別れて、自分のクラスに向かう。なにやら、いつも以上にざわついているクラスメイトと、挨拶を交わして自身の席に座る。そこらで噂話をしている女子によると転校生が今日来るらしい。あぁ、だから席が一つ増えているのか。僕の後方の斜向(はすむ)かいに、もっと簡潔にいうと僕の斜め後ろに新しい机と椅子があった。

 

さて、一体どんな転校生なのか。今から少しだけ楽しみだ。




なんかずっと、執筆中に眠ってた小説です。
もしかしたら続くかも?
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