不定期刊短編集   作:速川渡

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剣と剣のぶつかり合い的な戦闘描写でのショートショート。

今までと世界感が全然違いますが、まあ、そもそもが小説の描写練習とか
物書きの習慣づけのためのあれだし、現代日常系ジャンルに固定した覚えはないので
ありということで一つ。

背景の世界観とかは想像の余地にもなるかなと思い、特に詳細は作っていません。

兎にも角にも斬り合いをという感じで、戦闘描写を描いてみました。


剣を交えて

 今日もまた、剣を取って盾を身につけ対峙する。

 決闘というにはあまりにも実力差がありすぎるし、指南というにはあまりにも教えようという気概が感じられない。

 なんのために戦っているのかといえば、彼の剣を学ぶためで有った気もするし、ただ勝ちたいからだった気もするし、何かしらの確固とした意志の元挑んでいるはずである。

 …………今は、思い出せないけれど。

 

 もう何度負かされ、倒され、死に掛けたかは数えていないが、それでも挑み続けているのだ。であれば、戦いの理由などよりはどのように初撃をいなして、斬り結ぶかを考えたほうが有意義だ。

 

「どうした。来ないのか? やらないなら帰るぞ」

 

 今対峙している髪が白み始めている壮年の男性が、非常に面倒くさそうにそうぼやく。だるそうに大剣を下段に構えているその姿勢には、付け入る隙だらけのように見えて、こちらが仕掛けた瞬間にぶっ飛ばされる。盾で受けたら、本当に体を真後ろに吹き飛ばされてしまう。

 だから、こうやって観察して剣の振るわれるであろう軌道を見定めているのだ。

 

「冗談。斬り合いが大好きなオッサンがわざわざ初撃をくれるんだ。しっかりとキメに行かないとさ」

 

 軽口を叩きながらも、大体の打ち合い先は読めた。おおよそ負けるだろうが、それは挑まない理由には足りない。ひとまず山は()()()

 

「じゃ、行くよ────」

 

 一合目、左の盾で左上の頭上をカバーしつつ、背中の中心を通る軌道で左下から斬り上げて、大剣の持ち手部分を弾き飛ばす勢いで振るう。

 が、それをすっと躱されて、上段に構えなおし斬りかかられるので、右に抜けだしながら盾で剣劇を左側にいなして避ける。

 そのまま次の攻撃に移ろうとしたが、大剣の振りの勢いに弾かれて相手の右後方まで勢いのまま、足が駆けていく。

 振り返るタイミングはほぼ同時であったが相手は既に攻撃の姿勢だ。

 

 二合目、大剣相手にこちらの剣を合わせて振った所で、こちら側がはじけ飛ぶか短剣にされるかだ。故にこの斬り上げに対しては、後ろに引いて躱したうえで、こちらの剣を振るう体制を整える。紙一重で剣筋を避け────若干唇に傷を抱えつつも、剣を構えて体を引いた勢いをバネにして、右上段に剣を構える。

 

 三合目、剣の軌道は鍛え仕込んだもので、一番力が入りやすく遠心力と円運動による鋭い閃きであり、当たったなら大傷を負わせられる程度には鍛え上げられている。しかし、斬り上げて振りぬかれたはずの大剣でこちらの剣を受け止め、弾かれる。

 振りぬかずに斬りかかられる位置まで予測して、それなりに重量があるであろう大剣を留めていたのだ。まずい、直ぐに斬り返される。

 

 四合目、予想通り大剣が振り降ろされる。とっさに自分の手前に盾を出して、大剣の軌道を逸らし、ギリギリで避ける。攻めに転じるにも今の体位ではまともな剣劇を繰り出すのも難しいため、一度間合いを切って、構えなおす。

 

「は、はっ、はっ────」

「おいおい、まだ斬り合い始めたばかりだろうに、そんなに息切らして大丈夫か?」

 

 煽るように言ってくる相手の手元足元、視線を見定めつつ息を整える。あの大剣の衝撃や威圧感はこちらの体力と集中力、精神力を火力と恐怖でゴリゴリと削ってくるため、このたかだか1分にも満たないやり取りの中で息を乱してしまうのも仕方のないことであった。向こうも乱れてはいないものの呼吸が先ほどより深いものに変わっているため、消耗はさせられている。

 慣れの差か、実力の差か。勝ち目が薄いのは分かり切っていた。だが、想定では四合目目で斬り飛ばされ、そこで試合終了となるはずだったものを越えた。

 これを続けて、続けて、続けて。

 

 この男を、いつか打倒するのだ。

 




ご拝読いただき感謝です。

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