けもののきろく(第2版)   作:大きさの概念

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あらすじ:裁判混沌。降る血の雨!? セルリアン襲撃!?
  目標:「敵」の正体を探れ!

 現在地:さばんなちほー中央部/熱帯大草原地域/「広告大看板」前廃車ヤード
 時間帯:深夜

近接武器:黒曜石のナイフ
 所持品:結束バンド/植物繊維のロープ/水筒/ビニール袋/使い捨てライター

 同行者:なし

 ヒント:一方的な「片殺し」は、「戦い」ではなく「殺戮」と呼ばれる行為である。


第10話 セルリアンが戦車でやってくる [▲]

 深淵の闇の中で、カラカル、バーバリライオン、クロアシネコ……3人のネコ科のフレンズたちは低いうなり声をあげながら、あちこちを見回しはじめた。

 

 彼女たちの眼は光り輝き、瞳孔を丸く拡大させている。まるで本物のネコの眼*1のようだ……文字通り()()()()()()()……。

 月光や大看板の照明の反射ではない……どういう仕組みか()()()()()()のだ……。

 

 またその大きな耳もせわしなく動かしながら、敏感な嗅覚も駆使して……五感を総動員して、私に見えないものを一心に探っているのだ……。

 この「バラバラになったけものたち」を()()()()()()()もの――闇の奥に潜在する「敵」の正体を……。

 

 他の夜目や嗅覚・聴覚に優れるフレンズたちも落ち着きを取り戻し、()の位置を探知し始める。

 

 

 

「……あ、あっちですッ! セルリアンが……遠くに……! 大きな……!」

 アードウルフが私の服にしがみついて言った。

 

 私は廃車のすきまから覗いて、彼女が指さした方向へと目を凝らした。

 

 夜目が利かない私でも……満月の明かりのもと、遠くに()()()()()()()()を目視確認できる。

 すぐそばにあるアカシアの木(アリ塚と合体している大木だ)と比較すると……相当な巨躯! 体高3、4mはありそうだ……。

 

 その巨体が月の光に照らされて()()()()()()()()……! ()()()()()()()()()()のだ!

 

 

 

「ナイルワニ! オレたち『はちゅうるい』の出番だ! (ピット)*2で見るぞ!」

「もうとっくに熱視()てるのじゃよ~、ニシキの*3! デカい、熱いのを……ビンビンに感じるのじゃ~!」

 アフリカニシキヘビとワニがセルリアンの方角を見て言った。

 

「……セルリアンの体の上に、何かが張り付いている……?」

「この()()()()()は……シマウマやレイヨウ()()()()()じゃろか……!?」

 ふたりはとても冷静だ。

 彼女らに熱視()えている死骸の様子から、状況を分析している。

 

「さっき空から降ってきた()()も……? いや、だが、温かさを見るかぎり、まだやられてスグのはずじゃがの……?」

「短い間に、あんな風にできるものか? いったいどうやったら、あんなバラバラに?」

「う~むむむ。ライオンやハイエナのアゴでも、こんなのは無理じゃろけどな~……」

 

 彼女らの会話を聞いて、グレビーシマウマや、オグロヌーやインパラたちレイヨウのフレンズが、小さな悲鳴を上げる。

 顔がひどく蒼ざめて見えるが、月の光のせいだけではないだろう。

 

 集まったフレンズ全体に、不安と焦燥が悪い病気のように伝染していく……。

 

 

「ど、どうしよう! せんせい!?」

「落ち着くのでありましょう、キリン」

 その場の恐怖の空気を感じてか、キリンとヘビクイワシが意見を言い合いはじめた。

 

「こ、こうなったらみんなで戦わなきゃ! この広場で取り囲んで、迎えうつべきよ!」

「いえ、ここには戦いがニガテな子*4もいますし……。ここはいったん逃げるという手も……」

「で、でも……みんなバラバラに逃げただけじゃ、きっと犠牲者(ひがいしゃ)がでるわよ!」

「セルリアンにやられたこの動物たちみたいに……でありましょうか?」

「あいつは、なんだか分からんけど、とにかく*5すっごい強いセルリアンよ! やっぱりみんなで戦うべきね!」

「……で、でも戦うと言っても、わたくしたち『やこうせいでない』フレンズには不利ですし……。ああ……どうしましょう!?」

 

 

 

「ハナコ被告っ、あなたはどう思いますかっ!?」

 ヘビクイワシが突然振り返って私に尋ねてきた。

 

「えっ!? あの……これは、セルリアンを全然知らない私の考えですが……」

 私は自身の見解を言い始める。

 

「逃げるにせよ戦うにせよ、まず敵の攻撃の正体が分からないことには……。ヨシ! とにかく*6私、ヤツの様子を偵察()てきますっ!」

「あ、ちょっと! ハナコ!」

 

 私はフレンズたちのもとを離れると、大看板のそばに積み上げられた廃車の(バリケード)のそばに停められた高所作業車*7の荷台によじ登り、そのまま上を目指す。

 

 大看板に設けられたメンテナンス用の足場にたどり着いた……。

 この高所ならセルリアンの観察にちょうどいいし、ヤツの攻撃に対しては、この位置なら、看板すぐそばにまで積み上がった廃車の山が遮蔽物*8になってくれる。

 

 そばの車両のエンジンブロック*9に体を隠す。完全に廃車(スクラップ)のそれは、エンジンが爆発する危険性*10は全くない。

 

 目が慣れていくと、月明りと大看板の照明のもとで……遠方の大きなシルエットにすぎなかったヤツの巨体の細部や色彩が徐々に明瞭に見えてきた……。

 

「……!!」

 

 殺された動物の死骸*11が……セルリアンの丸みを帯びた前面に、惨たらしい姿となって張り付いているのだ……。

 ……どうやったらこんなやり方ができると言うのか……!?

 

 

 

 だが、このセルリアンには()()()()()()

 

 こいつは……()()()()()()()あの大きなダンゴムシ*12のようなセルリアンと同種なのだ!

 

 こいつはまさに「戦車のセルリアン」だ……。

 

 その「硬い殻」に覆われた胴体は、サイやワニやアルマジロの皮革のように有機的だが……鋭角部分が多く、戦車の複合装甲を思わせるような無機質さも兼ね備えている……。

 

 また、多足類や甲殻類のような何本もの歩脚が下面に生えている。機械仕掛けのような精巧さで、決して絡まることなく、規則的に動いているのだ……。

 

 そしてヤツの「背中」に当たる部分には、大きく異様な眼球が存在し、それがじろりと動いてこちらを見つめている……!

 

 ヤツは昼間の大型草食セルリアンと同型ではあるが、体色が異なる*13……。それに一番目を引くのは、ヤツの「眼」の()()()()()だ……!

 

 その大きな()()()()()()()()()()()()()いるのだ!

 

「あーッ! あいつは……!」

「え? 知ってるの? カラカル?」

「た、高いですねぇ~ここ~……。しかしたくさんある廃車(コレ)なんなんでしょうね?」

「これらは死んだ『くるま』というものの抜け殻でありましょう」

 げっ!? 下から聞こえてくるこの声はっ!?

 

 振り向いたとたん、カラカルが優雅に足場へ跳躍してきた!

 かと思うと、キリンとアードウルフが足場によじ登ってきて……!

 そしてへビクイワシはなんと! 頭の翼を使って飛び上がってきた!

 

 彼女の「頭部の翼」はほとんど羽ばたいていないのに……まるでヘリコプター*14や垂直離着陸機*15のように滑らかな動きで飛行している!!

 彼女の「翼」のまわりに噴き出ているのは、例の虹色の粒子「サンドスター」だ。しかしそれを物理的にジェット噴射して揚力を得ているわけではなさそうだが……??

 あ、あからさまな()()()()()()()してるのだが、これもサンドスターの秘めるパワーなのか~っ!?

 

「す、すごい……! いや、けど感心*16してる場合じゃない! ここはキケンですから下に戻ってくださいっ!」

 私が小声で注意すると、フレンズたちもひそひそ声で返答した。

「イヤよ。そんなにキケンなら、なおさらアンタ、独りにしておけないじゃない!」

「そうとも! それにこのぐらいの高さ、キリンの私はぜんぜん平気だもの!」

「わ、わたしはけっこう怖いですけどぉ~……」

「ハナコさん! あなた、何を考えているか分かりませんが、この『先生』であるわたくしをさしおいて動き回るのは、いただけませんよ!」

 

「……しょ、しょうがない……。みなさん、好奇心*17旺盛ですね……。でも危ないから、頭や体をのり出さないでね!」

「はぁ~い!」(小声)

「分かりましたでありますぅ!」(小声)

「い、いい返事だけど……緊張感が無いなぁ~……」

 

 

 

「ところであいつ、昼間にも見かけたヤツよね……」

 カラカルが本題に話を戻す。

「はい。昼のアレと同じ個体かどうかは分からないけど、少なくとも同じ種類ですね……」

 

「わたくしも知っていますが、でもデカいだけの大人しいセルリアンのハズでありましょう……」

「そ、それがこんなことをするなんて……!? ()()()()()()()()と推理すべきね……」

 

 ……ん? ヤツをよく観察すると、背中にある大きな眼球のまわりには……ツタ植物のような細い物体が絡みついて繁茂している……??

 

 それは毛細血管のように眼球を覆っていて、まるで網目のスジのついたメロン*18のようだ……。

 

 その「ツタのようなもの」には……何か所もの節のように盛り上がって太くなった部位に()()()()()()()()()()が存在して、こちらを見ているではないか……!?

 

 ま、まさか……?

 別のセルリアンが()()()()()()()……()()しているのか……?

 推測というかただの直感なのだが……。

 

 おとなしいはずの草食セルリアンの、この「異常行動」の理由なのか……?

 

 

 

 その時!

 

 こちらの存在を視認したのか……戦車セルリアンはエビが後ろに跳ねるように、あるいは戦車が後退するように……規則的に歩脚を動かして、器用に素早く後ろに下がっていくが……??

 

 なんだ?

 これから何をするつもりだ……こいつ??

 

「せ、説明はできないけど……なんだか(ヤバ)いッ!!」

 直感的にそう感じるのだッ!

 この感覚はマズい!

 

「え? なに?」

「みんな早く足場(ここ)から降りようッ!!」

「ハナコ、それって――」

 

 セルリアンは……甲羅の低い位置にある「穴」から、がま口*19を伸ばしたかと思うと……。

 

 一瞬……満月の明かりでまちがいなく見えた()()は!!

 看板の土台へ向けて、()()()()何かを()()()()()()()!!

 

 すぐそばの廃車の山に着弾!!

 耳をつんざく轟音と激しい衝撃!!

 

「きゃあぁーーっ!!」

 フレンズたちの絹を裂くような悲鳴*20!!

 大地震のように揺れる足場ッ……!!

 

「クエェエェーーッ!!」

 瞬間、着弾の衝撃を逃がすため、怪鳥音*21をあげて空中へ飛び上がるヘビクイワシ!

 

「にゃぎゃあああっ!」

 衝撃で吹っ飛ばされ、そばの廃車の山のてっぺんの車に叩きつけられそうになったカラカルは、瞬時にくるりと身を翻し、両手の指の()()()()()()()を大看板のトタンに食い込ませて体を固定する。

 

「うもーっ!! ら、らいへんばっは*22~っ!!」

 一緒に吹っ飛ばされたキリンは、なんとか彼女の胴に手を回して下へ落ちまいとする。

 

「にゃあーっ!! おっ、重ぉッ!!」

 ふたり分の重さを支えるため、サンドスターのツメが耳障り*23な金属音をあげる。鉄板の上に、爪痕が線状に赤く光って残り、線香花火のような火花がばちばちと散っては闇に消えていく。

 

 ヘビクイワシも手伝って、しがみついたキリンをなんとかそばの車の上に登らせるカラカル。

 

 

 

「きゃぁっ!! おちっ、落ちる~っ!!」

「アッ、アードさんッ!!」

 

 さきほどの衝撃で、彼女が足場にしていた鉄板が時間差で落下し、バランスを崩して転落しそうになるアードウルフ!

 彼女の伸ばす手に、私は片手を伸ばすが……ダメだ! 届かない!

 

「うおおーーっ!!」

 絶対助けてやるッ!! ()()()()はっ!!

 

 とっさに私は()()()差し出して、アードルフの手をつかむ!

 

 当然のごとく……お、落ちるーーーっ!!

 

「ぬおおーーっ!!」

 落ちてたまるか!!

 

 私は()()()足場の手すりにからみかせ、両足首をロックする!

 逆さになって下半身でぶらさがる形*24だ!

 

 ふたり人分の体重、約90kgの重量がかかり、したたかに殴られたような衝撃が腹と背中に走る。

 アードウルフも掴み返してくれているため、両腕の負担は比較的少ないが……。

 ぐぐぐ、くそっ……この姿勢では……体がもたないっ……!!

 

 だがその時!!

 

「ばばば、()()()ぅーッ!!」

 

 謎の奇声……そしてふわりと引き上げられる感覚……無重力……柔らかな着地……。

 

「めいたんていマフラーの大かつやくぅっ!」

 

 ……見ると、()()()()()のマフラーがしっかりと、だが優しく巻き付いて私たちの体をまとめて持ち上げている!

 

「あっ、ありがとうございますぅ~ハナコさん!」

 マフラーから足場に降ろされて、開口一番アードウルフが言って抱きついてきた。

 

「いや、そりゃ私よりもキリンに言いなよ~! ありがとうキリン!」

 抱きついて顔を舐めてくるアードウルフを引き離し、私はキリンに向きなおってお礼を言った。

 

「ふっ! 私たちはみな名探偵の素質があるわね! それにアナタ……()()()()()()()()()なんて……ハナコ、アナタやっぱりヤギでしょ?」

 相変わらず彼女はわけのわからないことを言った。

 

「ヤ、ヤギじゃないが……。()()()()()より、カラカル! キリンを助けてくれてありがとう! ヘビクイワシさんも!」

「にゃははは! たいしたことないわよ!」

「ちょっと重くて疲れたでありましょう!」

 

「……それより、アンタもあんなムチャして……」

「あははは、おかげでお腹も股関節もすげぇ痛いし……ということは、生きている証拠だけどね」

「だね」

「まだ生きているなら……やることは一つ! 逆襲だ!」

 

 

 

 さきほどの攻撃*25は一体?

 私たちはセルリアンの「謎の攻撃」に警戒しながら、高所作業を使って下へと降りていく。

 

 ヤツは、いったい何をしたのか!?

 体内から()()()()()()()ようだが!?

 

 発射時、閃光は無かった……。火薬によるものではないのか……?

 

 だがしかし、恐ろしい威力!

 廃車の壁の着弾した部分は……周囲がささくれ*26立ち、いくつもの円を組み合わせた形に鉄板がひしゃげて吹き飛んで穴が開いている!

 今の投射物は榴弾*27のようなものか!?

 

 警戒を怠らぬまま、私たちは廃車の山のふもとで敵の出方をうかがう。

「あ、そうだ。さっきは()()()()これ握ってて邪魔だったから、アナタが持っててちょうだい」とキリン。

()()()()()に入るんでしょ?」

「ああ、バックパックに入れとくよ……」

 私は背中のかばんを降ろして、キリンからもらったネイルハンマーをしまう。

 

 

 

「で、ヤツの()()()()()だけど……」

 私はフレンズたちに話し始める。

 

「お? ()()()()()ねっ! そっ、それで……あのセルリアンの攻撃の正体はっ??」

「いや、わからん!」

「ガクッ! な、なによそれは~ッ!」

 

「情報が足りないんだよ~! 最初は投擲(とうてき)、つまり何かを投げてきたんだと思ったけど、どうやらアレは大砲みたいなものらしい……。でも火薬を使うものではなく、バネやゴムみたいな弾性力で発射する、スリングショットや銀玉鉄砲と同じ原理のものだと思うけど。いや、空気圧や水圧を使用する可能性も――」

 と、自分の考察を話したものの、専門用語(ヒトのことば)が多すぎるだろう。けげんな顔をしているフレンズ達……。

 

「ええっと、つまり、こう、何かがドバーッ!!っと飛び出して、バシューッ!!と空中を――」

 私は分かりやすくかみ砕いて説明した、つもりだったが……。

 

「ぜんぜんわからん!」

 飛び道具*28とは()()()()()()()であるせいか、フレンズたちにはさっぱり言いたいことが伝わらなかった。

 

「とっ とにかく、ヤツの攻撃はキケンだってことです!」

「そ、そりゃ、わかるけど……」

「だから、さっきも言ったけどついてこないでちょうだい! とにかく私だけで様子を見てくる!」

「あっコラ! またすぐ独りでそうやって――」

 

 背後からカラカルの文句が聞こえてくる。

 私は廃車ヤードの闇の中をかがみながら小走りに移動していった……。

 

 こっちは丸腰、そして相手は戦車か……。

 逃げるにせよ、戦うにせよ、これからどうするべきか……。

 

 ()()()()……彼女(フレンズ)たちを守らなければ……。

 

 

 

 今度…………?

 過去のないはずの私が、なぜ、そんなことを考えたのだろう……?

*1
【ネコの眼】ヒトは明所で色彩や遠方がよく見え、ネコは暗所でもの輪郭や動くものがよく見える。ヒトの平均視力では30~60m先でも物体がハッキリ見えるのに対して、イエネコは約6m先までしかクッキリと見えない――つまり単純な静止視力では、ネコはヒトの10分の1しかないのだ。これは、ヒトの網膜には色彩を感知する「錐体細胞」が多く()()()()()()()()()ためだが、ネコ科の網膜にはものの輪郭を見分ける「桿体細胞」が多く、しかも赤色を認識する錐体細胞を持っていないので、色の認識が苦手で遠景がボヤけてしまうが、かわりに暗視能力が高い(ヒトの7倍!)。さらに、ネコは「楕円形」瞳孔により、暗所でも光をたくさん目に入れることができる。※楕円形の瞳孔は夜行性動物の瞳孔に多い形で、円形のものより大きく開閉することができる。暗所では大きく開いて光を採り入れ、明所では瞳孔を()()()()()採光量を減らし敏感な視覚を守っている。加えて彼らは網膜後部のタペタムという「光反射鏡」器官で光量じたいを2倍に増幅している。※暗所で連中の()()()()のはこのタペタムで反射しているから。そして! 彼らは網膜の桿体細胞の多さで「視覚のリフレッシュレート(≒知覚間隔の短さ)」が高く、つまりヒトには()()としか映らないような()()()()()()()()をしっかりと()()()()()()()()のように認識できるのだ! 逆にカメのような()()()()()()は止まって見えてしまうが……。なお、こういったネコの視認能力を受け継ぐネコ科フレンズたちが、人間用ビデオ(ヒトの目の錯覚を利用しているものの一つ)を視聴する場合、フレームレートを調整しないと正常に視聴できない(明滅する一連の静止画としか認識できない)といった困った問題もあるとか……。

*2
【ピット】「ピット器官」とは一部のヘビの持つ熱(=赤外線)感知器官のことで、目と鼻の間にある穴のようなモノがコレ。ニシキヘビ科、ボア亜科、マムシ亜科のみにこの感覚器がある。よくヒトの技術の「サーモグラフィー」に例えられるように、ヘビの脳内では熱源が「空間画像」として処理される。だがその起源は「触覚」であり、熱だけ敏感に感じ取るように進化してできた器官らしい。事実、爬虫類のピット器官に相当する哺乳類の神経細胞とは、触覚の一種である痛覚器官の「ワサビ受容体」なんだそうだ。そしてヘビのピット器官とは全く別物だが、クロコダイルのお腹のウロコ(鱗板(りんばん))にある「穿孔(ピット)」という穴もまた熱感知器官だ。このピットはクロコダイル科以外のワニ(アリゲーターやカイマン)には存在しない。陸上によく上がるクロコダイルのみが、陸上哺乳類や鳥類などの恒温動物を能動的に狩るために進化させたものであると考えられている。……というわけで、こういった上記の熱感覚がサンドスターによりさらに研ぎ澄まされているのがニシキヘビやナイルワニのフレンズだ。太陽の沈んだ夜間、彼女たちが「フードの鼻」や「お腹のウロコの孔」を相手に向ければ、この「熱を見る目」で、かなり遠くの熱源でも正確に感知することができる。

*3
【ニシキの】錦野さん、誰……? いきなり新キャラ……? ではなく古風な呼び方をしているだけ。このようにミョージに「の」をつけて呼びかけるのは時代劇のセリフなどで見かけるが、文法的には「の」以下のことばを省略しているとも言えるし、接尾辞の「の」をつけているとも解釈できる。

*4
【戦いがニガテな(フレンズ)】レイヨウやシマウマなどのフレンズは、基本的に「逃げ癖」がついてしまっている子が多い。彼女らにはアスリート並みの脚力やスタミナ、頭部の髪の毛をツノ状に硬質化させての突き刺し攻撃など、一部の身体能力においては決して大型肉食獣のフレンズに引けを取らないのだが……。もとの動物の習性に由来する精神(こころ)のあり方が戦いに向いていないのだと言える。さっきの「バラバラ肉片の放り込み」だけで、もうオロオロと逃げ腰で挙動不審になっているフレンズたちは、これから戦力としては期待できないだろう……。今いる草食動物のメンツで戦いが得意なのは、大型動物であるキリンだ。彼女が好戦的なのは、探偵小説から影響された正義感だけでなく、気性の荒い大柄な雑種オスキリンからフレンズ化しているのも理由だろう。あと戦えそうな草食の子は……あの「丸い耳のゾウのフレンズ」ぐらいのものか……? だがセルリアンにビビりまくりのこういった草食動物に対して、逆に肉食動物のフレンズは、むせかえるような血の臭いと緊張感により、五感や闘争心が研ぎ澄まされている。

*5
【とにかく(その1)】いずれにせよ、他のことはさておき、最優先事項として、といった意味。「とかく」とも言い、どちらも漢字で書くと「兎角」で、中国や日本の仏教古典に登場する「兎角亀毛(とかくきもう)」という言葉が元ネタ。ツノの生えたウサギや、毛の生えたカメなど、「ありえないもの」のたとえだ。しかもこういうヘンな生物が出現することは()()()()()()()()であると書かれている。しかし「とにかく」の意味と、この「兎角亀毛」とは全く関連性が無く、実はただ漢字を当てただけである。この当て字は夏目漱石が頻繁に使用したことで有名になったらしい。『とかくに人の世は住みにくい』という『草枕』冒頭の文章などとくに有名だ。

*6
【とにかく(その2)】ところで注目すべき事実がある――なぜか()()()()()()()()()()()が世界中に存在するのだ! 中世ヨーロッパの伝説の獣「レプス・コルヌトゥス」、イスラム教の幻獣「アルミラージ」、米国の都市伝説UMA「ジャッカロープ」……などなど。実は「ショープ乳頭腫(パピローマ)ウィルス」なるものに感染したウサギには()()()()()()()()()()()()()()()という症状がある。この病気は現代ではおもにアメリカ中西部で見られるものだが……過去にユーラシア大陸で同様の病気が起こり、それをモデルに頭からツノの生えた恐ろしげな風貌の幻獣が生まれ、あちこちに伝播した……のかもしれない。このように、ヒトの想像力を超越した()()()()()()()()()()など、世の中には存在しないのかも?

*7
【高所作業車】トラック型の大きなものもあるが、ここで登場したものは小型のキャタピラタイプ。履帯上部に取り付けられたゴンドラが、油圧ジャッキで上下に可動する。木にいちいちハシゴをかけ直して昇り降りするよりだんぜんラクで、同様の機械が国内のリンゴ農園などで使用されている。ここの廃車はアームが伸びっぱなしで、バスケット部分が高所に固定されており、そばの廃車のくぼみに手をかけていけば、上までよじ登れるのだ。どうやらナツメヤシなどの背の高い果樹の剪定や収穫用の作業車のようだが……。このジャパリパークには食料(ジャパリまん)生産のための耕作地やプランテーションなどが点在しており、そういう所で使用されていた作業車なのだろう。なお、こういった耕作地のそばにある地下水の「ため池」は、昼間にハナコたちが休憩した「水場」のように、フレンズや動物たちの休憩場所になっている。

*8
遮蔽物(しゃへいぶつ)】正体不明のセルリアンだが……先ほどの「肉の怪雨」現象は()()()()()()()()()で動物の死骸を広場に投げ込んできたのだ、とハナコは推測している。「敵」は何らかの投擲(とうてき)攻撃を使えると警戒して、このように用心して「廃車の防壁」に隠れているというわけ。しかし、こんなスカスカボロボロの廃車がはたして遮蔽物(カバー)として使えるのか……非常に不安が残るが……。

*9
【エンジンブロック】攻撃された場合に備えて、フロントエンジン車の前方側面のエンジンブロック付近に身を隠している。洋画や刑事ドラマなどで車のドアを盾に隠れている描写があるが、ふつうの車のドアの鉄板など、()()()()()()()()どころかライフル弾なら簡単に貫通してしまう。最近の軽量化された車のドアなんて、小口径軽量のアサルトライフル弾でも楽に2枚ぐらいブチ抜けるそうだ。しかし、大口径の対物ライフル弾でも()()()()()()どころか機能停止させることすらできないほど強固なエンジンブロックや、ブレーキやシャフトなど内部構造がゴチャゴチャしているホイール付近などは、比較的防弾効果が高いと言える。

*10
【エンジンが爆発する危険性】この廃車ヤードの車はガソリンがとっくに気化して完全に無くなっているため、エンジンに攻撃を受けても当然爆発しないが……実際の事故車の場合も、映画やゲームのように銃撃や衝突で()()()()()()()()()()()()()()――内部のガソリンが漏れ出して、さらに電気系統のショートや衝突時の火花など「火種」がある場合のみに引火火災が起きる。※銃弾はいわば「ちょっと熱いだけ」なので火種にはならないのだ。さらにガソリンが気化して空気(酸素)と混合状態になった時点から、大爆発の危険性がある……。というわけで「いきなり爆発炎上」はしないけれど、やっぱり事故車に近寄るのはもちろん非常にキケンなのです。※アメリカ司法省のBomb Threat Stand-off Cardによると、普通乗用車のばあいTNT爆薬230kgに換算できる爆発力(アタッシュケース爆弾の約10倍相当)があり、最低安全避難距離は100m、推奨避難距離は570mとされている。

*11
【動物の死骸】つい先ほどまではシマウマやレイヨウたち()()()()()。草原を跳び駆け回っていたその脚は、まるで戦車のキャタピラに潰されたかのように、今ではただの肉塊に成り果てた……。割られて砕かれた白い骨、むせ返るように鮮やかな血肉や内臓は、息絶えてから間もないことの証拠。どろりとした網目状の脂肪組織が、幽鬼のように怪物(セルリアン)にまとわりついている……。怪物の黒い巨躯が満月の光でぬらぬらと輝き、動くたびに逆さになった頭蓋骨やツノや、あちらこちらにぶら下がったヒヅメが揺れてがらがらと寂しげな音を立てる……。この動物たちは()()()()()()()()()()()、苦しむ暇もなく体を引き裂かれて()()()()()したようだが……?

*12
【ダンゴムシ】陸棲の甲殻類の一種。甲殻類とはエビやカニ、ミジンコ、ダイオウグソクムシなどの仲間の節足動物だ。コシビロダンゴムシやハマダンゴムシなど色々種類がいるが、ダンゴムシと言えば一般的には全国でふつうに見られる種「オカダンゴムシ」のことを指す。こいつら実は明治時代に来襲したヨーロッパ原産の外来種らしい。アルマジロの仲間などと同様に、背中の丸く固い外殻で腹部を防御する……という生態は、まさに収斂(しゅうれん)進化の典型例だ。※ダンゴムシのように()()()()()()()()()のは、20種近くいるアルマジロ科のうちミツオビアルマジロ属の2種だけだが……センザンコウやアルマジロトカゲなども丸まるけれど、完全な球形ではない。なおタマヤスデなる()()()()()()もいるが、そいつらは多足類(ムカデやヤスデの仲間)なので似て非なる連中だ。また「ワラジムシ」というちょっと似た甲殻類もいるのだが、ダンゴムシのほうはカブトムシやクワガタのような()()()()()()()なのに対して、ワラジムシはフナムシやゴキブリのような()()()()()寄りの存在である。この人気の差は、丸まるか丸まらないかの違いか? あるいはカッコイイ(アーマー)の有無によるものか? それともササササーッ!と()()()()()かどうかの差異か? ちなみに顔を虫メガネでよく見ると、ダンゴムシのほうが丸い可愛い目で、ワラジムシはキツイ目つきをしている。

*13
【体色が異なる】昼間のあの青い「ダンゴムシセルリアン」(第1章1話参照)はメスでやや小柄の個体で、今交戦中のこの黒い個体は大柄なオスらしい。ところで現実世界にいるダンゴムシたちも、同種でも色が薄かったり赤っぽいものや黄色っぽいものなど個体差・地域差があり、ちなみによくいる()()()()()があるヤツは()()です。……なお()()()()()()()()は実在するッ! 『風の谷のナウシカ』の王蟲(オーム)のモデルかも? この現実の青ダンゴムシは「イリドウィルス」というウィルスに侵された個体で、病気が進行するほど体色が青くなっていき、1~2ヶ月で死んでしまうという。症状が進むと、ふつうの個体とは異なり()()()()()()()()()()()()()。この体色変化や異常行動は、ウィルスが感染拡大のため()()()()()()()()()()()ためなのでは?と言われている。奇麗なマリンブルー色のダンゴムシだが、彼ら自身にとっては「死の青色」というわけなのだ……! しかし感染力はとても弱いようで、集団じゅうに広まることは無いし、またヒトにとっては全くの無害であるとか。

*14
【ヘリコプター】回転翼(ローター)を持つ航空機の一種。メインローターが1枚(+後部のテイルローター)のシングルローター機と、前後に2枚の回転翼を持つタンデムローター機など、いくつか種類がある。どの機種でもローターが必ず2枚以上ついているのは、ローター回転時の反作用「反トルク」を打ち消すため、つまり本体のほうがぐるぐる回るのを防ぐため。固定翼機と比べると、ホバリングや低空飛行性能に優れて小回りが利く。また離着陸が容易なのも利点で、緊急時にはほどほどの広さの空き地さえあれば運用できる。歴史をひもとくと、古くはかのレオナルド・ダ・ヴィンチが発明し、ナチス・ドイツが実用的なものを製造……そしてアメリカ軍によって第二次世界大戦末期から使され、ベトナム戦争から本格的に運用されるようになった。現代では、軍用や警察用だけではなく、災害救助や物資運搬、ドクターヘリ、農薬散布ヘリなど、幅広い目的で使われている。ちなみに名前の由来はギリシャ語で螺旋(ヘリックス)を意味する「ヘリコ」+(プテロン)を表す「プター」の合成語なので、「ヘリ」や「コプター」と略すのはマチガイだったりする(でもアメリカ人も気にしてないしまあいいか……)

*15
垂直離着陸(ヴィトール)機】VTOL機(Vertical Take-Off and Landing Aircraft)とは、ヘリのように垂直に離着陸が可能な飛行機。「ベクタードスラスト方式」のハリアーや、「ティルトローター方式」のベル社&ボーイング社の共同開発のV-22オスプレイなどが有名。ちなみにどっちもチュウヒやミサゴといった()()()()()()。ふつうの飛行機である「固定翼機」と違い、VTOL機は滑走路がいらないことが利点のひとつ。つまり鳥のように助走いらずで離着陸し、上空では翼で高速飛行できる夢の乗り物なのだ! だが、離着陸時の激烈なジェット噴射(路面がアスファルトだと溶けます)では膨大な量の燃料を消費してしまうし、機構が複雑なため高価で操作が難しく、また固定翼機よりスピードが出ないし兵装搭載量も少ない……などデメリットも多いのが今後の課題だとか。

*16
【感心】心を動かされること、つまり「すっご~いっ!」の精神のこと。対して、同音異義語の「関心」は興味をもつこと、「なにそれなにそれ~っ!?」です。そして「歓心」は喜びのことで、「歓心を買う(得る)」と言うと誰かを喜ばせるという意味になる、つまり「うわぁ~い!」の心だ。さらに「寒心」と書くと「ぞっとすること」だ。他にも甘心とか汗疹とか奸臣という言葉もある。同じ音の言葉なのに、こんなに多くの意味があるなんて、日本語を勉強する外国人は()()()()を抱きそうだ……(漢字で書くとどれでしょう?)

*17
【好奇心】ヒトの場合、未知の事象に遭遇した場合、まずは驚き、その後に「恐怖心」か「好奇心」かのどちらかを抱くと言われている。動物には、好奇心というものがあるのだろうか? ……というのは非常に難しい問題だが、好奇心を「未知の対象への探索欲求」と定義するのであれば、未体験の環境に置かれた動物は、そこが危険でないと判断すると、その多くが「好奇心」によって自身の置かれた状況を把握しようとする。サル・イルカ・カラスなど、知能が高い動物ほど好奇心が強い傾向があり、また好奇心と警戒心の両方を持ち合わせている動物も多い。このパークのフレンズたちも、その多くも好奇心が強い子である。しかし『好奇心は猫を殺す(Curiosity killed the cat)』というイギリスのことわざもある。古くはシェイクスピアと同世代の16世紀の劇作家ベン・ジョンソンが使った言葉で、元は"Care killed the cat"――悲しみは猫を殺す、だったらしい。いつのまにか意味が変わり、9つの命を持つという伝承がある()()()()猫でさえ命を落とすという、()()()()()()を戒める教訓となったのだが……フレンズたちの「好奇心」の場合は、これからどういう結果をもたらすのだろうか……?

*18
【メロン】ウリ科のフルーツ(野菜か?果物か?というハナシはここでは置いておく)。北アフリカやアラビア原産と言われてきたが、近年の遺伝子研究によると()()()()()であるらしい。なんにせよ南方が原産なのだが、日本の高級メロンはヨーロッパで品種改良されたものが多く、北海道などの冷涼なちほ~の特産品になっている。甘い、というイメージがあるが、実はmelonという言葉は広義では(ウリ)と同じ意味なのでそうとも限らない。シロウリなど()()()()()()()()()()も、キュウリ属メロン(Cucumis melo)のいち変種にすぎないのだ。なお「マスクメロン」は一つの品種ではなく、甘~い麝香(マスク)のような芳香を持つメロン品種の総称だ。「アミメ」が無いマクワウリなどの「ノーネット系」メロンもあるぞ。そして「雑草メロン」なるものも存在し、関東から九州や瀬戸内海にかけての一部の離島のみ自生する()()()()()()だ。熱海沖の初島(はつしま)のものが有名。弥生時代以降に日本に渡来した古代のメロンが野生化したもので、遺伝子的には八百屋やスーパーのあのメロンと同種なのだが、ウズラのタマゴほどの大きさの野生フルーツ。で肝心の味は……?? 野生種らしくタネばっかでニガくてマズいそうだ(がっくし)。地元で「クソウリ」呼ばわりも納得……。パークのこのサバンナ地方にも、栽培種だったものが熱帯乾燥地に適応して原種に近くなった「じゃぱりワイルドメロン」なる野生種が自生しており、雨季になればそのあまりおいしくない味を楽しむことができる。※野生動物においても、カラハリ砂漠に棲むチーター(もちろん肉食性)が、カラハリメロンを食べて水分補給する例などが知られている

*19
【がま口】このセルリアンの口は、あのレトロな「がま口」財布そっくりだ。カメが首を出すように、甲羅の前底部からニョキッと出すことができる。昼間に出会った個体がこの口でむしゃむしゃと下草を食べていたように、こいつは本来は草食性。掃除機の吸い取り口のような()()()()()()()をしているのは、シロサイやジュゴンの口と同様に、地面近くの低い草を好んで食べるためだ。ちなみにハコガメ属の一部のカメのように、がま口の収納部分には蝶番(ちょうつがい)のある「ふた」がついており、「大口」を引っ込めて閉じれば、フレンズからの攻撃を完全に防御できるほか、乾季の厳しい乾燥を防ぐのにも役立つ。

*20
【絹を裂くような悲鳴】女性の甲高い悲鳴のこと。「シ、シルクを裂くなんて……」と、いかがわしいイメージを抱くエッチな人もいるが、悲鳴を絹を裂く時に発生する高い音に例えているだけの、そのままの意味ですよ。

*21
【怪鳥音】文字通り鳥の鳴き声のごとき怪音のこと。だが実際の鳥の鳴き声やそれっぽい物音などをこう呼ぶことはほぼなく、たいがいは()()()()()のことを形容することば。特にカンフー映画界の英雄、故ブルース・リー(李小龍(リー・シャオロン))の独特の甲高い掛け声を指す。ちなみに当時の香港映画ではリーの母語である現地方言広東語(カントニーズ)は使われず、彼の声は標準中国語(マンダリン)(≒北京語(ペキニーズ))で声優がアフレコ吹き替えしていたが、あの怪鳥音だけは()()()()()なのだ。格闘技・武術において独特な掛け声を使うのは一般的で、薩摩剣術の示現流や薬丸自顕流の猿叫(えんきょう)などはニワトリの(絞められる)声などと例えられたりする。パークの鳥のフレンズたちは多くが、びっくりした時や戦闘時にこういった奇声をあげる習性がある。()()()()()()していないと、可愛い子や美人さん鳥フレンズがキィイェエェーッ!!などといきなり叫ぶシュールな光景に驚くかもしれない。

*22
【らいへんばっは】スイスのベルンちほー、アルプス山脈にある高さ250m・幅90mの美しい滝「ライヘンバッハの滝(Reichenbachfall)」のこと。かの名探偵ホームズが宿敵モリアーティ教授と一緒に落下して死にそうになったエピソードが有名。それを知るキリンの今回のこのセリフは……「ファイトー!」「イッパーツ!」みたいな、掛け声のつもりなのだろうか……? キリンはたまにこういった探偵小説に由来する言動をして、「う~む、今のセリフ、かっこいい……! 今の私、名探偵っぽい~!」などと密かに自己陶酔しているが……周りのフレンズには()()()()()()()の一種だと思われているだけだったりする。

*23
【耳障り】不快な音を指すことば。なお(ちまた)では「耳触り」と書いて、「聞き心地のいい」という意味の「耳触りの良い」という表現がたまに使われるが、本来は誤用もしくは俗語だ。※しかしNHKによると、1980年の有識者アンケートで89%が誤用だと答えているのに対して、1989年の世論調査では誤用だと答えたのは59%、92年では47%と、だんだんと市民権を得つつある日本語のようだ。さて、ヒトにとっての「耳障りな音」というのは「波形に規則性が無い」か「高すぎるか低すぎる」のどちらかである。前者はオンチな歌声、後者は工事音や黒板を引っかく音などだ。その逆で、規則的な波形をしていてちょうどいい高さの音とは、たとえば川のせせらぎや小鳥の鳴き声など、いわゆる環境音楽やヒーリングミュージックに使われる音声で、これらは「1/fゆらぎ」という、精神的な安定感や快適性と関係するパターンを持っている。この1/fゆらぎパターンは音声のみならず、ヒトの心臓の鼓動や木漏れ日、電車の揺れ、ろうそくの炎のゆらめき、ホタルの光り方などにも見られる。また、歌手の美空ひばりさんや宇多田ヒカルさん、声優の大本眞基子さんや花澤香菜さんなど、ごく一部の人間の声紋にも1/fゆらぎが見られるとか……。

*24
【下半身でぶらさがる形】今の彼女の体勢は……柔道の「三角絞め」や禁止技「胴締め」、あるいは柔術(ブラジリアン)の「クローズドガード」に近いものだ。腕力の数倍と言われる脚力や腹筋・背筋のパワーをメインに使うのは一見合理的だが……。絵面的には、まさに()()()()()()()のバランスゲームのおもちゃそのものである……。ちなみにアレは「さるも木からおちる」(ツクダオリジナルから発売)という名前のパーティゲームで、「落ちた~!」という昔のテレビCMが有名。「ふ、不吉な……こんな時に冗談じゃないぞおい!」(by ハナコ)

*25
【さきほどの攻撃】実はこの時、サバンナ地方のココから遠く離れたとある場で、この攻撃の轟音によって目を覚ましたフレンズたちがいる――あのブラック企業のサラリーマンが転生したという「ハダカデバネズミ」のフレンズと、正体不明の謎の色白のフレンズ(※彼女にはけものの耳も尻尾が無いという、変わったフレンズ)だ。このコンビはこうして目覚めた後で、ハナコたちが交戦中のこの戦車セルリアンが原因で()()()()()()()()()()()()()()()をかかえて、大量のセルリアンに追われながら、深夜の熱帯草原をフレンズたちと協力して必死で駆けずり回るハメになっており……そっちでもひじょ~に大変な「パークの危機」なのですが……その長~い一夜のおはなしはまた別の機会に……。

*26
【ささくれ】人の指のツメの根元あたりが肌荒れで剥けた状態のこと。木材表面の「剥け」のことも指す。「ささくれ」はおもに関東の言葉(語源は不明)で、関西では逆剥け(さかむけ)と言う。ささくれの原因は(とくに冬場は)空気の乾燥や、セッケンやシャンプーや除光液(アセトン)の使い過ぎなどで、皮膚の水分・油分・栄養が不足することでできる。「ささくれができるのは親不孝のあかし」という言い伝えもある。ささくれは体調不良でも起こりやすいので、睡眠不足や不養生を戒める文句だろうか? ……本編のような鋼鉄板の()()()()などは、日本の街中ではめったにないお目にかけられないが……かつて戦地となった地域へ海外旅行に行くと、そういった鉄の銘板に刻まれた()()()()()を見ることができるだろう。

*27
榴弾(りゅうだん)】戦車や自走砲などが撃ち出す砲弾の一種。内部の火薬が炸裂し、破片を飛び散らせて広範囲を攻撃できる。貫通力の高い「徹甲弾」と比べて、非装甲目標や兵士を攻撃するのに向いているタイプの砲弾だ。※ちなみに「榴」の字は、熟すと実がはじける果物「柘榴(ざくろ)」から来ている。同様の仕組みのものとして、榴散弾、キャニスター弾、ぶどう弾などの砲弾が過去に使われていた。……話を戻すと、このセルリアンはフレンズたちの頭上で「セルリアン榴弾」を空中炸裂させて攻撃するつもりだったのが、ミスって廃車の壁のほうに着弾させてしまったのだ。げぇ、あぶねところだったのね~っ!!

*28
【飛び道具】ヒトの際立った特徴と言えば、直立二足歩行や長距離移動、運搬、道具の使用、火の使用、言語能力などが挙げられるが、歴史学者アルフレッド・W・クロスビーは著書『飛び道具の人類史』において「投擲」の重要性を指摘している。ヒトと他のサルを決定的に分かつものとは「非接触攻撃」である、と。投槍器や投石器、吹き矢、弓矢から……火薬の発明以降、銃器や大砲、戦車へ……そして長距離ミサイルやドローン兵器へ……。この「暴力性」と「非接触性」の進化の原点は、二足歩行により手が自由になって初めて可能な「投げること」なのである。また、民俗学者の中沢厚の著書『つぶて』によると、投石は聖書のダビデとゴリアテのみならず、世界中の神話や民話に「神の行為」として象徴的に登場するという。狩猟や戦闘のみならず、宗教儀式(日本ではお賽銭投げやモチ投げ、まんじゅう投げなど)や刑罰、子供の遊びまでにも見られる「投擲」は、()()()()()()()()()()()()()()と言える。またその実用性においても、日本の戦国時代で「印地打ち」と呼ばれた投石攻撃は弓や槍と並んで戦場の主戦力であったことは有名だ。現代でも護身術やサバイバルでは、投石は場合によっては銃器と互角かそれ以上の有効性があると言われている。そしてあのパークの英雄「カバンサン」も、「飛行する神木」なる投射物を生み出し、これを強肩剛腕でセルリアンにぶん投げまくって撃滅せしめたという、珍妙不可思議きわまる伝説がフレンズ間で伝承されている。




【参考資料】

◆猫の目の仕組み・不思議:暗闇のなかでキラリと光る印象的な大きな瞳|参天製薬
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/wonders/cat_eye.jsp

◆丸い瞳孔からカタチが変わる ひとみ七変化|参天製薬
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/wonders/pupil.jsp

◆狐や猫の目の仕組み・不思議:縦に長い瞳孔|参天製薬
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/wonders/fox_eye.jsp

◆猫の目からは実は世界はこう見えている BUZZAP!
https://buzzap.jp/news/20131017-cats-eye-view/

◆ネコはどんな世界を見ているのか:比較画像ギャラリー WIRED.jp
https://wired.jp/2013/10/18/cats-eye-view/

◆ヘビはどんな生物?~生態と特徴について - 生物史から、自然の摂理を読み解く
http://www.seibutsushi.net/blog/2013/01/1359.html

◆※ヘビが苦手な方は絶対に見ないでください。 科学コミュニケーターブログ
https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20130812post-229.html

◆ヘビが赤外線を「感じる」メカニズムが明らかに、米研究 AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/2710359

◆ヘビの熱感知能力は、人の「ワサビ感知能力」と関係 WIRED.jp
https://wired.jp/2010/03/17/%E3%83%98%E3%83%93%E3%81%AE%E7%86%B1%E6%84%9F%E7%9F%A5%E8%83%BD%E5%8A%9B%E3%81%AF%E3%80%81%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%80%8C%E3%83%AF%E3%82%B5%E3%83%93%E6%84%9F%E7%9F%A5%E8%83%BD%E5%8A%9B%E3%80%8D%E3%81%A8/

◆クロコダイルとアリゲーター、カイマンの違いとは?ワニの種類まとめ! ペットハイム
https://petheim.net/crocodile/

◆兎に角(とにかく) - 語源由来辞典
http://gogen-allguide.com/to/tonikaku.html

◆兎角 生活の中の仏教用語 読むページ 大谷大学
http://www.otani.ac.jp/yomu_page/b_yougo/nab3mq0000000qal.html

◆皮膚疾患 角の生えたうさぎは実在するか?乳頭腫 MediRabbit
http://www.medirabbit.com/JP/Skin_dis_jp/Viral/Papilom/Papillo_jp.htm(※閲覧注意)

◆高所作業車 『現代農業』用語集 ルーラル電子図書館
http://lib.ruralnet.or.jp/genno/yougo/gy169.html

◆研究情報 研究結果 高所作業を能率化する果樹収穫作業機 農研機構
https://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/1998/narc98-434.html

◆高所作業機 フジイコーポレーション株式会社
https://www.e-fujii.co.jp/personal/high/user/

◆銃の基礎知識 JBL 日本防弾工学研究所
http://www.securico.co.jp/jbl/image/guns.html

◆映画やドラマでよく見るシーン…車はそんなに簡単に爆発するの? CarMe
https://car-me.jp/articles/14629

◆50口径の対物ライフル弾で自動車のエンジンをストップさせることはできるのか? - DNA
https://dailynewsagency.com/2015/12/05/will-a-50-cal-stop-xym/

◆JCAT Counterterrorism Guide For Public Safety Personnel
https://www.dni.gov/nctc/jcat/references.html

◆青いダンゴムシとかこぼれ話金沢動物園公式サイト|横浜市緑の協会
http://www.hama-midorinokyokai.or.jp/zoo/kanazawa/details/post-725.php

◆おどろきダンゴムシ図鑑|奥山風太郎 - 幻冬舎plus
https://www.gentosha.jp/series/dangomushizukan/

◆ダンゴムシジャパン
http://dango64jp.starrypages.net/

◆【配布資料】今日から始める自然観察「コロコロ丸まるダンゴムシの暮らし」 - 日本自然保護協会オフィシャルサイト
https://www.nacsj.or.jp/2019/12/18304/

◆ダンゴムシとワラジムシの違いとは?|害虫なるほど知恵袋
https://www.earth.jp/gaichu/wisdom/sonota/article_005.html

◆その他の生き物…無脊椎動物編 タマヤスデの一種 ishida式
http://www.ishidashiki.sakura.ne.jp/sonota/musekitsui/tamayasude.html

◆人類の夢「高速で水平飛行」「その場で離陸&着陸」 VTOL機の種類とその歴史|まいどなニュース
https://maidonanews.jp/article/13314710

◆「感心・関心・歓心・寒心」の意味の違いと使い分け 英語部
https://eigobu.jp/magazine/kanshin-2

◆第469回:“Curiosity killed the cat.” ―「好奇心は猫を殺す」(イギリスのことわざ) ジム佐伯のEnglish Maxims
http://englishmaxims.seesaa.net/article/453696303.html

◆メロンの主な品種一覧:旬の果物百科
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/Melon.htm

◆メロンが雑草として育つ島 デイリーポータルZ
https://dailyportalz.jp/kiji/121010157894

◆asahi.com:メロン研究40年 直径数センチの雑草メロンは渋い - コミミ口コミ
https://www.asahi.com/komimi/OSK200711240034.html

◆[13]植物の世界Ⅰ[41]日本に生えている雑草メロン GLNからこんにちは
http://www2u.biglobe.ne.jp/gln/13/1341.htm

◆No.156 チーター – おもしろ哺乳動物大百科 102 食肉目 ネコ科 エレファント・トーク
https://www.elephanttalk.jp/site/pet-column/1561.html

◆「耳ざわりのいい音」は誤用では? ことば(放送用語) - 放送現場の疑問・視聴者の疑問 NHK放送文化研究所
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/005.html

◆心地よく感じる音と不快に感じる音の違いから考える最適なオフィスBGMの選曲 Sound Design for OFFICE USEN
https://sound-design.usen.com/feature/office-bgm/office-bgm66.html

◆【柔道チャンネル】柔道武道館:三角絞
https://www.judo-ch.jp/dictionary/technique/katame/sime/sankaku/

◆【柔道チャンネル】柔道武道館:胴絞
https://www.judo-ch.jp/dictionary/technique/katame/sime/dou/

◆クローズドガードの基本 - ブラジリアン柔術 Wiki
https://seesaawiki.jp/brazilian_jiu-jitsu/d/%A5%AF%A5%ED%A1%BC%A5%BA%A5%C9%A5%AC%A1%BC%A5%C9%A4%CE%B4%F0%CB%DC

◆第12回 東西対決「ささくれ」「さかむけ」勝者は? web日本語
https://www.web-nihongo.com/k_hougen/kh_p012/

◆指の「ささくれ」は、なぜできるの? 【 ホスピタクリップ 】
https://www.hospita.jp/medicalnews/20190820b/
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