目標:彼女を救え!
現在地:さばんなちほー中央部/熱帯大草原地域/「広告大看板」前廃車ヤード
時間帯:深夜
近接武器:黒曜石のナイフ/ネイルハンマー/高枝切りバサミ(壊)
所持品:結束バンド/植物繊維のロープ/水筒/ビニール袋/使い捨てライター
同行者:イワハイラックス/ラッキービースト?
ヒント:ヒトが「ヒトらしい生き方」をしているとは限らないし、その逆もまた有り得る。
とっさに負傷したハイラックスをより危険性の低い場所まで引きずって退避させる! コンテナと車両とで、2重の遮蔽物のある所だ。だがここも、敵にいつ撃たれるか分かったものではない!
例のL型ライト*1(これは通信装置でもあるのか?)を手に取ると、光源付近のレンズ状のパーツから、謎の「ラッキービースト」さん??の声がまた流れてくる……。
いや、それは
『ぼくノ本体ヲ……ソノ
ラッキービーストが機械音声のような平坦な声で語りかける。
「了解……こんな感じでいいですか?」
『OKダヨ』
私はフラッシュライトのレンズ(これはカメラにもなっているのか?)を、悲痛なうめき声を上げるイワハイラックスの体に向け、水筒の水を使って患部を洗浄する。
『……左大腿部ノ大量出血*2ガ 一番ノ重傷ダネ。キミガ、救急処置*3スルシカ ナイケド、デキルカイ?」
「もちろん……やるっきゃないですッ!」
『良イ返事ダネ。ジャ、手順ハ ぼくガ 教エルヨ』
「あなたの指示に従う! さあ早く!」
『マカセテ』
……未知の世界ジャパリパークのことを、少しは分かってきたと思ったら……いきなり現れたのは「ラッキービースト」と名乗る、敵か味方か分からない未知の存在……。
だがハイラックスの怪我はひどい出血で、素人目に見ても、放っておけばすぐに失血死に至る重傷! つまり、仮にこの「ラッキービースト」に悪意があれば、
そ、そのはず?だよな……と一瞬考えたものの、はっきりした結論など出ない!
しかし! ハイラックスを
『……日時時刻:不明。場所:不明。対象:
「ラッキービーストさん、頼みますっ!」
『ぼくノ声ト、キミノ手デ、彼女ヲ 助ケヨウ!』
……あなたが
『意識有リ。大腿動脈・静脈ニ 重度ノ爆傷*4ヲ確認。大腿骨・
「このロープでは? 服やベルトも使えそうだけど?」
『材質ヤ長サヲ 考慮スルト……ソノ『ろーぷ』ガ 向イテイルネ。ソレヲ 使オウ』
私はラッキービーストの指示*7に従い、「植物繊維のロープ」をハイラックスの太腿にきつく巻き、「高枝切りバサミの柄」でぐるぐると締め上げて「結束バンド」を使って固定する。
「ぐぐぐ……! い、いだだだ……!」
止血処置のあいだ、苦悶の声を上げるハイラックス。
「ハイラックスさん、すまん! 痛いけど我慢してくれ!」
『喋レルノハ、肺ガ ヤラレテイナイ証拠ダヨ』
私は彼女の手を握って励ます。
「ハイラックスさん、キツイけどこれで血が止まるからね!」
「あ、ありがとう~……」
そう彼女は無理に笑顔を作って言う。
「うかつだった……私の責任だ……。あの時、あなたを……」
「いやぁ、自分を責めることないよ~。わ、わたしが……
「すまない……! もう喋らないで……! あなたは私が絶対助ける! また壁をぺたぺた歩かせてあげる!」
そして!
『ヨシ! 救命止血、完了! コレデ 20分ハ、時間ガ出来タ*9ヨ! 残リノ負傷ノ治療ハ、
私はハイラックスをひっぱって*10広場のほうまで移動させていく。
ここもいつ「砲撃」が飛んでくるかもしれないが……さっきの端っこの場所よりは、はるかに安全だ。
カラカルやキリンや他のフレンズ達が私たちを迎える。
「あ! ハナコ! 何、さっきのものすんごい音と悲鳴は……!?」
「ハイラックス!! あなた、どこへ行って……って、ひ、ひどいケガじゃない!!」
するとL型ライトの光がぴかぴか点滅し、ラッキービーストが再び話し始める。
『サア、安全地帯マデ 到着シタネ。救命処置ヲ 続行シヨウ』
「みんみっ! にゃんだぁ、こいつぅ~っ!? 光るし、喋る~!?!?」
「ひ、光が、しゃべ――光が
彼が話すとフレンズ達もびっくり仰天。
「みんな、彼はラッキービーストって言って~……。えーっと、なんて言ってたかな……? ……まあ、とにかく、私たちフレンズの
もちろん保証なんてできっこないのだが……ここでフレンズを不安にさせたくないのだ。
そう、今までの言動からして彼は……味方だと判断してもいい……はずなのだ。
『ソウダヨ。頼リニシテネ。デモ、今ハ ぼくノ事ヨリ、マズ 怪我人ノ治療ガ優先事項ダヨ!』
「そうですね……! さあ、ハイラックスさん、ケガの手当ての続きをしますからね!」
「よ、よろしく~!」
こうして私たちは、フレンズたちにも手伝ってもらって、ハイラックスの残りの怪我の治療を続けた。
腹部のキズは幸いにも重要臓器を逸れていたので、見た目よりもずっと軽傷であった。
この傷の処置としては、水で洗って湿らせたビニール袋を、ハイラックスの手足の裏から分泌される粘液*11で接着させて被覆する。
その他の比較的軽いキズは、ガーゼや包帯で止血*12したり、結束バンドや接着剤で治療*13したり、アリの大アゴで縫合*14したりなどの処置を取った。
治療が終わった後は彼女を楽な姿勢*15にさせる。ちょうど経口補水液の粉末*16を持っていたフレンズがいたので、これを水筒の水に溶かして飲ませる。
『脈拍・体温・呼吸・血圧・血中酸素濃度・瞳孔反射チェック』
ラッキービーストの指示で、彼の「本体」(細いストラップがついたレンズがついた腕時計のようなパーツ)をフラッシュライトから外し、ハイラックスの手首などに当ててセンサーでバイタルサインを計測する。……ウェアラブルデバイスのような原理だろうか?
『……ばいたるハ、徐々ニ 正常化シテイッテイルネ。命ニ別状ハ無イヨ』
「よかった……」
『キミガ 手早ク、一番ノ重傷ヲ処置デキタ オカゲダヨ』
『……トコロデ 聞イテナカッタケド、キミノ名前ハ?』
治療が一段落して、ラッキービーストが尋ねる。
「私? ……『ハナコ』と呼ばれてます。
そう答えると、カラカルが「ちょっと!」と反論を挟んできた。
「アンタ、さっきも言ったけど! ハナコって名前は
「え? ……そう言われれば、そうだったけど……。いや、
『
「そ、そりゃ大げさな……ところで『リスト』って何?」
「アクセス
ヒカリは丁寧語交じりの口調で言った。
「なんだか分からんけど、それならしかたないですね」
『ゴメンネ』
「おお! それは、探偵の
キリンが話に首を突っ込んできた。
『
「いいえ、むしろ今の大活躍はまさに『医者』のそれ! あなた、この名探偵の私の『でんきさっか』ね、わとすんくん!」
『違ウヨ、違ウヨ』
あいかわらず支離滅裂なことを言う子である。
ぐいぐいと喋るキリンのおかげで親密な空気が流れ、それを機に他のフレンズたちもラッキービーストと話し始める。
「あなたは何のけものなの?」
『けもの違ウ。ぼくハ ラッキービースト ダヨ』
「え、え~! ラッキービーストって……
「でも、
「たしかに。君みたいなおしゃべりな子は珍しいわねー」
「そうよね、たいていはすごく無口なのに。こうしてアタシたちとふつうに喋る子は初めて見るわねー」
フレンズたちは何事もなかったように状況を受け入れている。
彼女たちの会話によると、みんなラッキービーストのことを知っているらしい。
そしてこの彼は、「一般的なラッキービースト」とは違うそうだが……。
「えーい、同じ名前じゃまぎらわしいっ! あなたは光るから……じゃ、ヒカリちゃんにするわね!」
キリンが勝手に命名している。
「あ、そういえば、まだ言ってなかったけど……ありがとう、ラッキービーストさん……いえ、私も
『個体名ナンカ、何デモイイヨ。ぼくハ ヒトニ従ウ機械。
「そ、そうなんですか……? しかしロボとは言ってたけど、実際あなた、何者なんですか……?」
『具体的回答:オブジェクティブ・インディビジュアル・コンバット・サポーティングシステム――個人主体戦術支援用システム・特殊工作型ラッキービースト。存在目的:ヒトノ保護、ヒトノ命令ヘノ服従、可能ナ限リノ自身ノ保存』
「よ、よく分からんのだけど……」
『他ノ詳細な情報ハ……
「ああ、さっきの情報制限とかいうアレで……」
『ゴメンネ。ア……デモ、ぼくニモ 前ハ「からだ」ガ アッテネ……。スゴク、カッコイイろぼっと ダッタンダヨ』
「そ、そうなのぉっ……!? すっ、すごくかっこいいロボット*17だったの……(どきどき)」
『ハナコ、今ノ ぼくハ、キミニ従ウもの ダヨ。命令シテ。ぼくノ 次ノ任務ハ、何ダイ? ぼくニ 出来ル事ナラ、何デモスルヨ?』
「任務……というか、
『
「……『ヒカリ』って、アンタも言ってること、よく分からんわね……。ま、なんにせよ、ハナコが大したケガじゃないみたいでよかった……」
そう言うカラカルの瞳孔は大きくなって尻尾や毛は逆立って、動揺している様子が見て取れる。
「でも、ハイラックスさんがこうして身代わりになって……」
まるでミイラのように包帯で体をぐるぐる巻かれた、痛々しい姿の彼女を見る……。
「だから~、そんなに気にしないでよ~。さっきも言ったけど、わたしのほうが、不注意だったからさ~。……それよりも、あのセルリアンは
ハイラックスが明るく笑って答える。
「そうねえ……。くっそ~、あのセルリアンめ……いつもと様子が違うけど、これからアタシたち、どうしたらいいのかしら……?」
「うむ! 私の長い
キリンが耳や尻尾を振って興奮しながら言う。
おかしなことばかり言うキリンだが、今回ばかりは私も彼女の意見に賛成だ。
今こそフル回転で頭を使わなければ……!
まず手始めに私は「戦車セルリアン」を観察して分かったことを皆に説明して、情報を共有することにする。
「あのセルリアンは
「ハナコの言う通り……。いや
バーバリライオンがそう言って、他のフレンズたちも「戦うこと」じたいには賛同してくれる。
そして私は、セルリアンは色々な種類の砲弾を撃ってくることも説明したのだが……やはり銃や大砲や戦車など知らないフレンズたちには、どうもうまく理解してもらえない。ケガした本人のハイラックスも、うまく説明できない。
「あの、ヒカリさんは、フレンズさんに上手く説明できます……? ほら、サバンナの動物のたとえ話とかで……」
私は胸ポケットに入れたL型ライトのラッキービーストに尋ねる。
『ソノ命令ハ 難易度 高イネ。高性能ナAIノ ぼくデモ、比喩ヤ類推ハ 苦手ダヨ』
「ヒカリさんでも苦手なことがあるんですねー。それはロボだから……? いえ、でもこうして流暢にお話ししてると、ぜんぜん機械とは思えないけどなー(声だけメカっぽいけど)」
『ソレニネ、ぼくニハ、専門ノ「動物解説ソフト」ガ いんすとーるサレテ無イカラネ。ソウイウ「動物解説」ハ、ぼくジャナクテ 飼育員さんヤ 「ぱーくがいど・ろぼっと」ノ 業務ダヨ』
「う~ん、それは困ったなぁ……」
そこへ!
「そーいうお困りの時はぁ~わたくしぃ~っっ!」
ヘビクイワシが斜め45度ぐらいの勢いで飛び出してきた。
「わ! びっくりした!」
「さばんなちほーの『せんせい』であるこのヘビクイワシの出番でありましょうッ! 今のお話、わたくしが代わってお話ししますっ!」
「そ、それじゃ、よろしくお願いします!」
彼女にフレンズたちへの解説を頼むことにする。
そして!
「さあ、おべんきょうの時間ですよ~! みんな、今日は元気かな~?」
……ヘビクイワシは、教育番組のお姉さんのようなパフォーマンスを始めた。
「ハーイ!」
「我も元気である」
「うみゃみゃー!」
「キリンは昼も夜も元気よ!」
フレンズたちも慣れたノリで返す。
「
『人工知能:正常。末端センサー:刺激無シ。運動機能:最悪。体ハ無イケド、ぼくモ元気ダヨ』
「あなたがたは元気とは言えないでしょ」
「そういえば~」
『言ワレテミタラ ソウダネ』
「よしっ! まずはみんなで頭の良くなる『鳥さん体操』を――」
「あの、ヘビクイワシさん、今回はそういう前置きは省略でお願いします」
「え? こういう時こそ、頭が良くなる体操が必要では?」
「いえ、気持ちは分かりますが、ここは巻きでお願いします。体操は後ほど」
「そうですか~……しょうがないですねえ……」
今にも踊り出しそうな勢いのポーズ*18のヘビクイワシを私はなんとか説得すると……彼女は「くえぇーッ!」と咳払いして声を整えてから、満月夜の青空教室で
「みなさん! サバクツノトカゲ*19って知ってます? 怖くなると、目から血の涙をビュルルーっと! 同じようなことをする、ネズミみたいなセルリアン*20もいますよ!」
この質問に対し、フレンズたちの反応は「知ってる」と「ぜんぜんわからん」の声が半々くらい。
「……じゃあ、クジラ! クジラは鼻が頭の上にあって、鼻水をズビビーっと! ……知らない子もいますか……。じゃ、さばくのラクダや、こうざんのアルパカのツバ吐き! 知りませんか……? では、ゾウ! ゾウのみずでっぽう! 長い鼻で水を吸って……ドバババーっ!!」
こっちの説明に対しては、「なるほど!」「かんぜんにりかいした!」「わかる」という納得の声があがる。
この「さいばん」に集まった
「セルリアンのあれは、『すっごく強いみずでっぽう』なのでありましょうっ!」
彼女は説明を続け、うん、うん、と頷いて納得するフレンズ達。
銃は知らないが、「てっぽう*21」がどういうものは知っているらしい……。
「いえ、水鉄砲というかぁ~……言うなれば、『火山の噴火』の小さいヤツかな~?」
と私が言うと、ざわめき出すフレンズたち。
「なぬ!? かざん!!でありますか!?」
「『かざんのふんか』をあやつる!! この
「そいじゃあハナコ、アナタやっぱりひとなのかしら……」
フレンズたちがとても驚いた顔をしている……。
あの例のカバンサンも、銃火器を使っていたらしい……。やはり
というわけで、納得した顔のフレンズたち!
……しかし、けっこう大雑把な説明*22なんだけど、ホント分かってるのぉ~、みんな……?
「あぁ~っ! ひとつのことを、こうしてみんなで理解ッ! 『ことば』とは、ほんとうにスバラシイ『はつめい』でありましょう~っ!」
こうしてフレンズたちも、あの危険なセルリアンの性質がだんだんと分かってきたが……。
さて、ヤツと戦うか逃げるか……。
どちらにしても、犠牲者が出るかもしれない……動物、フレンズの別を問わずに……。
フレンズらの瞳に「理解の光」が灯ったのもつかの間……焦燥、不安、恐怖、怒り、暗い感情に変化していく。
ざわめくフレンズ達を代表するように、ヘビクイワシが改まった調子で私に語りかけてきた。
「あの、ハナコさん……。やはり貴女は『ヒト』かもしれないと、わたくし思います。セルリアンを、ああやって『かんさつ』して、『ことば』で説明して……というのは、ヒトの習性でありましょう」
「うむ。すなわち、お主は『かばんさん』と同じ『ヒトのフレンズ』なのやもしれぬ……。かばんさんも、そして『動物のヒト』もみな、フレンズたちを率いてセルリアンと戦ったと、我はそう聞くが……。ハナコ、お主も
バーバリライオンが言う。
「……あの、ところで私たち、さっきまで『裁判』をしていましたよね……」
その質問に対して、私はワザと話題を変えて言った。
「……なぜ、今そんな話を?」
バーバリライオンの当然の疑問。
「あなたたち、『しけいにする』とかなんとか言って……さんざんおどかしてくれましたね?」
私は、カラカルやキリンたちに向きなおって言った。
「……もしかしてハナコ、怒っちゃってる……?」
「
カラカルとキリンが瞳に暗い表情を覗かせる。
「いえ、そうじゃないです。あなたたち、フレンズさんのことは……こうして話したりして、よく分かってきた……つもりだし」
「それじゃあ、なんで……?」
「……私は
「え?」
「つまり私の『いい考え』で、
「そ、それって、つまり……ハナコ!」
「……そうっ! これから私の作戦で、セルリアンをやっつけてやる!」
そう言うと、フレンズたちが嬉しそうな声をあげる。
「……にゃははは、もうっ! いじわるねっ! ヒトは話が長いんだから!」
カラカルが自分の服を舐めながら*23言った。
「あなた、そういうまわりくどいところ……! 名探偵の素質があるわねっ!」
キリンも嬉しそうに言った。
「さ、さすがハナコさんっ!
アードウルフも目を輝かせている。
「『ヒト』は……とくにハナコさんは、すっごく強い『ヒト』だから……アイツを倒せるんですねっ!」
「それは違いますよ、アードウルフさん。私のチカラだけを考えて言ってるんじゃない。すっごく強い
私は続けた。
「私には『カバンサン』みたいな『英雄』じみたチカラもワザもないけれど……」
「あ~、それは、たしかにな~」
「背も低いし、腕も脚も細いから、かばんさんとは大違いね」
「ついでにハナコさんはおっぱいも小さいですよねー」
カラカルとキリンとアードウルフがツッコミを入れる。
「おいっ! 茶化さないでくださいっ! マジメに言ってるんだからっ!」
……気を取り直して私は続けた。
「……残念ながら私はカバンサンじゃない。でも、私はもちろん、みんなを助けたいと思ってる! これが私の正直な気持ちです! 私は弱い生き物で、独りじゃ何もできないけど……だから、アイツを倒すために、みんな力を貸してほしい!」
「うにゃあ!」
「やろうよ!」
「ぱおーん!」
「みんなでチカラをあわせよう!」
「パッカァーンとアイツをやっつけちゃおう!」
『ぼくハ ハナコノ指揮ニ イツデモ従ウヨ』
フレンズたちの瞳に「反撃の光」が灯る!
「ふふふ……。ハナコ、アンタ……助けてほしいなら……そうならそうと、はっきり言いなさいよねッ! 回りくどい言い方しなくても、もちろん助けてあげるのに決まってるじゃない!」
「あ、ゴメン、カラカル。……う~ん、もしかして、ちょっといじけたかな?」
「いや! おもしろくなってきたわね、って! ヒトって、いろんなことをするし、いろんなことを話すのね、って思って。ま、アンタが
「よし! じゃ! 今から
「そりゃあ楽しみね! おもしろい! おもしろい!」
「安心して。セルリアンは大丈夫、絶対何とかする!」
最後に、私はフレンズたちに……そして自分自身に……言い聞かせるようにそう言った。
「ふふふ……! ハナコ、頼りにしてるわよ!」
カラカルが笑って言った。
「私を頼ってくれるのは……うれしいけど……それは、やっぱり私が『ヒト』だから? たしか前に、カラカルそう言ってたでしょ?」
「え? イヤ、そんな理由じゃないわよ。アンタがヒトなのかどうか……
彼女は一呼吸おいてから、話を続ける。
「でもセルリアンを倒したり、『さくせん』を立ててアードウルフを助けたり、ああしてハイラックスのケガを治したり……そういうのを見てきたから、だから頼りになるなって思うのよ。アタシの場合は、だけど」
「そうか……。そりゃありがたい言葉だ……」
「頼りにしてるから……! だから、あのおっかないセルリアンを、アタシたちでなんとかしようっ!」
「おうッ!」
カラカル……「人を助けることが当然」のあなたは、もう忘れてるかもしれないけど……生まれてすぐ死んでいくはずだった私を、助けてくれたのは、あなただ……。
今こそ、その「お返し」をしなければ……生きている甲斐が無い!
一度無くした命、あなたやフレンズのために使いたいと思ってる……!
さあ、ここが正念場!
漢の命の捨てどころ!(男じゃないが)
【参考資料】
◆L型 フラッシュライト。 のんびりと行こう。
https://ameblo.jp/m1918a2/entry-12404853790.html
◆パイル二等兵の露営日記 米軍L型ライト
https://privatepyle.naturum.ne.jp/e965772.html
◆『イラストでまなぶ! 戦闘外傷救護 -COMBAT FIRST AID- 増補改訂版』照井資規/ホビージャパン/2020
◆「はんぱない」止血器具の半端なく危険な勘違い TACMEDAブログ~有事医療を考える~
http://blog.livedoor.jp/speranza_raggio-ranger_medic/archives/1076013657.html
◆現在の救命の尺度とは~世界が挑戦 市民への統合型救命教育~2 NEXT MEDIA Japan In-depth
https://japan-indepth.jp/?p=44236
◆TACMEDA 資料(※閲覧注意。凄惨な銃創のカラー写真あり)
銃創の恐ろしさと基礎知識(※閲覧注意)
止血帯による出血制御が可能な部位
戦死・戦傷死の減少と防ぎえた戦死原因の変化
致命的外傷とカーラー曲線との比較
http://tacmeda.com/dl1.html
◆日本では導入されていない「善きサマリア人の法」とはどんな法律なのか? - シェアしたくなる法律相談所
https://lmedia.jp/2015/07/07/65772/
◆関西エアポート、テロ・災害時等の対策で止血帯「ターニケット」を関西国際空港内に導入 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP515212_U9A720C1000000/
◆止血帯 Combat Application Tourniquet; CAT 説明書の日本語化 Pseudo技術研究所
http://pseudo-trdi.jugem.jp/?eid=349
◆ペットのために知っておきたい! なぜ牛乳を飲ませると下痢するの?【栄養学】|ペットライフ|獣医師や動物看護師が贈るペットコラム
http://www.petjpr.com/column/news-bin/Detail.cgi?rgst=00000392&CatgM=2
◆ナメクジの粘液から内臓の止血を行う強力な接着剤が開発される(米研究) カラパイア
http://karapaia.com/archives/52243421.html
◆傷口を塞ぐためのナメクジの粘液をヒントにした新種の外科用接着剤 EurekAlert! Science News
https://eurekalert.org/pub_releases_ml/2017-07/aaft-5_1072417.php
◆米軍も採用、最強の“イスラエル包帯” Narinari.com
https://www.narinari.com/Nd/20171046430.html
◆イスラエル包帯 Erastic Bandage, Israeli bandage; ETB 使用法の日本語化 Pseudo技術研究所
http://pseudo-trdi.jugem.jp/?eid=351
◆コンバットガーゼ Combat Gauze 止血剤付きガーゼ Pseudo技術研究所
http://pseudo-trdi.jugem.jp/?eid=350
◆貼るだけ簡単。怪我の手当てに役立つ緊急縫合キット「ZipStitch」
https://sakidori.co/article/356553
◆パクっと開いた傷を閉じる救急ツール。縫合レベルでも自分で対処できる ライフハッカー
https://www.lifehacker.jp/2019/05/lht-zip-stitch.html
◆強力瞬間接着剤が「接着剤」の域を超えて核兵器の組み立てや兵士の治療に役立ってきたという話 - ライブドアニュース
https://news.livedoor.com/article/detail/10896142/
◆ちょっとした切り傷には「瞬間接着剤」が効く。アメリカ軍のお墨付き ライフハッカー
https://www.lifehacker.jp/2019/01/instant-glue-is-good-for-cut.html
◆「傷口に瞬間接着剤」の人体実験 意外と死ねちゃう家庭の化学 code-G
https://code-g.jp/chemistry/113170524-015.php
◆アリは有能な外科医。アリを使って傷口を縫い合わせる施術 カラパイア
http://karapaia.com/archives/52194114.html
◆経口補水液の作り方 かくれ脱水JOURNAL
https://www.kakuredassui.jp/stop/knowledge/care/care06
◆ヘビクイワシのダンス その2 東アフリカ とりぐらし
https://ameblo.jp/satwata/entry-11755158992.html
◆血の涙で攻撃! ツノトカゲ、驚異の護身術 ナショナルジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/061700225/
◆ツノトカゲ ナショナルジオグラフィック動物大図鑑
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/429007/
◆サバクツノトカゲの目に要注意! ナショナルジオグラフィックTV
https://twitter.com/natgeotv_jp/status/1133976332096774144
◆サバクツノトカゲ・防御手段3段階! 川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人
https://ameblo.jp/oldworld/entry-10159703839.html
◆「目からビーム!トカゲの仰天護身術」 - ダーウィンが来た!・選 - NHK
https://www.nhk.jp/p/ts/96XM1R4PQR/episode/te/ZP6WLNZW71/