けもののきろく(第2版)   作:大きさの概念

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あらすじ:負傷したキリンは助けた! さあ戦象の戦いを見よ!
  目標:マルミミゾウの戦いを援護せよ!
 現在地:さばんなちほー中央部/熱帯大草原地域/地対地ロケット砲撃跡地
 時間帯:深夜

近接武器:黒曜石の大鉈/黒曜石のナイフ
射撃武器:ハードコアボーラー/骨十字の弓
投擲武器:柄付焼夷手榴弾
 所持品:ダクトテープ/水筒/使い捨てライター/ジャパリコイン/キャッシュカード/吸水シート

 同行者:カラカル/キリン/ヒカリ

 ヒント:「記憶」と「再現」の性質を持つサンドスター……。そのサンドスターでできたセルリアンの「超恒常性」を有する身体は(磁石の同じ極どうしや同種の電荷が反発するように)同じくサンドスターをぶつければ効率的に破壊できる。つまり奴らを倒せるのは、サンドスターが充填された弾薬を使用する銃火器と、そしてサンドスターのカラダを持つフレンズ達だけだ!



第21話 普賢は大象に乗りて戦い [▲]

 突如!戦車セルリアンの肛門からにょきっと出てきた「別種の寄生セルリアン*1」!

 な、なんだこのウツボのようなセルリアン*2は!? だが、激怒*3している様子ッ!

 

 長い首をぐるぐる回して、その口からは赤黒いサンドスター粒子の連射攻撃! 切れ痔*4……いやマシンガンのような攻撃*5がマルミミゾウを襲うっ!

 

「く……! 拳銃や手榴弾では援護できないっ! マルミミゾウに当たってしまう!」

『問題無イ! アノ程度ノ攻撃ジャ、ゾウノ皮膚*6ハ、ビクトモシナイヨ! 彼女ヲ信ジテ、大人シク 見守ルンダ!』

 

 

 

「バオーンッ! このまま突っ切るぞぅっ!」

 叫ぶマルミミゾウは(マフラー)*7を首にしっかり巻き付けて頭部を防御する!

 ボクサーが肩でアゴを固定して脳が震盪()れないようにするのと同じく……あれがゾウフレンズのファイティング・ポーズか!

 

 さらに彼女の()()()()()()()()が……ゾウのキバ*8のように変化している!!

 アレもサンドスターのなせるワザなのかぁっ!?

 

 両腕と(マフラー)*9とキバで、上半身をガード*10している!

 あのクロスアーム・ブロック*11のような防御姿勢*12で強行突破するつもりかッ!

 

「ずおおおおぉーっ!! 」

 あの程度の銃撃では重戦車は止められないッ!

 

 ひるまずにセルリアンまで強行突破だ!

 

「ぱおぉ~っっ!!」

 

 十字にクロスさせたキバを払いのけ、肛門寄生セルリアンの長い首をキャッチ*13したッ!

 

 空や地面に弾を撃ち続ける寄生セルリアンの首根っこを、キバに鼻を絡ませて押さえているッ!

 

「そりゃぁあーっ!!」

 と、鼻のパワーでウツボセルリアンをぶっこ抜いて後方へ投げ飛ばす!

 

「フィ、フィッシャーマンズ・スープレックス*14だっ!」

『ゾウハ、鼻デ ワニヲ 投ゲ飛バスト 言ウケレド……』

「これはそれ以上のパワーだよ!」

『名付ケテコレ「鼻釣リスープレックス*15」ダヨッ!』

 

 ウツボのセルリアンはサバンナ地方から退場(リングアウト)*16だ~~っ!!

 

「ヤッター! さすがゾウの子ねっ!」

「マルミミゾウッ! ぼんばいえ*17っ!」

 カラカルとキリンも歓声を上げているぞ!(だがなぜ猪木……??)

 

 

 

 こうして邪魔なお尻のセルリアンを排除し、戦車セルリアンへ追い打ちだ!

 

「よーし!いくぞぅ~っ!」

 

 ……ダッシュで踏み込んでの高速刻み突き(ジャブ)*18だ!

 攻撃を喰らって巨体を数mも吹っ飛ばされるセルリアン!

 

突き(パンチ)一発であの威力ッ!」

 

 よく見るといつのまにかマルミミゾウは、手に厚いオープンフィンガーグローブ*19のようなモノをつけている!

 あれもフレンズの持つ超物質「サンドスター」により具現化したモノなのか!?

 

 とくに手首の部分がクッションのように分厚くなっていて、今の攻撃はあの特別製のゾウ足グローブ*20での、掌底*21というわけか!

 

「すごいちから! さすがゾウのフレンズ!」とカラカル!

 

『イヤ! アレハ、多脚デ 跳ビ上ガッテ着地シテ 衝撃ヲ吸収シテイルンダ……! 戦車ノ「さすぺんしょん」*22ノヨウニ……受身(バンプ)シテイル!』

「ヒカリ……そ、それってつまり、どういうこと……?」

「セルリアンハ ()()() ()()()()()()()()*23内臓(ぼでぃ)への衝撃力(だめぇじ)ヲ 逃ガシテイルンダヨ!』

「え、えー! まじかにゃ!?」

 

「セルリアン、なかなかやるんだぞう!」

 

 

 

「くそ~っ……。じゃあやっぱり戦車セルリアンじゃなくて、背面のあの寄生セルリアンを叩かなければ!」

『デモ、アノ高所ノ寄生体マデハ ゾウノ鼻デモ 攻撃ガ届カナイシ……脚部ヲ狙ウタメノ 側面攻撃ハ、例ノ「セルリアン爆発反応装甲」デ 自動反撃サレルヨ!』

 

「そ、それじゃ、どーするのよ!? これじゃ事件は()()()()()()()じゃない! なんとかして逆転する方法はないのかしら……!」

 

「いや、キリン! ここは()()()()()が必要だぞう! わたしに()()()()()があるぞぅっ!」

 こめかみ*24のあたりからサンドスターの粒子を放出させながら、マルミミゾウが叫ぶ!

()()()*25ニヨル 身体能力強化ダッ! ヤル気満々ダネ!』

「で、でも、いったいどうするつもりなの!?」

 

 

 

「そりゃぁーっ! これがセルリアン攻略法! ()()()()()だぞうっ!」

 マルミミゾウは鼻でセルリアンの口吻をしっかりと掴むと……!?

 

 くるりと身を反転させて……鼻を叩き降ろし、セルリアンの巨体を上下反転させて地面に叩きつける!

 

『フォ……四方投ゲ(フォー・ディレクション・スロー)*26 ダッッ! 日本ノ合気道(ジャパニーズ・アイキドー)ノ てくにっくダ!』

「どこで覚えたのか?*27知らんが、なんと器用なっ……! ウォ~! 超すげぇ!」

 

「ば、ばりつ!」

「高い所の寄生体(アレ)まで攻撃が届かなければ、逆に()()()()()()()()()()()()()にしてしまえばいいってワケねッ!」

「いいえ、カラカル、それは()()()()()っていうか……()()()()()()()()してるだけじゃないかしら……?」

「同じじゃない! キリンはカラダがおおきいのに、細かいことを気にするわね~」

 

 

 

 ひっくり返ったセルリアンの上にジャンプ! ガラ空きになった多脚部に向けて、マルミミゾウは髪の毛を硬質化させた真っすぐなキバ*28を逆手持ちに持って突き刺す!

 

 そのキバをフォークリフト*29のようにして、セルリアンをテコの原理で持ち上げると……!!

 

 重さ10トン*30はくだらないであろう怪物の巨体を抱え上げ(リフトアップ)

 

 上体をブリッジで反らして、キバと鼻の力でセルリアンを力任せにブン投げる!

 

『オオ! 投ゲッパナシじゃーまん*31ダッ!』

 

 

 

 投げっ(ぱな)し式ジャーマンを喰らって、放物線を描いて宙に跳ぶセルリアンの体!

 さながら横転した重機のようだ! 地面をえぐりながら転がり、夜空に土くれを巻き上げながら横倒しになる巨体!

 

あの体勢(アレ)なら脚部(あしもと)がガラ空きだぜっ!」

 

 が、ヤツはすぐさま、ハコガメのように口吻や寄生体を体内に収納し、背中の装甲の関節部の皮膚を伸ばす! 体を丸めて*32追撃に備える防御体勢!

 

 マルミミゾウはセルリアンのもとへ走っていき……!

 

 ゾウ足ブーツ*33の爪先での、セルリアンの装甲の薄い関節部分を狙ってのサッカーボールキック!

 

 ……い、いや、()()()()()()()()蹴り脚を掴んでのキック*34だ!

 

 巨大ダンゴムシ(メガボール)のような数トンの巨大球体を、アカシアの低木林をなぎ倒してシュートォォッッ!!

 

 超!エキサイティン!

 

 フレンズの小さな体に大きな(ジャンボ)パワー! 巨大なるフレンズ山脈! ひとりジャパリ大移動! 人類最強の男がアレクサンドル・カレリンで、人類最強の女が吉田沙保里選手なら……陸上フレンズ最強はゾウさんなのだ!

 

 女の子やぞ! 森林の小さな大巨人、マルミミ・ザ・ジャイアント!

 

「まだまだだぞう!」

 おお! まだまだマルミミゾウの猛攻は続くぞうっ!

*1
【寄生セルリアン(その1)】パークのデータには「ヘリコプリオン」セルリアンとある。体長2~3mの細身の体で、巨大ダンゴムシ(戦車)セルリアンの直腸付近に寄生しているセルリアンなのだ。食性は肉食寄りの雑食性。腸内に潜むことにより、捕食者から避難できるだけでなく、乾季サバンナの乾燥や高熱を防ぎ、また腸内に残留する食物から微量ながらサンドスターを取り出して栄養にしている。さらに作中のように、宿主である戦車セルリアンの背面に、いたずらものの動物やフレンズが近づいてちょっかいをかけると……コイツが肛門から頭を出して、長い首をグルグル回す遠心力により、()()()()()()()()()()()から再生する歯(多生歯性という)を瞬時に生み出しながら前方に高速射出する「機銃掃射のような攻撃」で追い払ってくれる。……というわけで、宿主である戦車セルリアンのほうには特に害は無いどころか、このように死角を警戒してくれるので、正確には「寄生」(パラシティズム)ではなく「相利共生(ミューチュアリズム)」という関係だと言える。※なお、しばしば誤解されているが、現代の生物学の定義では「共生」(シンバイオシス)という言葉は()()()()()()()()()()()()()()()()()()ので注意。1990年代以降の生態学では「共生」とは、「相利共生」「片利共生」「片害共生」「寄生」の()()()()()()()()である――つまり()()()()()()()()なのだ。

*2
【寄生セルリアン(その2)】現実世界にも「カクレウオ」なる()()()()()()()()()()()()()()()()が実在し、別名「肛門魚」とか「腸内魚」あるいは英語では「真珠魚」(パールフィッシュ)などと呼ばれている(肛門(アナル)真珠(パール)……!?) また、他の腸内生物としては、カバの直腸に潜む「プラコブデロイデス・ヤエゲルスキオエルディ」という謎多きヒルもいるぞ。ヒトの場合でも、魚から感染するサナダムシ(条虫)が有名だ。というか魚類全般、とくに淡水魚は、アニサキスなどの寄生虫がいる場合が多いのです。※寄生虫の心配が全く無い川魚は「サーモン」(刺身用の養殖サケのこと。()()()()()()()()()())ぐらいなのですよ。川魚はヒトらしく十分に料理(加熱処理)したり、よく噛んで食べて、寄生虫の感染リスクを減らすのですよ、じゅるり。

*3
【激怒】そりゃ睡眠を邪魔されて怒らない動物はいないだろう。彼?は、直腸内で寝ていたところを無理やりたたき起こされて、おそらく(今夜はなんだか知らんが、周りがやけにうるさいし)と思っていることだろう。(さっきは妙に熱いと思って顔を出してみたら~……これはどういう状況なんだ?? ……なんだか分からんが、オレの宿主(すみか)に危害を加えるなら、このフレンズめ、容赦せんぞ~!)とでも考えているのだろうか……? コイツはふだんは大型セルリアンの腸内に潜み、おこぼれサンドスターを摂取して生きているだけのフレンズには無害無関係なヤツで、偶然戦いに巻き込まれたわけだから……う~ん、セルリアンながら、ちと不憫な存在かも?

*4
()(その1)】()()()()()()()()()()()(になる可能性がある)と言われています。みなさま読者も縁の無い話ではありません。痔は古代のエジプト・中国・インド・バビロニア時代から治療記録が残っていて、聖書にもそれらしき記述があります。()()()()()()()なのです。ヒトが痔になりやすい原因は、直立二足歩行により()()()()()()()()()()()()()いため。肛門付近の血管には常時高い圧力がかかって鬱血しやすく、排便時に大便の通り道が狭くなってしまうのです。さらにデスクワークで長時間座ったり、立ち仕事が続くと、ますます直腸付近の血液が停滞しやすくなってしまいます。またヒトが大好きなアルコールには血管拡張効果があり、これも痔を悪化させやすいです。ヒト以外の動物の場合、四足歩行のものが多いし、もちろんめったにアルコールも飲まないので、基本的に痔にかからないというわけ。さらに排便時には、 ヒトに比べて大殿筋や肛門括約筋が発達していないため、()()()()()()()()()()という「自然脱肛」が起こる(※排泄後にはこのめくれた部分が内部に引っ込む)。ワンちゃんやネコちゃんなどは、肛門が排泄物で汚れないワケなのです。こういわけで()()()()()必要がないのも、ヒト以外の動物が痔にかからない理由のひとつです。

*5
【痔(その2)】痔は3種類に分類されます――裂肛(最も一般的な「切れ痔」で、出血は少ないが痛い)、痔核(いわゆる「イボ痔」で、痛みは少ないが出血が多くてビックリする)、痔瘻(「蓮痔」とも呼ばれる痔。字面からすでにイヤな予感しますが、画像検索注意です。ヤバイです。超ヤバイですわ)。とくに、「内痔核」と呼ばれる直腸内にできるタイプのイボ痔は、自覚症状のないうちに悪化しやすいのでコワイ! ……とにかく気になったら、評判のいい肛門科に行ってネ。こんな恐ろしい痔ですが、生活習慣の改善やストレスの軽減、トイレで長時間いきまない、適度にウォシュレットを使う、入浴時に湯舟にしっかり入って血流を温める……などの予防策があります。みなさまも痔に遭遇しませんよう、ふだんから体調に気を付けて、何とぞ()()()()……いえ、ご自愛くださいませ……。

*6
【ゾウの皮膚】動物のゾウの体の()()()()()()()()()。鼻や口の周囲や脚、背中などは2.5~3cmもの厚みがあって、採血したくても()()()()()()()()ほどだ。この硬く厚い皮膚が、ゾウの重い体重や内部からの腹圧を支えている。だが、耳の後ろや目の周り、腹側や肩の皮膚などは1~2mm程度ととても薄い。とくに耳の皮膚は薄くて血管が目視できるほどで、獣医さんが採血をするときは耳の血管から血を採るぞ。さらにゾウの皮膚は()()()()()()、これが肉食獣のキバや植物のトゲへの防御力を高めている。そして()()のおかげで表面積が大きくなり、熱帯での放熱用に役立つし、それに()()に水や泥がたまることでの冷却効果や、ツェツェバエなどの昆虫や寄生虫への衛生効果もある。

*7
【鼻(その1)】どうぶつ英語まめちしき:ゾウの長い鼻は英語ではtrunk(トランク)といいます。trunkは「木の幹」の意味があるのでそこに由来するとか(※ふつうにnose(ノーズ)と呼ぶ場合もあるようです)。ちなみにイヌやネコ、ウマなどの「鼻っ面(鼻と口が突き出た部位)」はmuzzle(マズル)といい、ブタやイノシシなどの突き出た鼻のことはsnout(スナウト)といいます。

*8
【キバ】ゾウやウシ、ヤギ、シカ、レイヨウなどの()()()()()()()がキバやツノを持つフレンズは、毛髪の一部を肥大化・硬質化させる能力……つまり「髪の毛をツノやキバに変える能力」を持っているのだ。なおライオンやトラなどの肉食獣のキバは「犬歯」だが、ゾウ類のあのキバは切歯(門歯)――いわゆる「前歯」が()()()()()()()()である。この2種類のキバは、漢字では区別されないが、英語ではfang(ファング)(狩りのためのキバ)と、tusk(タスク)(狩り以外の目的のキバ)と、明確に区別されている。ワニやヘビのキバ(爬虫類の歯は同形歯性といい、哺乳類のように形状の区別は無い)や、「フクロライオン」ことティラコレオ類(かつてオーストラリアにいた肉食有袋類)の前歯なんかは、狩りのためのキバなので「ファング」と呼ばれる。セイウチのやイノシシのキバ(これらは犬歯)や、イッカクやハイラックスのキバ(これらは切歯)などは、体重を支えたり地面を掘ったりオス同士で力を誇示したり自衛用だったりと、狩り以外で使われるので「タスク」だ。ちなみにあのアードウルフにも自衛用のキバ(犬歯)があるが、これも「タスク」か?

*9
【鼻(その2)】ゾウの長い鼻(トランク)(ノーズ)()()がくっついて伸びた器官)は、100kg以上もある物体を持ち上げて運ぶことができる。そして転がす場合なら、もっと重いものでも運ぶことが可能だ。実際に、繁殖期の気の荒いオスのアフリカゾウが()()()()()()()()()を鼻で転がして殺してしまった、という事件もあるぞ……。また、何気なしに鼻を軽く振り払っただけで、()()()()()()()()()()()()()()()()という事故も起こっている……。このものすごいパワーのゾウの鼻だが、実は()()()()純粋に筋肉のみで動かされている――その筋繊維(骨格筋を構成する細胞)の数は、昔の研究では約4万個とされていたが、最近の研究ではおよそ1()0()()()と言われている! なお筋繊維は、持久力が高い遅筋(赤筋)繊維と、瞬発力が高い速筋(白筋)繊維の2種類に分類されるが、ゾウの鼻の場合は「遅筋」が9割を占めている。遅筋は「赤筋」とも呼ばれていて、文字通り赤色なのだが、それはヘモグロビンやミオグロビンといった赤色のタンパク質が多いため。遅筋は小さい力でゆっくり収縮する性質があり、遅筋が多い筋肉は瞬発力では速筋に劣るが持続力(スタミナ)があって疲れにくい。※なので、マグロやカツオなどの外洋で()()()()()()回遊魚には遅筋が多い――それがいわゆる「赤身」の部分なのだ。さらに遅筋は、力加減や力を加える方向などの微細な調整が可能で、我々()()()()()()()()()も遅筋の割合が多い――手先を使う細かい作業や、高度な筋力バランスを要する「直立二足歩行」の際に大いに役立っているぞ。つまり遅筋の多い「ゾウの鼻」って、文字通り()()()()()のようなものなのだ。

*10
【上半身をガード】両腕を下げて腹部を防御!(この際、手首を回して内側の動脈を斬撃から守っている) 鼻マフラーを首にまわし、頚部の動脈を保護し、アゴを固定することで脳震盪を防ぐ! 耳を平たく伏せて、正面からの攻撃への投射面積を最小限にして被弾を抑える! さらに2本の髪の毛のキバを顔の前で交差させて、顔面を防御しているのだッ! この体勢ならば、上半身の急所をすべて防御できる! これはボクシングの防御技術「クロスアームブロック」と同様の原理で、名付けてこれゾウフレンズ技「クロス(タスク)ブロック」と呼ぶ! 前述のTIPで述べたとおり、ゾウフレンズは動物のゾウと同じく、目の周囲や耳、胸や腹など皮膚が薄くて、大きな弱点となっているが……その急所を、分厚い皮膚の腕(前脚)と硬いキバ、筋肉質の(マフラー)で完全にガードしているのだ! (実際に実験されたわけではないが)計算の上では、この腕とキバとマフラーでの防御によって、ふつうの9mm拳銃弾ではキズ一つつけられないし、ライフル弾ですら弾いて無力化するほどである!

*11
【クロスアーム・ブロック(その1)】胸の前で両腕を重ねるボクシングの防御法。別名アルマジロ・スタイル。クロスアームブロック(十字ブロック)は、両腕での強固なガードが可能となる。とくに下からのアッパーやボディブローへの防御に有効だ。空手や少林寺拳法にも、上段突きや前蹴りを防ぐ「十字受け」というよく似た技法がある。このクロスアーム・ディフェンスは、アメリカのヘビー級ボクシング王者――「ゾウをも倒すパンチ」と言われたジョージ・フォアマンが駆使していたことでも有名。彼はその大柄な体格と器の大きい人格から、通称は「ビッグ・ジョージ」で、ちなみに引退後は()()()()になってます。このフォアマンのクロスアームは、彼のトレーナーであり同じくヘビー級王者であったアーチー・ムーアゆずりのワザなのだ。ムーアは身長は180cmとヘビー級としてはかなり小柄ながら、戦績はオドロキの219戦185勝131KO!(サイキョーすぎるだろ……)通称「不死身のマングース」だ。また「モハメド・アリを倒した男」ことケン・ノートンもこの防御方法を使っていたぞ。

*12
【クロスアーム・ブロック(その2)】だがクロスアームブロックには、組み付きに弱いという弱点がある。パワーのある相手に()()()()()()()を片手で掴まれて()()()()()と、そのまま()()()()()()()()しまうのだ。こうなってしまうと、敵にもう片手でガラ空きの顔面をボコボコにぶん殴られてしまう。総合格闘技でクロスアームブロックを見かけないのは、この弱点のためだろう。というわけでクロスアームは()()()()()()ルールの、ボクシングならではの防御方法と言える。そして他にも、ジャブが使いにくい、フットワークしにくくアウトボクシングに向かない、視界が悪くなる、などの欠点も多く、現代のボクシングではあまり見かけないのだが……ではゾウフレンズの場合は……??

*13
【長い首をキャッチ】中世ヨーロッパ武術の短剣(ダガー)術にこういう技法がある。十字受け(クロスアーム)で敵の攻撃を受けて、相手の腕を絡ませて極めて投げたり、自分のダガーを掴むことで相手の手首関節を固める、などの実戦ワザだ。さらに空手などの「十字受けの型」もこのような意図があったと思われる。「型」は一見すると組み手や試合では使えないように思えるが……()()()()()()()()()()ということは、本来は同様に()()()()()()()()()()()()()実戦的なつかみワザとして使っていた名残りなのかも。……あるいは棒やサイ、トンファーなどの武器を持って十字受けすることで、相手の腕や脚を武器で破壊するという古流のワザだったのかもしれない……。そして、ゾウフレンズの場合は……本編のように「象牙十字受(クロスタスク・ブロック)」で頭部を守りながら突進し……相手に触れると同時に()()()()()()()()()し、腕や触手や頭部をキバで絡め取ってつかみ、キバを支点として「テコの原理」を使い、鼻のパワーで固めたり投げ飛ばすという、攻防一体のフレンズ技もあるぞ! このワザ名付けて「エレファント(トランク)ブリーカー」と呼ぶ! 大木の幹ですら真っ二つにヘシ折る超スゴイ威力だっ! ※なお「テコの原理を使って鼻とキバで木の枝を折るゾウ」は、()()()()()()()()()する!(【参考資料】のURLをご参照下さい)

*14
【フィッシャーマンズ・スープレックス】相手の頭をわきの下に抱え込み、もう片手で膝裏をつかんで、後方へとそり投げるプロレス技。モーションがちょっと似ている「捕獲投げ(キャプチュード)」(開発したのはプロレスラーの前田日明選手)というワザもあるが、なにしろ相手はセルリアンなので……まあ、名前はどっちでもいいのでは?(だって膝裏とか肩ってどこなの?)

*15
【鼻釣りスープレックス】英国の小説家ラドヤード・キップリングの童話『ゾウの鼻が長いわけ』には「ゾウの鼻は、ワニに噛まれ引っ張られたから、あんなに長く伸びてしまったのです」と書いてある。この童話は、実際に起こる()()()()()()()()()()()()現象に由来するのかもしれない。ワニに鼻を噛みつかれると、ゾウは水中に引きずり込まれてしまう、ということはなくってぇ……ゾウがそのまま()()()()()()()()()()引きずり回す姿が撮影されている。しかも、母親ゾウだけでなく、仔ゾウですらワニを一本釣りする写真が撮られたこともある! 生まれた時の赤ちゃんゾウですら100kgなのだから、まさに数字(パワー)がケタ違いの動物! そんなゾウ鼻パワーを持っているこのマルミミゾウの「鼻釣りスープレックス」は、髪の毛のキバを絡ませた鼻で、釣り針のように敵を引っかけて逃げられなくしてから、鼻の筋力とキバのパワーで数トンもの物体ですら投げ飛ばせる大技だ!

*16
【サバンナ地方からリングアウト】こうして十数km以上もブン投げられたウツボセルリアンが、この後どうなったかと言いますと……。ゾウのパワーで海まで投げられた彼は、そのままずっと海中を泳ぎ続けて……次の日の朝、さばんなちほ~近海に浮かぶ「サンドスター発掘施設」に到着します。その時そこでは、()()()()()()()()()()()()()と尻尾の無い謎のフレンズが、オウサマペンギンのフレンズに謁見している最中でした――彼女(キング)は『オマエがヒトだと申すのなら……ヒトのする「釣り」という習性を見せてみるのじゃ!』と、ハダカデバネズミに無茶ぶり中です……。そういうわけで、ハダカデバネズミが海に釣り竿(※尻尾です)を垂らしたところに、問題のウツボセルリアンが引っ掛かって『ギャワーッ! 魚じゃなくてセルリアンだぁ~ッ!』という大騒ぎ! また遠くの海に投げ捨てられるのでしたとさ。このウツボセルリアンは再び海を漂い始め……海上を航行する「とあるすてきな3人組」に偶然拾われて「なんでしょうか、これ……?」『カバン、ソレハ セルリアンダヨ!』「危ない、かばんちゃん!」などと言われて、あやうく中型ネコ科フレンズのツメで3枚に下ろされそうになるのです……。そしてその後、()()()()()()()()()が彼を待ち受けているのですが、それはまた別のお話……。

*17
【ボンバイエ】フレンズ語。感動詞(感嘆詞)の一種。「いけいけー!」「すごい!」「がんばれ!」「ガッツだ!」などなどの意味で使われる。私たち人間界では、『燃える闘魂』ことアントニオ猪木氏の入場コールとして有名。だが実は「ボンバイエ!」とは、アフリカのコンゴ民主共和国の共通語のリンガラ語で『()()()()()()』を意味する“Boma ye(ボマ イェ)!”に由来している。実は物騒な意味です。このフレーズは元々は、コンゴのキンシャサでジョージ・フォアマンと戦った()()()()()()()()()()()()()()で、さらにコレがアリと戦った猪木に贈られた、と一般に言われております。というわけで、ダンゴムシのセルリアン vs ゾウのフレンズという()()()()()()にはピッタリ、かも?

*18
【刻み突き】「最速の攻撃」であるジャブのことを、空手ではこう呼ぶ。「前手突き」とも言う。※ボクシングと空手という全く違う格闘技なので、実際のところ両者は結構違い、「手打ち」のジャブに対して、「刻み突き」は重心が載っているので威力が高いと言われている。そしてオーソドックス(一般的なファイティングポーズ)で構えた場合は左手が前に出るので、ジャブと言うとふつうは「左のすばやいパンチ」のことを指す。そしてキリンやゾウなどの有蹄類(ヒヅメのあるけもの)フレンズは、ヒヅメで陸地を踏みしめるかのように、このようなジャブやストレートなどの「前足を突き出す攻撃」を得意とする。この「ゾウ足刻み突き」は、あの陸上一巨大な動物の踏みつけ攻撃を、ヒトのカラダを使って前方に繰り出しているかのごとき破壊力だ!

*19
【オープンフィンガーグローブ】ボクシンググローブより薄く、五指の指先が露出したグローブ。総合格闘技のほかにも自転車競技やゴルフなど、拳の保護に加えて器用さとグリップ力も重要となるスポーツで使用される。指先が自由に使えるため、格闘技においては打撃のみならず組み技にも適している便利な防具。MMAグローブとか、グラップリンググローブとも呼ばれる。コレを発明したのはあのブルース・リーだとされており、確かに映画『燃えよドラゴン』では、冒頭のサモ・ハン・キンポーとのスパーリングでそれっぽいグローブが使用されている。この映画をヒントにして佐山聡(初代タイガーマスクの中の人)氏が改良版を試作――それを師匠であるアントニオ猪木が対チャック・ウェプナー戦で正式に使用したことでとても有名になりました。

*20
【ゾウ足グローブ(その1)】哺乳類には3種類の歩行法がある:1.) 手足の掌全面で歩く蹠行(しょこう)性(クマやサル、ネズミ、モグラなど。アライグマやハクビシンもこの歩き方)、2.) ヒヅメで歩く蹄行(ていこう)性、3.) かかとをつけずに歩く指行(しこう)性(趾行性)(イヌ、ネコ、タヌキなど)だ。完璧に3種類に分けられるわけではなく、イタチやアナグマなど半蹠行性(半指行性)動物と呼ばれるものもいる。で本題だが、ゾウは一見したところカカトをつけて足裏全面で歩く蹠行性に見えるが……()()()()()()()だ。つまりゾウは「指先立ちの動物」の一種なのだ。ゾウの足は、骨格的には指先のみが地面と接触しており、()()()()()()()()()()()()は実は()()()()()()()()(この部位を蹠枕(せきちん)という)で、体重を支えるクッションとなっている。この動物の特徴を、フレンズの手の部分が受け継いでいるのであろう……ゾウ足グローブは、一般的なオープンフィンガーグローブよりも手首の部分が分厚くなっており「手首の骨(手根骨)での掌底」打撃に適している――ゾウフレンズのパワーはものすごいため、普通のパンチングのように(ナックルパート)で硬いものを殴ると、自分の指の骨を骨折してしまうほどだ。それを防ぐための掌打なのだ。

*21
【ゾウ足グローブ(その2)】このマルミミゾウの繰り出す掌打には、拳の重さに()()()()()()()が加わってパワーアップ! さらに上述の蹠枕クッションのために()()()()()()()なっているのも地味にポイント。それによって重く押し込む打撃になるため、()()()()()()()()()()()のに最良の攻撃となっている(なお「力積」とは、力と、力の作用時間を掛け算したもの)。パワーアップ×接触時間増加=超破壊力! つまりこの「蹠枕グローブ」は防具の役割だけではなく、パンチを重くして長時間接触させるという「武器としての役割」もあるのだ! このような重装甲のセルリアンのボディへの攻撃には、バーバリライオンのツメ斬撃やキリンのフリッカー・ネッキングのような「速いが軽い攻撃」よりも、ゾウフレンズの「遅いが重い攻撃」の方が、接触時間が長いために内部に大きな衝撃を与えることができる。ヒトの格闘技でも、ハイキックやジャブなどの素早く弾く鋭い攻撃は頭部(軽いためすぐ動いてしまう目標)への攻撃時に有効で、フルコンタクト空手の中段正拳突きやスネで蹴るローキックなどの重く押し込む攻撃はボディや脚(目標が重く動きにくいために接触時間が長い)への攻撃に有効なのと同じ原理だ。※逆に、ヒラヒラと素早く動く軽量級セルリアンには、ゾウフレンズのパワーは「のれんに腕押し」で効きにくい。……こうしてゾウ足グローブは「蹠枕掌底(セキチンショウテイ)」が強力な反面、手首部分が分厚すぎてちょっと敵を掴みにくいという欠点があるが……ゾウフレンズは「もうひとつの手足」である(マフラー)によってその弱点をカバーしている。

*22
懸架装置(サスペンション)】自動車の車輪や座席などに備えられた、走行時の衝撃を吸収する緩衝装置(ショックアブソーバー)のこと。操作の安定性や、乗り手の安全性・快適性を向上させる機構だ。だが無限軌道(キャタピラ)はサスを組み込むと製造コストが激増するため、建設機械や農業機械などのキャタピラは一般的にはサスを備えていない。しかし戦車の場合は不整地を走破するために、色々な形式のサスペンションが導入されている――昔の戦車はシンプルなボギー式や、コイル・スプリング(巻きバネ)式、リーフ・スプリング(板バネ)式、ボリュート・スプリング(渦巻きバネ)式などであったが、現代の戦車ではトーションバー(ひねり棒)方式が主流。ちなみに自衛隊の戦車は、74式戦車以降は「油圧式」(ハイドロニューマチック)サスを採用している。

*23
【わざと吹っ飛ばされて】打撃がヒットする直前、セルリアンはキャタピラ状の脚を動かして、()()()()()()()()()、威力を受け流している。衝撃力で巨体が宙を舞って吹っ飛んでいる、ということは……言い換えれば、攻撃の与えたエネルギーは、その()()()()()()()()()()()に使われていることになるのだ! 一見ゾウが押しているように見えるが……実は殻の内部や寄生体へのダメージは薄い! これでは、ゾウパワーの無駄使いになってしまう!

*24
【こめかみ】ゾウの皮膚には、オスメスともに目と耳の間あたり、ヒトで言うこめかみにあたる部位に「側頭腺」という分泌器官が存在する。後述の「マスト」の時期や、ストレスを感じたり、興奮したときに側頭腺からの分泌物が増加し、他のオスやメスたちへのアピールとなる。

*25
凶暴期(マスト)】25歳ぐらいまでのオスゾウには、年に1回マスト(must/musth)と呼ばれる発情期が訪れる。マスト中のオスは非常に攻撃的になるので危険だ。動物園の飼育員さんも、視界に入ると鼻で水をかけられたり、物を投げられたりなどと脅かされるため、なるべく接触を避けるんだとか。しかしマスト期間の長さや行動変化などは個体差が大きく、まったくマストにならないオスもいるそうです。「『マスト』は、自分に()()を与えるゾウフレンズまほーですぞー」by マルミミゾウ

*26
【四方投げ】合気道の基本のワザにして、色々な入り方があって応用が利くという最重要なワザのひとつだ。相手の腕を折り曲げ、肩関節を固めて後方へ投げるというハデな動作の大技で、見栄えも良くアクション映画や特撮作品でもよく使われている。だが使いこなすのはとても難しく「実戦で使えない技」とも言われている。※実際、試合のある流派(合気道S.A.)では、()()()()()()()()()()()()()()()技である。だが、マルミミゾウは絶妙な(マフラー)の筋肉操作により、このように実戦で見事に使いこなしている! 鼻でつかんで投げる「鼻取り四方投げ」だ! 一見するとチカラ任せのワザに見えるが……戦車セルリアンの口吻はカメの首のように内骨格があり、この骨格を可動方向の逆関節に極めることで、その巨体を地面に転がす……という合理的な原理があるワザだぞ! セルリアンのほうは、投げにヘタに抵抗すると関節が破壊されて口吻がオシャカにされてしまうため、このように大人しく投げられて受身を取ってダメージを軽減するしかないのだ。もともと腕力が最強すぎるゾウフレンズが、こうして武道までたしなむともっと最強になり、まさに鬼に金棒……。いやスティーブン・セガールに合気道といったところか……。なお、動物のゾウも、仲間同士で鼻を絡ませて力比べをする「鼻組手」を行うことが知られている。

*27
【どこで覚えたのか?】前回のTIPでも触れました、お隣の「じゃんぐるちほー」在住のチンパンジーの武道家フレンズから習ったワザです。彼女はヒトの文化の集大成とも言える格闘技や武道のワザから、セルリアン戦でも使える実戦的なものを選んで日夜研究している。その改良したワザを「じゃんぐるちほー林冠道場」にてフレンズ達に教えている師範的存在なのだ。ゾウの子はもともと()()()()()である上に、ワザの入り方をミスっても、腕力まかせでそのまま強引に投げ飛ばせるので、シンプルで応用の利く「四方投げ」はピッタリのワザだと言える。このチンパンジーのフレンズいわく『ヒトはなんといっても……()()()()()()ことが素晴らしいッ! ()()()や本があるし、農業によって()()()()()があるからだよ!』『マルミミゾウ、私の「フレンズ・ドー」のワザも、練習こそが大事だよ!』『どんとしんく……ぷらくてぃ~す!』ということだが……マルミミゾウも、のんびりしてるが根が真面目なので『そうですねえ、()()()も練習が大事ですぞう~』と同意して、平時に木や岩をブン投げて、けっこう繰り返し練習しているため、このように実戦でも見事にキマるわけです。

*28
【真っすぐなキバ】オスゾウが成長してキバが伸びてくると、オス同士でキバをぶつけ合う「フェンシング」でおたがい格付けをするようになる。長い時は1時間以上も戦い、キバ同士がぶつかる轟音がサバンナやジャングルに響き渡るという……。だが大ケガに至ることはなく、そして一度力関係がはっきりするともう本気の戦いは避けるようになるんだとか。このキバ攻撃やマスト現象からすると、このマルミミゾウのフレンズは()()()()()()だったに違いない。ちなみにマルミミゾウのキバは、アフリカゾウに比べ短く真っ直ぐなのが特徴です。なお、動物のゾウのキバは500kg~1tの重量を持ち上げることができると言われているが……フレンズゾウの場合は、その10倍の1()0()()()()()()()をキバで支えることができるのだっ!

*29
【フォークリフト】油圧によって昇降可能な(フォーク)支柱(マスト)を搭載した車両のこと。「車両系荷役運搬機械」の一種だ。一般的な乗用車と違い、()()()()()()()()()()()()()「後輪操舵」な点が特徴。なんと、荷物を積まずにナンバープレートをつけて、さらに色々と条件を満たせば()()()()()()()。だが運転するには「フォークリフト運転技能講習修了証」が必要となり、荷物を運ぶ車という性質上、バック走行やブレーキングの技術が求められるぞ。実は色々と種類があり、一般的な「カウンターバランス式」フォークリフトのほかにも、積んだ荷物を前後に動かせる「リーチリフト式」などがある。なお諸々の理由(1回の使用での移動距離が短め、屋内での運用が多い、深夜での使用が多いため騒音問題を防ぎたいなど)により、フォークリフトはEV(電気自動車)が普及しており、小型フォークリフトの半分以上がEVだ。ちなみに歴史は意外と古くて、1920年代に欧米で発明され、1939年には日本輸送機製作所により初の日本製フォークリフト「腕昇降傾斜型運搬車」が誕生し、戦後になってパレット(荷物を載せる台)とともに普及していきます。フォークリフトちゃんと、パレットちゃんって、いいコンビだよね~。

*30
【重さ10トン】参考までに……アフリカゾウのメスは約3t、オスは6~7t。さらにオスの大きい個体だと10~13tにもなるぞ。このダンゴムシのセルリアンはそれに劣らないサイズ感なのだ。だが、ジャパリパークには「セルリアン三倍段」なる経験則があり……「セルリアンは()()()()()()()()()()()」と考えてよいため……こいつは実質「30~40t以上の動物」(現代の地球の陸上には存在しない)に相当するパワーを持っている計算になる! 中生代の大型恐竜に匹敵する重量だ! さらにヒトの戦車と比べると……陸上自衛隊の「10式戦車」が約44tなので、本物の戦車に劣らぬパワーということになる……。なお10式戦車は、欧米の主力戦車(MBT)(約63tの米軍M1エイブラムスや約67tのドイツ軍レオパルト2)と比べると軽めなのだが、これは()()()()()()()()()()()ように設計されているから。旧式の90式戦車(約50t)よりもさらに軽量化されていて、日本の国土防衛においては「国内の橋の利用」がとても重要視されているのだ。このジャパリパークも橋が多く、かつて軍が駐屯していた際は戦車の重さがネックだったそうだが……。ところでこの戦車セルリアン、本物の戦車ほどではないがこんなに重いということは……()()()()()()()()()()()()なんて作戦も……もし橋が近ければ有効かもしれない。

*31
【投げっぱなしジャーマン】German(ジャーマン)は「ドイツの」という意味の英語の形容詞だが、ここではプロレス技「ジャーマン・スープレックス」のこと。背後から両手で相手の胴を抱え込み(クラッチ)して、背中をそらして後ろへ投げ飛ばすワザだ。今回のゾウのフレンズの場合は、(トランク)のものすごいパワーを使う必殺技であり、しかも投げて鼻つかみを離す「|ホイップ(投げっぱなし)式」なのだ。※ちなみに、なぜ「ジャーマン」なのかと言うと、「プロレスの神様」ことカール・ゴッチが、ドイツのハンブルク出身だからと言われている(でもベルギ-出身説もある)。なお、そり投げを意味する「スープレックス」の語源は諸説たくさんあって、由来は全然わからん。

*32
【体を丸めて】節足動物ではダンゴムシやヤスデやマルゴキブリ(の幼虫と♀)、哺乳類ではアルマジロとセンザンコウなど、背中を丸くして柔らかな腹部を防御する生物は何種類か存在する。このように全く異なる分類の生物が、同様の身体構造や習性を持っていることを「収斂(しゅうれん)進化」と呼ぶ。パークのセルリアン達も、一般的な生物に似ている部分が見受けられることから、こいつらも収斂進化していると言えそうだ……。「収斂」は一見すると不思議な現象だが、「地球」という同一の環境に暮らす生き物同士なのだから……『インテリジェント・デザイン』だと言うつもりは毛頭無いのだが……生き残り子孫を増やす(=後世に遺伝子を残す)ための、種の起源に関係なくどの種でも「その形を作るコスト」に対してメリットが大きいという、一定環境に適した「共通の進化形」……いわば「ちょうどいい(グッド)デザイン」というものがありうるのかもしれない。※余談ですが、()()()()()()()()()()()()は実は2種類しかいません――ミツオビアルマジロ属のマタコミツオビアルマジロ(Tolypeutes matacus)とミツオビアルマジロ(Tolypeutes tricinctus)です。

*33
【ゾウ足ブーツ】ヒトの履く安全靴のような構造をしており、()()()()()()(アフリカゾウよりひとつ多い)のような硬質のカバーでつま先が保護されているブーツだ。ゾウフレンズのモノスゴイ脚力によってこの硬いつま先を当てれば、なんの変哲も無いただの前蹴り(トーキック)でも、鉄筋コンクリートを砂糖菓子のごとくいともカンタンにブチ砕けるほどの超必殺技と化す! また、グローブと同じくかかと部分にある蹠枕(セキチン)クッションを叩き込める後ろ蹴りやカカト落としを使っても、尋常ならざる威力を誇るのである!

*34
【蹴り脚を掴んでのキック】伝統派空手において「裾掴み蹴り」や「弓蹴り」と呼ばれるワザによく似ているが、ゾウフレンズなので「鼻掴み蹴り」なのである! 空手においてはタイミングをずらしてガードを下げた所を狙う変化技だが、ゾウの場合は「鼻のばね」の反動による「ため攻撃」で威力向上を兼ねたワザとなっている!




【参考資料】

◆共生 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E7%94%9F

◆ナマコやヒトデの肛門へ入り込む魚、カクレウオ【生き物の雑学】
https://saruwakakun.com/learn/knowledge/pearlfish

◆ナマコから勢いよく出てきた“エイリアン”が大暴れ…その生物の正体を聞いた(※閲覧注意です)
https://www.fnn.jp/articles/-/47177

◆存在自体が謎に包まれていた生物。カバの直腸でしか見つからない幻のヒルの正体が明らかに。(ヒル閲覧注意) : カラパイア
https://karapaia.com/archives/52200091.html

◆サナダムシについて | メディカルノート
https://medicalnote.jp/diseases/%E3%82%B5%E3%83%8A%E3%83%80%E3%83%A0%E3%82%B7

◆寄生虫症 Parasitic diseases | グローバルヘルスケアクリニック
https://www.ghc.tokyo/%E5%AF%84%E7%94%9F%E8%99%AB%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87

◆意外と多いサナダムシ感染 | ヨミドクター(読売新聞)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180603-OYTEW262732/

◆『川魚』を生食してはいけない理由を解説 サーモンはなぜOK? | TSURINEWS
https://tsurinews.jp/110342/

◆淡水魚の生食でも寄生虫の危険 タイでは肝臓がん、日本では...: J-CAST ニュース
https://www.j-cast.com/2017/07/28304237.html?p=all

◆痔の症状・原因|くすりと健康の情報局
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/28_ji/#d01

◆日常でできる痔の予防|ボラギノール公式ブランドサイト
https://www.borraginol.com/care/

◆人間が痔になる理由 |痔の治療なら 東京青山 平田肛門科医院
https://www.dr-hips.com/column/no-surgery/01/03.html

◆肛門病の歴史 / 宇都宮肛門・胃腸クリニック
http://www.o4ri.or.jp/aboutsickness/koumonbyou_history.html

◆痔は人間にしか見られない病気! "直立二足歩行"が背負った「肛門の宿命」 エキサイトニュース
https://www.excite.co.jp/news/article/HealthPress_201507_post_1864/

◆痔瘻の男 地獄草紙・餓鬼草紙・病草紙(※閲覧注意です)
http://hayashimasaki.net/Soushi/indexY.php?id=5

◆『クシャーラ・スートラ』による痔瘻(じろう)治療
https://www.torii-clinic.com/theme16.html

◆『図説 動物兵士全書』マルタン・モネスティエ 著/吉田春美, 花輪照子 訳/原書房/1998

◆『知られざる森のゾウ――コンゴ盆地に棲息するマルミミゾウ』西原智昭/現代図書/2012

◆『ゾウの知恵 陸上最大の動物の魅力にせまる』田谷一善, 片井信之, 対馬美香子, 乙津和歌, 成島悦雄/SPP出版/2017

◆『ビジュアル博物館 第42巻 象』イアン・レッドモンド 著/川口幸男 訳/同朋社/1998

◆『獣医さんが教える動物園のないしょ話』犬養ヒロ 画/北澤功 原案/ぶんか社/2019

◆動物の部位って英語でなんと言う? 象の鼻は「nose」じゃないよ! | 英語びより
https://ipa-mania.com/animal-parts/

◆川崎悟司 「鼻」を英語でノーズnoseといいますが、英語では動物の鼻は形やイメージで呼び方が違うみたいです。
https://twitter.com/satoshikawasaki/status/1409164451576647681

◆Elephant trunk - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Elephant_trunk

◆「初めて知った…」「言われてみれば確かに」 動物の牙“ファングとタスク”の違いを説明したイラストが勉強になる - ねとらぼ
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2106/13/news008.html

◆動物の歯② | イロドリ矯正歯科
https://irodori-oc.com/2020/06/10/%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%81%AE%E6%AD%AF%E2%91%A1/

◆川崎悟司イラスト集・ティラコレオ(Thylacoleo)
http://paleontology.sakura.ne.jp/thirakoreo.html

◆ティラコレオ!古代オーストラリア最強の肉食有袋類、フクロライオン! 恐竜は隣にいる
https://jellasic.com/thylacoleo/

◆太古の絶滅フクロライオン化石を発見、新種 | ナショナルジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/081900306/

◆新種フクロライオンの化石を発見、犬サイズ | ナショナルジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/121100480/

◆山口大学の教員による講義 運動能力と骨格筋の関係から見えてくるヒトと動物の特性
https://yumenavi.info/lecture.aspx?GNKCD=g010039&OraSeq=9187353&ProId=WNA002&SerKbn=3&SearchMod=3&University=V&Page=1&KeyWord=%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E5%A4%A7%E5%AD%A6

◆遅筋と速筋ってなに?スポーツトレーナーが筋繊維の種類について解説します! | FRAME : フレイム
https://jitensha-hoken.jp/blog/2019/02/types-of-muscle-fibers/

◆筋肉・赤筋・白筋 | 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/kinniku-aka-siro.html

◆『筋肉の科学からスポーツをみる』 | スポーツ医科学論壇 | ハイパフォーマンススポーツセンター
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/study/history/tabid/1671/Default.aspx

◆赤身魚と白身魚の違い そして・・・青魚と赤魚とは?? | 魚食普及推進センター(一般社団法人 大日本水産会)
https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/4923

◆腕を胸の前でクロスして攻撃を防御する方法について| OKWAVE
https://okwave.jp/qa/q5244344.html

◆【ジョージ・フォアマン】45歳で世界ヘビー級王者に返り咲いた伝説のボクサー - Middle Edge
https://middle-edge.jp/articles/7dqxG

◆アーチー・ムーア: キングオブスポーツ ボクシング
http://hands-of-stone.seesaa.net/article/20546518.html

◆全日本空手道一友会 本部【基礎講座】基本-受け方
http://www.ichiyukai.com/lesson/lesson-d.html

◆『中世ヨーロッパの武術』長田龍太/新紀元社/2012(274, 282, 304ページ)

◆動物だよりvol.156 飼育ブログ / 熊本市動植物園
http://www.ezooko.jp/imgkiji/pub/detail.aspx?c_id=28&id=829

◆餌でもらっている葉付きの枝を最後に「いい感じ」の長さに加工(食べたり、足と鼻で器用にテコの原理で折ったり)して頭や肩を掻いています
https://twitter.com/kanazawakitecho/status/1382536992613830657

◆Just So Stories (Rudyard Kipling)- Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Just_So_Stories

◆前屈立ち刻み突きの基本(動画あり) – Free Style Karate Hiratuska
http://saikyo-karateka.com/2019/08/27/%E5%89%8D%E5%B1%88%E7%AB%8B%E3%81%A1%E5%88%BB%E3%81%BF%E7%AA%81%E3%81%8D%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E5%8B%95%E7%94%BB%E3%81%82%E3%82%8A/

◆「30年先」を行っていた!ブルース・リーの凄さ ホントに凄い!ブルース・リー | タイケンダン
http://m-contents.info/brucelee-1/

◆『格闘技「奥義」の科学 わざの真髄』吉福康郎/講談社/1995

◆『格闘技の科学 力学と解剖学で技を分析!』吉福康郎/SBクリエイティブ/2011

◆『強くなる近道 力学でひもとく格闘技』谷本道哉, 荒川裕志/ベースボール・マガジン社/2009

◆質問2: 戦車の足周りについて教えてください 戦車研究室
http://combat1.sakura.ne.jp/Q2.htm

◆戦車のサスペンション: 戦車男(せんしゃおとこ)
http://sensya-otoko.seesaa.net/article/12504354.html

◆ボギー転輪について - T.N.T.-SHOW
https://blog.goo.ne.jp/tnt-show/e/957f1b94387d3f0761fda435b846c9e4

◆銀狼 合気道ブログ 四方投げの重要性 | 合気道学校-非公認ブログ
https://aikidou-school.com/%E5%9B%9B%E6%96%B9%E6%8A%95%E3%81%92%E3%81%AE%E9%87%8D%E8%A6%81%E6%80%A7/

◆フォークリフトの種類とは? それぞれの特徴と運転に必要な資格を解説|工場タイムズ
https://04510.jp/times/articles/-/96?page=1

◆フォークリフトを上手に運転するには技術がいる!5つのコツを大公開! | 製造・工場・軽作業TOPIC
https://700700.jp/seizou/shikaku/shikaku16.html

◆フォークリフトが公道を走る!? 意外な知識と取得方法!! - マジオワークライセンススクール
https://magio-work.co.jp/helpful/post-534

◆「フォークリフト」のおはなし|物流コラム|アトムエンジニアリング
https://www.atm-net.co.jp/column/buturyu/2013_02_25_01.html

◆ゾウの体重はどのくらい?種類で異なるゾウの体重ランキング! Sachi Animal
https://sachianimal.com/zou-taijuu/

◆一番大きい最大の恐竜ランキングTOP10!巨大な恐竜の大きさを紹介|恐竜ネット
https://kyouryu.net/largest/

◆軍用戦車の重さはいくらですか? - Quora
https://jp.quora.com/%E8%BB%8D%E7%94%A8%E6%88%A6%E8%BB%8A%E3%81%AE%E9%87%8D%E3%81%95%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B

◆【閲覧注意】ダンゴムシとは似て非なるもの【虫注意】|屋久島環境文化財団
https://www.yakushima.or.jp/news/detail.php?seq=174

◆ダンゴムシみたいに丸くなる! 不思議でかわいいゴキブリ『ヒメマルゴキブリ』 - 講談社の動く図鑑MOVE
https://cocreco.kodansha.co.jp/move/news/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%B9%B3%E5%9D%82%E5%AF%9B%E3%81%AE%20%E3%81%B3%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%EF%BC%81%20%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%82%E3%81%AE%E7%83%88%E4%BC%9D/series_list_1_28

◆丸くなる、愛らしい生きものといえば…… | 東京ズーネット
https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=tama&link_num=26688

◆収斂(しゅうれん)進化の動物|オフィシャルブログ|東山動植物園
http://www.higashiyama.city.nagoya.jp/blog/2012/02/post-936.html

◆そっくりだけど別の動物! 収斂進化した動物たちのまとめ | 動物のランキング集『日々、動物ブログ』
https://ironna-blog.com/animal/convergent-evolution

◆5分でわかるアルマジロ!丸くなるのは一部だけ⁉意外な生態や飼育法を紹介! | ホンシェルジュ
https://honcierge.jp/articles/shelf_story/6158

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