けもののきろく(第2版)   作:大きさの概念

4 / 23
あらすじ:シャバの水はうまい。セルリアン襲撃! アードウルフを救え!
  目標:セルリアンに襲われているフレンズを救え!

 現在地:さばんなちほー西部/半乾燥地域/アリ塚林立地帯
 時間帯:昼

近接武器:先割れスプーン/ブラックジャック/ヘラクレスの(棍棒と同じ材質の)槍

 同行者:カラカル/キリン/スプリングボック

 ヒント:生きること=戦うこと。


第3話 ネバー・クライ・アードウルフ [▲]

 アードウルフ救出作戦の開始……!

 

 まず「オトリ組」のカラカルとキリンが、アードウルフとセルリアンの群れのいるアリ塚から距離を保ちながらその左右に回り込んでいく……。

 風上から近づける地形であったのは幸いだった。

 また、辺りに繁茂するイネ科植物*1の、人が隠れるほど高い、細長い葉の「ブラインド」も移動の助けになってくれた。

 

 ふたりが両翼の所定の位置につく……。

 

 時計の文字盤で言えば「中心」に対して、カラカルとキリンが3時と9時の位置。スプリングボックと私が6時の場所で待機している。

 

 私はそばのアリ塚の上に登って「鏡の破片」を頭上で動かして、光の反射で合図*2を送る。

 

 

 

「うみゃあっ! 血が飲みたけりゃこっちっ! アタシ血の気が多くて困ってるわよっ!」

「セルリアン……げんこーはんたいほ*3ぉっ!」

 

 カラカルとキリンがセルリアンの群れに向かって大声を出すと、沢山の眼がいっせいにふたりの方を振り向く!

 

 奴らが大きな単眼の下にある口をぱっくりと開けると……喉の奥の部位が肉感的に盛り上がり、大昔の注射器*4の針のような器官が露出する。

 あれが血を吸うための口吻か……!

 

 しかし、5、60m離れているというのに、あのドブネズミほどしかない大きさのセルリアンの体の構造を、私は鮮明に視認できる……。そんな芸当は人間の視力*5で可能なのか……!?

 

 

 

 そして始まる闘い!!

 

「フギャァッ! こんにゃろめがぁ!」 

 バッタのように後脚を伸ばして素早く飛び掛かる一体のセルリアンに対して、カラカルの素早い迎撃! バックステップして噛み付きを避け、左のショートフックをヒット! 大ぶりだが精密な打撃! かなりボクシング*6をやっている動きだ!

 フック*7気味に、柔軟な体幹と四肢を利用し、手首のスナップを利かせたカウンター!

 

 セルリアンの体が引き裂かれ、定間隔にスライスされて地面にバラバラになって落ち……体内に詰まっていた「吸血した血液」が消化管の圧力から解放され、草むらに赤い染みを作る!

 

 カラカルの手の握りは、空手の熊手打ち*8のような、拳を半分握った……猫の手のような形。

 拳からは、見覚えのある虹色の「サンドスター」の煙が立ち上っている……。

 ……攻撃の瞬間、拳に刃物のような……複数の出刃包丁のような、猛獣のツメ*9のようなものが光るのが見えた気がしたが……?? いや、やはり何も持っていないはず……!?

 

 だがしかし素手であの威力ッ!!

 

 

 

 さらに今度は、複数のセルリアンによる同時攻撃!

 

 彼女は前転でこれを回避して、力士の立ち合いのような前傾姿勢……あるいは四つん這いの猛獣のような……? 前かがみの戦闘態勢をとる!

 

 よく見ると……その口に一体のセルリアンがだらりと垂れ下がっている!

 

 外傷は無く、カラカルはそいつの()()()()を咥えている。

 ……つまり、今の前転の瞬間、一体を抑え込んで()()()()()()()()*10して倒したというのかっ!?

 

 ぴくぴくと小刻みに頭と四肢を痙攣させるセルリアンの死骸を、彼女はペッと吐き捨てる。その青い瞳は、夜の闇に包まれた肉食獣のように……生き生きと輝いている!

 正確無比なハンティング! ()()()()()()()()だ!? ……信じられない、本当に人間のできる技なのか……??

 

 

 

 ヒット&アウェイ*11で各個撃破を狙うカラカルに対して、敵の群れに単身突撃するキリンもまた、激しい攻撃でセルリアンを血祭りに上げる!!

 

……先ほどのまぬけな印象と程遠い、その奮迅っぷりは、まるで鬼のような……まあ、あの子は本当にツノ*12生えてるからね。

 

()()()ゥッ!」

 

 踏み込んでの左前蹴り*13ッ! ケンカキック*14! ブーツでの重厚な蹴りがクリーンヒットしたセルリアンが、靴底とアリ塚に挟まれて水風船のように破裂する!

 

 ものすごい脚力でのサッカーボールキック*15で、次々と蹴り飛ばされるセルリアンたち!

 

「めいたんていは足でかせぐ!*16

 

 さらに特筆すべきは、キリンの「マフラー」さばき!

 

 首に巻いたあの長いマフラーが、ときには真っ直ぐになり、ときには折れ曲がり……まるで生き物のように……荒ぶる蛇のように……自由自在に動くのである!

 

 まるで、カンフー映画に出てくる多節棍*17……!

 

 ……いや、このマフラーの動きはまるで……()()()()()のようだ!!

 七つの関節*18がついた腕が肩から生えて、龍の暴れるがごとく!!

 ……ま、まるで3つ首の怪獣だっ!!

 

 その先端は(おもり)が入っているかのように、動物のキリンの頭*19の形に膨らんでおり、激しく目標に叩きつけられる!

 

 目標に命中するたびに、サンドスターの粒子が周囲に放たれて虹色に輝く!

 

 足腰の回転を背骨から肩甲骨まで伝え……その遠心力で振り回されるマフラー! 振り下ろす場合はとくに重力が加わって破壊力は増す!

 

 コンクリート並みに固いアリ塚が、マフラー打撃がかすっただけで、轟音とともに数十cmほども吹き飛ぶ威力! それにスピードも! 速すぎて先端が見えないほどだ!

 まるでランカーのムエタイ選手のムチのようにしなやかなキックの威力! それがヘビー級プロボクサーのジャブ以上のスピードで放たれる!

 

 

 

 このマフラー攻撃をまともに食らった怪物連中は、もはやひとたまりもない。

 

 針に刺された風船のように破裂したかと思うと……自身の原形質状の体液と、アードウルフから吸った鮮血が混ざって、ゼリー状のまだら模様の塊となって、周囲に振り撒かれる。

 

 皮と尻尾だけの姿に成り果てたセルリアンたちは、浜辺に打ち上げられた海藻のように……ぺしゃんこに平たく潰されたもの……水平方向に吹き飛ばされて岩にへばりつくもの……上方に打ち上げられて、高所の木の枝に引っかかってぶら下がるもの……あちらこちらに死骸が八方四散する。

 

「うもおおおおっ!」

 返り血で顔が真っ赤に染まったキリンは、眼をらんらんと光り輝かせて、雄牛のような雄たけびを上げながらマフラーを縦横無尽に振り回すと、何十匹ものセルリアンの体が、ミキサーにかけられたように撹拌される。

 

 ……つ、強い! 絶対に強い!

 

 ……キリン、強すぎるぞ!

 最強すぎるだろ……あなた、()()()()()()()()!?!?

 

 

 

 カラカルとキリンの規格外の強さ!

 

 くそ、その強さのヒミツはなんだか分からんが、私のほうにもやらねばならない仕事がある!

 しり込みしてはいられない!

 

 彼女らの予想以上の奮闘で、左右両翼に十分な数のセルリアンが陽動されたと判断した私は……スプリングボックとともに中央を突破して疾走(はし)り、アードウルフの救出を試みる!

 

 

 

 まだ、数体の怪物たちがアードウルフに群がっており、私たちの接近に気が付いて襲い掛かってくる!

 それは()()()だ……スプリングボックと私とで、これらの抵抗を無力化! 排除する!

 

「……戦いはニガテですけど、やるしかないですねぇっ!」

 スプリングボックは頭を下げて、フリースタイル*20・アマレスの低空タックルのような頭突きを繰り出す! その頭部の毛髪の一部が反り返って、たてごとのような形になり……まるでレイヨウのツノのようだ! ……ど、どういうことなのだ!?

 

 しかし相手がひどく小さいために、この「ツノ」頭突きはうまく当たらない様子……。弓なりの「ツノ」が後ろに反っているため、突き刺すために頭を大きく下げる必要があるからだろう。あれでは、敵の位置を見失ってしまうな……。

 さらに、キリンには大きくパワーもスピードも劣るものの、同様の蹴りを繰り出して反撃している!

 

 

 

 あちらに加勢したいところだが……私のほうにもセルリアンどもが立ちふさがる!

 

 私は怪物たちに、「ガラスの槍」で突きを連続して繰り出して攻撃する!

 

 最後まで獲物のもとに残ったこのセルリアン達は、吸い取った血が重すぎて動きが鈍っているようだ。

 それでもまだ十分に素早くて、連続攻撃は当たらないものの……絶え間なく繰り出される「突き」自体が「障壁」となるため、相手もうかつには大きく飛び掛かれない。

 

 とうとう一体の着地の瞬間を捉えて、その大きな一つ眼を、ガラスの槍先が刺し貫く。

 ガラスを引っ掻くような、甲高くて耳障りな悲鳴が上がる。

 

 私は槍を持った両手の持ち手を、順手から逆手に*21切り替えて、槍に刺さったセルリアンをアリ塚の壁に、ぐいと押し込む!

 

 いとも簡単に槍先が眼底を貫き、柔らかい部分へ突き抜ける感覚が両手を伝ってくる……。

 敵の死をより確実なものとするため、傷口を支点にして、てこの原理で抉るように槍先を動かして、脳や内臓(こいつらにそんなものが有ればの話だが)をかき混ぜる!

 

 !! しまった……思ったより力が強くて、槍が深く突き刺さりすぎてしまった!!

 セルリアンの死骸を取り外さないと、このままでは槍を使うことが出来ない!!

 

 血液と青色の体液を飛び散らせ、サンドスターの粒子を吹き出して痙攣するセルリアンの死骸を、アリ塚に横蹴り*22で押し付け、そのまま力任せに槍を引き抜く。その拍子に、ガラス片の槍先が外れてしまった……。くそ、これではただの木の棒だ!

 

 

 

 そうこうしている隙に、二体のセルリアンが同時に私に襲い掛かる。

 

 私は左手で槍の中央部分を持ち、片手でも取り回しやすくして、石突(いしづき)*23の部分を防御用に使う。右手でポケットにしまっていた武器「ブラックジャック」を取り出し、これを振り回してセルリアンどもを牽制(けんせい)する。

 

 やはり目標(まと)が小さく、またよく動くために、振り回しが中々当たらない……!

 が! とうとう一体を上手く叩き潰す!

 

 トタン板に漬物石を叩きつけるような大きな音がして、まるで水気の多い野菜のように、怪物が全身の穴から流体をブチ吐いて()ぜる!

 

 だがその右手が伸び切った隙を狙い、もう一体が喉笛を噛みちぎろうと飛び掛かる!

 左手首で槍を回転させて、石突で打ち払う! が、防ぎきれずに、左前腕に喰いつかれる……!!

 

「ぐぅっ……!!」

 鋭い前歯の赤錆び色*24……!!

 

 親指の先ほどの肉塊を削ぎ取られて、そこに「隠し顎」を強力な打ち込まれ、肉を吸引される強い激痛が襲いかかる。

 吐き気と立ち眩み……急性の貧血か……!!

 

 

 

「野郎ッッ!!」

 

 私は右手の武器を捨てて、セルリアンを掴んで力任せに引っぺがす。点滴輸血パックをカテーテルごと引き抜く感覚。

 そして怪物の喉を、親指と人差し指で絞める*25と、ばたばたと暴れながら、目玉は飛び出しそうなほどに膨らみ、尻尾の辺りの消化管の孔から鮮血が霧吹きのように噴き出す。

 

 だがその時!

 

「うおぉッ!?」

 

 セルリアンは最後の反撃とばかりに……私の顔めがけて、目から体液を高圧噴出*26してきた!!

 

 とっさに頭を下げて左手で顔をかばう!!

 

 ……左手に、(フック)で吊られたような激しい痛み……急所に当たれば致命傷になりえたが、(てのひら)を貫通して、穴を開けられただけで済んだか……。

 傷口から、赤い血とサンドスター粒子が流れ出る……。

 

 サンドスター……フレンズやセルリアンから発生する「命の輝き」とも思える、この物質は……いったい何なのだ!?

 

 そう考える間もなく、私の体のほうは反射的に効果的な反撃を繰り出していた。

 動作は最小に、かつ最大限に怪物の体を破壊する攻撃を!

 

「死ねッ!!」

 

 セルリアンの長い尻尾を右手に巻き付け、振り回して近くのアリ塚めがけて叩きつける。

 

 アリ塚の壁面に何度も打ち付けられ、粗い表面で皮膚を削られて、()()()()()されて肉体がすりおろされる。

 吸った血が混じって赤くなった自身の肉片を、地衣類*27のようにべったりと付着させながら、ぼろ雑巾のようになってぐったりとして動かなくなる。

 こびりついたセルリアンの体液と、アードウルフの血と、私の血の混じる()()()()()()から、サンドスターの虹色の煙が立ち上る……。

 

 

 

 さらに横から新たなセルリアン一体が襲い来る!

 

「ハナコさん!! ……このォっ!!」

 だが、カバーに入ったスプリングボックが、数mも跳び上がってからの踏みつけで迎撃して助けてくれた!

 

「……だ、大丈夫ですか!? ハナコさん!?」

「大丈夫です……! ありがとう! ……あっ! あぶない後ろッ!」

 

 スプリングボックの背面にセルリアン!

 

 私はとっさに、足元に落ちていた野球ボールほどの大きさの石を、右手で掴み……怪物めがけて、力いっぱいオーバースローで投擲(とうてき)する!

 

 ……怯ませるつもりだったのだが、投石は予想を遙かに超える速度と精密性を発揮した。

 

 十数mほども離れた位置の、高速で移動するセルリアンに直撃ッッ……!!

 大きな眼窩に石がめり込み、背中の皮膚を破裂させ、背後に肉片を飛び散らせて即死した……。

 

 ……球速は時速160km……いや球速170km*28以上は出ていた……と思うのだが……。私って……中高生くらいの小柄な女の子、それがそんな球を投げられるのか……?? ええい、一体どういうことなのだっ……!?

 高い視力もそうだし……そしてこの()()()()はっ……!?

 おそらく中学生くらいの年齢の、ふつうの人間が……こうやって戦えるものなのか??

 

 私は、フレンズ達と()()()()()能力に困惑しつつも……作戦を予定通り続行する。

 

 

 

 アリ塚周辺のセルリアンの掃討に成功した後は、傷ついたアードウルフの応急処置だ。

 スプリングボックに周辺の警戒をしてもらっている間に、私が手当てを行う。

 

 アードウルフは大量のセルリアンに腹部の衣服を噛み切られて、隠し顎を突き刺された傷口からは、赤黒い血が出血して、虹色のサンドスター粒子が立ち上っている……。

 

 蚊の唾液のような、血液の凝固反応を遅らせる成分でも注射されたのだろうか、傷が浅いわりには出血量が多く、血がなかなか止まらない。

 

「うぅ……ありが、と……わたし……」

「話さないで! 絶対助けるから大丈夫ッ! 心配しないで下さい!」

 

 私は脱いだシャツをたたんで腹部の傷にあてがい、その上からコートを巻き付けて圧迫止血をする。

 スプリングボックは「えっ……毛皮、脱げるの……?」などと()()()()()()()()()を言っていた。

 

「よし、止血完了ッ! 早く退却しましょう!」

「りょうかい!」

 

 私は脱いだジャケットをばさばさと振って、オトリ役として交戦中の二人に、「救助成功・退却開始」の合図を送る。カラカルとキリンはそれに気が付いて、闘争を開始する。

 

 スプリングボックは、やはりなぜか怪訝な顔をしていた。

 

 

 

 スプリングボックと私で腕を握って「座席」をつくり、アードウルフを搬送しながら走って逃げる。

 

 カラカルとキリンは、それぞれ十数体のセルリアンから逃げながら、私たちのいる方へと走ってくる。

 しばらくして合流したあと、私たちは息の続く限り走り続けた。

 

 

 

 一体、どのくらいの時間、死にもの狂いで走り続けたか分からないが……私たち五人は、ネズミセルリアンの群れ*29を振り切ることに成功したのだった……。

 

 

 

「はぁ……はぁっ……ここまでくれば一安心かしら……」

 疲れ切ったカラカルが安堵して言う。

 

 私はカラカルに水筒を渡す。フレンズ達はふたの開け方が分からなかったようなので、教えてあげた。

 全員で水を回し飲みして、一息つく。

 

「そ、その子は大丈夫なの!? あんなにセルリアンに襲われてたけど!」

「アードウルフ! しっかりして!」

 キリンとスプリングボックが心配して、アードウルフに声をかける。

 

「はい……ありがとうございます、皆さん。……でも、何だかずっと気持ちが悪くて……頭がふらふらして、動けないです」

 水筒の水をかけて、アードウルフの顔や口を洗って、きれいにしてあげた。

 意識はしっかりしているものの、顔も唇もすっかり蒼白くなっている。さっきのセルリアンの吸血のせいで、ひどく弱ったままだ。

 

 ……このままでは、まずいかもしれない。

 

「さっきの吸血のダメージが相当……。点滴や輸血でもできればいいんですが……あの、この辺の最寄りの病院は?」

 私はフレンズたちに尋ねた……「病院」を知っているかどうか不安だったが。

 

 

 

「『びょういん』かぁ~……有るには有るけど、遠すぎるわね。それよりも、血が足りないってんなら、『ジャパリまん』食べればいいんじゃないかしら?」

 カラカルは「病院」の概念を知っていたものの、突拍子も無いことを言った。

 

「あ! 私、持ってますよ、おやつのジャパリまん!」

 スプリングボックが、以前から存在を聞いていた「ジャパリまん」なる食物を、服のお尻のあたりにある、白い毛皮のようなポケットから取り出した。

 青色のツートンカラーに着色され、ひらがなの「の」のような装飾が真ん中に施された、パンのような食べ物……。

 ……いや、まんじゅうか? もしかして「ジャパリまんじゅう」の略?

 

「ああ、ヤギのハナコ、あなたもケガしてたわね。これ食べればすぐ治るわよ」

 そう言うとキリンは、私にジャパリまんのひとかけらを分けてくれた。中身として、餡子(あんこ)のような、クリーム状の半固形のものが詰められている。おそるおそる、一口食べてみると……。

 

 ななな、何だこれは……!? 何なのだこの味は!? 呑気に食い物を味わっているような場合ではないのは分かっているが、このジャパリまんの未曽有の味!

 非常に説明しにくい味で……糖度が高いような、かつ塩分が程よく摂取できて、また味わい深い旨味成分……。

 

 それでいて薄味ではあるものの、単独で食べても飽きがこない味……。主食として相応しい食べやすさ。だが不思議と白飯が一緒に進みそうな、おかずとしての一面も……。

 しいて言えば、ご飯・みそ汁・お新香の三点セットを内包しているかのような万能食。超機能食。究極のメニュー……。

 まさに筆舌に尽くしがたいとはこのことか……。

 

 不謹慎にも私がジャパリまんの味に舌鼓(したつづみ)を打っている間に、キリンとスプリングボックはジャパリまんを口に含んでかみ砕いて、ペースト状にして消化しやすくしたものを口移しでアードウルフに与えていた。

 

 ……確かに、ジャパリまんがうまいことは認めよう。至高の保存食と認めましょう。

 

 だからって、食事をしたらケガがすぐ治って元気になるわけがない。

 血が足りないから食べ物を食べるとか、有名なアニメ映画*30じゃないんだから……。

 そんなバカな話があるわけがない。

 

 

 

 そんなバカな話が……あるわけがあった……。

 

 

 

 数分後、そこには元気に走り回るアードウルフの姿が!

 

 一体どういうことなのか……?? 素人目に見ても顔色が非常に良くなり、本当に体調が回復したようなのだ!!

 

 っていうか、私の方も、負傷した左腕が治りつつある!

 

 先ほどのセルリアンに、指先ほどの肉片を腕から噛み切られ、さらに掌の風通しを良くされたりもしたが、もう傷口が塞がりつつあるのだ!

 

「すっごーい……ありえない……どういうことなの……不思議すぎるだろ、人体……ヒトのカラダがこんなに早く治るわけが……」

 

「ハナコ、何ブツクサ言ってるのよ? こうしてアードウルフが助かったのもね、アンタの『さくせん』がすごかったから!」

 カラカルが声をかけてきた。

 

「そ、そういえば、カラカルさん! なな……何なんですかぁ、あの戦いでの、すごい動きは!? ライオンのツメみたいに、素手でセルリアンを切り裂いて!! あんなん()()()()()()()()()()()ですよ!!」

 

「そらそうよ~。私はネコ科のフレンズだからね。あれは『フレンズのワザ』。元の動物の動きを、ああやって、みんなできるのよ。……ってか『ニンゲン』って、何?」

 カラカルは事も無げに答える?? が、話がかみ合わない!

 

「……()()って……もちろん私たちのコトですよ! ヒト、人類、ホモ・サピエンス! あの人間離れした動きは……こういう言い方は失礼かもしれませんが……とてもじゃないけど、カラカルさんは、私と同じ()()とは思えない!」

「何言ってるのよ、()()()()()()()……かもしれないのは、アンタでしょ、ハナコ。私たち、みんな違う動物じゃない。ヒト、カラカル、キリン、スプリングボック、アードウルフ……()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ……。

 

 えぇ……どういうことなの……。

 

 いや、わからん。

 

 どういうことか、全然分からん!

*1
【イネ科植物】地球上で最もありふれていて、そしてヒトの身近に存在する植物。コメ、ムギ、トウモロコシ、サトウキビなどの穀物の多く、さらにタケもイネ科だ。農耕文化とともに繁栄している植物。細長い葉っぱに平行な葉脈、中空の茎、ヒゲ状の根っこ……と「単子葉植物」の特徴を持つ。「生長点」が根元にあるため、動物に食べられてもぐんぐん伸びる物凄い生長力。なおアフリカのサバンナでは、オヒシバ、メヒシバなど、日本でもその辺で見かけるイネ科雑草と同じものも生えている。

*2
【光の反射で合図】反射光による信号は、理想的な気象条件下においては160km先でも観測できると航空機のパイロットから報告されている。この光の合図は、セルリアンにフレンズ達の接近に気づかれてしまうおそれがあるが……光のきらめきは自然界でもあり得る現象だし、それよりも大声を出したり、布を振ったりなど音が発生する信号は避けるべきだとハナコは判断したため、この通信手段をとっている。

*3
【げんこーはんたいほ】現行犯逮捕。一部の犯罪の現行犯や準現行犯を、令状なしで逮捕できること。でもそれは探偵じゃなくて警察官の仕事だろ……と思いきや、現行犯であれば一般人でも逮捕を行うことができるので間違いではない。

*4
【大昔の注射器】今日の中空の針を持つ皮下注射器は、19世紀ヨーロッパで発明されたもの。古代ローマ時代から使われていた「浣腸器」が原型らしい。材質は金属製からガラス製へ……薬品注入方法は、両手がふさがる「ネジ回し式」から、片手で扱える「ピストン式」へ……と技術は進歩し、現代では、使い捨て式(ディスポーザブル)のプラスチック製・滅菌注射器が一般的。ちなみに現代日本の医療用注射器の針は、その外径のサイズによって、国際標準であるISO規格でカラーリングが決まっている。

*5
【人間の視力】学校の健康診断や免許センター、眼科などで受ける視力検査の方式は、視力0.1~1.0までは0.1刻みだが、そこからは1.2、1.5、2.0の3つになっている場合が多い。視力1.0は、5m離れた場所の直径7.5cmの「ランドルト環」(Cの形のアレ)の切れ目(約1.45mm)が視認できる能力とされている。この距離が2倍の10mになると視力2.0、3倍の15mなら視力3.0である。現代人類で最も目が良いアフリカ・タンザニアの部族(マサイ族、トゥルカナ族、ハッザ族)のヒトは、最低でも視力6.0~7.0程度はあるそうで、最大ではなんと脅威の()()1()1().()0()!! これは、55m先の1.45mmの切れ目を可視できる能力。55mは15~20階建てビルの高さ、1.45mmはスパゲティの直径と同じくらいなので……つまり高層マンションの屋上から見下ろして、地面に散らばったパスタの本数を数えられるのが視力11.0!! 今までハナコがうろついていたサバンナには明確な「大きさの比較対象」が無かったので、自身の超人的な視力が分かりくかったのだが、ここで初めてそれをはっきり認識して驚愕している。

*6
【ボクシング】野蛮な殴り合いを、崇高な芸術の領域まで高め上げた近代スポーツ。なお、もちろんカラカルはボクシングなどやったことは無いが……彼女たちフレンズが戦うとき、一流の格闘技者や武道家に()()()()()()を見せることがある。それは「ヒトのカラダ」という条件において、もっとも実戦的・効率的な動きをしようとすると、()()()()一流選手と似通ったフォームになるということなのだろう。ヒトの動作とフレンズの動作には「収れん」が見られる(※収れん進化:同様の環境下に棲む異なる由来の生物が、進化の過程で類似した性質を得ること)

*7
【フック】水平に弧を描く軌道で繰り出すパンチ。「鈎突き」とも呼ばれる。曲線的な軌道の「打ち技」であるフックやアッパーは、ジャブやストレートのような直線状のパンチに比べてリーチが短いが、逆に言うと接近時に強い攻撃だ。また直突き(ストレート)系は「体重の乗る打撃」であり、重い目標(人間で言えば胴部)に対して有効で、打ち(フック)系は逆に「軽いが鋭い打撃」で、軽い目標(人間で言えば頭部)に有効であると言われている。これは、頭部のような軽くて硬い攻撃目標には「体重の乗る攻撃」では力積(=威力)がすべて伝わる前に、すぐ目標が動いてしまい、残りの運動量がムダになってしまうため。逆に「軽いが速い攻撃」は、胴体のような重くて柔らかい目標に対しては、接触時間が長くて衝撃の最大値が伸びにくいから、と物理学的な根拠がある。

*8
【熊手打ち】五指を曲げて掌側で打撃を加える伝統派空手の技。よーするにクマの手みたいなパンチ。しかしフォームとしては手刀打ち(空手チョップ)に似ているので、全体的な動きじたいはクマっぽくないかもしれない。

*9
【猛獣のツメ】カラカルは、体内の超物質「サンドスター」の働きにより、一瞬のみツメを指先に実体化させて斬撃を繰り出した。後ろに飛び退き、左のツメで短い横薙ぎを繰り出す……接近時、小型の素早いセルリアンに対しては、最適解の攻撃。これを無意識に行えるネコ科のフレンズの運動神経の優秀さ。このようなサンドスターによる「ツメの出し入れ」を自由にできるのは(チーターを除く)ネコ科のフレンズのみで、イヌ科などではツメが()()()()()()になってしまうらしい。ツメの具現化を自由に行えることにより、サンドスターの消耗を防ぎたいときや、細かな手先の作業が必要になったときなどに、すぐに引っ込められて大変便利らしい。

*10
【キバで脊髄を切断】ネコの犬歯は、最も一般的な獲物であるネズミの背骨を一撃で貫通できる形になっている。さらに歯には鋭敏な感覚神経が通っていて、捕獲した小動物の脳幹の基底部を一瞬で探り当て、脊椎骨の間隙に犬歯を刺し込んで切断……反撃される前に生命機能を断ち、即死させるのだ! しかし、こういった「殺しの技能」は生得しているわけではなく、母ネコから教育されることで受け継がれていくらしい。現代日本の都会育ちのネコは、こういった狩猟文化が受け継がれていなくて、小さい獲物も狩れないヘタレたヤツが多い気がする。飼育動物が野生環境で生きていけないというのは、遺伝子的な「本能」の問題ではなく、このような野生で生きていくための「適切な教育」がなされていない点が大きな問題なのだろう。一見本能のままに生きているように見える動物達も、実は多くの点でヒトと同様に「文化的」なのです。

*11
【ヒット&アウェイ】攻撃してすぐ離れることで、自分の身を守ったり相手の消耗を誘う、一撃離脱戦法のこと。さりげなく和製英語で、本来の英語は「ヒット&ラン」。ボクシングの実況解説でよく使われるイメージだが、軍事作戦でもこの戦術が取られることがある。

*12
【ツノ】ツノと一口に言っても、その形態はけものによって大きく異なる。ウシ・シカのツノはどちらも、頭骨の一部(前頭骨)が前に突き出たもの。シカの場合は()()()()()()()()しており、ウシのツノはケラチン(ツメや髪の毛、ヒヅメなどを形作るタンパク質)でできた「さや」で覆われている――レイヨウがシカではなくウシの仲間であるのも、このツノの性質によって区別可能。サイのツノは、骨が入っていない「ケラチンのかたまり」である。

*13
【前蹴り】足を前に繰り出すシンプルなキック技。フロントキック。空手、拳法、キックボクシング、ムエタイ、プロレス等、あらゆる打撃系の格闘技や武道で使用される。足の移動距離が長く、使用者のバランスが崩れやすい「回し蹴り」に比べて、隙が少ないことが特徴。「左の前蹴り」は蹴り技の中で最もスキが少なく、パンチ技だと「ジャブ」に相当する攻撃。左足前(オーソドックス)の姿勢から、()()()()して(=右足を踏み込んで両足の位置を入れ替えて)左足で蹴るのが基本。なおキリンなどの「有蹄類」フレンズは、柔術や古流空手などの古武道がそうであるように、「回し蹴り」系をほとんど使わない……野生動物の動作と同様に、前蹴りや後ろ蹴りなどの「直線的な蹴り技」を好む習性があるようだ。

*14
【ケンカキック】足裏全体で蹴る前蹴り。ヤクザキックとも言う(が、TV実況だと放送コードの都合で言われない)。つま先や中足(上足底などとも呼ばれる、足の指の付け根部分)の狭い面積で当てる(=威力が上がる)空手や拳法のテクニカルな蹴り技と比較して……誰でもできるケンカキックは「素人くさい動き」の蹴りだが、足裏全体で体重を乗せることで、()()()()()ことができる。ムエタイでは「ティープ」と呼ばれ、相手と距離を取る目的で使われるワザ。路上の喧嘩でも、相手を蹴り倒したり、姿勢を崩したりできて、非常に有効。敵を蹴り倒して階段から落とす、壁や床に後頭部を叩きつける……さらに、本編のように壁に敵を踏み蹴りつけて大きなダメージを与える、など。

*15
【サッカーボールキック】総合格闘技やプロレスで使われる蹴り技。技の動作は名前そのまま。おもにダウンした相手の頭や胸、背中をねらい、足の甲やつま先で蹴りつける技。総合では特に頭部を狙うキケンすぎる技ゆえに、ルールで禁止している団体が多い。

*16
【めいたんていは足でかせぐ!】キリンの敬愛する名探偵シャーロック・ホームズはキックが得意だった……なんて話は、聞いたことがない。ボクシングやフェンシング、ステッキ術、それに()()()()()()は得意だという描写なら聖典にあるが……。なお、足技メインのヨーロッパの格闘技と言えばフランスの「サバット」だが、それはライバルのアルセーヌ・ルパンのほうだ――まあホームズもフランス人のクォーターだけれど(ホームズの祖母はフランス人の画家オラース・ヴェルネの姉妹)。……だが! ホームズが蹴り技を駆使して難事件を解決する作品(パスティーシュ)は実在する! FC(ファミコン)用ゲームソフト『伯爵令嬢誘拐事件』だッ! どんな内容かというと……それは君自身の目で確かめてくれ!(最速攻略本並みの丸投げ)

*17
【多節棍】中国武術や沖縄の古流武術などで使用される武器。香港映画『少林寺三十六房』に登場する三節棍が有名。ヌンチャク(双節棍)も多節棍の一種だ。

*18
【七つの関節】キリンの頸椎(首のホネ)はヒトを含めた多くの哺乳類と同じく7つだが、さらに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という説がある。ヒトの腕で言うなら、手首・肘・肩の関節に加えて、「鎖骨と肩甲骨」が自由に動いて()()()()になっているようなもの。つまりキリンは疑似的に、他の多くの哺乳類より頸骨がひとつ多く、8つの首のホネを持つ(=7か所の首の関節がある)のだ! フレンズのキリンのマフラーの「骨の数」は、この解剖学的事実に由来する。

*19
【キリンの頭】キリンのツノは、他種のそれとは大きく異なる。キリンの毛皮で覆われた()()()()()のうち、後頭部の2本は「頭骨が変形したもの」で、前方の3本のツノは、皮膚(真皮)の中に独自に形成される骨「皮骨(ヒコツ)」(アルマジロの甲羅やワニの背中の、あのデコボコも「皮骨」だ)を持つツノだ。皮骨によるツノはキリンのみの特徴で、若いキリンでは頭蓋骨と分離したままだが、成長すると頭骨と完全に癒合していく。「キリンのツノは5本」とはよく言われるが、海外の論文では、この皮骨入りの3本のみが「正式なツノ」だとされている。あの、ぽわぽわしたかわいいツノだが、このように()()()なので、ちょっとぶつかっただけでもとても痛いそうだ。こんなツノを、あの筋肉モリモリの2mもの長い首で振り回されたら……。しかもキリンのオスの頭はメスに比べて非常に重く、メスキリンの頭蓋骨の重さが平均3.5kgに対して、オスはなんと1()0()()1()5()k()g()もあるのだっ! 最強すぎるだろ……!

*20
【フリースタイル】アマチュア・レスリングには、古流の「グレコローマン」と、近代的な「フリースタイル」の2種類のルールがある。古代ギリシャ・ローマ式の古来の「グレコローマン」スタイルでは、()()()()()()()()()はルールで認められていない。これは、実際の戦争で武器を持った敵にうかつに低空タックルなどしてしまうと、そのまま武器を振り下ろされてしまうから……というでの実戦的な「武器アリ」での教訓の名残りだと言われている。たいして現代で一般的な「フリースタイル」レスリングでは、脚部への攻撃が認められている。これは「素手のみ」を想定した英国の伝統的レスリング、キャッチ・アズ・キャッチ・キャン「ランカシャースタイル」レスリングに由来している。

*21
【順手から逆手に】お手元にペンやおハシなどがあれば、持ってみて下さい。手首の構造上、持ったものを()()()()()()順手持ち(ハンマーグリップ)にたいして、逆手持ち(アイスピックグリップ)だと非常に()()()()()()ですね。このように可動領域が狭くて器用に動かせない「逆手持ち」ですが、必ずしもデメリットではなく、逆に()()()()()()()()、つまり一部の動作では「力を入れやすい」というメリットがあります。

*22
【横蹴り】サイドキック。コンビネーションに組み込みにくいが、敵に正中線を晒さずに、リーチも一番長くなる蹴り技。かかとで蹴り込めるため熟練せずとも威力が大きい。元来は横にいる相手を攻撃する技で、正面の相手には予備動作も隙も大きくなりやすい。使い方としては前蹴りと似ているが、パンチ技や回し蹴りとは組み合わせにくいため、キックやムエタイの試合ではあまり見かけないかもしれないが、空手や拳法・護身術では必ず練習する実戦的なワザ。

*23
【石突】槍やなぎなたなどの、刃とは逆の部分の先端のこと。地面に突き立てる部分で、傘やステッキなどの同様の部分もこう呼ばれる。保護用の金属製のカバーで覆われていたり、バランスを取るため重くしてある槍も存在する。槍術では、すばやく槍を反転し、石突部分で相手の武器や顎を狙って「打ち払う」などのワザがある。とくに槍先が折れてしまった場合や、接近戦時に有効。

*24
【前歯の赤錆び色】このネズミセルリアンの前歯の赤色は、固着した「鉄分」によるもの。ビーバーやヌートリア等、一部のげっ歯類に見られる特徴だ。門歯(前歯)の()()()()が鉄分で硬化されて、歯の裏側は噛み合わせでどんどん削れていくため、非常にシャープな切れ味の前歯になっていく。

*25
【絞める】体のどの部位を「しめる」かによって、漢字が違う。「絞める」だと、首を圧迫すること。「締める」だと、首以外への攻撃になる。この小説では、その辺細かく区別していますので、漢字一文字だけで攻撃方法が判別できます。また「あの野郎、いっぺんシメてやるッ!!」などと言うと、「とっちめる」「こらしめる」「痛い目に合わせる」の意味。ちょっとガラの悪い俗語で、江戸時代から使用例があるとか……。

*26
【目から体液を高圧噴出】北米・中米に棲む「サバクツノトカゲ」は、目の端にある管から血液を噴射させて外敵を威嚇する。この「血液ビーム」噴射は、最長で1mも飛び、イヌやオオカミ、コヨーテなどの嫌がる成分が含まれているんだとか……。だがこの必殺技は、体中の血液の3分の1もの量を噴射する必要があり、貧血どころか失血死するんじゃなかろーか……というぐらい危険なので、あくまで最後の手段である。そしてこのネズミセルリアンも、体液の損耗が激しいこの「噴射攻撃」はよっぽどピンチでないと使ってこない様子。だがツノトカゲの威嚇目的のそれとは異なり、近接時には人間の掌でも撃ち抜けるほどの……明確な「殺傷用」のワザだ!

*27
【地衣類】岩や樹木の表面にくっついている「へんなもの」、あれはコケではなくて、菌類(カビやキノコのなかま)と藻類(コンブやワカメのなかま)の共生体。葉緑体を持ち明確な植物である、緑色のコケ植物にたいして、地衣類は色が白や黒っぽいので区別できる。

*28
【球速170km】超・超・超・剛速球! ほぼ人類の投擲の最速値だ! ストレートのギネス世界記録は、MLB(メジャーリーグ)ニューヨーク・ヤンキースのアロルディス・チャップマン選手の「時速169km」。日本人では、MLBロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の「時速165km」が最速記録。直球(ストレート)を投げると、肩や肘に最大で100N m(ニュートンメートル)の負荷がかかり、これはボーリング玉5個分の衝撃力にあたり、これを超える速度はとてもピッチャーの体が耐えられないのだ。それに打者のほうも……人間の反応速度の限界により、一流のバッターでも実際の試合で対応できるのは球速170kmまでだと言われている。これ以上の球速は生物学的にもほぼ不可能だろうし、そして万が一実現すれば野球のルールが崩壊してしまうだろう。

*29
【ネズミセルリアンの群れ】この残ったセルリアンの群れは、この後どうなったのかと言いますと……今回の戦闘の少し後、トラック事故で死亡したブラック企業勤めのとあるサラリーマンが、ジャパリパークに「ハダカデバネズミのフレンズ」として転生し、このネズミセルリアン軍団に追いかけられていた「謎の色白のフレンズ」を救出するために、「チート・ハダカデバネズミ・スキル」を駆使して無双して、全滅させることになるのですが……それはまた別のお話……。

*30
【有名なアニメ映画】有名なフランスの怪盗の孫の映画の2作目。緑ジャケットを着たドロボウが、ロリコンからヨーロッパのお城のお姫様を救って、ニセ札事件を暴いて、財宝を見つけて、大事なものを盗むお話。『うるへい! 12時間もあればジェット機だって直らぁ~!』などと言ってメシを喰う名シーンがあります。




【参考資料】

◆第51回 注射器の開発 - メディカルα
https://www.bs-tbs.co.jp/alpha/archive/51.html

◆注射器の起源から、改良や対策を重ねてきた現在までの変遷!
https://fm0817.com/chushaki-kigen

◆注射針等のカラーコードの統一について 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/medical-safety-info/0034.html

◆視力検査の前に知っておきたい「視力の数値」のこと メガネハット
https://www.meganehut.com/blog/58

◆視力測定の「C」の意味は?視力「1.1」がないのはなぜ?知っておきたい視力測定の不思議 | 東海光学株式会社
https://www.tokaiopt.jp/blog/t10320190607/

◆【夢のメガネ】「遠くがミエルメガネ」視力11.0では、どこまで見えるのか? | メガネスーパー
https://www.meganesuper.co.jp/research/mieru-megane/

◆本能だけじゃ「狩り」はできない にゃんペディア
https://nyanpedia.com/post-8227/

◆そろそろ「逆手持ち」について書いておくか - 火薬と鋼
https://machida77.hatenadiary.jp/entry/20090105/p1

◆西郷派大東流合気武術 槍術(二)
https://www.daitouryu.com/japanese/gihoutaikei/tech_yari02.html

◆10 宝蔵院流槍術の技術
http://www4.kcn.ne.jp/~hozoin/ubu0910.html

◆血の涙で攻撃! ツノトカゲ、驚異の護身術 ナショナルジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/061700225/

◆サバクツノトカゲ ナショナルジオグラフィック
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/429007/

◆サバクツノトカゲ・防御手段3段階! 川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人
https://ameblo.jp/oldworld/entry-10159703839.html

◆zoologger Horror lizard squirts tears of blood New Scientist
https://www.newscientist.com/article/dn19231-zoologger-horror-lizard-

◆剛速球を科学する。人間は何キロの球まで打てる? - Number Web
https://number.bunshun.jp/articles/-/12200

◆110マイル(177km-h)の速球が不可能な理由など野球の魅力「速球」を科学的に検証する - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180420-110mph-fastball-science/

◆人間は、ものを投げる動物である Nature ダイジェスト Nature Research
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v10/n10/%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%AF%E3%80%81%E3%82%82%E3%81%AE%E3%82%92%E6%8A%95%E3%81%92%E3%82%8B%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B/47161

◆搬送|講習の内容について|救急法等の講習|活動内容・実績を知る|日本赤十字社
http://www.jrc.or.jp/activity/study/safety/care/

◆6-2 2名での徒手搬送・いすを利用した搬送 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=vkCYlws1OsQ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。