「っはぁああ!よく寝たぁぁぁん!!」
背伸びをした搬送でゲーミングチェアから転げ落ちる。
落ちた先に待ち受けていたのは敷いていた筈のカーペットでは無く鉄の破片の様な物ばかりだった。
転げ落ち鉄片刺さる刺さる。
「イッテェ!なんでこんな散らかってんだよ…おい英二!!散らかしたら片付ッ…!?」
目に映ったものは無残に焼け落ちた家。天井はボロボロに焼け落ち鉄筋がぐにゃぐにゃになっている。
まるで何かに爆撃された様に壊れた家、家族が俺と英二以外出かけている今一番先に無事を確認しなければいけないのはパソコンだ。
「ぐあああああああ!!!ぶっ壊れてるウウウウウ!」
モニターが破損したパソコンはピクリとも動かない。本体の方が爆発で逝かれちまったようだ。
スマホもバッキバキのバキでどうにもならない。
「生きる糧を失ったので宿題やりません(半ギレ)」
何故か無事だった宿題を投げ捨て外に出てみる事にする、家から見る空は焼けついた様な真紅だった。
あんな空は見た事がないし俺の部屋にはテレビは無い。スマホが無い今情報収集は自分で行わなければどうにもならないからな。
硬く閉ざされたドアをこじ開けて俺の目に飛び込んで来たものは…
「あは、はははは…」
「なんだよ…これ」
焼け落ちた街、錆びた鉄屑と化した建造物。道路はひび割れ非日常を演出する。
俺が寝ている間に大地震でも起きたのか?
近所で一番大きいビルからは黒煙が登っている。倒壊する事こそ無さそうだが。
それより人の気配を感じない。こんな地獄の様な状況なのに死体一つ転がっておらず生存者の雰囲気も感じない。
おかしい、ここは異世界なのか?それにしては毎日の光景に近すぎる。
脳が思考する事を停止しようとする、考えない方が楽な事もあるからだ。気分が悪い。
「まだ生存者が…大丈夫ですか!?」
優しい声だ。毎日聞いていた様なそんな錯覚を覚える声だった。
ぼやける瞳で声の主を探す。…幻覚か?最後に神様が彼女に合わせてくれたのか?
俺の瞳に映ったのは銀髪ロングの女神。そう、翔鶴そのものだ。
何故この世界に居るのかなんて考える力をもう残っていなかった。
「僕の…女神…」
その頬に手を伸ばすがブツンっと俺の意識は途切れてしまった。
あーあ、もう少しだったのになぁ…翔鶴に触れたかも知れないのに…
まぁ、十分幸せだったよ…二十数年の人生は…嫁に看取られて死ねるなら本望だ。
◆
そこに倒れていた男性はまだ息がある。深海棲艦に襲撃されたこの地区で見つけた唯一の生き残りだ。
でもその顔は。あの日居なくなってしまった彼にそっくりで思い出してしまう、あの日々を。
男性に触れた瞬間ピンク色の光が銀色の指輪から放たれる。
失われていた力が戻っていく。かつて数々の深海棲艦を屠ってきた練度が蘇ってくる。
「これって…」
ケッコンカッコカリ、艦娘に大いなる力を与える提督との絆の結晶。
どちらが欠けても発動する事の無いそれが、戻ったと言う事は…
「ようやく…会えましたね、提督」