風霊のレイチェル   作:早起き三文

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第3話「砂地の野盗」

  

――いいか、お前を倒すのはこの俺なんだからな!!――

――わかった、元気でね――

 

「いいか、お前を倒すのはこの俺なんだからな!!」

「だから何よジュナス、だったっけ?」

「だから、えーと……」

 

 もちろん、そのような馬鹿話が出来るのも未だにこの待ち伏せ地区に、盗賊達が姿を現さない為だ。

 

「とにかく、このジェガンでお前をアッと言わせてみせる!!」

「……無理はしないようにね」

「おう!!」

 

 そのジュナスの返事、それを聴いたレイチェルは、やはりこの仮の仲間は「馬鹿」なのではないかと思ってしまう。

 

「とはいえ、あたし一人でどうにかなる仕事じゃないし……」

 

 野盗盗賊達の戦力は不明であるが、一応の偵察の結果としてモビルスーツが五機前後であるらしい。その野盗を根城から追い落とす役目を負っているチームの頭数を入れて、レイチェルらこちらの味方も計五機のモビルスーツである。

 

 ビィ、ビイ……

 

「こちらAチーム、そっちに行ったぞ!!」

「Bチーム、了解!!」

 

 通信機を先にレイチェルが取ってしまった事にジュナスが何か文句を言ってきたが、レイチェルはその彼の言葉を聞き流して、自らのザクウォーリア、換装したザクウォーリア・ブレイズにと交戦体勢を取らせる。

 

「ジュナス、あなたのジェガンはそれで大丈夫なの?」

「大丈夫って、何がだよ?」

「盾が無くて、大丈夫かって意味!!」

「安心しろ、俺は二刀流で戦うさ!!」

 

 そう言いながらそのジュナスが駆るジェガン、洗練されたジム・シリーズの機体は両腰のサーベルラックから二本のビームサーベルを取り出し、その火を灯す。

 

「さあこい、野盗ども!!」

「本当に大丈夫かしら、彼……」

 

 そのレイチェルの懸念はすでに解消出来ない。岩陰から姿を現した二機のモビルスーツ、一目見ただけではレイチェルのザクウォーリアとよく似た外見であるその局地戦用のモビルスーツは、レイチェル達の待ち伏せに慌てているのか。

 

 ガオゥ!!

 

 突然にその手に持ったマシンガンを発砲する。

 

「甘く見ないでよね!!」

 

 レイチェルはそのマシンガン斉射をブレイズ装備のスラスター、高機動戦闘用の機器を扱って空中退避し、そのまま自機の手に持つ突撃銃の照準を野盗達の機体にと向ける。

 

「デザート・ザクかなレイチェル!?」

「知るもんですか!!」

「それもそうだ!!」

 

 その敵機達のマシンガンをレイチェル機が引き付けている間、ジュナスのジェガンがサーベルを構えたままに、二機の敵モビルスーツへと機体を突き進ませた。

 

「あっ!?」

 

 その無謀なジェガンの突進、レイチェル機の射線に入り危うく撃ちそうになったそのジェガンの行いに対し、慌ててビーム突撃銃の銃口を下ろすレイチェル。間一髪であった。

 

「でぇぇい!!」

 

 ギィ!!

 

 敵もさることながら、ジュナスの二刀流をその手に持ったヒートホーク、熱で持って相手を切断するヒート兵器を操り、その繰り出された二刀流を上手く捌く。かなりの腕前だ。

 

「ならば、あたしは!!」

 

 ズゥ!!

 

 どうにか一機はジュナスが相手をしてくれそうだ、そう思ったレイチェルは自機「ブレイズザクウォーリア」の出力を上げて、そのまま空中を泳ぎつつビーム突撃銃の斉射をザク、ジュナスが言うにはデザートザクとやらに浴びせている。

 

 ボゥ!!

 

「きゃあ!?」

 

 突如として自機の後方で炸裂したグレネード、恐らくは突発的にデザートザクが放ったのであろう。不覚である。

 

「バランスが!!」

 

 どうやら、背部スラスターの内一基が損傷したらしい、片肺飛行となったザクウォーリアに対して敵のデザートザクがその身を跳ね上げ、そのまま前蹴りをレイチェル機デザートザクにと向けて放つ。

 

「どうして……!!」

 

 そのキックを間一髪でかわしたレイチェル、軽くパイロットスーツ内に冷や汗の感覚を覚えながらも、レイチェルはその敵機が続けて放ったヒートホークによる一撃、それを肩のシールドを操り。

 

「そんなことするかなぁ!!」

 

 器用に弾き返す。そのさらに続けられたデザートザクからのパンチ、それをさすがにレイチェルはかわす事は出来ず、そのままザクウォーリアははね飛ばされる。

 

 ゴゥ!!

 

 その機体の背を礫砂漠にと付けるレイチェル。彼女は次の瞬間、脳裏に疾った閃光の導きを頼りにビーム突撃銃をあらぬ方向へと放つ。何か手応えがあった。

 

「やった!?」

 

 姿は見えない、しかし何かが爆発するような音が聴こえ、それっきりデザートザクからの追撃は来ない。

 

「何だか解らないがやったんだ、ならば!!」

 

 あまり程度が良くないレーダー、それに目をやったレイチェルは、自機のすぐ後ろで二つの光点を確かめる。一つはジュナスのジェガンだろう。

 

「ジュナス!!」

 

 まだ生きている片方のブレイズ・ブースター、それを駆使しつつ、レイチェルはザクウォーリアをそのジェガン、ジュナス機が影となって隠されている岩を回り込んだ。

 

 バォン!!

 

 そこにはビームサーベルを持つ左腕を切り落とされながらも、もう片方の手で相手のデザートザクを圧倒しているジュナス機の姿。彼は一瞬レイチェルの機体にその注意を向けたようであるが。

 

「ジュナス、危ない!!」

 

 その隙に放たれたデザートザクからの機関砲、だがジュナスはその射撃を機体の身を大きく揺らしてかわし、そのまま追撃を与えようとする。しかし。

 

 ドゥルル……!!

 

「空からだって!?」

 

 空中、透き通るような青空から放たれる銃弾、それをまともに機体にと受けてしまったジュナス機は、そのまま後退し片膝を付く。

 

「この!!」

 

 その隙に逃げたデザートザクには、レイチェルは視線を奪われない。不安定な自機を制御しつつ、ビーム突撃銃をその銃弾を放った敵機にと投げつけるレイチェル。しかし反応がない、当たったという感覚がない。

 

「どこなの!?」

 

 そのレイチェルの声に答えるかのように、軽快な音をたてて再び放たれる銃弾。機関砲であると思われるそれがザクウォーリアのすぐ脇の砂地を激しく叩き、その勢いにレイチェルはコクピット内で恐怖する。

 

「当たったら、ひとたまりもない……!!」

「エアリーズだ、レイチェル!!」

「知ってるの、ジュナス!?」

「俺は物知りなんでね!!」

 

 蒼き空に浮かぶ影が、エアリーズとやらが再びレイチェル達の上空で旋回を始めた。

 

 

 

――――――

 

 

 

「やるようだな、しかし……!!」

 

 エアリーズの残弾は多いとは言えない。飛行可能なモビルスーツという特性を得るために、犠牲にした物も多い機体であるからだ。

 

「このマーク・ギルダーも、仕事に手を抜くわけにはいかないのでね!!」

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