爆速追跡さよひなドライブ!   作:石動大空

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一話  10月26日 始まりの雨音

降り頻る大雨の中、『彼女』は商店街の路地裏で雨宿りをしていた。いつもなら折り畳み式の傘を常備している『彼女』だったが、今日は会社のカバンに入れ忘れてしまっていた。

 

風に煽られた雨は踊るように地面に落ちていく。斜め上から降る水滴はとても小さな屋根で防げるものではなかった。

『彼女』はズボンのポケットの中からスマホを引き抜いた。慣れた手つきでトークアプリを開き、『ーー』と記されたトークルームを開いた。

通話のボタンを押し、傘を持ってきてもらうことにした。

 

 

 

スマホのデジタル時計の日付は『202X年』を示していた。

 

 

◉ーーーーー

 

[12年前 10月26日]

 

普通の高校生、氷川紗夜は双子の妹、氷川日菜と共に仮面ライダードライブとなった今井リサの戦闘をサポート員。無辜の市民を機械生命体・ロイミュードから守るため、今日も人知れず戦っていた。……のだが

 

「リサちーを置いて逃げろって!?そんなこと出来るわけ無いじゃん!!」

 

ロイミュードが多く潜伏しているという情報を手に入れた彼女達はとある人工知能搭載人型ロボットの運用実験都市へと潜入していた。

ここには敵の本拠地があり、リサ達は3人の幹部の超進化ロイミュードに囲まれてしまっていた。

 

「コイツらを野放しには出来ない。それにほら、外を見てみて。開発区の工場の方から火が出てるでしょ。近くにいる生存者を集めて街から出て!…頭のいい日菜なら、わかるでしょ?」

 

「……ッ…けど!リサちーやベルトさんが居なくなったら、他のロイミュードを止められない!それに…!それに…………」

 

「日菜、今は私達にやれることをやりましょう…?今井さん、ここは任せました。私達は民間人の救助を!」

 

「……ぎぃっ……ぜったい…絶対絶対絶対の約束だから!!約束ッ!!!」

 

リサはいつものように微笑みながら、2人の走り去るところを見送った。

 

『これでよかったのかい?リサ』

 

ここまで共に戦い抜いてきたバディ、ベルトさんが問い掛ける。

 

「…うん。後のことを香澄や2人に任せちゃうこと以外に、悔いは無いよ……無いんだ」

 

『あの幼馴染みの少女は…「言わないでよ、ベルトさん。…エンジンが止まっちゃいそうになるから」…了解した』

 

「友との話は終わったか?」

 

「うん。悪いね、待たせて」

 

ロイミュードのリーダー格、ハートを始めとする幹部クラスの3人と対峙したリサは、ドライブドライバーのイグニッションキーを捻る。

 

「……地獄まで、ひとっ走り付き合ってもらうよッ!!」

『OK…!Start our engine!!』

 

〜〜〜

 

街から離れたところで、ヘッドギアと猫耳のような髪型が特徴的な少女が誰かと通信を取っていた。

 

「…街中の人間の生命反応、無し。ノイズが少しかかってるけど、多分みんな避難できました」

 

 

「私も今さっき、弟子を救助しました。今頃安全なところにいるかと……わかりました。今応援に……リサさん?リサさんっ!?」

 

 

通信越しに聞こえる爆音の正体は直ぐに彼女にも把握出来た。凄まじい規模の爆発が街の中心で起きたのだ。後の世にこの事故は【デイブレイク】と呼ばれることとなり、街一つが廃墟と化す大災害として世間に知れ渡ることとなる。

 

この事故で幹部クラスやその他ロイミュードのコアは砕かれ、生き残ったロイミュードもコアだけとなった。コアとなったロイミュードも、かなりのデータ損傷を被っていたので、復活までかなりの時間を要すると、人工知能は予測した。その期間、約一年。

 

◉ーーーーー

 

[デイブレイクから一年後]

 

氷川紗夜はあの日から鍛錬を続けていた。リサの代わりが務まるような仮面ライダーになれるように。元から努力することは好きな方だった紗夜は、雨の日であろうと風の日であろうと真面目に練習を重ね、みるみるうちに強くなっていった。

 

そんな中、氷川日菜は新型ドライバーとアイテムの開発を進めていた。

持ち前の天才的な発想力と閃きで新型ドライバーは完成間近に迫っていた……

 

 

〈視点 第三者→紗夜〉

 

走り込みの帰り道、私は行き付けのファストフード店へと足を運んでいた。

私の番号札が呼ばれ、アルバイトの店員から持ち帰りの袋が渡された。

二人分のポテトとハンバーガーとケチャップが入っていることを確認し、袋越しにじんわりと伝わる熱を感じながらファストフード店を出る。

外の冷たくなりつつある空気に頬を撫でられる。そろそろ手袋の季節かしら、などと考えていると、私のスマホのバイブがポケットで震えた。ロック画面を顔認証で突破し、トークアプリを起動する。

 

『完成した!』

『HIKAWA♪HINAが写真を送信しました』

『名付けてマッハドライバー炎!』

『早く帰ってきてー!今すぐ!!!』

 

『スタンプを送信しました』

 

私の自慢の双子の妹、氷川日菜。あの子から送られてきた写真には、見たことのない青いドライバーと小さな白いバイクが写っていた。

 

まるで、今井さんが変身するときに使っていたベルトのよう。

遂に完成させたのね。ロイミュードに対抗するもう1つのベルトを......

 

『了解』のスタンプを送信し、スマホを閉じる。私は家まで走ることにした。頑張った日菜には美味しいご飯が必要でしょうしね

 

ついに私が仮面ライダーとなる日が近いのかも知れない。そもそも、ロイミュードが復活しないことが一番なのだけれど。

 

〜〜〜

 

〈視点 ???〉

 

『目が覚めたようですね』

 

男とも女とも判別のつかない、ノイズの掛かった声が聞こえて来る。手足の感覚がある。どうやら復活出来たようだ。

 

『お前達を蘇らせたのは他でもありません。あの仮面ライダーの仲間を始末し、人類滅亡に貢献して見せなさい』

 

俺は弟を人間に殺された。お前に指図されなくても、人類なんざ滅亡させてやるよ……

 

〜〜〜

 

「ただい...」

「おかえりーーーっ!待ってたよーっっ!!」

 

自宅のドアを開けた途端、日菜が飛び込んできた。不測の事態ではあったが、咄嗟にタックル染みた抱擁をかわし、ポテト達の入った袋を守る。

 

「危ないじゃない!?」

「ごめんごめん!それより見てよおねーちゃん!!」

「落ち着いて。ゆっくり夕飯でも食べながら話しましょう?」

 

マッハドライバー炎。とある人工知能が作り上げていた理論を元に、日菜が作り上げていたドライバー。ドライブシステムとは異なる【ネクストシステム】を使ったライダーへと変身することが出来る、と要約すればこんなところでしょうか。実際の説明は日菜語で行われていたので。ポテトを摘んでいた日菜は、何かを閃いたのか、いきなり立ち上がってポーズを取り始めた。

 

「追跡!撲滅!いずれも~マッハ!仮面ライダ〜!マッ……ハ〜!!」

 

「何よそれ」

 

「何って、仮面ライダーマッハの決め台詞だよ!」

 

格好悪くは無いけれど、私の趣味じゃないわ……と、一蹴するのは流石に気が引けたので、適当に相槌をしておく。

 

「なかなかるんッ♪って来る決め台詞だと思ったのにな〜、仕方ない。じゃあもっとカッコいいのを……」

 

日菜がポーズを取っている間に、大皿に出しておいたポテトを数本一気に頬張る。私の頬がリスのように膨らんだ。

 

「あ゛ーッ!ズルい!!」

 

「フフ、早い者勝ちよ。でもあともう一袋……」

 

話を掻き消すようにピーピーピー!!!とけたたましいアラート音が鳴り響く。すると、当たりの時間の流れが遅くなってしまう。

 

「ッ!どんより!!」

「重加速現象...!」

 

腰にシフトカーが装着され、重加速現象から逃れる。日菜が開発したアプリ【どんよりGPS】で重加速の起きた中心を特定する。...そこに、ロイミュードがいる!

 

「...ッ、行きましょう、日菜ッ!」

「うんっ!絶対勝とうね!」

 

重加速の中心へと走り出す。...今は、私しかいないの...だから!止める!

 

 

ーーーーーーー

 

 

「出てこい仮面ライダードライブ!俺の弟の仇ィ!!」

 

商店街の近くで暴れ回っていたのは、いつか今井さんに倒された018の兄的な立場のロイミュード017。倒し損ねていたのね......

 

「おねーちゃん、アイツは確か銃使い...気をつけて!」

「......ええ、行ってくるわね」

 

 

 

私にとって、初めての戦い。...ロイミュードに対抗出来るドライバーは、このドライバーだけ。...決意を胸に、戦場に立つ。

 

「そこまでよ、ロイミュード」

 

「なんだァお前...?ただの人間が重加速の中で動いていられるだと?お前もドライブの仲間か?」

 

「質問は1つずつにしてください。...最も、悪に名乗る名前はありませんが」

 

戦いへの恐怖がないと言ったら嘘になる。でも、今井さんが命を張って守り抜いた日々を、平穏を、守れるとするならば、私は喜んで正義の味方になろう。

 

《マッハドライバー!》

《シグナルバイク!ライダー!》

 

シグナルバイクをマッハドライバーにセット。ド派手な待機音が止まった夜の町に鳴り響く。そして私は、あの言葉を口にする。今より強い私に、妹より優れた私に変身するあの台詞を。

 

「変身...!」

 

《マッハ!!》

 

変身音までド派手だった。これも製作者である日菜の趣味なのかしら?

 

「お前達を倒せるのはただ一人、わt」

 

「追跡!撲滅!いずれもマッハっ!仮面ライダー!!マッ...ハァっ!!」

 

「..日菜、ちょっと静かに!!」

 

ああもう!カッコつけようとなんてしなければよかったわ!!!

 

《ゼンリンシューター!》

 

敵が銃なら、こっちも銃。バイクの前輪を模した銃を呼び出す。さっき見たマニュアルの記憶を頼りに応戦する

 

「なってないなァッ!銃はこうやって使うんだぜェ!!」

 

「ぐぅっ...!」

 

「フン、ドライブの方が数倍強かったぜ?」

 

射撃のプロに、勝てるはずがないか......いや、今度は一か八か!!

 

「闇雲に突っ込んで来ても結果は同じだ!蜂の巣になりな!!」

 

一斉射撃...予想通り!!

 

《ズーット!マッハ!!》

 

加速して銃弾をかわす。懐に潜り込み、ゼンリンシューターで殴り付ける。

 

《ゼンリン!!》

「おおォッ!?」

 

後方に吹き飛ばされていくガンマンロイミュードを逃さず、更に加速を続ける。

 

「畳み掛けます!」

「調子に...乗るなッ!」

 

エネルギーを収束させたチャージショットがゼロ距離で直撃、今度は逆に私が飛ばされる羽目になってしまう。

 

「...そうだ、おねーちゃん!!こっち来て!!」

 

銃弾をかわしながら、物陰に隠れていた日菜の横に滑り込む。日菜から緑色のシグナルバイクを受け取り、ドライバーにセットする。

 

《シグナルバイク!シグナルコウカーン! マガール!!》

 

「.........集中。練習は本番のように、本番は練習のように.........」

 

弓道部の練習で精神統一は慣れている。大丈夫、私なら出来ると自分に言い聞かせ、トリガーを引くタイミングを見計らう。

 

「今ッ!」

 

《キュウニ!マガール!!》

 

「ぬぐォッ!?」

 

変則的に動く弾丸が見事にガンマンロイミュードに直撃。怯んだ隙にシグナルマッハに入れ替え、必殺技を発動させる。

 

《ヒッサツ!》

 

「はあぁぁぁぁぁッ!!!」

 

《フルスロットル!マッハ!!》

 

「ぬぐぁぁぁぁ!!!???」

 

ゼンリンシューターを投げ出し、持てる力全てを乗せたキックを繰り出す。ガードもロクに取れなかったガンマンロイミュードは爆発。ボディは壊れ、コアだけがふよふよと逃げようとする。

 

「逃さないもんね〜!」

 

日菜は017のコアにゼンリンシューターで止めを刺す。コアは爆散し、重加速も収まった。

 

 

バイザーを開いて余剰エネルギーを排出する。シグナルバイクを抜き取って変身を解除した。緊張と疲労で倒れそうになったところを、日菜が肩を貸してくれた。

 

「...勝て、たの...?」

「うん、うんっ!勝てたんだよ!ロイミュードに!初戦で!しかも上級!」

 

...実感もわかないし、さっきまで変身していたことも、まるで夢のよう。

それでも、倒した。誰かの日常を守れた。それが、堪らなく嬉しかった。

 

 

誰にも言ってはいないが、私は妹より劣っている。才能もなければ先程のように閃きもない。...しかし、努力だけは裏切らない。そう信じてここまでやってきたのだから。使いこなしてみせます。見ていてください、今井さん。

 




 決意を胸に、少女は夜を突き進む。


マッハ所持アイテム

・マッハドライバー炎
・ゼンリンシューター

・シグナルマッハ
・シグナルマガール
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