そんなモニカのメンバーが出る…かも知れない二話をどうぞ!
[12年前]
《スピ!スピ!スピード!》
「名乗る必要はない。これから倒す相手に」
降り頻る夜の雨が降らずに空中に留まっている。怪人ーーーロイミュードが引き起こす重加速と呼ばれる現象だ。そんな凍りつく時間の中、黒の戦士が一体のロイミュードと戦っていた。
戦士は拳を突き出す。限界を迎えたロイミュードのボディは消滅し、005のコアが宙を漂う。
「…やはり破壊までは至らない、か」
戦士は無感情な声色で呟くと、005の肉体を形成していたバットバイラルコアを拾い上げた。そのまま左腕のシフトブレスにバイラルコアを装填する。
「グローバルフリーズ…それがロイミュードの目的か。……何?」
データを収集していくうちに、驚くべき内容が戦士の脳に流れ込んだ。
「……人類、滅亡…?ヒューマギアによる聖戦…もっと調べる必要がある…」
時期に重加速も収まる。騒ぎになるのは控えておきたい。戦士は変身を解除し、素顔を露わにする。
コピー元の少女と同じ、猫耳のような髪型の少女が現れる。さっきまで苛烈なパンチを繰り出していた戦士と全く結びつかせない程可憐な容姿だった。
ーーーーー
黒い戦士、“ドライブ”の秘密基地はとある珈琲店の地下に存在していた。ここの存在はドライブのバディであるクリム・スタインベルトとドライブ本人、そして協力者である珈琲店の店長のみが知っている。
睡眠を必要としないドライブはデスクのパソコンに向かうと、パチパチとキーボードを操作し始めた。
ベルトに意識を写す前、クリム・スタインベルトは“飛電インテリジェンス”という企業で人工知能の研究をしていた。
その際に研究仲間であり親友の“蛮野天十郎”が人工知能に悪意を植え付け、出来上がったのが今のロイミュードである。
蛮野はロイミュードに反逆されて絶命。クリムも殺されかけたが、ベルトに意識を移して生き長らえている状態となった。
飛電インテリジェンスの社長はクリムの意識が移ったドライバーと、唯一悪意を植え付けられなかったロイミュードのプロトタイプの素体に目をつけた。それで生まれたのが今のドライブである。
そして、クリムは飛電からとあるデータを受け取っていた。それこそが……
『……調子はどうかな。香澄』
「それは亡くなった私のコピー元の名前。私はアナタの娘、香澄じゃない」
クリムは「はぁ…」と溜息のような声を出した。対する香澄は表情を一つも変えずにタイピングを続けている。
「……重加速が来る。行くよ」
『なんだって?まだ何も起きて……』
そう香澄が呟いた約5秒後に当たりの空気がどんよりと重くなり始める。香澄の体に搭載されている“コア・ドライビア”の力で重加速の影響を打ち消し、反応がある方へと走り出した。
ーーーーー
負けた。完膚無きまでに。地を這い蹲ることしか出来ない香澄を、バッファローのような姿に進化したロイミュード、“ハート”は抱え上げた。
「クリム、お前の人形は俺が預かる。俺達の同胞になってもらう」
『よせ!彼女に手を出すな!』
「そんな姿で俺には勝てん。…さらばだ」
『待てッ!ハートッ!…香澄ッ!!!」
◉ーーーーー
[1年後]
「……ハッ!?あっいだっ!?」
ガバっ!っと机に突っ伏した状態から跳ね起きるとその上の物にぶち当たり、痛みで思わず間抜けな声が出る。ロボットなのに嫌な夢でも見たかのような気分だ。
「もうこんな時間か。約束に、遅れたくはない…」
机の上のアイテムをカバンに仕舞い込み、私は“ヒューマギア”としての役割を果たすためにある場所へと向かった。
〜〜〜
[視点:香澄→語り手]
紗夜や日菜が元々通っていた高校はデイブレイクによって消し飛んでしまっていた。デイブレイクの事故で友達を失った生徒も少なくない。
今の2人は二つの高校を併合してできた【羽咲丘女子学園】に在学中だ。
新たなクラスメイトとの生活も馴染み、学園は日常を取り戻し始めていた。先生達の尽力で修学旅行にはなんとか例年通り行けるそうだ。
「また難しい顔してますね、紗夜先輩」
「羽沢さん…いえ。少し考え事を」
紗夜はここ最近、練習帰りに寄っている店があった。【羽沢珈琲店】という彼女の後輩、羽沢つぐみの家族が経営する喫茶店だ。
この店の看板娘であるつぐみと常連客である紗夜は、最近なにかと話すことが多くなっていた。
「あんな事故があったばっかりで…心穏やかじゃない…ですよね」
「羽沢さんも…辛いですよね。あお…」
「…紗夜さん」
笑顔だったつぐみの表情が曇る。それを察した紗夜はすぐに頭を下げた。
「すみません。配慮に欠ける発言でした…」
「い、いえ……私、品出しして来ますねっ!」
気を遣わせないようにつぐみが店の奥に行ったその時だった。あたりの空気がどんよりと淀んだのは。
紗夜はいち早く重加速に気が付き、頼んでいたコーヒーとサンドイッチの代金を机の上に置き、店を後にした。
(……今は雑念は捨てて、ロイミュードを倒さないと…!)
ーーーーー
その少し前、香澄は自分が世話をしている白髪の女の子と一緒に公園に来ていた。
「かっこいいおと…」
優しく微笑みながら、星のような赤いギターを奏でる。コピー元だったクリムの娘の形見、と香澄は聞かされていた。
「ロボットのねえちゃん!もう1きょくやってよ!」
「おれも!」「どはでなきょくもききたい!」「さいごのぎゅいーんってとめるの、もっかいやって!」
気が付けば香澄の周りには公園中の子供達がわらわらと集まって来ていた。わかったわかった、と子供達の言葉を流しながらギターのペグを回しチューニングを整えていると、どこからか不審な男が現れ、こちらに近付いて来た。
男の姿がぐにゃりと変わり、胸に089と刻まれたロイミュードへと変貌した。
「俺は…子供達の悲鳴が…聴きたいなァ?」
「……ッ!?」
重加速が発動し、その場にいた全員の動きがどんよりと鈍くなる。
「まずはァ…この白いガキから…」
089が手を伸ばしたのは香澄が面倒を見ている女の子だ。香澄は重加速の中、鋭い眼光を089に向けた。すると、銀色の三台のミニカーのような物体がどこからともなく現れ、089を撹乱した。そのうちの一台は香澄の腰のホルスターに挿さり、香澄は重加速から解放された。
「…これ、持っててね。大切なものだから」
隣に座っていた白髪の少女の膝に星のようなギターを置いた。香澄のコピー元の大切なものだ。傷付けたくはない。
「何ィ…!?何故人間が【バイラルコア】を使えている!?」
香澄の使役する銀色のミニカー、【チェイサーバイラルコア】は089を子供達から遠ざけていく。089に弾き飛ばされた二台のバイラルコアは先程と同様に腰のホルスターに入った。
「私は人間じゃないから。…子供に手を出そうとしていたけど、これが初犯じゃないよね」
冷えた口調と凍えるような目で089を睨み付ける。だが089は怯まない。
「ああそうさ。多くの子供達の魂のお陰で…こんなのが出来上がっちまったよ……」
《エンジェル…!》
089が取り出したのは、血のような赤に染まったアイテム【スパイダーバイラルライズキー】。TYPE:ANGEL099と書かれたキーを起動し、腰に巻いた銀色のデバイスに装填した。
《バイラルライズ…!エンジェル・ロイミュード……!》
天使の羽のような武装が089の背中から生える。香澄は鉄のような顔を崩さず、銀と赤のバックルを腰に装着した。
《サイクロンライザー!》
「何者だ、お前」
《KAMEN RIDER!》
「名乗る必要はない。これから倒す相手に」
バッタの絶滅種【ロッキートビバッタ】のデータが内包されたティールブルーのキー【ロッキングホッパーゼツメライズキー】を銀と赤のバックル【サイクロンライザー】にセット。
黒いバッタが出現し、香澄の周りをどしん、どしん、と飛び跳ねる。
「変身」
待機音声が鳴り響き、レバーを引く。
香澄の姿が黒煙に包まれ、重なったバッタを突き破る。赤き稲妻と共に香澄を仮面ライダーへと変えた!
《ロッキングホッパー!!》
深藍色のアーマー、襟の赤いサイクレッドマフラーが特徴的な仮面ライダーへと変身した。
ぎゅっと拳を握り締め089と改めて対峙する。
「子供の夢を守るのが、私の使命。それが私の仮面ライダー、1型だ!」
バイラルライズキーや学園の情報は次話の投稿後、設定に追加します。
ちなみに時系列ですが
今回の香澄プロトドライブの戦闘は一話のデイブレイク事件より前
1型やマッハはデイブレイクの一年後の話になっています。冒頭のシーンは……まだ秘密です。
そしてすべての始まりの日、13年前の話は過去編として出そうかと思っています。
最後になりますが、ジーク・フリューゲルさん、無限の槍製さん、希望光さん、眠らない聖剣さん、ヴァンヴァさん、恋文さん、その他2人、お気に入り登録ありがとうございます!!!!!!
私と話したい物好きな人はTwitterで @kisekisouzou と検索してくださいね。バンドリ×ライダーについて隣のDMで一晩語り明かそう……
それでは次回もお楽しみに!