ありふれない騎士団で世界最強・リメイク 作:ムリエル・オルタ
最近はFGOのイベントとグラブルでの周回とやる事が目白押しです。忙しい忙しい。
オルクス攻略はハジメの死(仮定だが限りなく確定に近い)によって多くのクラスメイト達の心に深い傷を負わせ、半数以上を戦いから遠ざけさせた。明確な死を間近で感じたのだからしょうがない気もするが。
そんな彼らを王都に置いてヴィルヘルム達はオルクスに来ていた。理由は残った戦う覚悟のある者達のレベルを上げる事。人数が減り量の戦闘が出来なくなり質に切り替えただけの話だった。
そんな中ヴィルヘルムは気味が悪い程に機嫌がよかった。この迷宮攻略と帝国からの使者との謁見が終われば晴れて自由の身。そう思うとヴィルヘルムは嬉しくて仕方がなかった。心なしか、魔物の肉片が散弾の様に地面にめり込んでいる気もする。嬉しさの余りに加減が出来ていないようだった。ヴィルヘルムは目についた魔物は即座に倒すためそこから漏れた魔物のみ倒すので光輝達は不満そうであったがヴィルヘルムの気にする事ではなかった。
血濡れの拳を振り上げ魔物を殺しつくすその姿は正に悪鬼。そんな姿にクラスメイト達は戦慄し、恐怖した。そして、周りから恐れられているヴィルヘルムを見て心配する少女。ヴィルヘルムを見ながらこれからの事に笑みを浮かばす少女。その力が自身にあったらと苛立つ少年。こちらにその拳が来るのではないかと恐れる少年。それぞれの思惑や恐怖、苛立ち等の感情が混ざり合いその場は混沌としていた。
そしてそんなオルクス攻略も六日目となった。日に日に機嫌が良くなっていき魔物のスプラッタシーンも増え始めた頃、ヴィルヘルムを除くクラスメイト達の足を止めさせていた。原因はここが六十層であり、あの事故が起こった場所だからだろう。クラスメイト達の顔はみな同様に暗い。ヴィルヘルムは一人凶悪な笑みを浮かべながら橋を渡っているがそれにすら誰も何も言わない。ヴィルヘルムに気を割けるほど心に余裕が無いのだ。何とも言えない感情を浮かべながら谷底を見ているクラスメイトや足が震えているクラスメイトの姿が見える。
あの月夜の日にハジメを守るそう言ったにもかかわらず守れず、目の前で失った香織。それでも、逃避でも否定でもなく、自らの納得のため前へ進もうとする香織に、雫は親友として誇らしい気持ちで一杯だった。因みに、香織はハジメの生存を信じていた。理由は、…………………今は良いだろう。
だが、そんな空気を読まないのが勇者クオリティー。光輝の目には、眼下を見つめる香織の姿が、ハジメの死を思い出し嘆いているように映った。クラスメイトの死に、優しい香織は今も苦しんでいるのだと結論づけた。故に、思い込みというフィルターがかかり、谷底を見つめ目線を上げる香織の姿も無理しているようにしか見えない。
そして、香織がハジメが死んだなどと露程にも思っていない事を知らない光輝は、度々、香織にズレた慰めの言葉をかけてしまうのだ。そしてその言葉はヴィルヘルムを苛立たせる。
「香織……君の優しいところ俺は好きだ。でも、クラスメイトの死に、何時までも囚われていちゃいけない! 前へ進むんだ。きっと、南雲もそれを望んでる」
「ちょっと、光輝……」
「雫は黙っていてくれ! 例え厳しくても、幼馴染である俺が言わないといけないんだ。……香織、大丈夫だ。俺が傍にいる。俺は死んだりしない。もう誰も死なせはしない。香織を悲しませたりしないと約束するよ」
「はぁ~、何時もの暴走ね……香織……」
「あはは、大丈夫だよ、雫ちゃん。……えっと、光輝くんも言いたいことは分かったから大丈夫だよ」
「そうか、わかってくれたか!」
嬉しそうな光輝。その姿に苛立ったように舌打ちするヴィルヘルム。勝手に死人の思いを代弁する様な事は許されない。言いたい事は分かるが持論を他人に押し付けるな。そう思いながらヴィルヘルムは光輝の声が聞こえないように出来るだけ前に向かった。
後方では長い付き合い故に、光輝の思考パターンを何となく分かってしまう香織は、だからこそ何も言わず合わせるのだった。
ちなみに、完全に口説いているようにしか思えないセリフだが、本人は至って真面目に下心なく語っている。光輝の言動に慣れてしまっている雫と香織は普通にスルーしているが、他の女子生徒なら甘いマスクや雰囲気と相まって一発で落ちているだろう。
普通、イケメンで性格もよく文武両道とくれば、その幼馴染の女の子は惚れていそうなものだが、雫は小さい頃から実家の道場で大人の門下生と接していたこと、厳格な父親の影響、そして天性の洞察力で光輝の欠点とも言うべき正義感に気がついていたことから、それに振り回される事も多く幼馴染として以上の感情は抱いていなかった。その感情は
一行は特に問題もなく、遂に歴代最高到達階層である六十五層にたどり着いた。
「気を引き締めろ! ここのマップは不完全だ。何が起こるかわからんからな!」
付き添いのメルドの声が響く。光輝達は表情を引き締め未知の領域に足を踏み入れた。しばらく進んでいると、大きな広間に出た。何となく嫌な予感がする一同。
その予感は的中した。広間に侵入すると同時に、部屋の中央に魔法陣が浮かび上がったのだ。赤黒い脈動する直径十メートル程の魔法陣。それは、とても見覚えのある魔法陣だった。
「ま、まさか……アイツなのか!?」
光輝が額に冷や汗を浮かべながら叫ぶ。他のメンバーの表情にも緊張の色がはっきりと浮かんでいた。ヴィルヘルムは笑みを浮かべながら前に出た。
「マジかよ、アイツは死んだんじゃなかったのかよ!」
龍太郎も驚愕をあらわにして叫ぶ。それに応えたのは、険しい表情をしながらも冷静な声音のメルド団長だ。
「迷宮の魔物の発生原因は解明されていない。一度倒した魔物と何度も遭遇することも普通にある。気を引き締めろ! 退路の確保を忘れるな!」
いざと言う時、確実に逃げられるように、まず退路の確保を優先する指示を出すメルド。それに部下が即座に従う。だが、光輝がそれに不満そうに言葉を返した。
「メルドさん。俺達はもうあの時の俺達じゃありません。何倍も強くなったんだ! もう負けはしない! 必ず勝ってみせます!」
「へっ、その通りだぜ。何時までも負けっぱなしは性に合わねぇ。ここらでリベンジマッチだ!」
「テメェらはアイツは俺の獲物だ。俺が仕留める」
そう言って戦おうとした瞬間二人はヴィルヘルムによって止められた。二人はヴィルヘルムの言葉に驚き片方はヴィルヘルムの言葉に眉を顰め、もう片方は不機嫌になった。ヴィルヘルムはそんな二人の事なんぞ気にする気もないのかそのまま前に歩み出ながらメルドに一言言った。
「全力で防御でもしとけ、間違えて殺したら流石にワリィからな」
「は?いや、確かにヴィルヘルムの攻撃力だと何となく分かるが?それ程か?」
メルドは疑問に思ったが取り合えず、嫌な予感がしたので部下に命じ防御魔法の聖絶をいつでも発動できるようにしておいた。こうしてこうしてヴィルヘルム対ベヒモスの戦いが始まった。
「オラァッ!」
「ググウウウウウウウウウウ!?!?!?」
初手はヴィルヘルム。素早く懐に潜り、その腕から放たれた正拳突きは正確にベヒモスの首を捉えた。しかし、身長差の所為か深く当たっておらずそこまでのダメージを与えられていなかった。それを見てヴィルヘルムは舌打ちし、後方にバックステップで下がる。現状あまり手札を見せたくないヴィルヘルムはほかの姿に成ることが出来ない。故に肉弾戦を仕掛けたいがこの体での大型魔物との戦いは縛りがきつ過ぎる。故に、ヴィルヘルムは自身の切り札の一つを切ることにした。
足に力を籠め、ベヒモスに接近する。ベヒモスもその動きに反応して頭部の角で攻撃しようとしてくる。それを横にステップすることで避け、そのままの勢いでベヒモスに向かってジャンプしベヒモスの頭の側面に向かって蹴りを叩き込む。昏倒したのかそのまま動かなくなるベヒモス。後方でクラスメイト達が感嘆の声を上げるがヴィルヘルムはそんな事なぞ気にしない。
「この世界の化け物がどれだけ耐えれるか………。まずはテメェで試してやるよ!」
そう言いながら制服のネクタイを緩めるヴィルヘルム。その姿、その発言にクラスメイトもメルドも首を傾げた。そして、ヴィルヘルムはある詠唱を始めた。
「
ヴィルヘルムの詠唱が終わると共に洞窟の中は一層暗くなり、体感温度も心なしか下がった気もした。そして、彼らを驚かせたのはヴィルヘルムの体や地面から生える無数の赤い棘だった。
「エーレンブルク君!?」
香織の驚きと悲痛が混ざった声が洞窟内に響く。その声はヴィルヘルムに届いていなかった。そして、ヴィルヘルムのテンションは過去最高になりつつあった。熱く、そして冷たくヴィルヘルムは告げる。
「テメェの血も魂も全部俺に寄こせ。俺は腹が減ってんだよ」
「グバァゥッッッッッッッッッッ!?!?」
そう告げた瞬間ベヒモスの体を無数の棘が貫いた。最初は暴れていたベヒモスだが段々と動きがぎこちなくなり最後には動かなくなった。ベヒモスに刺さった棘から滴り落ちる血は棘に吸い込まれていく。そして数分経つと棘も消え去り突き上げられていたベヒモスの巨大重力に従い落下する。
ベヒモスの体が落ちたことによって起きた煙の中からヴィルヘルムが出てくる。その見た目は服は穴だらけになっておりその穴からヴィルヘルムの白い肌が見え隠れしている。その姿はこんな迷宮の中であり先ほどまで魔物を一方的に殺していた事を抜きにすれば酷く扇情的であった。場所とか色々抜きにすればだが…。
そんなヴィルヘルムの姿を確認した香織はすぐに駆け寄り体中隈なく怪我が無いか探し出した。そしてそんな香織の姿を認識してメルド達はやっと動き出した。そして口々にヴィルヘルムに質問した。それに対してのヴィルヘルムの答えは一つ、『オリジナル魔法』とそれだけだった。光輝達は取り合えず納得したがメルド達は納得できず、首を傾げてばかりだった。
メルドは先ほどの魔法(?)の威力を見てアレが王国全体に普及すれば魔人族にも勝てるかもしれないと思い、ヴィルヘルムに聞こうとしたがもしかしたらアレを此方に向けてくるかもしれないと思うと迂闊に行動できなかった。
こうして、王国側からは異端又は危険かもしれないという認識を与えられ、クラスメイトからは畏怖を受けたヴィルヘルムはそんな事知らぬとばかりに気持ちよく鼻歌を歌いながら迷宮を歩いていた。
正直、此処に関してはそこまでの手直しをしていません。ちょっと、文章プラスしたり、文章の段落を編集した程度です。