ありふれない騎士団で世界最強・リメイク 作:ムリエル・オルタ
steamでゲームかったりして、引きこもる準備をしようと思っています。引きこもりませんけど。
「じゃ、俺は行くわ」
「はい?」
一部の生徒はハジメの死によって引きこもっている為少なくなったクラスメイト達との食事の際にヴィルヘルムはそう口を開いた。
三日に及ぶ帝国との会議も終わり、クラスメイト達が和気藹々としている所に突如として落とされた一つの爆弾。皆手を止め、口を止め、一様に顔に「何故?」と書かれている。
「俺は俺でやるつもりなんでな。テメェらと一緒に居れば何時背後から撃たれるか分かったもんじゃねぇ」
「ッンだと、オラ!」
「お、おい、檜山!」
ヴィルヘルムの放った言葉に憤ったクラスメイトの一人である檜山が光輝の言葉を無視してヴィルヘルムとの距離を詰め、襟首を掴もうとする。が、それより先にヴィルヘルムによって首を掴まれ中吊りになった。
「どうした?まさか、テメェが俺に撃ってきたのか?」
「ガッ!?……違ッ…………俺じゃ……」
それを目にして周りも目を剥く。一部女子は短く悲鳴を上げる。それを一瞥しながらヴィルヘルムは檜山を投げ捨てる。投げ捨てられた拍子に背中を強くぶつけその場で咳込みながら蹲る檜山。それを一瞥もせずにどこかへ向かおうとしているヴィルヘルムに光輝が待ったをかけた。
「まっ、
「エーレンブルク、なんで檜山に暴力を振ったんだ!」
「あ?そりゃ、俺がやるより先にアッチがその気になったからだろ?」
何がおかしい?とでも言いたげなヴィルヘルムの態度に光輝はさらに機嫌が悪くなる。
「君は何でそんな穿った見方しかできないんだ!仲間だろう!」
「はぁ?少なくとも俺は背後からFFしてくる奴を仲間と認識した事ぁねぇぞ」
それだけ言うとヴィルヘルムは光輝の制止の声も聞かずその場を後にした。残ったのは、返り討ちにされ未だに復活できていない檜山と機嫌の悪い光輝。困惑気味の女子たちだった。愛子先生は護衛の騎士と少数の生徒を引き連れ村々を回っている。愛子先生が居れば何か変わったかもしれないが、所詮はたらればの話である。
クラスメイト達が驚きに固まっている中、ヴィルヘルムはそのままリリアーナと国王に後の事を頼み、王城を後にした。城下町で買い物をして、片手で買った物が入っている茶色い紙袋を持ち残った片手でこの世界でのリンゴモドキをかじりながら歩くヴィルヘルム。ドイツ軍の軍服もあって馴染んでいるのか目立っているのか判断し辛いところがあった。
ゆったりと城下町を歩き、外へ向かうヴィルヘルム。それを追う二つの物影、それは人混みから飛び出し、ヴィルヘルムの行く手を阻んだ。
「ねぇ、ちゃんと説明してくれるかしら?」
「そうだよ!いきなり、抜けられても困るよ!」
それは香織と雫だった。二人は困惑したような顔をしながら追求してきた。それにヴィルヘルムは溜息を吐きながら二人を見返す。行動力の塊の様な香織と付き添う雫は誰よりも早く回復して追いかけてくることはヴィルヘルムは何となく察していた。
「さっきも言っただろうが、背後から隙あらば命を狙ってくる。そんな奴が居る場所にいつまでも居るなんて精神異常者くらいだろうがよ。俺はごめんだね。それに、あの勇者とも気が合わねぇしな」
「だったら、私も…」
「テメェらが抜けたら本格的にこの異世界で死人が出んぞ。テメェらはあの勇者やら南谷らのストッパーになるのが今の最善だろ」
そう言ってヴィルヘルムは話すことは無いとでも言うように香織と雫の間をすり抜け人混みに紛れていった。最も、身長が高く服装も特徴的なため結構目立つのだが。
その後姿を二人は何も言うことが出来ず、立ち竦むしかなかった。ヴィルヘルムもある程度歩いてしまった為、既に見えなくなってしまった。そこで香織がつぶやいた。
「絶対追い付いて見せるわ…ねぇ、香織。手伝ってくれる?」
「もちろんだよ!雫ちゃん、私もハジメ君を助けに行かないといけないからね!」
雫の決意を宿した目を見つめ返しながら香織は力こぶを作って微笑みかける。それぞれの、想い人の為に願いの為に。決意を新たにした二人は、そのまま王城へと帰って行った。
香織と雫は決意を胸に王城に戻り、これまでより訓練に打ち込むようになった。その際、光輝がよく分からないご都合解釈を行い見事に株を暴落させたが、割愛しよう。
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王都を囲む壁を守る衛兵にステータスプレートを見せ、そのまま外に出る。そしてある程度歩いた所でヴィルヘルムは足を止め、振り返る。そこには眼鏡とショートボブが特徴の中村恵里だった。
「テメェ………ンで着いてきやがる?」
「えっと、ね?その、王様に言われたから………」
戸惑いながらそう言う恵里にヴィルヘルムは鼻で笑い、睨みつける。
「そりゃダウト………だな。大方、誰にも言わずに着いてきたんだろ?それに、その気持ち悪りぃ喋り方で話すんじゃねぇ腐臭がしやがる」
「…………………腐臭だなんて酷いなぁ。ボクだって乙女なんだから、そんな酷いこと言われると傷つくよ」
ヴィルヘルムの言葉に自分自身で抱きしめながら答える恵里。その顔は恍惚としておりどことなく漂う変態臭にヴィルヘルムは頬を引きつらせる。そんなヴィルヘルムをお構いなしに恵里は喋る。
「まぁ、陳腐な嘘だしバレるよね。まっ、どうでもいいよ。ボクはヴィルに着いていくよ。拒否権とかないから。それに、もし置いていったらヴィルの名前で色々ある事ない事喋っちゃうかもしれないしね~?」
「さらっと脅すんじゃねぇよ。……………殺しても良いが、面倒だし来んなら来いよ」
ヴィルと愛称で呼ばれたことやサラッと脅してくる恵里に指摘する事すら面倒になったのかヴィルヘルムは諦める事にした。別に殺しても良いが、どこで誰が見ているか分からない現状で下手な手は打てず、断念することになった。
ヴィルヘルムが諦めた事を察したのか恵里は嬉しそうにヴィルヘルムの横に並び、歩き出す。ヴィルヘルムはそれを面倒くさそうに見ながら王都を後にした。この時、ヴィルヘルムの中ではヘルガが大絶叫していたのは蛇足となる。
ヴィルヘルムと恵里はその後オルクス大迷宮のあるホルエドへと向かうと、その日は宿を取り寝ることにした。部屋を二つ取るか一つ取るかでしょうもない良い争いが起きたが、他では特に問題なく進んだ。因みに、別々に部屋を取る事が出来ている。
ヴィルヘルムはこれからの事を考える。まずは恵里を自分ほどではなくとも、勇者である光輝を圧倒できる程度には強くすること。それには、最悪
計画という割には余りにも粗が多く、拙いものだが視線の正体も分かってない以上下手に動けないのが問題だ。ヴィルヘルムとしても、ここは慎重に期するのが最善だと判断したのだろう。それとも、そうする事で、未知を味わおうとしているのかもしれないが。
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時間は遡り、場所は王都になる。ヴィルヘルムと別れた香織と雫は次に会った時こそ着いて行こうと二人で話し合いながら王城に帰ってきていた。するとそこでは慌ただしく走り回っている侍女や騎士達の姿があった。皆一様に焦っているような表情であたりを見回している。
香織と雫は顔を見合わせ、近くに居た侍女に話しかける事にした。
「あの、どうかしたんですか?」
「えっ!?あぁ、使徒様。えぇと、中村様の姿が見えず部屋に行くと『エーレンベルク君と旅に出ます』と書かれていまして、まだそう遠くに行ってないと思われるのでこうやって探しているのです」
そう言って「失礼します」と頭を下げ、侍女は何処かへ行ってしまった。それを見送りながら香織は「その手があったかぁ…」と呟いた。無理やり着いて行く。その方法もあったのに、躊躇してしまった自分に対してか、
雫の目からハイライトさんが出張していたからである。下手すると単身赴任の可能性があるが、それは香織の精神衛生上何としても阻止しなくてはいけないが、今はそれどころではない。
「し、雫ちゃん?」
「何かしら?香織」
「ヒエッ」
振り向いた雫はそれはもう万遍の笑みだった。10人が見れば10人が頬を赤く染めるであろう程の笑み。まぁ、ハイライトがゴッソリ消え去った目を見なければの話だが。いや既に、ハイライト以前に目がドロドロと濁っている。生まれてくる物語を間違えたのではないかと言わんばかりに濁っている。ついでに、スタンドの如く背後で修羅の幻影が刀を整備している様に見える。香織は泣きたくなった。もう幼児化して泣きわめきたかったが、此処でそんな事したら戻ってきた時意中の相手であるハジメにどんな目で見られてしまうのか恐ろしくて出来もしない。
どっかの黒い聖杯の人の様に黒い触手を出して辺りをぶち壊すんじゃないかと言うほどの瘴気を撒き散らし始めた雫に香織が決死の覚悟でどうにか落ち着かせようとしたその時、香織の背後から聞き覚えのある事が聞こえた。そして同時に、自分と雫の運の無さをこの世界の神であるエヒトに呪いたくなった。
「香織に雫、こんな所で何をしているんだ?あ、そういえば中村の事見なかったか?騎士の人達も探してるし、人に迷惑かけるなんて…………」
二人の前に現れたのは我らが勇者である光輝だった。挨拶もそこまでに、そう言って何処か呆れと怒りを滲ませる光輝は目の前が見えていなかったのだろうか。既にヴァイブレーション化し顔から冷や汗を滝の様に流している香織と
「エーレンベルクも勝手に出てくし、仲間の事を何だと思っているんだ!あんな奴が強いなんて俺は絶対に認めない。紛い物の力に俺たちは負ける訳がない!香織と雫も、俺と一緒に頑張っていこうな!」
「ソウネ」
「う、うん」
心の中で「今すぐ何処かへ行って!」と光輝に叫ぶ香織。心の中で絶叫しているので光輝に伝わる筈もなく、光輝はそれはもう眩しい程の笑顔を香織達に向ける。大惨事大戦でも起こるのではないかと戦々恐々している香織の方に雫は手をかける。ビクッと肩をはねさせた香織は恐る恐る雫の顔を見る。そこには、光輝とは別の意味で
「し、雫ちゃん?」
「なぁに、香織?別に怒ってなんかないわ?ただ、少しばかりね?エーレンベルク君が帰って来るまでに強くなっておかないといけない気がするのよね?」
「そ、そうね」
どうしてこうなった。そう言いたげな香織の顔を不思議そうな目で見る光輝。香織は既に色々放棄してこの場から逃げ出したくなった。本来、その立場は自分じゃないかなぁ…。と気を紛らわすように
その後、予定調和の様に再会の際にも一悶着あるのだがそれはまた別の話。
前回と違い、香織の立ち位置を雫に変え台詞の変更や小さい部分の変更などをしました。こういった、変更がこれからどういった部分に影響を与えるか楽しみにしていてください。