ありふれない騎士団で世界最強・リメイク 作:ムリエル・オルタ
あ、緑のクローバーを付けたサイコパスって良くないですか?
それは戦いと言うには余りにも一方的であり、戯れと言うには余りにも過激だった。周辺は焼け焦げ、凍り付き、獣の死骸が其処ら彼処に散らばっている。その跡を辿れば、そこには魔槍を操るラインハルトに追いつめられるエヒトの姿があった。
「何故我が押される!?我は神!全知全能たる神だぞ!?」
「卿の狭い世界で世界を語るな」
炎、氷、土、風。あらゆる魔法がラインハルトに向かって放たれる。しかしそれは、到達するより先に軽く振られた槍によってかき消され砕かれる。ラインハルトの魂に干渉しようものなら、術式すらまともに作用しない。エヒトの行使する力は、ラインハルトの前では余りにも無力だった。
「何故効かぬ!?我は神!全知全能たるこの世界を治めし神ぞ!」
「ふむ、そう言われても困るな。卿の実力不足としか、私は言うことが出来ん」
そう言いながら肩を竦めるラインハルト。彼の手に握られた聖槍は未だ穂先は下に向けられ、攻撃を叩き落とす以外での使われ方をしていない。使えば直ぐに倒してしまえるから。そんな理由で聖槍は振るわれない。それを察したエヒトは屈辱の余りに愚行を犯した。それは、攻撃の手を緩め距離を取る事だった。
「そちらから来ないというなら、少しは攻撃しようではないか。精々私を楽しませてくれ」
「えぇい!不敬である!」
ラインハルトの言葉にエヒトは激昂し、攻撃を再度行おうとするが彼はその隙を逃す事無くエヒトへと接近する。その速度は誰よりも早く、誰も追いつけない宇宙速度での瞬時の移動は神域の環境を荒廃させ、見るも無残な姿へと変える。
「何故効かぬ!?何故倒れぬ!我が神で貴様は矮小な人間であろう!?」
「自己の乏しい物差しで人を図ろうとするからそうなるのだ。だが、それすら
子供の癇癪ともとれるエヒトの叫びにラインハルトは冷笑を浮かべながら答える。それすらエヒトを怒らすのに十分であり、エヒトは自ら作り上げた真神の使徒を多数呼び出し、ラインハルトへと差し向ける。
「奴を、奴を殺せ!奴は神敵である!」
「………………!」
「ふむ、神敵か。面白い、その
エヒトとラインハルトの間に肉壁の様に立ちふさがった真神の使徒は彼が告げた通り、全く持って無力だった。聖槍を振られれば消し飛ばされ、魔法を使おうとした瞬間貫かれる。その光景は
数分も経たない内にラインハルトとエヒトの間に居た真神の使徒は一人残らず彼の手で殺され、糧となった。その光景を見ている間にエヒトは新たな魔法を構築したのか、ラインハルトに対して巨大な有機物の塊を投げつけた。
それは即席で作られた真神の使徒モドキであり、ただ敵と認識した者を捕食することに特化したモノだった。それ故に恐怖を抱かず、ただ敵を捕食しようと大きく広げられた口で飲み込もうとする。そして飲み込もうとした瞬間、その巨大な図体に穴が開いた。
空いた穴から見えるのは特に構えもせず聖槍を前へ突き出したラインハルトの姿だった。その姿から察するに、その人外じみた(実際に人ではない)身体能力で突き出された聖槍はその能力も加味され、暫定神の使徒をいとも容易く貫いた。
そして、その壁を消し飛ばされれば残るは
「最後に何かいう事はあるか?」
「ハッ、貴様は確かに強い。だが、貴様の強さは我より歪であり壊れている。貴様が人間である限り誰にも受け入れられる事等無いと思え」
「…………知れた事。私の愛は破壊だ。とうに、真っ当な愛など抱いておらぬよ」
その言葉と同時にエヒトに向かって聖槍は突き刺され、その魂の質量、技術、記憶はラインハルトの糧となった。
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その頃、蓮によって助け出された恵里は蓮から様々な事を聞かれ、それを素直に話していた。この世界の事、此処には知り合いに連れて来られただけなので分からないと。その知り合いもよく分からない光る物体を追ってしまって今いないとも。
「成程、いや。その行動力と俺が
「分離?何の話…ですか?」
一応見知らぬ相手なので猫を被っている恵里。それを一瞥して蓮はそのままもう一度何かを考え始めた。ボソボソと「記憶が………」や「精神……上………」と部分部分は聞き取れるものの詳細は全く聞こえない。
そこで、恵里は思い切って聞いてみる事にした。
「な、なんでこんな場所に居るんですか?」
「ん?いや、俺にもよく分からないんだよ。そこに居ない筈なのに、そこに居た。擦れ果てた願いを抱いたまま眠っていた筈なんだけどなぁ。どういう訳か、思い出してるし。肝心の方法は別になってるし……」
独白に近くなり始めた蓮の言葉に恵里は余計に混乱する。恵里はこの前まで二面性が特徴の腹黒いただの高校生だった。最初から全てが出来る天才肌でもない、日常を愛し壊すものに容赦ない訳でもない、生贄として再生し続ける訳でも無い、想い人の為に手を血濡れにした訳でもない、願いの為にそれ以外全てを犠牲にする覚悟をしている訳でも無い、ただの平凡な女子高校生だった。
そんな少女に膨大な知識がある訳が無い。あっても、それはちょっとした素人通しの暗躍の仕方だろう。
結局何を言っているのか全く分からず、ただ首を傾げる恵里だった。
そして、しばらくすると恵里を置いて行った張本人のラインハルトが戻ってきた。
「済まないな。少しばかり、遊び過ぎたようだ」
「いや、誰!?え、ヴィルってそんな七変化出来るの!?」
恵里はまた変化した姿に驚き、ラインハルトに突っ込みを入れる。そんなラインハルトは蓮に視線を固定していた。その目は見開かれ、驚いている事がよく分かった。
「ツァラトゥストラ………、成程。確かに、カールが居れば卿が居ても不思議ではないか」
「そう言うお前だって分かってる筈だ。つまり、
そう言った蓮は当たりを見回した。出入り口になる様な場所は見当たらない。360度見まわした後、蓮はある提案をした。
「なぁ、俺らでこの世界を回らないか?どうせ、俺達はそうなんだし」
「…………ふむ、良かろう。ツァラトゥストラ、卿と私。これで、守護者が揃った。今度こそ、失敗はしないだろう」
そう言って、ラインハルトは蓮の右手をチラリと見た。その目には慈愛とも似たなんとも表現し難い感情がその目に宿されていた。それに気が付いたのは視線を向けられた蓮とその内に住む女神のみである。
そして、ラインハルトは羽織っていたコートを翻しながら呟いた。
「さて、卿ら。空を堕とそうではないか」
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ラインハルトが去り、誰も居なくなった神域に先程とは打って変わって弱弱しい光体が現れた。
「フン…所詮は人間。神たる我の魂が一個な訳があるまい」
不遜な態度でそう独り言ちる光体、またの名をエヒトルジェ。先程は、魂の本体をラインハルトによって奪われたが、心配性なエヒトはバックアップとして神域の至る所に自身のバックアップを置いていた。
しかし、バックアップは所詮その場しのぎのモノであり、出力はどうしても本体より劣る。その為、各地に忍ばせていたバックアップを一つに統合し今もう一度本体に近い出力の
「あの肉体。アレこそ神たる我にふさわしい。だが、今すぐに行けば今度こそどうなるか分からぬ…。屈辱だが、暫くはアルヴを通して魔人族を操るとするか…」
ブツブツと独り言を言いながら光体は何処かへと飛んでいった。はいそこ、基本受け答えが無いから独り言が増えたのはしょうがないだろ、ボッチとか言わない。
と言う訳で、エヒトは一応死にました。こうした方が、今後の主人公の発言と勇者の立ち振る舞いが書きやすいですからね。
話変わりますけど、最近ありふれ読んで思うんですけど、ハジメ君かなりヤクザチックだし人を選ぶのかもしれませんね。別に、主人公は正義であるべきとは言いませんけど、あそこまでいくと「あ…うん」みたな感じでどうも引き気味になります。元クラスメイトが死のうがどうでもいいとか、仲間以外は死んでどうぞみたいなのは面白くて好きですけど、どうもあの口調はいただけませんね。まぁ、個人の戯言なので聞き流してもらっても構いませんけど。
後、ふと思ったんですけどこのオリ主って確実にハジメ君と敵対しません?だって、ハジメ君って題名通り「世界最強」だと思ってますから、アフター見る限り慢心王見たいですよね。王様はアレはアレで良いんですけど、ハジメ君イキってるように見えちゃうし…。プロット見直すかぁ…。