ありふれない騎士団で世界最強・リメイク   作:ムリエル・オルタ

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修正点を探すってのもある意味面白いかもしれませんね。私はしませんけど。

あ、今回は修正点は無いです(圧倒的コピペ)(作者だからOK)(それでいいのか)
あります(矛盾)


異世界召喚

ヴィルヘルムは手に持った日傘を居合の様に構えた状態でふと周りが教室では無い事に気が付いた。周囲は大理石の様な物質で作られた建造物で、ヴィルヘルムの正面には金髪で中性的な人物の絵画があった。ヴィルヘルムはそれを見て少しばかり怒りがこみ上げたが、これまで感じていた既知感を感じない未知の現象に心を躍らせていた。

近くに居たハジメはこの時のヴィルヘルムの顔を見ていた。凶悪な形相で笑みを浮かべていたのだ。この時「笑みって本来威嚇らしいってテレビで見た気が…」と軽く現実逃避していたりする。

無駄に神々しい絵画と正反対の方向には両手を胸の前で組んだ人間の集団が居た。その先頭に居た人物はその中でも一際豪奢な装いの老人が立ち上がりこちらに笑みを向けて話し始めた。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申すもの。以後よろしくお願いし致しますぞ」

 

そう言ってイシュタル・ランゴバルドと名乗った老人は好々爺然とした笑みを浮かべた。そして、こんな場所では落ち着く事も出来ないだろうと言って長テーブルと椅子の置いてある此処とは違う広間に向かった。その道中、ヴィルヘルムは女神イシュタルを思い出し、同時に先程の爺を思い出し、少しばかり気分不良になっていた。

 

そこで全員が席に座ると、絶妙なタイミングでカートを押しながらメイドが入ってきた。かつての日本のサブカルが生み出したメイドではない。正統派のヴィクトリアンメイドが出てきたのだ。と言っても、流石に世界が違うのか、それとも全く誰とも知れぬ者による変革か、部分部分にサブカルが混ざっているのでこの場合はヴィクトリアンメイド擬きと表したほうが正しい。

 

綺麗どころを集めている事もあり思春期真っ盛りの男子生徒はメイドたちを凝視していた。そして、そんな男子生徒たちを見る女子生徒の目は極寒の南極もかくやの冷たさを宿していた。そんな中、ヴィルヘルムだけ普通に紅茶を受け取り何か摘まめる物は無いか聞いているのは途轍もなくシュールだった。

 

「さて、あなた方に置かれましてはさぞ混乱されている事でしょう。一から説明させてい頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」

 

要約し、簡単にし、かみ砕きにかみ砕き、三行に纏めるとこうだ。

 

人族と魔族は戦争中で膠着状態。

魔族がいきなり従える事の出来ないはずの魔物を従えた所為で人族大ピンチ!

だから神様が勇者様(その他多数)を召喚した。召喚されたんだから助けて!

 

で、ある。つまるところ、身勝手な理由で召喚し挙句年端もいかない学生である彼らに戦争、人殺しを強要しているのだ。イシュタル曰く神より特殊な能力が授けられているらしいがだからと言ってこれまで殺人の「さ」の字も知らなかった人間にいきなり「戦争で敵を殺してくれ」等と言うのはおかしい。ヴィルヘルム以外は確実に精神を病む案件でしかない。平穏で平凡な世界からいきなり異世界に来て人殺しに忌避感を抱かないのはなろう系だけで、どうぞ。

 

「あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という救いを送ると。あなた方には是非その力を発揮し、エヒト様の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

先ほどまでの好々爺然とした表情から一転して恍惚とした顔でそんな事を喋るイシュタル。一部の男子は爺の恍惚とした表情と言う誰も得しないものを見て顔を青くしていた。特に被害が大きかったのは丁度正面に居た檜山だったりするのだが、正直どうでも良い。

この世界の人族九割はこの聖教教会の信者であり、神託やら神の意志やらを何の疑いもせず寧ろ嬉々としてそれに従うこの世界の人間にハジメやヴィルヘルムは言い知れぬ嫌悪感を感じた。正確にはそう感じたのはハジメだけであり、ヴィルヘルムは既に違うことを考えていた。

 

それは元の世界では代用する事しか出来なかった事。永劫破壊(エイヴィヒカイト)には魂が必要だ。先ほどからイシュタルの話を聞けばこの世界の命は余りにも軽い。ならば何人殺そうが問題は起きない。寧ろ、感謝されるまであるだろう。等と、召喚された勇者一行の中で最も過激な思考を巡らせていた。そんなヴィルヘルムとは別に机を思いっきり叩きながら立ち上がり、物凄い剣幕で起こる人物が居た。それは、クラス担任の愛子先生であった。

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

ぷりぷりと怒る愛子先生。彼女は今年二十五歳になる社会科の教師で非常に人気がある。百五十センチ程の低身長に童顔、ボブカットの髪を跳ねさせながら、生徒のためにとあくせく走り回る姿はなんとも微笑ましく、そのいつでも一生懸命な姿と大抵空回ってしまう残念さのギャップに庇護欲を掻き立てられる生徒は少なくない。

愛ちゃんと愛称で呼ばれ親しまれているのだが、本人はそう呼ばれると直ぐに怒る。なんでも威厳ある教師を目指しているのだとか。

今回も理不尽な召喚理由に怒り、ウガーと立ち上がったのだ。「ああ、また愛ちゃんが頑張ってる……」と、場違いにほんわかした気持ちでイシュタルに食ってかかる愛子先生を眺めていた生徒達だったが、次のイシュタルの言葉に凍りついた。

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

等と言ったのだ。それにはヴィルヘルムを除く全員が凍り付いた。誰もが思っていたのだ。「どうせちゃんと帰れる」「帰る手段は存在する」と、イシュタルのその言葉はそれらの願いを望みを打ち砕くには十分な威力を持っていた。その言葉に落ち着きを取り戻しかけていた生徒たちは再び混乱し好き勝手にわめき始めた。暫く喚きに喚き、ヴィルヘルムが物理的に黙らせようか考えた瞬間とある馬鹿(光輝)が立ち上がり声を出したのだった。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

そう言って胸の前で拳を握り、宣言する光輝。無駄に決め顔なのが少しばかり腹立たしい。そしてそれは同時に逃げ道を作ってしまった。自身の選択で間違いを犯したくない彼ら(クラスメイト)にとって格好の(理由)だった。

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

「龍太郎……」

「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

「雫……」

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

「香織……」

 

光輝を中心とするグループがそう宣言すればもう止まらない。彼らに逃げる理由を与えてしまった。確固たる意志も持たず、ただ流されるように「光輝たちがそう言ったから」「この状況で反対したら周りからどう見られるか」等と考える事を放棄した彼らの逃げ道(いい訳)を作ってしまった。

 

「ククク………………ハハハ……………………ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 

広間に響き渡る笑い声。その元を探せばすぐに見つかった。それはヴィルヘルム・エーレンブルグだったのだ。周りから不審な人物を見る様な目で見られながらひとしきり笑ったヴィルヘルムは目元の涙を拭いながら立ち上がり、喋り始めた。

 

「エーレンブルグ、何が可笑しい!?」

「いやいや、お前らはそろいもそろって莫迦と自己犠牲の精神の塊なんだなぁ?この世界の人達の為に人を殺そう!なんて元気よく宣言し、それに仲間外れにされたくないがために賛同するような奴らがリーダー格で、お前らはそんなリーダーの下でこの前まで銃に触れたこともなく殺人を行った事もなく死体を目にした事もないただの学生の分際で人類を助けるために人殺しをするとでも言うのか?お前らがやっているのは大日本帝国の神風特攻と同じなんだよ。選択肢がそれしかない?馬鹿を言え、それしかないから他者に流されて良い訳じゃねぇんだよ。それはただの戯言だ。てめぇらはそこらに居るペットか?動物か?いや、動物に失礼だったな。てめぇらは動物以下だ。自分で考えようとしない奴に生きてる価値はねぇ。無駄死にするだけだ」

「じゃあ、エーレンブルグはこの世界の人達を見捨てるって言うのか!?」

 

非難の声を上げたのは先ほどヴィルヘルムがバカにした「人殺しに行こうぜ!」宣言した光輝だった。その眼には義憤にも似つかない何とも言えない色が宿っていた。そんな光輝に対してため息を吐きながら話し始めるヴィルヘルム。

 

「てめぇはなんで自分の言葉がすべて正しいとでも思ってんだ?それともてめぇは降ってわいた様に貰った力で世界が救えるとでも思ってるのか?そんな事を言えるって事はてめぇはその力が無くても世界平和を行うために命を捧げられるんだよな?地球で何も力が無い非力な学生の時にてめぇは言えるのか?殺しあっても意味は無い、話し合おうやら皆同じ人なんだから分かり合えるって言いながら紛争地帯を歩けんのか?てめぇのその自信は一体どこから出てんだ?」

「話を逸らすな!俺はこの世界の人達を何故助けないのかって聞いてるんだ!」

「はぁ、話になんねぇな。まぁ、そんなの当たり前だろ?メリットが無い。俺はてめぇの様に損得勘定なしで人助けなんて出来ねぇからな。俺はお前らみたいな思い上がりのケツを拭ってやるほどお人好しじゃねぇ。ヒーローごっこは他所でやんな。俺はてめぇら程自殺願望があるわけでもねぇしそんなあほな理由で死ぬ気もねぇ。戦争すること自体は俺は賛成だがその時はてめぇらとは別行動させて貰うぞ」

 

この時ヴィルヘルムと光輝は完全に決別した。性善説を信じて疑わない光輝と現実主義のヴィルヘルム(化け物)。水と油の様に交わる事の無かった両者は今ここに完全に別れあったのだった。周囲を置き去りにして。




ここは、本当に前作と殆ど変化ないんですよねぇ。強いて言えば行を変えたりしたくらい?
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