ありふれない騎士団で世界最強・リメイク   作:ムリエル・オルタ

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遂に前作の話数を超えました。遂にって程でも無いですけど。
さて、ちょくちょくオリジナル要素を入れながら原作イベントをやっていきましょう。


事後処理

マキナたちによってフリートホーフが壊滅し、ギルドは事後処理と事に至った経緯をマキナ達から事情聴取という形で聞くことになった。

帝国とは違う『帝国』軍人を名乗る一つの軍集団である彼らは、確実にフューレンでの地位を築き、同時にギルドや冒険者からは敬遠されていた。

ギルドを介さずに町へ貢献するなど、冒険者のお株を奪うことや軍人であると称し、横暴に振舞わないその姿勢も住民から慕われる理由となった。

 

そんな訳で、ギルドとしてはせめて自分達を仲介して貰いたい集団が行動を起こしたのだ。それが、どんな行動であれコレを機に形だけでも冒険者になってもらいその莫大な利益の一部を舐めたいと考えていた。

 

「これが、今回の騒動の顛末だ。何か、質問はあるか?」

「い、いや、説明も簡潔でとても分かりやすかった。ただ、それとは別で質問させていただきたい…一体その海人族の少女はどうしたんだ?」

 

ギルドの応接室で書記官と質問官に分かれ、事情聴取を行いそれらがすべて終了した最後に、質問官は声を絞り出すように、そう質問した。

対面には軍服に身を包んだマキナと恵里、背後に護衛の様に立つ蓮。そして、マキナの膝の上で安心しきった顔をしている幼女だった。渋面のマキナに幼女。何とも対照的なものである。

 

なにより、彼らを知っている人物が此処に居れば、確実にこの場の情報量の多さに一瞬フリーズすることは間違いなしだろう。

 

「この娘は、敵拠点で保護した。身寄りも無く、誘拐されこの場に来たと見なし我々の拠点に一時的だが住まわせている」

「この後、被害確認や資材確認をしたらこの町から出発しようと考えています。その道中でこの子を親の元に返せれば、と考えています」

 

マキナの言葉に恵里が補足の様に付け加える。彼らの行動理念は『未知を知る事』『果てなき戦争』である。永遠の闘争も心躍るが、何より未知を体験し記録する(残す)ことが彼らの目的だ。

 

しかし、ソレを知るのはマキナ本人と蓮にハイドリヒに生み出された軍隊のみであり、外部協力者という位置づけの恵里は勿論このことを知らない。彼女の目的は『ヴィルヘルムと添い遂げる』である。その為に手段を選んでいないだけだ。

何も知らないが故に、自身の願望を燃料に動き続ける。此方に被害が無いので誰一人止める事は無いが、恵里は必要とあれば人を殺し、人の人生を生を冒涜する事にしら躊躇わない程に覚悟が決まっ(ガンギマリし)ていた。既に人殺しを経験している二人にはその覚悟に気が付いておらず、そもそも戦争をしようとしているのがらいい加減覚悟は決まっているだろうと若干ながら楽観視していた。蓮に関しては、嫌な予感はするがそれでも土壇場で覚悟は決まるだろうと自身に言い聞かせていた。そう、言い聞かせてないと後で勝手に落胆する羽目になると。

 

その後、細やかな今後の予定とギルドを通しての依頼とする事の取り決め、その際の仮の冒険者としてのランク。有事の際の協力について等、後からやってきたギルド長が話をギルドにある通信設備を使い他のギルドに通していくということで合意し、その日はお開きとなった。終わればそれぞれ、かつての同僚に絡まれ酒場に突撃する姿や、近くの屋台で仲間と食べ歩きながら談笑したりと自由にその日を過ごした。マキナは自身が関係した人たちに向けて明日にでも次の町へ向かうことを告げ、礼を述べていた。選別として、お守りや食べ物などを両手いっぱいに貰いそのまま帰って恵里や蓮を驚かせた。

そして、翌日。何台も連なるトラックの荷台に兵士が完全武装で乗り込み、先頭と最後尾を走行車両が護衛する形で出発した。フューレンの住人は口々にありがとうと礼を言いながら手を振っていた。兵士たちもそれにこたえ、手を振っていた。

 

「それで、この後は何処へ向かう予定なの?」

「あぁ?あー、そうだな。ウルっつー町があるから其処行って飯とか色々食いてぇとは思うけどよ」

「ウルに何かあるのか?」

「話を聞く限り、日本の米に近いものがあるっぽいな。てめーら日本人には馴染み深いモンだろ?」

 

そう言いながら、ヴィルヘルムは膝に保護した海人族の幼女ミュウを乗せシュビムワーゲンの後部座席でフューレンで渡された簡易の地図を見ながらそう呟く。その姿に蓮は「この見た目でやられるとツンデレにしか見えないなぁ…」と口に出さずに思い、恵里は別にそこまで想ってはいないが、それでも久々に故郷の味が食べれるかもしれないと言う事に興奮を隠せずにいた。

 

道中は前回と違い、野盗などには襲われる事は無く群れから逸れたであろう魔物が襲ってくるのみにとどまった。数回の休憩を挟み、一行はその日の内に無事湖畔の町ウルにたどり着く事が出来た。ウルの町は湖畔の水を生かした街であり、米に似た穀物があるらしい。日本人二名はそのことにテンションが高く。到着し、各自散策をヴィルヘルムが命じると、息つく暇なくヴィルとミュウを伴って口コミでおいしい店を探して入るのだった。

 

「んで俺迄連れて来られなきゃならねーんだよ」

「別にいいじゃん、息抜き息抜き」

「いや~、此処は折角だし驕ってもらおうと思ってな」

「俺は財布じゃねーぞオラ」

 

そんな会話をしながら入店する。すると、直ぐに店員がやってきて人数を聞いてきた。蓮が代表して数を言うと、席へ案内されそこで今度冒険者の方々が北山脈に向かうが、それまでメニューにある特定の商品は出せないと説明を受け、商品の説明を受けながら三人はカレー風料理のニルシッシルと言うのを人数分頼み、料理が来るまでの間駄弁り始めた。

 

「それにしてもヴィルって日の下に出るの極端に嫌がるよね、なんで?」

「あ?そりゃ、俺がアルビノっつーやつだからだな。アイツと違って、態々外に出る気にもなんねーしな」

「アイツ…?」

「あー…」

 

ヴィルヘルムの言葉に恵里は首を傾げ、蓮は苦笑いした。どっかの腐れ外道によって此方側へ来てしまったヴィルの初恋ともいえる相手。そのエピソードを知っているのはこの二人だけだろう。流石に、ヴィルヘルムもこの話をそこまで長く話すつもりもないのか、一度咳ばらいをすると話題を変えた。

 

「おい、テメェでも使えそうな聖遺物の当てが出来たぞ。つっても、お前にその覚悟が「ある!」そうかい。ま、精々後悔しない様にすればいいんじゃねぇか?」

「で、ヴィルヘルムは一体何の聖遺物を選んだんだ?」

「あぁ、”ケリュケイオン”だ」

「はぁ!?」

 

ヴィルヘルムの言葉に蓮は驚きの余りに立ち上がってしまった。ケリュケイオンとは、伝令の神ヘルメスの持っていたとされる杖であり触れたものを眠らせる効果を持つと言われている物だ。神話と言う、ある意味創作の中の武具であるにも関わらず、出てきたことに蓮は驚きを禁じ得なかった。

 

「あぁ、つっても俺が伝承を元に作った紛い物だがな。失敗して何個か多元宇宙が駄目になっちまったがまぁ良いだろう」

「それは良くないと思うけど?」

 

そうしてしょうもない会話をしていた次の瞬間、個室として閉め切られていたカーテンが開けられそこには白髪に眼帯、義手の不審者がいた。ヴィルと不審者は暫く見つめ合い…ヴィルヘルムが最初に口を開いた。

 

「その魂の色。結構変わっちまってるが、南雲か?」

「そういうエーレンベルクは変わってないようだな」

「あ?俺が変る訳ねーだろうが。俺は何時まで経っても俺だ」

 

そう会話していると背後から愛子先生やその護衛、そして金髪の少女と兎人族の少女が顔を出してきた。それを見て、恵里は一言。

 

「取り合えず、食べながら話しませんか?」

「「…」」

 

ヴィルヘルムと蓮は「急に猫被った…」と驚きの表情を見せるのだった。

 

~~~

 

「じゃ、俺からだな。ヴィルヘルム・エーレンベルクだ、階級は中尉。ま、宜しく」

「じゃあ、知ってると思うけど。中村恵里です…一応特尉って事になってます」

「藤井蓮だ。階級は准「テメェは二階級特進で一応中尉だろうが」中尉だ。宜しく」

 

合流(?)したので店員に言い、場所を変え広い個室に変えると、ヴィルヘルム一行はそのまま自己紹介を始めた。三人の口から出てくる軍属の階級に愛子先生の頬は引きつり、クラスメイト達もどう反応すればいいのか困っていた。唯一同時ていない様に見えるハジメも目に見えて動揺しており、何故か銃に手が伸びていた。

 

「中尉とか特尉とか…一体どういうことですか!?それに、そちらの日本人の方は誰なんですか!?」

「確かにな、俺達以外に召喚されてなかったからな。どっから来たんだ?」

 

愛子先生が吠え、それに追随するようにハジメも質問した。すると、蓮は苦笑い気味に「気が付いたらかなぁ…」と言い、ヴィルヘルムは顔をしかめながら何も言わず、恵里も戸惑っている様な表情をしていた。

 

「俺達は帝国軍だ。元々、此奴は軍属だったし俺も軍属だ。この女に関しちゃ、俺達に関わる関係上。外部協力者としての階級の特尉にしてるってだけだな」

「帝国軍…貴様らヘルシャーの者か!?」

 

ヴィルヘルムがそう説明すると愛子先生の背後に立っていた男が物凄い剣幕でヴィルヘルムと蓮を睨んだ。大方、そのヘルシャー帝国とやらに神の使徒たる恵里を囲い込まれたと思っているのだろう。と、ヴィルヘルムは当たりを付けるが、何も言わない。しかし、ヴィルヘルムが言った”帝国軍”という言葉、そして服装から一つの答えにたどり着く。そして、同時にその答えが悪い冗談であることを愛子先生は願うのだった。

 

「もしかして、帝国って…ドイツ第三帝国、ナチス・ドイツの事を言っているんですか?」

「え!?」

「あぁ、そうだな。じゃ、正解した先生に答えてやるよ。俺は親衛隊所属ヴィルヘルム・エーレンベルク中尉だ」

 

愛子先生の言葉に驚く同行してきたクラスメイトの声、そしてそれを無視して言われるヴィルヘルムの本当の所属。それは、愛子先生の心に深く刺さり同時に混乱を起こした。ヴィルヘルムは自分の生徒であるならば、まだ高校生20代ですらないのだから、自分で勝手にそう言っているだけなんじゃないか。そう、希望的観測をした瞬間、それは瓦解した。突然、占められていたカーテンが開けられそこには一人の軍人が立っていた。その姿も、ナチ党時代のドイツ軍制服であった。

 

指揮官(コマンダン)!ギルドより、要請がありました!依頼を出した冒険者とは別口で北山脈の調査をとのことです!参謀長は今回の依頼を軍事訓練の代わりにすると仰られておりましたが、いかがいたしましょうか!」

「そうだな。一時間後に拠点にしている宿に佐官以上を集めてくれ、今後の行動について話そう。御苦労、伍長」

「はっ!ジーク・ハイル!」

「ジーク・ハイル」

 

目の前で行われた一連の会話。置いてけぼりを喰らったハジメ一行と愛子先生一行はフリーズしていた。ハジメの連れであるユエとシアは伍長の言葉が何を言っているのか分からず、終始首を傾げていた。それは、教会騎士も同じだが、少なくとも未知の言語を喋る人間の上司がヴィルヘルムであることは理解できていた。

 

「ま、俺達は俺達で好き勝手にやらせてもらうぜ。テメェらみたいに戦争をおままごとか何かだと勘違いしている奴と居ると飯も不味くなる」

「なんだと!?」

 

ヴィルヘルムの言葉に反応したのは愛子先生の傍に居た騎士だった。その言葉に、愛子先生を侮辱したと受け取ったのだろう。今すぐにでも剣を抜きそうなほどの剣幕だった。だが、ヴィルヘルムはそれを気にすることなくゆっくりとした動作で腰のホルスターからP90を取り出し、騎士の眉間に突きつけた。すると、その行動にハジメはヴィルヘルムに自身の銃であるドンナーを突きつけた。

 

「南雲テメェ…どうやって銃を…いや錬成師だったか。自作か、ソレ」

「あぁ、そうだよ。それよりも、お前には色々聞きたいことがあるんだが?」

 

一触即発。誰かが引き金を引くか剣を抜けばこの場は一瞬で殺しあいの場になるのは三人を除いて誰もが予想できた。ヴィルヘルム一行は割と暢気に食べていたが。

 

「やめるの!」

「あぁ?………………ちっ、しゃあねぇな。おら、テメェら行くぞ」

「あぁ」

「あ、ち、ちょっと待ってよぉ」

 

ヴィルヘルムの膝の上に座っていたミュウがそう言うと興が削がれたのか、ヴィルヘルムは銃を元のホルスターに戻し、蓮と恵里を伴って店員に金を払うとその場を後にした。




雑談ではありますが、何故『ロンギヌスの槍』は神殺しの槍なんですかねぇ?槍で刺したのは、キリストを処刑したとき。その三日後に転生して神になったとされていますから、槍を刺した時点ではまだ『聖人』だと思うんですけど、不思議なものです。槍を刺した人間の目にキリストの血が入ると、その人間の悪かった目がみるみる治り、その後も様々な奇跡が起きたってエピソードがあるらしいですが、それを鑑みるに普通は『疑似的な不死性を与える槍』がしっくりくるんじゃないかなぁ…と。相手の血を得ればどんな傷でも回復できるとか…。神を殺してないのに、神殺しとか…HSDDかな?
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