ハイスクールD×D ~鎧武Xover~   作:龍牙

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完成版です。


第三話《勇斗が悪いよ。 by.フェイト》

「テメェ……」

 

 先程は鎧武はただ投げただけ。一誠はフラフラとしているが物理的ダメージは見た目ほど無かったと言った所だろう、意識を刈り取るほどのダメージも与えられて無かったと言う訳だ。

 

 

『イッセー!』

 

 

 フェイトと鎧武が、フェイトの咎めるような視線に全面降伏した結末を齎したやり取りをしている間にリアスと他のグレモリー眷属が其処に駆けつける。

 一誠と鎧武に変身した勇斗の二人だけだったと思っていたら、何時の間にか新たに三人目の登場人物が加わっている事に驚いてはいるが、それよりも一誠の無事の確認が最優先と判断した様子だ。

 

「……後でシュテルさんにも言っておくからね」

 

「すいません、本ッ当にすみませんでしたぁ!!!」

 

 最後のその一言に本気で土下座する鎧武。……魔法少女に土下座して謝る仮面ライダー……シュールな絵だ。タダでさえ今回の一件は仲間全員の耳に入っている。この上シュテルにも知られて怒られたら精神的に死ぬ。

 

「いや、あいつの持ってる神器が神滅具(ロンギヌス)赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だって分かったんで、手加減してたのも散々悪口言ったのも、あいつに力引き出させてデータ収集したかっただけなんです!」

 

 大声で神滅具(ロンギヌス)とか赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)とか叫んでいるのは、当然ながらその場に居るリアス達にも聞こえている。ボロボロになった一誠に駆け寄った状態で先程の鎧武の言葉に驚愕して彼と一誠の籠手を交互に見ている。

 簡単に気絶させて終らせる事は簡単だったが、態と手加減していたのも全部彼を追い込み怒らせることで赤龍帝としての覚醒を促す為だったのだが、

 

「理由は分かったけど、やっぱりシュテルにも怒って貰うから」

 

「終った……何もかも」

 

「それじゃ、皆待ってるし行こうか」

 

「そうだな。約束有ったし」

 

「待ちなさい!」

 

「「あ」」

 

 後ろから響いてくるリアスの声に振り返る二人。別に忘れていたわけではないが、話し合いで解決するにしても誰かに仲介を頼む必要が有ると考えたわけだ。神器の正体を見極めるためと、向こうが挑発に乗ったとは言え流石にやり過ぎただろうし。

 

「挑発に乗ったのはイッセーだったけど、ここまでしておいてタダで帰すと思ってるの?」

 

「そうだよね」

 

 明らかに怒っているという様子のリアスの言葉に、横目で鎧武を呆れた視線を向けているフェイト。

 

「一応、オレの側だよな……フェイト?」

 

「明らかに勇斗の方が悪いから」

 

「まあ、今は逃げさせてもらうとするか」

 

 そう呟いて鎧武は無双セイバーとイチゴロックシードを取り出す。彼が考えている手段とすれば、前回逃げたときと同じ手段だ。

 

「させませんわ!」

 

「チッ!」

 

 そう言って朱乃が雷を放ってくる。だが、雷はフェイトの得意分野でもあるのだ。仲間内での腕試しや実戦形式の訓練など何度でもしている。当然、魔導師VSライダーと言う形式でも、だ。

 故に電気系の攻撃に対する対処など、幾らでもできている。……最も、それは鎧武の能力と言うよりも勇斗の持っている神器(セイクリッド・ギア)によるものだが。

 

「『水よ』」

 

 二つの声が重なり、鎧武の前に現れた蒼い宝珠から水が流れ出し、それが朱乃の放った雷を阻む壁となる。

 

「そんなっ!」

 

「単純な理科だよ、純水は電気を通さない、ってな」

 

 一切の不純物を含まない純水は電流を通さない絶縁体と成る。水=雷撃が弱点と言う訳ではない。

 

(……その辺のところ、三大勢力の連中って分かってない事多いんだよな)

 

 内心で多少呆れと言う感情を浮かべる。純水と言う発想に至らなかったのかは分からないが、敵対した三大勢力に属する連中や属していた連中は、どうも勇斗の武器が水を操ると知った後は雷撃を純水に防がれて負けると言う流れに陥る事が多い。

 

 簡単な知識だが、見下している人間の科学の知識など知る価値も無いと言う事なのかは疑問だが、その結果生まれる隙は勇斗にとって有効な物になる。

 

 無双セイバーを腰へと納め、鎧武が宝珠を手に取ると宝珠を中心に水で出来た刀を作りあげる。

 

「これがオレの神器、水竜姫の宝珠(レヴィアタンズ・オーブ)だ」

 

 ……ある意味、これが勇斗が現魔王のレヴィアタンと仲良くなった切欠だったりする。レヴィアタンは魔王であると同時に、竜として描かれる事がある。(……本作に於いては魔王としてのレヴィアタンと、竜としてのレヴィアタンの二つのレヴィアタンが存在していると言う設定です)

 

水竜姫(レヴィアタン)の名を持つ神器って……それが今の水竜姫の名を冠する神器な訳ね」

 

「……そう思ってるなら、間違いだ」

 

 そう言ってリアスの言葉を鎧武は斬り捨てる。これまで幾つも水竜姫の名を冠する神器は、幾つも存在していた。その為にヴリトラと同じく複数に分けられていてると推測されていたが、真実は違う。

 

「水竜姫の名を冠する神器は一代に一つしか存在しないんじゃない……最初から、所有者によって形を変えるから誤認されているだけだ」

 

 そして、本来の名こそが鎧武の語った名だ。水のエレメントを物質化し所有者に適した形となる為、また宿っている意思も眠り続けていた為に、歴代の所有者さえもその真の名を知らなかったと言う訳だ。

 何気に目覚める為にある条件が有るのだが、それを今まで誰も満たせなかったと言う訳だ。

 だが、それを目覚めさせた勇斗は真の名である水竜姫の宝珠(レヴィアタンズ・オーブ)の名を知ると同時に、無限の形を持つ万能武器となったそれを手に入れた訳である。

 

 この事は勇斗達しか知らず、某神器研究家の堕天使のボスさえも知らないことだったりして、彼も水竜姫の神器は複数の神器が存在していると考えていたりする。

 封印されている水竜姫に直接聞いた事なので間違いない上に、彼女と直接コンタクトできたのが勇斗だけなのだから仕方が無い。

 

 ……神器に宿る意思が目覚める事無く誰一人禁手(リミット・ブレイク)に至れる事のなかった、強力な(ドラゴン)を宿しながらもハズレアと蔑まれていた神器。だが、本来の意識を目覚めさせた勇斗の手に有る以上、神滅具(ロンギヌス)の粋にさえ手が届く代物への道にある。

 

 ……まあ、水竜姫レヴィアタンの存在が後々重要なものになっていくと言うのは、この時のリアス達は愚か本人さえも知らないことだった。

 

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 

 鎧武とフェイトが動くよりも先に何時の間にか手の中に剣を出現させた木場が二人へと向かう。

 

「っ!?」

 

 刀から蛇腹剣へと変化させた水の刀を振るい木場を迎撃しようとする鎧武だが、騎士の駒の特性たる俊敏性で意思を持っているかのように襲い掛かってくるそれを掻い潜る木場。そんな、彼に対して……

 

「っ!? 今のは危なかったね」

 

「油断し過ぎだ。お前の『魔剣精製(ソード・バース)』と違ってこっちの武器の自由度は色んな意味でそっち以上だ」

 

 先程まで木場が居た位置をパインアイアンが通り過ぎていた。先程の木場の行動から彼の持つ神器を正確に把握した上での対応だ。剣を作り出す神器はある程度限られる。と言うよりも、聖剣と魔剣の二種しか彼は知らない。……どれほどの神器が存在しているか正確に把握していないが、木場の持っている剣から感じられる魔の気配と合わせた上での推測だ。

 

『……うん。多分、合ってる』

 

 そんな事を教えてくれるのは相棒(水竜姫レヴィアタン)だ。

 

 再度魔剣を構えなおして此方に向かってこようとする木場と、拳を握る小猫。一人ではダメだと言う判断なのだろう。先程から手を出していないがフェイトの存在もあるので、それも有るのだろう。

 

 

『ちょっと、待った!』

 

『まったく、ホントに何やってるんだか』

 

 

 そんな鎧武とグレモリー眷属達の前に現れる黒と茶色の影。マツボックリを思わせる黒い影が槍の様な武器を持ち、ドングリを思わせる茶色の影がピコピコハンマーの様な武器を持っている。

 

 チーム鎧武に属するアーマードライダー二人、仮面ライダー(アーマードライダー)黒影と仮面ライダー(アーマードライダー)グリドンだ。……変身に使用するロックシードは他のライダー達がA級なのに、現状のライダーの中で二人だけB級ロックシードで変身している……通称チーム鎧武の木の実コンビ。まあ、時折鎧武の持っているA級ロックシードを貸してもらっているが……明らかに量産試作機のイメージが付いている。

 

「また新しい……。アーマードライダーって言うのは貴方だけじゃなかったのね」

 

「まあ、何人って言うのは言って無かったからな」

 

 リアスの言葉にそう返す鎧武。実際、現在のアーマードライダーの人数まで教えてないし、親切に教える必要も無いと思っていたりする。

 

「そっ、オレはアーマードライダー、黒影! そして、こいつはアーマードライダー、グリドン!」

 

「……グリドン? ドングリだからですか?」

 

 小猫の呟きにグレモリー眷属の側の誰かが噴出してしまう。それに釣られてか全員が笑いそうになっている。

 

「笑うなよ! 大体、前から気になってたけど、何でオレだけグリドンなんて安直な名前なんだよ!? 他にもっとかっこいい名前が有るだろう!?」

 

 ……一応、グリドンと言う名前の事は気にしていたのだろう……。グリドンが鎧武へと詰め寄る。

 

「うるせえな、どうだって良いだろ?」

 

「良くねえよ! 大体、鎧武とか黒影とかバロンとか、龍玄とか他の奴等はもっとカッコイイ名前だろ!?」

 

「そう言えば、他にもブラーボとか斬月だったね」

 

「だから初変身にはオレのパインとイチゴのロックシード貸してやるって言ったのに」

 

「……素直にそうしときゃ良かったよ。でも、それだと次からドングリだしな……」

 

 鎧武に詰め寄るグリドンに黒影がそう言い、グリドンの言葉にフェイトが苦笑を浮かべつつ、鎧武がグリドンの肩を叩いて慰める。

 

「良い事を聞かせて貰ったわ。バロンに龍玄、ブラーボに斬月ね。貴方達を含めて少なくとも七人居る訳ね」

 

 仲良く喧嘩するチーム鎧武-2のメンバーにリアスがそう告げる。それでも口元を隠している点で笑いを堪えていたのだろう……グリドンと言うネーミングに対して。

 

「ああ」

 

「良かったの、勇斗? 教えちゃって」

 

「別に良いだろ……オレ達で全部だって思っててくれた方が都合が良いし」

 

 最後に小声で『量産型とか、次世代型とか』と呟く。まあ、後に量産型戦極ドライバー一号機を渡された某筋肉さんが三人目の木の実ライダーとなるのだが……それはまだ未来の話である。

 

 確かに今の所はアーマードライダーは彼らで全てである為に、嘘は言っていない。

 

「っと、木の実コンビ、来て貰って悪いけど……此処は一旦引くぞ」

 

「させると思うかい?」

 

「思ってるよ。フェイト!」

 

「うん!」

 

 鎧武の言葉にフェイトが答えるとグレモリー眷属を黄色の光の鎖が縛り上げる。先程から念話でフェイトと打ち合わせしていたのだ。なのはとはやてと同じく、付き合いの長い幼馴染、短時間の打ち合わせでも相手の狙いは羽具に理解できるね。

 態々アーマードライダーの数を知られる様な会話を続けていたのも、捕縛魔法(バインド)の魔法を相手が気付かないように相手の興味を引いていたのだ。

 

「それじゃ、逃げさせてもらうぜ」

 

「待ちなさい!」

 

「待たないよ!」

 

 鎧武が叫ぶと同時に水竜姫の宝珠(レヴィアタンズ・オーブ)で作った刀が消えて霧を作り出し彼等の姿を隠す。

 神滅具(ロンギヌス)の中の霧の神器とは違いタダの霧だが、逃走する為に視界を奪うには十分だ。

 

(じゃあ、『シャルモン』で理樹達と合流するか)

 

 そう他の三人に念話で指示を出す。……元々今日は店の手伝いをする約束だったのだし。……なのはの母親が鳳蓮にとって憧れのパティシエの先輩だったらしく、なのはには母親の様な一流のパティシエになって欲しいと言っている人でした。

 そんな訳で時々こうして普段のお礼に放課後に両チームで店の手伝いをする事になっているのだ。

 

 勇斗の神器で作り出した霧が消えたのは彼が安全圏まで逃げ切った後。丁度彼女達を捕獲していたバインドが消えたのもその頃だった。

 

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