Lostbelt No.8 『再誕創造神王へリオポリス』   作:ドロイデン

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第七話

「ったく、セイバーの野郎、追いかけるこっちの身にもなれってんだ」

 

 そう呟きながらランサーは慣れた足取りで空を駆ける。元々神々の中でも空に関するサーヴァント故か、彼の踏み込み1つ、たったそれだけで空を飛んでるかのように移動する。

 さらに魔力放出された電撃が宙を疾り、踏み込んだそこは砂漠ではなく巨大な蟻地獄とでも言わんばかりのクレーターを作り出す。

 

 そう走りながらふと思う。

 

「今更ながら、なんで俺は召喚されたんだろうな」

 

 ランサーは本来ならば召喚されるはずのないサーヴァントだ。神霊ということもあるが、なによりその伝承と逸話により、彼は神でありながら魔の者として扱われた。

 一重に彼が召喚される理由はこの異聞帯がエジプトだからこそ、だが

 

「純粋なエジプトの神でもない俺がどうしてなんだろうな」

 

 確かに側面としてはランサー自身もエジプト神の一柱。だが、この世界で自分自身ができることなんて大差ないはずだ。寧ろ、

 

「破壊の神が世界を救うとかどんな冗談だっての」

 

 本当にありえない事ばかりの現実に涙が出てきそうだった。

 そんなことを思っていれば、目の前に件のセイバーがサーヴァント2体……否、少女姿の敵は観戦してるだけで、黒い戦装束に赤い髪の女のほうと戦闘を行っていた。

 

(へぇ、なかなかどうして)

 

 その戦闘にランサーは感心した。セイバーはまさしく最優のサーヴァントに相応しい実力を持つサーヴァントだ。宝具によって少し理性がトんでるが、それでも正しく強いだろう。

 だが、だというのに、相対する黒服の女はそれを軽々といなし、慣れた手つきで防ぐ。まるで動きが分かってると言わんばかりだ。

 

(いや、アサシンの話じゃあの黒いセイバーは『太陽神ルー』とかなんとか言ってたな)

 

 その事を思い出すと、ランサーの背筋に冷や汗が流れる。

 

(確かセイバーとは同郷って話だったよな……てことは)

 

 弱点とか分かられてるんじゃね?そんな嫌な予感が脳裏に過る。

 現にセイバーは果敢に攻め立ててはいるが、寧ろうまくいなされてる現状に遠目からでも焦りが見える。

 

(ち、タイマンに割り込みとかダサいんだけどな)

 

 幾らなんでも貴重な戦力であるセイバーをここで死なせる訳にはいかない。なによりここで死なれたらいろんな意味で面倒すぎる。

 そう思いながら二つある棍棒のうち一本を取り出す。

 

「真名解放、我は雷、その権能はあらゆる敵を撃滅す」

 

 こん棒は雷を纏い、その先が光の刃と変わる。

 

「元の居場所に帰りやがれ!!『稲妻よ、我が敵を退却せよ(コシャル・アィヤムル)』!!」

 

 投擲したそれは先程のランサーの疾走を上回る速度で飛び、()()()()()()()()()()()()

 

「「!!」」

 

 いきなりのことに相対した奴は驚いてるが、次の瞬間、背中の棍棒ごと一瞬でセイバーはその場から消え、俺の隣に落ちてきたのをもう片方の棍棒で頭をぶっ叩いて気絶させる。

 そしてこちらに気付いたサーヴァント2体は睨んできたが、ランサーは慣れた手つきでセイバーを肩に担ぐ。

 

「悪いがあんたらと戦うように言われてないんでね、さっさと逃げさせてもらうぜ」

 

 そうしてランサーは来た道を返すように一瞬で駆け抜ける。向こうが追いかけてくるのが何となく分かるが、あいにく瞬間移動にちかい速度で動いてるこちらを追いかけるのは並大抵じゃ不可能だろう。いくら太陽神と吟われるルーにしてもだ。

 

「……幾らなんでもいきなり宝具でズドンはないと思うんだが。宝具の力で俺をお前さんのところに飛ばすとはいえ、痛いものは痛いんだぜ」

 

 走ってる最中、確かに気絶させたはずのセイバーが不満たらたらのように文句を垂れる。

 

「黙りやがれ。アンタ自身宝具の影響で狂化してるとはいえ、敵なら誰でもぶっ潰していいわけじゃねぇぞ」

「それについては然りだな。が、やはり奴を相手にするのはサーヴァントの俺じゃ不釣り合いだな」

 

 セイバーはそう言って俺の腕から抜け出し、俺の棍棒が当たった大きな背中を擦っている。

 

「そう言うってことは、やはり相手は大神ルーというわけか」

「だろうな、それも剣士としてのルーだな。戦い方はあの依り代となった女の格闘術が主体のようだが、間違いなくスリングショットも槍も持ってなかった。馬も使わず徒歩で移動してたからライダーもあり得ん」

 

 そこまでの明言にランサーは舌を巻く。苦戦していたはずなのに、相手の情報をしっかりと抜いてくるのは流石は最優と吟われるセイバーなのだろう。

 

「ついでに言えばもう片方の嬢ちゃん、あれは雷神に連なる者ってのは間違いねぇ。威嚇程度の電撃を浴びたが、あの威力とハンマーから間違いなく雷神にして武神の『トール』に関連してやがるな」

「あ?その言い方だと『トール』本人とは違うって言う口だが?」

「トール本人の雷撃にしては威力が無さすぎるからな。お前さんの本気の雷より劣る『ミョルニル』の雷撃が、本物のわけあるか」

 

 なるほど、そう言われれば納得だった。が、その言い口に少し疑問を感じる。

 

「おいセイバー、まさかだが戦う直前まで宝具の狂化を受けてなかったのかアンタ?」

「当たり前だ。俺はただ昔馴染みの気配を感じて喧嘩を吹っ掛けたに過ぎん。ついでに戦力評価をしてたわけだがな」

 

 つまりは暴走ではなく理性があったわけか……。

 

「有罪だバカ野郎!!」

 

 俺は棍棒に電撃を纏わせて思いっきり振り抜く。それはものすごい勢いで奴の尻に直撃し

 

「アァァァ!!くぁwせdrtfgyふじこlp!!」

 

 奴の声にならない叫びが空へと木霊した。

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