始原の湊   作:くらーみん

4 / 6
バンドリ 3周年!おめでとうございまーす!!おめでとうございまーす!!(パレオ風)


努力家のギタリスト

あるところに、双子の姉妹がいました。双子らしくお互いよく似ていて、さらに仲の良い姉妹でした。しかし、あるときからその関係に亀裂が生じ始めます。それは、お互いの能力の差を認識するようになってからのことでした。何事もひとたび興味を持てば容易くマスターできる天資英邁(てんしえいまい)の妹と、そんな才能はなく日々の努力で道を切り拓く大器晩成の姉...妹が手を伸ばさない物事でしか一番にはなれない...同じ土俵にたったとき妹を押し出す術はない。されど家族や妹からの愛情・信頼は変わらないものの、姉としての威厳はどこへ行ったのでしょうか。いつの日か、努力家の姉"氷川紗夜"は天才の妹"氷川日菜"を忌避し、自らのフィールドを犯されぬよう心を閉ざし、ギターを唯一無二のアイデンティティへ消火させました。そしてただ勝利だけを求めて研鑽を続けるのです...

 

 

協調性という言葉が見えなくなった時、人は離れていく。彼女がそれに気付くのは、もう少し先の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

──氷川家前

 

 

 

 

表札には"氷川"とある。多分ここ。

 

 

 

 

ピンポーン

 

ガチャ

 

 

「...どちら様でしょうか?」

 

「湊友希那よ」

 

「???」

 

「貴方が腕の良いギタリストときいて、スカウトに来たの」

 

「メンバーに貴方の妹と仲の良い子がいて、その子から家を教えてもらったわ」

 

「...わざわざここまで来るなんて、随分と必死なんですね」

 

「"本気"だからよ。貴方を他の誰かにでも取られたら困る」

 

「...FUTURE WORLD FESについて、ご存知かしら?」

 

「!! ...存じてますよ。プロをも唸らせるハイレベルな大会...私もそれを目指して、ここまでギターに取り組んできました」

 

「なら話は早いわ。あと20分後にスタジオの予約を取ってあるの。今すぐ私についてきて頂戴」

 

「私は先ほどからずっと貴方を腕のあるギタリストだと持ち上げてきたけれど、実際に貴方の演奏を聴いたことはない」

 

「紗夜..と言ったかしら。貴方が有名無実の星屑でないことを、スタジオで証明してもらうわ」

 

「それはこちらも同じです。湊さんがわざわざ家まで押しかけてくる単細胞で稚拙な演奏を披露されないことを願うばかりですよ」

 

 

 

バチバチバチ... 2人の間での睥睨、煽り合いはスタジオに到着するまで続いた。

 

 

 

──スタジオ

 

「どうぞ レディーファーストよ」ガラッ

 

「貴方はレディじゃないんですか?」

 

「私はレディを超えた存在にあるわ そう、レディーガガのような」

 

「それは人名では....?」

 

 

「おつかれー友希那。それにその子もえーっと...」

 

「氷川紗夜と申します。誠に急ながらもオーディションを受ける次第です」

 

「おー めっちゃしっかりした子じゃん あこの言う通りの!」

 

「紗夜さん!オーディションに来ていただきありがとうございます!」

 

「バンドハウスで紗夜さんのことを見かけて、すっごくカッコいいギタリストだからぜひバンドに入ってほしいって事で!」

 

「....そうですか 多分な評価を頂けたようで」

 

「ちなみに第一オーディションは合格よ 紗夜と話していて光るものを感じたわ」

 

「あれがオーディションの一部に含まれていたことが驚きですよ...」

 

 

未来のバンドメンバーに対し、友希那たちが起こすアクションはそれぞれ違う。紗夜を揶揄(からか)いつつも黙々と審査を敢行する湊友希那。素直にごく普通に友好的に接する今井リサ。嬉々として紗夜の音色に惹かれ彼女を斡旋した宇田川あこ。静寂の世界、その主に位置するは氷のよう冷たいなオーラを醸しつつもその内は優しい少女....有り体に言えばそもそも口を開かない白金燐子。喋ることがなかった...

 

 

なお例によって紗夜の第二段階オーディションに、オーディションとしての意味はない。しかし、バンドとしてやる意味がない訳でもない。紗夜の技量把握、紗夜が友希那たちをメンバーとして認めること、メンバー全員の自己紹介ができる...という意味がある。

 

 

 

 

 

──定刻

 

 

この練習スタジオは時間制だ。予め予約しておいた時間分スタジオを使うことができ、時間が過ぎるまでに撤収するのがマナーである。ちなみに先客はかなりギリギリまで練習していたらしい。そのため、先客がスタジオから出るとほぼ同時に、友希那たちがスタジオ入りする流れとなった。

 

 

「随分と熱心なバンドね。紗夜、貴方の普段の練習量もこの程度かしら?」

 

 

スタスタスタ

 

 

「私はマナーは守りますよ。しかし、たかだかスタジオの時間ギリギリまで演奏を続けたバンドと比較するとは随分と軽く見られたようで心外ですね」

 

 

スタスタスタ...

 

 

「重要なのはトータルであって1日の練習時間ではない。よくわかっているわね 益々気に入ったわ」

 

 

スタスタスタ...

 

 

「...私は貴方とは違って、貴方の飄々(ひょうひょう)とした態度からは本気さを感じ取ることができません。あくまで判断材料となるのはこれから行う演奏です。これは擦り寄りじゃないですよね?」

 

 

スタスタスッ!スタスタ...

 

 

「もー!友希那も紗夜も口喧嘩っぽいことばっかりじゃん!まあでも喧嘩するほど仲が良....(ん??)」

 

「(今、女の子がこっちを...)」

 

「(いや、私の気のせい!??...)」

 

 

リサの視界に映ったのは先刻までスタジオを使用していたバンドとすれ違う際、そのバンドのメンバーと思しき子が一瞬相当驚いた眼でこちらを凝視する姿だった。すれ違いざまに、ほんの数瞬、僅かながらそう感じた。ゆえに靄の掛かった記憶となってしまう。いや、仮にハッキリ見えたとしてもだから何?という話だし... リサは忘れることにした。

 

 

「喧嘩するほど仲が良いってきっとホントですよ!幸先が良い!」

 

「...私もそう思います。お互いを知ろうとして起こる喧嘩...仲良くなれる証拠ですよ...」

 

 

燐子がさり気なく補強論を提示したところで、全員がスタジオの中に入り終え、練習が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

──練習開始

 

──練習終わり

 

言うまでもなく。

 

 

 

 

 

 

「みんな、良き演奏だったわ」

 

友希那が労いの言葉を述べる。それは他のメンバーも同じだった、体がゾクゾクする生まれて初めて感じる不思議な感覚、まるで運命かのような親和性の高さ、他では出し得ない、このメンバーだからこそできたと!そう胸を張って言える演奏だった...

 

クールな友希那と紗夜は多くは語らない。紗夜は新天地に思いを馳せ、友希那はメンバーが集まったことに安堵している。その2人とは対照的にあこはテンションが上がる。はしゃぎまくっている。リサは演奏に圧倒されたようで喋らない。喋ることを忘れている。燐子も同様に喋らない。ただ、幸ある素晴らしい未来を期待しながら、4人を見つめている。

 

 

「明日からこの5人で行くわよ。覚悟はできてる?」

 

「「「「はい!!!」」」」

 

 

 

 

 

(...メンバーは揃ったわ)

 

(このメンバーで必ず、フェスに!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

リサの感じた気配は、決して気のせいなどではない。

 

確かにあの場に居た。

 

そして今、スタジオの扉の前に居る。

 

スタジオの扉の前で演奏を盗み聞きしていた少女が居る。

 

彼女はこの場において唯一、この状況を良く思わない存在である。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

そして各々の感想を聞くが否やバツが悪そうにその場を去っていった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 




そういえばまだバンド名決めてないですね。まあRoseliaになるんですけどね(ネタバレ)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。