ACE COMBAT For beautiful sea For dirty sky   作:タクネモ・シグレ

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第1話『始まりの輝』

俺達が飛行場に着くと、すぐに召集がかかった。こんな時間にブリーフィング?と怪しみながら指定された部屋に入る。偉そうな爺さんと、痩せ眼鏡。

「集まったかね?私は、西部軍管区司令のアンドレイ・ヴァレリーヴィッチ大将だ。早速だが、任務を伝える。ミハイル君、頼む。」

あ、あの爺さん、本当に偉かった。

隣の痩せ眼鏡も口を開く。

「はい。えー、本作戦は軍事衛星破壊任務である。作戦名は『オペレーション ゼロブレイク』。第279艦載戦闘航空連隊第2中隊各機は衛星攻撃ミサイルを装備し、明日0600に本飛行場を出撃。目標の衛星への攻撃を・・・」

「目標の衛星ってのは、どこのですかい?」

うちの隊長が、皆が一番知りたかった事を聞いてくれた。

「・・・その事については、答えられない。」

1つ分かったこと。うちのじゃ、無い。

「まぁミハイル君。任務を遂行するのは彼らだ。教えても良かろう。」

「し、しかし、機密上の問題が・・・」

「彼らは皆、この飛行場に居る。外部に漏れる心配は無いよ。」

あら以外。この偉い爺さんは下っ端に優しい人だったか。

「分かりました・・・攻撃目標はアメリカ合衆国の軍事偵察衛星である。」

室内に衝撃が走る。

何?アメリカだと!?

「驚いただろうが本当だ。我々は、アメリカ合衆国との戦争に入る。」

「おいおい!世界滅んじまうぜ!良いのかよ!」

タドコローマ・エノコトスキー少尉が食って掛かる。無理もないが・・・

「静粛に!皆が狼狽える気持ちも分かるが、これは我が国の存続に関わる事なのだ。ウラジーミル大統領の決断だ。」

「異論はありません。」

声が挙がる。この柔らかい声は・・・アオイ・コトノハ上級准尉。

「私は、この国の為なら何とだって戦ってみせます。」

同年代の中に、ここまでの覚悟を持った奴が居るとは思いもしなかった。凄い奴だ。

「ありがとう。君のような兵士を、ロシアは今、欲している。」

偉い爺さんが、彼女の手を固く握る。

彼女も、握り返す。

微笑みながら。

しかし、二人の目は・・・どちらも笑ってはいないように見えた。

 

──────────────────

『Opening war』

4.January.2025 06:00

Russian Federation Noyabrsk Airport

63.181906,75.274660

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いよいよだ。

格納庫へ向け、隊の仲間達と共に歩く。

皆が皆、不安と緊張の混じった顔で談笑しながら歩く。こんな時ほど口数が増えるのは、人間の本能なのだろうか?

自機の前へ行く。

スマートな機首、その脇に装備されたカナード翼、薄く大きな主翼、それらを滑らかに繋ぐブレンデッド・ウィング・ボディー・・・

何時見ても美しい。

Su-33。

俺の愛機。

俺達の機体。

コックピットに乗り込み、エンジンを回し始める。各種機器のチェック、動翼の動作確認、エンジンが正常に稼働してるか確認。全ての項目を確認し、隊長に報告する。

「こちら『SKOPA9』、出撃準備完了。」

《了解した、『SKOPA9』。》

これでよし。あとは、命令を待つばかり。

《よーし、各機準備完了したな?こちら『SKOPA隊』、これよりタキシングに入る!》

相変わらず、威勢の良い人だ。

《了解、『SKOPA』隊。こちらは、AWACS『BOOBIES』。貴隊の管制にあたる。》

《了解、『BOOBIES』。よろしく頼む。》

彼が俺達の新しい管制官か。冷静な声。頼りになりそうだ。

タキシングを開始する。

機体がゆっくりと動きだす。

その間にも、先にタキシングしていた機体が、次々離陸していく。

《うぅ~、いつもより緊張する~。》

《お姉ちゃん、ホントはそんなに緊張して無いでしょ?》

《流石に緊張するわよ~。》

相変わらず、コトノハ姉妹は仲が良いようだ。

《二人とも集中して。隊長も何か言ってください。》

「大丈夫だよ。俺は2人の腕を知ってる。ミスなんかしないさ。」

《そういう意味じゃないんですが・・・はぁ・・・。》

ユヅルは相変わらず真面目。いい奴なんだが、少し堅いんだよなぁ。

俺の率いる第4小隊は4機編成。1番機兼小隊長の俺、2番機のアカネ准尉、3番機アオイ上級准尉、4番機のユヅル准尉。この4人で小隊を組んで、早半年。まさか、実戦に出ることになろうとは・・・。

「こちら『SKOPA9』、離陸準備完了。離陸許可を求む。」

滑走路手前まで来た。今回はいつもと違い、巨大な対衛星ミサイルを積んでいる。搭載しているのは、本来、地上車輛から発射される対衛星ミサイルPL-19を、航空機から発射できるように改造したPL-19Tだ。空中発射型ということもあり、小型化・軽量化がなされているものの、それでも重いことに変わりはない。その事に留意しながらの離陸だ。

・・・何故、上はMig-31を持つ部隊にやらせなかったのだろう?

《了解、『SKOPA9』。離陸を許可。Удачи。》

許可が下りた。いよいよ離陸だ。

スロットルを上げる。機体が徐々に加速する。が、やはりいつもより加速が悪い。更にスロットルを上げ、無理矢理上げる。艦上機として開発されたSu-33は低速域での安定性により優れている。上げられる筈だ。

速度が上がっていく。同時に、滑走路の端が迫ってくる。駄目か?と一瞬思ってしまう。が、なんとか適正速度ギリギリで浮き上がった。

《隊長。フラフラしてますけど、大丈夫ですか?》

ユヅルが心配そうに聞いてくる。

「大丈夫だ。ただ、滑走距離が微妙だな。フラップとスロットル、全開で上がれ。」

不安を解消させつつ、アドバイスをするのも、小隊長としての重要な役割だ。

 

10分後、離陸した16機のSu-33は4つの小隊に別れ、それぞれの目標に向かい上昇を開始する。

『SKOPA9』ことヨシュア・ケン・チャパエフ上級准尉率いる第279艦載戦闘航空連隊第2中隊第4小隊も、事前に指定されていた座標から対衛星ミサイルを発射すべく、ほぼ垂直に上昇していく。

さらに数10分。限界高度まで来た第4小隊は、その腹部に抱えた巨大なミサイルを発射する。彼らの役割はここまでだ。他の小隊も順調に作戦を進めていく。この後に起こる混乱も知らずに・・・。

 

《こちら、第1小隊。任務終了、これより帰投する。》

第1小隊から通信が入る。どうやら、作戦は上手くいったようだ。

「了解、第1小隊。こちらに誘導する・・・待て。第1小隊!後方よりボギー!機数10!急速に近付く!」

《何!?どこだ・・・見つけた。全機、後方よりボギー!ブレイク!》

一瞬、通信が途絶える。

「誰か、状況を報告せよ!」

《クソッ!隊長が!隊長がやられた!》

《2番機、後方に敵機!ブレイク!》

《クソッ!来るな!来るな!!》

《2番機被弾!撃墜された!》

《4番機!正面!》

《なっ!?》

《クソッ!4番機!正面からもろにミサイルを!》

途絶える通信。再び声が聞こえることは無い。

レーダー上から、第1小隊の光が消えた。

 

[同時刻:アメリカ合衆国・首都ワシントンD.C.]

「・・・やられたか。」

「はい。」

我が国の保有する偵察衛星がやられた。宣戦布告から30分。綿密な計画の上、か。

「今回の攻撃、どいつが動いたか調べとけ。」

「了解。」

だが、まだだ。我々は既に、ロシアの各航空部隊の動きを“人の目で”監視し続けている。この“目”がある限り、我々は負けないはず・・・

「レーダーに感あり!高速の飛翔体近付く!ミサイルです!」

「何!?」

馬鹿な!何故、首都を直接だと!?

「発射地点の特定急げ!MDはどうした!?」

「陸軍PAC-3部隊が迎撃中!」

「発射地点、特定できました!これは・・・」

次の瞬間、空が眩い光を放った。

 

[5分後:ロシア連邦・ノヤブリスク空港]

任務を終え、飛行場に帰る。既に滑走路には、他小隊の先輩達が居ることだろう。進入コースがずれた俺達は、必然的に作戦の遂行が少し遅れた。作戦に狂いが出るほどでは無かったが、結果として、帰還が遅れた。きっと、怒られる。そんなことを考えていた。

《隊長、様子が変です。》

ユヅルが声をかけてくる。

「変って言うと?」

《飛行場に、帰還機が居ません!》

「何!?」

飛行場に目を落とす。確かに1機も味方が居ない。先輩達は!?

《こちら『BOOBIES』。よく戻った第4小隊。》

AWACSの声も重い。

「AWACS、何があった?」

《とりあえず、着陸してくれ。君たちの“艦長”が説明してくれる。》

艦長も来ているのか。

間違いなく、何かが起きた。

何か、悪い事が。

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