Fate×ネギま リメイク   作:混ざり者

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十四時間目 長谷川千雨の秘密

 

三月某日、今日は終了式の日だった。

ネギ達は今日も元気に校舎までの道を走っている。

 

「先生、おはよー!」

「おはよう、ネギくんっ!」

「おはようございます!」

 

ネギは近くの生徒達に挨拶をしながら進んでいる。

そうしていると、前方にもう一人の生徒がいることに気がついた。

 

「長谷川さん、おはようございまーす!」

「………どうも…」

 

声を掛けられた生徒……千雨は無愛想に返事をするが、ネギは気にせずにそのまま校舎へ走っていった。

 

「……何でアイツらは遅刻でもないのに、態々走ってんだ?」

「全くです」

「うわっ!」

 

独り言のつもりだったのに返事がきて、驚く千雨。

振り返るとそこには桜がいた。

 

「な、何だ…間桐か。脅かすなよ」

「すみません」

 

素直に謝る桜。

その後、桜は千雨をジ~ッっと見詰めた。

 

「? 何だよ?」

「いえ……長谷川さんは普通で良いなと思いまして……すみません、変なことを言って」

 

そう言って、桜も千雨を追い越して校舎へ進んでいった。

 

「………何だったんだ?」

 

呆然と呟く千雨。

 

 

長谷川千雨……A組の生徒の中でも数少ない静かで目立たない生徒の内の一人。

普通をこよなく愛し、変人の集まりであるA組の生徒達との関わろうとしないが、そんな彼女にも秘密があるのであった……。

 

 

 

「(あ~~~~~~~!!)」

 

千雨は教室で頭を抱えていた。

その原因は、先ほど行われた終了式での発表にある。

ネギが正式な教師になり、春休み明けからは三年A組の担任になると決まったのだ。

麻帆良学園は基本的にクラス替えをしない為、千雨は今後もネギの生徒であることになったのだが…

 

「(前から思ってたけど、十歳のガキが先生とか可笑しいだろーがっ! 何で誰も突っ込まねぇんだよ!)」

 

このように、あまりにも非現実的な状況に頭を痛めていたのである。

そんな千雨を余所に、ネギや生徒達は盛り上がって放課後のパーティーの話し合いをしている。

 

「(あ~~……もう駄目だ…)」

 

我慢の限界を超えた千雨は立ち上がる。

 

「ど、どうしたんですか、長谷川さん?」

「気分が悪いので、早退します」

 

千雨はネギの質問にすぐに答えて、荷物をまとめて教室を出て行った。

 

「あ……」

「長谷川さんはいつもあんな感じですから、気にしなくても良いですよ」

 

ネギは心配そうな表情をするが、すぐに夕映がフォローに入る。

他の生徒達も口を開いた。

 

「そーそー!」

「ひょっとしたら、長谷川さんも間桐さんみたいに照れ屋さんかもしれないよね」

 

自由にいろんなことを言う生徒達。

当然、話題に出された桜は黙っていなかった。

 

「私は照れ屋じゃありません」

『またまた~♪』

 

いつものようにハルナ達がからかおうとするが…

 

「あ・り・ま・せ・ん・か・ら」

『……はい…』

 

もの凄い圧力を放ってきた為、ハルナ達は流石にからかい過ぎたと反省し、それ以上話すのを止めた。

 

 

 

放課後になり、桜はのどかやライダーと一緒に寮の廊下を歩いていた。

 

「桜さん。どうしてもパーティーには参加しないんですか?」

「しません」

 

桜はパーティーに参加する気が、一切無かった。

ここ最近、生徒達と深く関わりすぎた為、いい加減以前のようにしようと考えているからだ。

当然、のどかは納得できず説得をしているが、効果は無かった。

本当ならネギと夕映、ハルナも説得しようとしていたが、パーティーの準備の為にここにはいない。

 

「でも……」

「無理に参加させるのもどうかと思いますよ」

「うぅ…」

 

更に何か言おうとしたのどかだったが、ライダーの言葉を聞いて口を閉ざす。

そんな時、桜たちがある部屋の前を通り過ぎようとすると…

 

『ちうたんだぴょーーーーん♪』

 

等という声が聞こえてきた。

 

「「「………」」」

 

あまりの衝撃に、三人は思わず立ち止まる。

桜とのどかにとってはもの凄く聞き覚えのある声だったが、テンションが二人の知っているものからかけ離れていたのだ。

 

「……不審者でも入りこんだのでしょうか?」

「いえ…あの声は明らかに――」

「不審者ですよ、ええ」

 

現実を受け入れていない桜は、のどかの言葉を遮る。

部屋に近付くと扉が少し開いていた為、桜はこっそりと中を覗いた。

 

「ど……どうですか?」

「………」

「サクラ?」

 

反応がない桜に不思議がる二人。

二人は顔を見合わせて頷くと、桜と同じように中を覗いた。

そこには…

 

「よしよし! 今月のネットアイドルランキングも、ぶっちぎりの一位!」

 

バニガールの服を着てパソコンを操作しながら、狂喜乱舞している千雨の姿があった。

 

「ふっふっふっ! このまま私はNET界の女王に………はっ!!」

 

クルクル回りながら喜んでいた千雨だったが、その拍子に自分のことを見ていた三人に気がつく。

 

『………………』

 

しばらく無言で見つめ合っていた四人だったが、桜とのどか、ライダーはゆっくりと扉を閉めた。

 

「ちょっと待てーーーーーーーっ!!」

 

寮内に千雨の叫び声が響き渡った。

 

 

 

現在、千雨に捕まった三人は、彼女の部屋で正座をしている。

 

「見たのか?」

「見てません」

「見ただろ?」

「見てません。変な格好(バニー服)を着て喜んでいる長谷川さんのことなんて、全く見てません」

「見てんじゃねぇか!!」

「ひええええっ!」

 

のどかの胸ぐらを掴んで怒り出す千雨。

そんな彼女を見て、ライダーが呆れながら口を開く。

 

「少しは落ち着いたらどうですか、チウタン」

「その名前で呼ぶんじゃねぇーーーーーっ!!」

 

のどかから手を離し、今度はライダーに怒鳴る。

そんな千雨に桜がボソリと呟く。

 

「残念です……長谷川さんに、そんな趣味があったなんて…」

「残念がってんじゃねぇよ! 部屋でする分には個人の自由だろ!」

「………………」

「残念な人を見るような目で、私を見んなっ!」

 

何度も怒鳴る千雨。

少しして静かになり、千雨は三人に背を向けて考え込む。

 

「(ぐあああああっ! どうするっ!? どうにかして口封じをしないと、私の秘密が全校生徒に!)」

 

今まで積み上げてきた『目立たない地味な生徒』の立ち位置を失ってしまいそうな事態に、千雨は慌てる。

そんな彼女に、ライダーが声を掛けた。

 

「チウタン――」

「だからやめろって!」

「………チサメ。誰にも話さない代わりに、条件があります」

「「条件?」」

「ライダー?」

 

千雨とのどかが疑問の声をあげ、桜も不思議そうにライダーを見る。

まさか彼女がそんなことを言うとは、全く予想していなかったのだ。

 

「衣装を何着かと、カメラを貸して欲しいのです」

「………何で?」

 

これまた予想外の発言に、千雨だけでなく桜やのどかも首を傾げる。

しかし、続けて出てきた言葉に、桜は驚くことになった。

 

「いえ……サクラに着てもらって、撮影をしようかと」

「は!?」

 

ライダーの発言に、桜は大声を出して驚いた。

そんな彼女を見て千雨とのどかも驚いているが、桜はそんな二人を気にする余裕もなく、ライダーに詰め寄った。

 

「ちょっと、ライダー! 何考えてるのよっ!?」

「サクラ……テスト期間中、私は邪魔をせずに静かにしていました。他にも少しとは言え協力したのですから、報酬があっても良いんじゃないですか?」

 

因みにライダーの言う協力とは、桜にお願いされてみんなに飲み物を配ったことだったりする。

 

「だからって………うっ!」

「サクラ……」

 

断ろうとする桜だったが、ライダーの潤んだ瞳を向けられて躊躇する。

演技だとは分かっているが、ライダーに協力してもらったのも事実なのだ。

しばらくの間考えて、桜は答えを出した。

 

「………今回だけだからね…」

「!」

 

その回答に、ライダーは喜ぶ。

そんな二人を見て、千雨は準備をした。

 

「(まぁ、それくらいで秘密にしてもらえるなら、安いもんだしな) おい、宮崎。お前も着ろ」

「ええっ!? ど、どうしてですか!? 私は別に、誰かに話したりなんて――」

「いいから着るっ!」

「は、はいぃぃぃっ」

 

こうして、のどかも一緒にコスプレをすることになった。

 

 

 

「うぅ……恥ずかしいです…」

 

のどかは顔を赤く染め、涙目になって俯いていた。

彼女が現在着ているのは、バニーガールの服である。

千雨はのどかのことを写真で撮影し、ライダーは桜が着替え終わるのを静かに待っていた。少しして、部屋の隅で着替えていた桜が声を出したのだが…

 

「すみません。やっぱりこの話は無かったことに…」

「サクラ?」

「何かあったのかよ?」

 

そんな声が聞こえてきて、ライダーは首を傾げる。

千雨は何かあったのかと気になり、桜がいるところまで行った。

 

「あ、長谷川さん! ちょっと待って――」

 

のどかが止めようとするが、少し遅かった。

 

「あ……」

「………」

 

千雨は見た。

桜の傷だらけの身体を。

この事態にのどかは慌て、桜は「しまった!」という表情になった。

ライダーは千雨を気絶させる為に動こうとするが…

 

「ったく。そういう理由があるなら、ちゃんと話せよな。肌をそんなに出さない衣装だってあるんだし」

「「「え?」」」

 

千雨の態度は変わらず、それに三人は驚いた。

 

「? 何だよ?」

「あの……気持ち悪くないんですか?」

 

桜の質問に、千雨は呆れたように答える。

 

「別に驚きはしたけど……気持ち悪いだなんて思ったりしねぇよ。他の奴らだってそうだ。A組は変人だらけだけど、そういうことで何か言ったりはしねぇだろ。クラス内でだったら、もっと堂々とすれば良いんだよ」

 

そう言う千雨に、のどかとライダーは…

 

「長谷川さんが、桜さんを励ましてます……!」

「意外ですね。とても先ほどクルクル回っていた人とは思えません」

 

等と言っていた。

 

「そこ、うるせぇっ!!」

「……ありがとう…ございます…」

「別に礼を言われるようなことはしてねえよ。それで、別の衣装だけど」

 

千雨は桜の為に別の衣装を出そうとするが、そんな彼女に桜は申し訳なさそうに声を掛ける。

 

「すみません。やめようと言ったのは傷だけの問題じゃなくて……」

「じゃあ、何だよ?」

「衣装がきつくて……特に胸の部分が…」

「………」

 

その言葉を聞くと、千雨の動きが止まった。

 

「あの……長谷川さん? ……って、きゃあっ!?」

 

次の瞬間、千雨は桜の胸を揉みしだいていた。

 

「うがああああああっ!! 何だ!? 嫌みか、嫌みなのか!?」

「ちょっ! 長谷川さん、やめ……んんっ!」

「大体、今まではクラス内でも小さい側にいたくせに、何で急にでかくなってんだよおおっ!! くそっ、爆ぜろ! 爆ぜろおおおおっ!」

 

そう……最近になって、桜の胸は大きくなっていたのだ。

元々素質があったのに加え、ネギが着たことで栄養バランスの良い食事を始めた為、大きくなったのである。

そんな桜に嫉妬し、暴走する千雨。

 

「あわわ! と、止めないと~!」

 

のどかは慌てながらそう言うが、ライダーは…

 

「ええい! 私と代わりなさいっ! 羨ましいっ!」

「何言ってるんですか!?」

 

欲望の声がだだ漏れだった。

とりあえず、のどかは何故か部屋にあったハリセンを手にし、千雨の頭を叩いた。

 

「はぐっ!」

 

その衝撃で桜から離れる千雨。

ライダーは桜に近付いて声を掛けた。

 

「サクラ! 大丈夫ですか!?」

「う、うん……大丈夫…」

「………」

 

顔を赤く染め、瞳を潤ませる桜を見て、ライダーの我慢が限界を超えた。

 

「サクラ……」

「……ライダー…?」

 

身の危険を感じた桜はライダーから離れようとするが、ライダーは更に距離を詰める。

 

「大丈夫です、サクラ………優しくしますから――」

「ストップです!!」

「おぐっ!」

 

再びハリセンを持ったのどかが、今度はライダーの頭を思いっきり叩いた。

 

「……ありがとうございます…宮崎さん…」

「いえ…気にしないでください」

 

 

 

その後、ダメージから復活したライダーと千雨は桜に謝り、撮影会が再開された。

桜とのどかは二人の指示で、いろんな服を着せられていた。

 

「あの…もうそろそろ…」

 

メイド服姿ののどかがそう言う。

桜も黙ってはいるが、顔を真っ赤にしてそろそろ限界のようだ。

生まれ変わる前でもこのような格好をしたことがないのだから、当然であろうが。

 

「確かに……もう他の服はないし…」

「この辺りにしておきますかね」

 

そう言って、ライダーはあと一枚だけ写真を撮ろうとするが…

 

「すみませーん。長谷川さんいますかー?」

 

ライダーにとってのネギ(お邪魔虫)乱入!

ネギは返事の確認をせずに、部屋に入ってくる。

そして、メイド服を着た桜とのどかを見て…

 

「わあ! お二人とも、すごく可愛いで――」

「死ィッ!」

 

二人を誉めようとしたネギに、ライダーが蹴りを入れた。

 

「あべしっ!」

「「「せ、先生ーーーーーーっ!!」」」

 

衝撃の展開に驚く三人。

そんな彼女たちに、ライダーはすぐに指示を出す。

 

「サクラとついでにノドカは早く着替えて! チサメは彼の介抱を! 早くっ!」

「「「は、はい!」」」

 

ライダーの勢いに押されて、桜たちはそれぞれ行動した。

 

 

 

「ううん……あれ?」

 

数分経って、ネギは目を覚ました。

 

「ネギ先生、大丈夫ですか?」

「宮崎さん……僕はいったい…?」

「えっと…」

 

ネギに状況を聞かれて、どう答えるか迷うのどか。

そんな彼女に代わり、千雨が答えた。

 

「先生は部屋に来た時に転んで気絶したんですよ」

「そ、そうなんですか?」

「は、はい……そうなんです…」

 

のどかは焦りながら千雨に同意する。

そして、ネギはあることに気がついた。

 

「ライダーさん、どうしたんですか?」

「………」

 

質問にライダーは答えない。

今、ライダーの頭には大きなコブが出来ていたのだ。

当然、その理由はネギを蹴っ飛ばしたからである。

ライダーのお陰で桜とのどかはメイド服姿を、千雨は自分の趣味をネギの記憶から消却することは出来たが、それはそれ。

ネギが気絶している間に、桜の拳骨を喰くらったのである。

 

「何でもないので気にしないでください」

「でも…」

「気にしないでください……ね?」

「はい……」

 

桜の言葉に頷き、ネギはこれ以上ライダーのコブについては触れなかった。

そして、本来の目的を思い出して口を開いた。

 

「あの、パーティーの準備が出来たので、皆さんもどうかと思いまして…」

 

その言葉に、桜たちは顔を見合わせて…

 

「まぁ…偶には参加しますかね」

「(ライダーが迷惑をかけてしまいましたし…) 行きます」

 

そう言って、桜と千雨は立ち上がる。

あっさりと承諾した二人に驚いたネギだったが、参加してくれるということで気にせず、のどかはそんな二人を見て喜んでいた。

ライダーは桜が行くということで、お供をすることにした。

 

 

その後、捻くれたことを言いながらも、千雨はパーティーを楽しんでいた。

桜もほんの少しだけ楽しんでいる様子だった。

 

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