ソードアート・オンライン 戦いに光る鬼 (一時連載休止)   作:かくてる

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やばいこっちの執筆止まんねぇよ




3話 攻略組

「こう……りゃく……組?」

「ああ、前回の69層で感じたんだが、攻略組は今大幅な戦力の減少が見られる」

「でも、血盟騎士団もいるし……」

「その血盟騎士団が、よ」

 

 アスナ姉が冷静に返す。俺もレインさんもその場でただ2人の話を聞くしか出来なかった。

 

「団の中でも精鋭しかボス戦には参加出来ないのよ。ただでさえ人数少ないのに、経験不足なプレイヤーを連れて行ってもしょうがないから」

「……そういうわけだ。ヴェル……と、そこの君も、出来れば攻略組に加入して欲しい」

「えっ、わ、私も?」

「ああ、見た感じ、君も高レベルだろう? 早速で悪いが、70層のボス戦に加わって欲しいんだ」

 

 レインさんはまさか自分も指名されるとは思わなくて、素っ頓狂な顔を晒している。

 

「ま、待ってください。僕もレインさんもボス戦の経験がほぼ無いんです。そんな急に70層のボス戦に参加しろって言われても……」

「分かってる」

「じゃあ……」

「まぁ、急ぎではない。時間はあるから、どうか検討して欲しい」

「わ、分かりました……」

 

 状況の呑み込みは俺よりもレインさんの方が早かった。こういう所も歳が一つ違うだけで変わるのだろうか。

 

「まぁ、堅苦しい話はやめにして、飯食うぞ飯ー」

「もう、キリト君はマイペースだよねぇ……」

 

 2人はもう前線でトップを張っている人達だ。SAOの中じゃこの2人を知らないものはいないし、新聞なんかでも1面飾るくらいの大物だ。

 

「ま、食べるか……」

「ヴェル君! このスープ美味しい!」

「切り替えはやっ……」

 

 レインさんは先程の攻略組の件の話を忘れ、もう食事に没頭していた。

 

 数十分後、先に席を立ったのはキリトさんとアスナ姉だった。キリトさんはもう一度俺のところに来て、肩に手を置かれた。

 

「今はお前達の力が必要なんだ。覚悟が決まったら俺にメールを飛ばしてくれ」

「……分かりました」

「じゃあ、またね、ヴェル、レインさん」

 

 それだけ言い残して、キリトさんとアスナ姉はこの店を後にした。それから数分後、俺達も満腹になった。

 

「お客さん並んでるみたいですし、そろそろ出ますか」

「ほんとだ、もう夜中なのに混んでるねぇ……」

「そーっすね……」

 

 俺達は会計のところに向かった。

 

「お会計、5679colになります」

「えっ?」

 

 レインさんが固まる。ウィンドウを開き、自分の残金を確認したのだろう。すると急に苦しそうな顔をこちらに向けてきた。

 

「ヴェ……ヴェルくぅん……」

「…………いくら足りないんですか?」

「……1500……」

 

 こんな時、パッと1500col出せたらかっこいいなって思う。しかし、あいにく俺も金をあまり持ってきておらず、900colまでしか無かった。だっさ過ぎる。

 

「…………レインさぁん……俺も足りないです……」

「ど、どーするのぉ?」

 

 俺もレインさんもなんとも情けない顔をしていた。しかし、目の前のNPCはただただ俺達が金を払うのを真顔で、しかも無言で待っている。

 

「………………あぁ!?」

「うわぁ! びっ、びっくりしたよぉ……」

 

 俺は思い出し、もう一度ウィンドウを開き、お金では無くモンスターのドロップ品を探す。

 

「あった!」

「な、何してるの?」

「いつでもどこでも換金出来る素材があるんですよ。それが確か……700colだから、足ります」

「うわぁ! ヴェル君救世主っ!」

 

 俺はすぐさまそれを換金する。そして、俺の手持ちは1600colとなった。レインさんにそれを渡し、会計を終えた。

 

「ヴェル君、ありがと、助かったよぉ」

「いえいえ……もう夜遅いですし、今日はお開きにしますか?」

 

 さすがにこれ以上付き合ってもらうのは申し訳ない。今日会った人にここまで親密になれるのは本当に初めてだ。

 

「そう、だね。じゃあ、ここで。今日はありがとう。またね!」

「はい!」

 

 レインさんはそう言って俺に背を向けた。俺はレインさんが見えなくなるまで手を振っていた。

 そして、レインさんが見えなくなってから、俺は壁に背中を預けた。

 

「(…………〜〜〜〜〜っ!!!)」

 

 心臓が破裂しそうだった。圏内なのに〘HPバー〙が減りそうだ。いや減ってる。

 

「(やばいやばいやばい! なんで俺あんな可愛い子と仲良くなってんだよ!)」

 

 気分は最高潮だった。先程までのキリトさんの話を忘れるくらい、俺はもうハイテンションだった。いや、誰でもそうなるって、まじで。

 

「……帰るか」

 

 俺は気分を落ち着かせるために、早めに帰路を辿ることにした。その一歩目を踏み出した瞬間、何者かが高速でこちらに走ってきた。

 

「ヴェルくうぅぅん!」

「おわぁああ!?」

 

 自分の名前を呼ばれながら追いかけられたら、誰であっても怖い。だが、それが美少女だったら話は別だ。

 

「れ、レインさん!?」

「ど、どうしようヴェル君!」

 

 息を切らしながら困った顔をしていた。いや、そんな息切らさないで、可愛いから。ほんとやめて。

 

「き、今日の宿代……無いや……」

「……えぇ……」

 

 俺の家に泊めるか。いや馬鹿、こんな若い女の子を泊めてお前は理性を保てるのか。監獄送りだぞ。

 

「……俺もお金ないですよ」

「うぅ……ヴェル君、自分の家とかないの?」

「……ありますけど……」

「泊めてぇ……」

 

 よし来た。まさかレインさんから言われるとは思わなかった。

 

「え、えええぇ!? レインさん、仮にも俺は男ですよ!?」

「……だけど、頼れるのはヴェル君しかいないんだよ……」

 

 やった。レインさんに1番頼られる男、ヴェルです。どうも。

 というか、どれだけレインさんが好きでも、泊めさせるのは少々問題があるのではないか。レインさんの友人とかも心配するんじゃないか。

 

「……誰か友人には……」

「いない」

「……あぁ……」

 

 俺もほぼ同じだ。友達はかなり少ない。ペアで組んでいるアイトという男とキリトさん、アスナ姉とその他少数しか話したことは無い。

 

「……アスナ姉に聞くか……」

「む、むむむ無理!! 閃光さんの家に泊めてもらうなんておこがましくて無理だよぉ!」

「でも、アスナ姉はセルムブルグに家があるんで行きやすいですけど……」

「やだぁ! ヴェル君私を見捨てるの!?」

「え、ええ……」

 

 泣きついてくるレインさん。やばいぞ、これ傍から見たらレインさんをいじめてるやつみたいだ。さっきから周りの目も冷たいし。

 

「……分かりました。じゃ来てください」

 

 途端、パァァとレインさんの顔が明るくなる。だからそれは反則だって、一生見ていたくなるからそんな顔しないでください。

 

「とりあえず19層に行きますよ」

「はぁーい」

「転移〘ラーベルグ〙」

 

 転移門から俺の家があるラーベルグへ向かう。こっそりお金を貯めて、アイトにも伝えてない秘密の家だ。レインさんが初めての訪問者だと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 俺の家は飾り気のない白い一室。俺の住んでいるマンションである。最近はアイトと一緒にホテルに泊まるので、帰ってきてすらいなかった。

 

「どうぞ」

「お邪魔します……わぁ、綺麗な家だねぇ……」

「俺がリアルで住んでる家を再現してみたんです。お茶入れるんで、そこら辺で寛いでいてください」

 

 俺はキッチンに向かい、茶葉を入ったポットからコップへ2つ分の紅茶を入れる。

 

「(落ち着けぇ……ヴェル、お前は大丈夫なはずだ……お前は鋼鉄の心を持っているんだぞ…………鋼鉄……鋼鉄……)」

 

 どうにか心を落ち着かせ、俺はトレイにコップとポットを入れてレインさんのいるリビングに向かう。

 トレイを持ってるてはもちろんカタカタと震えていた。深呼吸を繰り返してリビングに踏み入れる。

 自分の家なのにレインさんが来るだけで未踏の地のような感覚に陥る俺は変なのだろうか。

 

「お待たせしました、レインさん。紅茶で大丈夫ですか?」

「あ、うん。ありがとうっ!」

 

 レインさんも少し落ち着かないのか、気まずさを感じてきた。

 しかし、意外にも口を開いたのはレインさんだった。

 

「ヴェル君はさ、攻略組……入るの?」

「……まだ悩んでます。死にたくもないですし……」

「私、入るよ」

「えっ」

 

 思わず、素の反応を見せてしまう。確かに、レインさんのレベルは本物だし、実力もあるんだろう。だが、まさかそんな早く決断できるとは。

 

「時間もないみたいだし、結局、ここまでレベルを上げてきたのは死なないためでもあるもん。ボスを倒さないとクリア出来ないんだし、私も攻略組に力になりたい」

 

 歳が一つ違うだけでもこんなに大人になれるのか。俺がまだまだ子供だということを自覚させられる。

 ウジウジするな結城鐘太。覚悟を決めて言うんだ。

 

「……俺も行きます。レインさんを一人にしたくありません」

「……っ……あ、ありがとう」

 

 レインさんの顔が急に赤くなった。お茶が不味かったりしたのだろうか。

 

「ど、どうしました?」

「な、なんでもないよ……」

 

 そう言って、レインさんは勢いよく紅茶を飲み干した。そうして一息つくと、レインさんはこちらを見てきた。

 

「ヴェル君は……お姉さんがSAOで戦ってるってどう思う?」

「き、急ですね……」

「ちょっと気になっちゃって、店で見た感じ、仲が悪いって訳じゃないよね。リアルでもあんな感じなの?」

 

 どうしようか、レインさんに話すべきか。いや、レインさんにこんなに聞かれたら言うしかないか。

 

「アスナ姉は……俺が小さい頃に離婚した母に引き取られました」

 

 結城京子。俺とアスナ姉の母だ。そして、父は結城慎太郎。2人は離婚し、アスナ姉は京子へ、そして俺は慎太郎の方へ引き取られた。戸籍は宮奈(みやな)鐘太だ。

 

「……あ、そうだったんだ……」

「でも、このSAOで再開してから……アスナ姉は俺の事を沢山心配してくれたんです……」

 

 アスナ姉はボスをクリアする度に俺にメールをくれる。2人で出かける時も、何か買ってくれたり、一緒に狩りに出かけたり。俺にとっては自慢のお姉ちゃんだ。

 

「……いいお姉ちゃん……なんだね」

「はい」

「私にもね、妹がいるの」

「へぇ……そうなんですね」

 

 てっきりレインさんの性格的に末っ子かと思っていた。

 

「でも、ヴェル君と同じように、生き別れの妹で今は海外で暮らしているの」

「はい……」

「しばらく会ってないし、そもそも妹が私のことを覚えていないと思うの。でも、私は確かに妹のことを愛していたんだ。だから……いつか生きて帰って、海外で会いたいなって……思う」

「……レインさんは凄いですね」

「えっ?」

 

 俺は心の底からレインさんを尊敬出来た。そう思う俺にはある理由があるのだ。

 

「俺は生きて帰っても……レインさんのようにやりたい事も会いたい人もいないんです」

「…………」

「父さんにも正直会いたくありません。アスナ姉と会えたのは嬉しいですけど……リアルでは会うことはできませんし…………だから本当はSAOで死ぬつもりでもありました」

「だ、ダメだよっ!」

 

 レインさんは身を乗り出し、俺の肩に両手を乗せる。レインさんの顔は今にも泣きそうだった。

 

「ヴェル君はまだ若いんだよ。きっと生きて帰ってきて欲しいって思っている人もいる。それに簡単に「死にたい」なんて言ったらダメだよ……」

「レインさん……」

 

 俺はなんて馬鹿なんだろうか。レインさんに気を遣わせて、自分で勝手にいじけて。本当に馬鹿らしい。

 

「私だって、ヴェル君に生きて欲しい。それで、リアルでもまた中華料理屋さんに連れて行って欲しい……」

「…………ありがとうございます。まさか、今日出会った人に……こんなこと言われるなんて思いもしませんでした」

「ご、ごめんね! なんか偉そうなこと言っちゃって……」

「いえ、そんなことありません。元気出ましたよ」

「そう……なら良かった」

 

 俺はレインさんに微笑み、紅茶を飲み干す。そして立ち上がって思い切り背伸びをした。

 

「さて、寝ますか。レインさん、ベッドはそこの部屋でお風呂はその隣ですので」

「……ヴェル君はどこで寝るの?」

「ここですけど」

 

 俺が指さしたのは今座っているソファだった。さすがにベッドは一つしかないし、レインさんをソファでねさせる訳にはいかない。

 べ、別にレインさんとあわよくば一緒に寝れるなんて思ってないんだからねッ! 

 

「……寝なよ……」

「え?」

「……君がベッドに寝なよ」

「ダメです。この家は女の子はソファに寝てはいけないっていう決まりがあるんです」

「そ、そんな決まりが……」

 

 もちろん大嘘だ。ブラフ、ハッタリ、ネゴシエーション。いや、ネゴシエーションではないけど。ホントだよ。

 

「へぇ、ヴェル君、この家に女の子を泊めたことあるんだ?」

「な、ないです……」

 

 今作ったルールだもの。レインさんが初めてですよ。

 

「とりあえず、レインさんはベッドで寝てください」

「…………ヴェル君もベッドで寝れば?」

「いやいやいや、無理です。心臓破裂します」

 

 無理です。本当に無理です。男としての「理性」が吹き飛びますよ。

 

「……SAOの中なので風も引きませんし」

「でも、それでもダメだよ…………いいや、寝なさい。先輩としての命令です」

「せ、先輩て……」

 

 すると、レインさんは俺の手を掴み、引っ張った。

 

「ほら、早く寝るよ!」

「うぅ……分かりましたから! 離してください!」

 

 ここまで来たら折れるしかない。レインさんの顔は本当に赤かった。レインさんに気を遣わせたくなかったが、内心少しだけ嬉しかった。

 

「さ、先にお風呂どうぞ……」

「うん」

 

 そう言って、レインさんはお風呂へ向かった。俺はその間、自分のベッドで硬直していた。

 やばいだろ。もうこれカップルやん。一線超える前のカップルやん。

 今の俺の心臓のBPM200くらい行っているんじゃないかと思うくらい緊張していた。

 

 数分後、レインさんは寝間着に着替えていた。

 

「お、お待たせ……」

「あ、はい」

 

 白色のパジャマ。いやかっわい!! 赤い髪に白パジャマってすっげぇ似合うじゃねぇかよ! おい茅場! ありがとな! でも許さねぇ! 

 俺はそそくさと部屋を出た。

 え、レインさんとすれ違う時すんげーいい匂いしたんだけど。え、うちのシャンプーってあんないい匂いしたっけ。

 

 シャワーを浴びながら俺は頭をフル回転させる。

 

「(落ち着けぇ……お前はアスナ姉の裸を見たことがあるんだ。アスナ姉の一個下の人の体になんか興味ねぇぞぉ……)」

 

 訳の分からない方向に思考をはたらかせてしまっていて、狂ってしまいそうだ。

 段々と顔が熱くなっているのを感じ、のぼせる前に風呂を上がった。

 

「わ、風呂の時間早いね」

「そ、そうですか?」

「うん、男の子だからかなぁ」

「そ、そうですね……」

「……」

「……」

 

 おい、ヴェル。お前何か喋れやボケ。レインさん気まずそうじゃねぇか、なんか盛り上がる話しろよ。

 

「そういえば、レインさんはこのSAOに知り合いはいるんですか?」

「え? ……あー、えっと……いない……かなぁ」

「あ、そうなんですね……」

「……」

「……」

 

 お前いっぺん死んだ方がいいんじゃねぇかヴェルよ。レインさんを傷つけちゃったじゃねぇかよ。

 

「と、とりあえず寝よう?」

「ふぇっ!? そ、そうですね……」

 

 俺は緊張のあまり部屋の隅で立ってしまっていた。レインさんに招かれ、ベッドに入る。

 

「あ、明かり消しますね……」

「う、うん!」

 

 俺はベッドの壁についているスイッチを押し、明かりを消した。俺とレインさんは背中合わせになって寝ている。

 

「(ね、寝れる訳ねぇぇぇぇ……)」

 

 俺はちらりとレインさんの方を見る。すると、レインさんは静かに寝息を立てていた。

 

「(はっや……)」

 

 所詮、俺は男として見られていないということだろう。そりゃそうだ。年下で頼りがいもないガキなんかレインさんみたいな美少女の目に止まることもないだろう。

 

「(はあ……)」

 

 溜息をつき、俺は目を閉じた。しかし、レインさんのいい匂いがずううっと俺の鼻腔をくすぐってくるので、もちろん目も覚めてしまう。

 するとその時、レインさんがこちらを向いてきた。

 

「ね、ヴェル君」

「ふぁい? ……ってレインさんっ!? 起きてたんですか?」

「うん……寝れるわけないよ……」

「で、ですよね……」

「ねぇヴェル君。さっきの攻略組の話なんだけどさ……」

「はい?」

 

 レインさんの声音は先程とは打って変わって真剣なのだと感じ取れた。

 

「死んじゃうのかな、私」

「え……?」

「アスナさんや他の人に比べて私はプレイヤースキルが無い。レベルだけ上がっていって、技術は全然成長しなくて……」

「……」

「怖いよ……私……死にたくないよ…………」

 

 レインさんの体がカタカタと震えているのが分かる。そうだよ、こんな世界で戦うのが怖くないはずがないんだよ。俺だってそうだ。死にたくない、きっとこの世界で死のうと思っても、勇気が出なかったと思う。

 すると、俺の口は勝手に開いていた。

 

「レインさんは死にませんよ」

「ど、どうして……?」

 

 俺が守ります。なんてかっこいいことは言えない。俺だって弱いから、それにレインさんよりも先に死ぬかもしれないから。

 

「……レインさんは強い人ですもん。それに意志が強い人は……そんな簡単に死にません。きっと俺みたいな生きる意志のない奴が早く死ぬんですよ」

「…………だ……」

「へっ?」

「ヴェル君が死ぬのはやだよ。ヴェル君が死ぬなら、私も死ぬ」

「……今日初めて会った人に……そこまで言うんですか……」

「だって、ヴェル君は私を助けてくれたし、悪い人なんかじゃない…………それに……」

 

 レインさんの手が俺の背中に触れる。俺はビクンと体を強ばらせるが、レインさんの手の感触はなんだか暖かかった。

 

「……大切な友達……だからね」

「友達……」

 

 キリトさん以外、誰もいなかった俺には嬉しい言葉だった。友達……友達……ともだち……。

 中学生が友達が出来ただけで喜ぶなんて、情けないかもしれない。でも、それでも俺には嬉しかったんだ。

 

「……そうですね。レインさん、一緒に生き残ってこのゲームをクリアして……あっちの世界で中華料理食べましょう」

「…………うんっ……」

 

 先程の怯えた声から打って変わって、いつもの元気なレインさんの声に戻っていた。一安心した俺はもう一度目を瞑る。

 するとその時、レインさんの手以外の感触が新たに追加されていた。

 

「っっっ!?」

「…………」

「ちょ、レインさん!?」

 

 後ろを振り向くと、レインさんの額が俺の背中に付いていたのだ。

 

「もう少し……このままでいたいな……」

「は、はい……」

 

 レインさんもようやく安心できたということだろう。レインさんの表情は見えないが、きっとそういう事だ。

 ………………ヤバいって、襲っちゃうって。いや、違うな、俺から抱きしめたくなっちゃうよ。

 きっと他の女性プレイヤーがこんなことをしても、ここまで思うことは無いだろう。

 きっと、レインさんだから。レインさんを抱きしめたいって思っているんだ。

 

 今日あって、今日こんな感情を抱くなんて、俺はなんて軽い男なんだろうってそう思った。

 もしかしたら、これもこの夜のテンションから生まれてしまった軽い感情なのかもしれない。朝起きたら本当は全然そんな感情が浮かび上がらないのかもしれない。

 でも、今の俺は心臓が飛び上がるほど嬉しくて、こんなに近くにいるのに安心できて。

 

「(……これが初恋……?)」

 

 今まで抱いたことの無いこの感情こそ、「恋心」というやつなんだろう。

 この日からだろうな、俺がレインさんを好きになったのは。




ちょっと駄文だったかな。
すみませんグダグダして、あと展開早すぎ?
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