Artistic Shiny Night   作:ランドルト流体

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Chapter 2

 大黒PA、ここはかつて走り屋のメッカであった。巨大なループの渦の中心に広がる駐車場は、さながらショー会場。様々なジャンルの車が、金曜の夜になるとひしめき合っていた。現在は毎週行われる検問や、PA閉鎖などで数こそ減らし最盛期ほどではないにしろ、ストリートチューンを拝むことが出来る。

 

 駐車場の端に車を停め、めぐるは外の空気を吸い込む。すうっと肺にいれると、冬の空気の味がした。いつぞやのココアを思い出しながら、隣に停めてある灯織の車に目を向ける。

ソニックブルーでオールペンされたそのマシンは、その強大なパワーを持つエンジンを受け止めるべく、各種にハイレベルなチューニングがされている。足だけ見ても、265のA050に巻かれるのは18インチのGTC01。そこから誇らしげに対向6ポッドのブレンボが覗く。ボンネットにはたくさんのダクトが開き、熱対策への苦労が伺える。フロントのTBOバンパーにはドライビングフォグも装着されていて、堅実な灯織らしい。

 

「めぐる、撮影早く終わったんだね」

「そうだよ!今日真乃と灯織が上がるって言ってたから、わたしも走りたくって!」

「もう、めぐるったら…」

 

そういう灯織だが、こうして三人で走ることは久々だったので、嬉しかったりする。イルミネとしての活動も軌道に乗り、ソロでの活動も増えてきたので、事務所で顔を合わせることも少なくなっていた。

 

「ところで、足のセッティングは決まったの?」

「んー、前よりかはフワッとしなくなったんだけど、今度はガチッ!て感じでステアを切るとグワーッて感じなんだよね…もっとスーッ!て感じにしたいんだけど…」

「ごめん、少しは分かるかと思ったけどダメみたい」

「ええー?ガチッ!をスーッ!にしたいんだよー?」

 

 めぐるのスープラは、なんというか、めぐるらしい。C-WESTのフルエアロに身を包んだその車は、もともとめぐるの父親がアメリカで乗っていたものを譲りうけたものらしい。本国ではドラッグマシンとして使われていたようで、リアハッチのNOSやコンソールのラインロックスイッチなどに名残がある。245のネオバを10.5JのTE37でやや引っ張ったその足元は、よりグラマラスさを強調させるファクターとなる。まさに、車も乗り手もアメリカン。

 そうしているうちに、PA内を回遊していた真乃が戻ってきた。灯織の隣に停めると、火照った顔つきで車から出てくる。

 

「真乃~~~っ!!」

「ほわ、めぐるちゃん…!」

「会いたかったよ~~~二週間ぶりだね!!」

 

めぐるとの大げさな再会を終えると、FDに目をやる。

 

「FDは大丈夫なの?」

「うん。スリップに入ってから思ったより水温が上がるの早くて…」

「私もだけど、やっぱり冷えないのはネックだよね。」

「それに、今日はC1からペースを上げていたから余計にきちゃって…」

「いーなあふたりとも、C1から一緒でー!」

「ふふっ…めぐるちゃん、今度は一緒に走ろうね♪」

 

三人でたわいない会話をしていると、スーパーホワイトのSW20がやってきた。

 

「この車は…」

「わあっ、三人ともこんばんは♪」

「ほわっ、千雪さん…!」

 

颯爽と登場したのは、アルストロメリアとして、トップレベルの人気を博しているアイドル、桑山千雪だ。彼女の車は、外装こそトラストで品よくまとまっているが、リアのエンジンフードを開けると、T88タービンから伸びる太いパイプがトランクルームまで伸びている。テールライト間のリアガーニッシュから覗くインタークーラーが、何とも物々しい雰囲気を醸し出している。更に左片出しマフラーの反対側には、オイルクーラーがこちらを見ている。大人しいフロントセクションに対してヤル気に満ちあふれているリアセクションは、まさに「遠慮しない」仕様である。

 

「この後甜花ちゃんと甘奈ちゃんも来るけど、一緒に走らない?」

「わたしはいいよ!二人は?」

「私も大丈夫、真乃は?」

「ごめんね。そのまま来たからそんなにガスがないの…」

「じゃあじゃあ、わたしの横に乗る?」

「ほわ、いいの?めぐるちゃん…」

「いいよ!むしろ感想を聞かせてほしいな!」

「ありがとう!めぐるちゃん!」

「あと15分くらいで着くみたいだから、ちょっと待ってましょうか。」

「さんせーい!わたし、ココアが飲みたくなっちゃったよ!」

「私もちょうど、喉乾いていたから自販機行こう?」

 

少女たちの夜は、更けてゆく

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