あべこべ世界に提督着任!艦隊の指揮に入ります! 作:full throttle
本編の前に少し話をさせてください。本当に。
この作品に感想が来まして。その感想が「ん?」ってなるものだったので。
私、この前の投稿で
「海軍の元帥として、君には提督になってほしい!」
という文章を書いたんです(既に修正済みですが)。
その感想でどういうことだ?っていうのが来たんです。
その内容は要約すると主人公がいきなり海軍の元帥になるのはおかしくね?って感じだったんです。最初はあれ?って感じでした。わたしそんなつもり毛頭なかったので。
でも少し考えて理由がわかりました。おそらくその方は「海軍の元帥として」が後ろの文にもつながっていると判断したんだと思います。でも私の意図は、要請しているのが海軍の元帥だった、だから「海軍の元帥として」と文の頭に付けたわけです。ここにたどり着いた時に私は爆笑しました。
その感想主様を落とし詰めるつもりは毛頭ございません。ただ日本語って難しいねってだけでの話です。
※立った二日でUA1800。みんなあべこべ好きなんすねぇ。
私?好きじゃなかったらこんなもん書いてないですよ言わせないでくださいよ///
「あれから三か月か……。どうしてこうなったのかいまだにわからん!」
衝撃のエンカウントを果たしてから三か月。彼は鉄柵に遮られた鎮守府と呼ばれる建物の前に立っていた。ちなみに京水の喫茶店からはさほど離れてはいない。スープの冷めない距離ではないが、それなりの距離である。
彼がここに立っている経緯について少し話そうと思う。彼が提督に抜擢されたのは偏に妖精と呼ばれる存在を認識できるという才能にあった。深海棲艦と戦ううえでなくてはならない存在。それが妖精である。その存在を認識できるのはごく少数で、なおかつ男で認識できるというのは天文学的確率になる。
海軍の人間はそこに目をつけた。わざわざお偉方を使って説得しに来た辺りよほど本気である。その話を聞き、一度は断ろうとした克己であったが、恩人である京水の後押しといくつかの条件と引き換えに提督の座に就くことを了承したのだった。
それから三か月。学校で提督の職務をこなすうえでの知識と運動能力を叩きこみ、彼は鎮守府に着任しようとしていた。
「てか、お迎え無しかよ。通達がないんだか、どっちかが時間を間違えてんのか……」
事の真相は克己が時間を聞き間違えて早く来てしまったというのが真相であるが、彼にそれを知る余地はない。少し気分を悪くした克己は早速門に取り付けられたインターホンを
「どうされましたかな?」
「今日から着任することになっている提督だ」
「あら。ずいぶんとお早いご到着ですね」
「どゆこと?」
「提督殿の着任は
左腕の腕時計に目を落とすと今は1345。
「まあ、お早く着かれた分に問題ないでしょう。今係りの者を呼びましょう」
そういうと守衛は受話器を手に取り二言三言それを話しかけると、すぐに受話器を置く。やってくるはずの係りの者を待っている間、雑談に突入する。
「それにしても提督様はいい男ですねぇ。私がもう少し若かったらアプローチしていたでしょうなぁ」
「……」
「ああ、いえ。もう私のような老人にはそんな元気はございません。ただ若い方々がうらやましいという話でございます」
顔を顰めた克己に弁解するように老人は言葉を紡ぐ。ただの話の種として言っただけなのだろう。そう悟った克己は適当な話で時間をつぶすのだった。
一方そのころ、執務室の艦娘たちはそれどころではなかった。世界的に貴重な男が鎮守府を訪れるだけでなく、そのまま提督として着任して指揮を執るというのだ。自分たちの幸運を喜ぶと同時に、免疫のなさを呪ったことだろう。写真を見ただけでまともに言葉を発せなくなってしまった彼女たちがもし実物を見てしまえばどうなるかなど想像に容易い。そうならないために他の男性の写真で免疫をつけようとした彼女たちであったが、そんなんで免疫がつくのならだれも苦労はしない。結局まともな耐性などつけることが出来ないまま、今日を迎えたのだった。
「いよいよ今日か……。胸が熱いな……」
「ふふ、そうね。どんな人が来るのかしら、ね」
そうつぶやいた長門型戦艦一番艦、長門であったが、緊張で心臓が止まりそうになっていた。彼女の妹である陸奥も同じくである。提督なき今の鎮守府の重鎮としての誇りが足を引っ張った結果である。それに比べて空母の母と呼ばれる鳳翔は少し動揺した様子を見せているものの、比較的落ち着いていた様子を見せている。重大そうに見えているのは長良型軽巡四番艦である由良と白露型駆逐艦六番型の五月雨であった。緊張で目に見えるほどガクガクと震え、倒れないようにお互いに抱き合っている。彼女たちは解任された前提督の秘書艦であったため、この場にいる。
五者五様の反応を見せている執務室にいる五人。静けさに包まれた執務室、提督の到着をハラハラとしながら待っていると突然執務室の電話が鳴り響いた。
「キュゥーーー!?」
「ちょっと長門!?」
「長門さん!?」
神経が張り詰めていた長門は、突如として鳴り響いた音に大きく衝撃を受ける。あまりの衝撃の大きさに彼女の張り詰めていた神経はプツリと切れ、威厳をかなぐり捨てるような奇声をあげながら地面に倒れこむ。当然の事態にギリギリで持ちこたえた陸奥と比較的余裕のあった鳳翔は彼女のもとに駆け寄っていく。その間も電話は鳴り続けている。
「ご、ごめんなさい由良ちゃん。私たちの代わりに電話に出てもらえるかしら」
白目をむいて倒れこんだ長門の介抱で忙しい二人に電話を取ることはできない。鳳翔の一声で由良がとることになる。震える足で電話に近づき受話器を取り、その向こうからの声を聴き取っていく。
「……はい、……はい、……えぇ!?。わ、わかりました」
チンという音とともに受話器が置かれると由良は震える唇で受話器からの伝達を二人に告げる。
「あ、あの、新しく着任される提督さん。もうご到着されたようです……」
「ええ、一時間以上早いじゃないの!ちょ、ちょっと手が離せないから由良ちゃんと五月雨ちゃんお迎えに行ってくれるかしら!?」
「ええ!?わ、私たちですか!?……わ、わかりました。行ってきます!」
緊張で爆発しそうな二人であったが、このまま長時間放置し続けるというのも失礼極まりない。心臓が爆発しそうなのをグッとこらえながら、長門を運ぶ二人に背を向けて二人は鎮守府の門へ向かって駆け出した。
「そういうわけで私の旦那はドロドロにされたんですよ」
「ズイブントカンドウテキナハナシデスネ」
どう反応すればわからない守衛の話を聞きながら迎えを待っていた克己は視界の端で人影を確認する。その方向を向くと、地面に付きそうなほど長いピンクの髪をポニーテールにし、さらに紐を巻き付けるようにして束ねている少女と青の腰ほどの髪を振り乱しながら走る少女がこちらに向かってきていた。そして彼の目の前で停止すると軍人然とした機敏な動きで敬礼をする。
「「お、お待たせさせてしまい申し訳ありません!」」
息を荒げたまま申し訳なさそうに敬礼をする二人を見て克己は一応敬礼を返しながら楽にするように伝える。
「楽にしてくれて大丈夫だよ。もともとこちらが時間を間違えたのが始まりだ。それで君たちに申し訳なさそうにされたらこっちも気を悪くしてしまう。早速で悪いんだが執務室に案内してもらってもいいか。由良、五月雨」
こめかみを抑えながら捻りだした彼の言動が予想外だったのか、二人は慌てた様子で応答する。
「「は、はいぃ!こちらでございますぅ!」」
二人がぎくしゃくとした動きで歩き始めると、彼がその後ろをついていく。手足が一緒に、なおかつほんの少しの段差で転びそうになっている二人を見て克己は少しおかしくなってしまい、小さく噴き出した。
「こ、こちらです」
克己が案内された重厚なつくりの扉の横には大きく『執務室』と書かれた札がかけられている。この先で一体何をするのかを明白に示しており、彼女たちがしっかりと職務を果たしたことも同時に証明された。
「二人ともどうもありがとう。それじゃ……」
緊張で半分目を回している二人を余所に、克己は扉をあけ放ち中に入る。執務室内には誰もおらずひたすらに静かである。
執務室に踏み込んですぐ、克己は異変に気付く。案内役の由良と五月雨が執務室に入ってこず入り口で立ち止まっているのだ。二人のほうに歩み寄っても何のアクションも見せない。動けなくなっているのかと思い、適当に反応を窺っているとようやくその正体に気付く。
「あ、気絶してーら、これ」
男性耐性のない二人にとって、克己からの感謝の言葉というのは道端で爆弾を拾うのに同じ。その甘美な響きに衝撃を受けた二人は立ったまま気絶するという初めての経験をすることになったのだった。
克己が執務用の机に座りそこに置かれた資料を読んでいると、ノックが響き渡る。克己が入室の許可を出すとゆっくりと扉が開けられ顔をのぞかせる。
「長門さーん。新しい提督さんもう着任したってホント?だったら挨拶させ、て……」
扉を開けた直後は明るくはっきりとしていた声色が開かれていくにつれて尻つぼみに小さくなっていく。扉の向こうにいたのは緑色の髪の毛を由良のようにポニーテールにリボンでまとめたセーラー服っぽい格好の少女、夕張型軽巡洋艦夕張であった。克己の姿を視認した夕張は顔を赤くしたり青くしたりと忙しそうにしている。
ちなみにであるが、今回着任する提督が男性であるということは執務室にいた五人にしか知らされていない。男が来るなどと伝えたら浮足立って鎮守府の運営がままならなくなるからというのは長門談である。
まさか提督が男であると思わなかった夕張はパクパクと口を動かしながら状況を必死に理解しようとしている。
「お、おぅ、おとっ、おつっ」
そんな彼女は完全に状況を飲み込み終わると
「オトゥウ……」
同時に気絶した。脳の処理能力が目の前の状況を処理しきれなかったのだ。短時間で三人もの気絶者を出した張本人は何となく悪気を覚え始めたが、今は彼女の介抱を行うことのほうが先である。資料を机の上に置くと扉にもたれかかったまま気絶した彼女を介抱するために歩み寄るのだった。
ちなみに私は由良さんが好きです。五月雨と夕張はそれつながりで出しました。
あとこの小説は基本的に、不定期・ガバガバで進行していきます。作者があべこべを楽しむものですので、「あれ、ここおかしいやんほんま使えへんわコイツゥ」ってなる人はとっととブラウザバックを推奨します。
そんでは説明を終えたところで今回はおさらばです。
次回はいつになるか未定。震えて待て。