>ここでサーヴァントだけ生き残ったら修羅になるわ
熱い。熱い熱い熱い!
私が生まれた炎、私を産み落とした炎!
ああ──ああ、ああああああ!!!
炎に身を焼かれて目を覚ます。全身が痛くて、熱い。それでも、歯を食いしばって身を起こす。あんなに近くにいたはずの、マスターがいない。
「どこに──」
せめて一緒に死のうって思ったのに、あいつはいないし私は生きている。敵を焼く炎も切り裂く剣も失った、ただの外見相応の女でしかないのに、私はまだ生きていた。
「ぐ、う……うう……」
絶対にどこもかしこも折れているけど、無理やり動かす。あいつがもし生きているなら、こんな、炎の中にいさせちゃいけない。あいつの死は──こんな中で迎えていいものじゃない。
私は、「私」だから、そんな最後は許せない。
ズタボロの体を引きずって、ようやく見つけた。……助かる助からないじゃなく──もう、死んでる。というか死んでてほしい。そう思うくらいの……傷というには大きすぎる、欠けだった。
「う、う……」
希望を裏切るように、それが呻く。激痛にかすかに悶え、震えるようにのたうつ。
……何がどうしたら、帰れるって段でこんな目に遭うのよ。なんでこいつがこんな目に遭わなきゃいけないの。
──何かを救ったら、用済みになって捨てられるのがこの世界なの?
「ジャンヌ……?」
濁った目が宙をさまよう。目が合わない。片腕でその体を引きずって、火のない所に連れて行こうとして、飛行機の外壁の破片に躓いて転んだ。無様に倒れて、血が広がる。
マスターはそこでようやく気づいたのか、煤けた顔を私の方へ向けた。
……よかった、そう言うように口を動かして、笑って──目を閉じた。ずるり。芯がなくなったように体がだらりと力をなくし、腕から落ちた。
動かなくなったマスターを前にして、座り込んでいた。痛覚が麻痺したのか、体の痛みは随分マシになっていた。けれど、私は何もできずに転んだ場所から動けなかった。
……もう立てない。立つ意味が、見い出せない。
「なんで、なんでよ……」
ぶすぶすと肉が焼ける嫌な匂いが立ち込める。熱が私の頬を撫でて、涙が溢れる前に蒸発させる。血でベチャベチャになった土に爪を立てて、握る。
「うあ、ああ、ああああ──!」
──呪ってやる。呪ってやる。
世界を救ったお返しにこんな末路を押し付ける世界なんて、救うんじゃなかった! 世界を救ったただ一人にすら──幸福を許さない世界なんて!
滅びてしまえ、今すぐに!
泣き叫ぶ。それはたぶん──新たな復讐者の産声だった。
エンド1-C
ほのおにまかれてうまれるもの