ゴンになったのでクソ親父をぶん殴りに行く   作:GON2929

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私はゴン・フリークス

 

一人の少女が、少女の何倍もあろうかというキツネグマの傍に寄り添っている。

キツネグマは少女を襲うとはせず、見た目に反して静かに彼女の体重を支えていた。

 

 

「コン」

 

 

少女は優しくキツネグマ...コンに話しかける。

 

 

「これからはもう会えない。...私、ハンターになるから。」

 

 

ハンターとして、コンに関わるリスクを説明する。

 

 

「コンはもう、森の長だから迷惑かけたくないの、分かるよね......?」

 

 

 

一人と一匹は、共に三年間を過ごした友人同士だ。

少女はコンの言いたい事が分かった。

証拠に、コンは彼女の側を離れると、アピールのごとく己が同胞の群れに混ざった。

 

彼女はその光景を目に焼き付けると、涙目になるのを抑えながら笑顔で手を振り、走り出した。

 

 

「バイバイ!元気でね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女......ゴン・フリークスには前世の記憶がある。

 

それを思い出したのは3年前、8歳の頃である。

ゴンは窮地に追い込まれていた。

前方にはすっかり興奮しきったキツネグマの成体。

自らの肩には軽症を負い、キツネグマを恐れ、走る勇気を失っていた。

 

 

背中を向けたら、最期だ。

 

 

 

ゴンはいつもよりたった少しだけ、山の深くに足を踏み入れたつもりだった。

それがこんなことになるなんて思いもしなかった。

大丈夫であると、何の確証もない只の慢心。

ゴンは心から後悔した。

 

 

キツネグマの大きな鍵爪が、ゴンに襲い掛かる...そこに人影が颯爽とゴンとキツネグマの前に立ち塞がった。

 

 

髪の長いキャスケットを目深に被った長身の男が仕方なさそうに喋る。

 

「子連れキツネグマか......気の毒だが人間を傷つけちまった巨獣は、処分する決まりだ」

 

 

そのセリフと共にあっという間にキツネグマの巨体は地に倒れた。

 

 

 

「立てるか?」

 

「あ、うん」

 

 

まだ理解が追いつかず、ふらふらと男の元に歩み寄る

 

その瞬間、ゴンの頭に強烈な衝撃が走った

 

 

「馬鹿野郎!!こんな時期にヘビブナの群生地に入るヤツがあるか!!」

 

 

頭を殴られた衝撃で後ろに吹っ飛ばされながら、ゴンは別のことを考えていた。

 

 

 

 

あれ、この人カイトじゃね?

俺って......もしかしてゴン・フリークス??

 

 

 

 

記憶では自分は公立高校に通う、極々普通の男子高校生だった筈だ。

こんな野山を駆け回る野生の子供では無かった。

それが何で今、キツネグマに殺されそうになり、カイトに説教されているのだろうか。

 

 

こんこんとカイトの説教もとい、キツネグマの習性について教えられる。

 

 

「お前の親父は、そんな事も教えてくれなかったのか!!」

 

 

怒鳴り声にハッとして答えた

 

 

「親父はいない......オフクロも......オレ、おばさんの世話になってるんだ」

 

「......そいつは悪かった」

 

 

ゴン・フリークスの父親、ジン・フリークスは世界中を飛び回るハンターだ。

育て親のミトさんには死んだことにされていたが、実は生きているのだろう。

 

証拠にキツネグマの子供を育てると決意し、カイトに視線を向けると、ジンという名前を出された。

 

 

「オジサン、親父を知っているの!?」

 

 

「オジ......いや、いい。

オレはカイト、ハンターの端くれさ。

ジンさんはオレの師匠だ」

 

 

そしてカイトにハンターの事や親父のこと、他の国や島の話し、これまでの旅の話しなど色々な事を教えてもらった。

 

 

本当に俺は、ゴンになったんだ......

 

 

カイトの話は、そう実感するような夢のような話だった。

 

 

 

ゴンはカイトの事が人として大好きになった。

そして同時に父親、ジン・フリークスへの不信感が生まれた。

 

ハンターハンター読んでた頃から思っていたけど、ジンってやっぱクソ親じゃね?

 

 

知り合いに我が子を預け、育児放棄して自分はやりたい放題。

そらミトさんが俺に嘘をついた理由は分かるわ。

我が子同然に育てた子に、アンタの親父は子供ほっぽって世界中旅して好き勝手してますよーっなんて言えないよな。

 

 

 

「彼は俺が知る限り最高のハンターだ。

ジンさんに会わなきゃ、オレは今ごろスラム街の路地裏で野垂れ死んていただろう」

 

 

憧れのひとを思い出してキラキラした顔をしているところ悪いが、貴方の目の前には育児放棄された子供がいますよ。

 

 

カイトは一通り話すと、ジンを探すといいゴンの前から立ち去った。

カイトの忘れ物...ジンのハンターライセンスを残して。

 

 

 

三年間俺はひたすら考えた。

このまま原作通りに進めば、いずれゴンはハンターになるだろう。

 

それは正直怖い。

 

医者予定のレオリオ、はまだ良いとして。

側には復讐に取り憑かれたクルタの末裔と、ヤクザすら恐れる暗殺一家の三男がいるんだぞ。

 

どんだけ原作知識知ってても巻き込まれる事は必須。

絶対大怪我どころか死の淵を彷徨うことになる。

嫌だ、主人公補性で助かるとは分かってても、痛いのは絶対に嫌だ。

 

 

原作ゴンが聞いてたら何言っとんだこいつって思われるようなことを考える。

 

 

けどゴンみたいに騒動に自ら飛び込むやつが、例えくじら島に残ったとしても何かしら不吉なことが起きる気がする。

 

ハッ、そういえばあの蟻編ってくじら島にまで影響を及ぼすのか?!

 

 

そうなると、ミトさんも、ミトさんのおばあちゃんも死んでしまうかも。

 

 

俺はミトさんの事が大好きだ。

怒った時は怖いけど、基本的には優しいし、他人の子供を大切に育てあげる根性に素直に尊敬する。

ミトさんや、くじら島の人たちを守るためには、強くならなければ。

その為には念を覚えて...でも念を覚える為にもまずはキルアに会わなければ。

ゴンたちの念の師匠、ウイングさんにはキルアと共に学ぶ事になる。

現状俺の周囲に念を使えそうな大人はいない。

スムーズに念を習得する為にも、原作通りにハンター試験に行った方が良いだろう。

 

 

そうして考えがまとまった俺はミトさんにハンターになりたい。と報告した。

 

 

ミトさんは分かっていたとばかりに、酒をあおった。

 

 

「あいつ、まだ赤ん坊だったあんたを捨てたのよ」

 

 

 

鋭く吐き捨てた言葉に、ミトさんのこれまでの苦労が集約されている気がした。

突然預けられた時、彼女は一体どんな気持ちだったのだろう。

 

 

それでも

 

 

「ハンターって、それだけすごい仕事なんだね」

 

 

「ゴン......」

 

 

 

ミトさんやくじら島のみんなを守るため。

 

何より育児放棄のクソ親父を一発ぶん殴ってやる為にも、俺はハンターになることを決意した。

 

 

 

「ゴン、ならまずはあんたは女の子として身なりをしっかりしなさい。話はそれからよ」

 

 

 

 

一抹の不安を残して......。

 

 

 

え、なんで俺女の子なの?





【設定】

ゴン・フリークス(性別:女)
11歳→12歳
元男子高校生。
ハンターハンター原作知識あり。(一部うろ覚え)
転生してゴンになるも、何故か女の子。
髪型はツンツンではなく、ストレートのミディアムショートぐらい。
服装は原作通り緑の民族衣装だけど、上着はキュロットっぽくなっており、下はショートパンツを履いている。
キメラ=アント編でくじら島に影響を及ぼさないために。
又、実父ジン・フリークスを一発ぶん殴る為にもハンターになることを決意する。


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