ゴンになったのでクソ親父をぶん殴りに行く   作:GON2929

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試験会場にて

 

 

 

「焼き方は?」

 

「弱火でじっくり!」

 

「あいよ」

 

「お客さん、奥の部屋へどうぞー!」

 

 

 

ごく普通の定食屋で行われる平凡な会話、全てナビゲーターから指示された通りだ。

第287期ハンター試験会場は、この定食屋のエレベーターから地下100階に通じていると聞いた。

1万人に一人、これは試験会場に辿り着ける割合らしい。

もし仮にこの定食屋で一般人が全く同じ受け答えしたら、間違って一万人に一人になる可能性があるのでは?

そんな風に考えつつも、ゴンは出されたステーキを口いっぱい頬張った。

 

 

 

「おいゴン、お前よく試験前にそんなもん食えるよな」

 

げんなりとした表情のレオリオに、意外と繊細なんだなと場違いな感想を抱く。

 

「美味しいよ?」

 

「いやそうじゃなくてだな…」

 

「ゴン、私も共に行動し、考えていたのだが君は女子だろう?

その、もう少し女性としての嗜みを...」

 

 

クラピカからまるでミトさんみたいな小言を言われ驚く。

こんなシーン原作に無かったし、女になったことでキャラ同士の関係性が変わったのかな。

いやよく考えたらクラピカって小言キャラだったな。

 

どちらかというと変わったのはレオリオだ。

試験会場にたどり着くまでに、困難を三人で乗り越えてきた。

しかし原作みたいにレオリオの粗野で大雑把な部分が少なかった気がする。

異性がいる事に彼なりに気を使っているのかもしれない。

 

呆れた顔をする二人にあえて何も言わずニコニコとステーキを食べ進める。

 

だってステーキが旨すぎるもの。

 

 

地下100階に着くと豆頭の試験管がレオリオ、クラピカに続きゴンに405番のプレートを手渡した。

原作知識があるゴンは、4次試験の対策で早々にプレートを仕舞い込んだ。

 

「…ゴン?何故プレートを鞄の中に仕舞うんだ?」

 

クラピカが不思議そうにゴンに尋ねる。

 

「私、物とかすぐ失くしちゃうからさ」

 

えへへと照れた顔をして誤魔化した。

クラピカはなるほど、と呟きそれ以上言及しなかった。

 

 

三人の元に一人の受験生が近づいてきた。

 

 

「よ、オレはトンパ。よろしく」

 

出たよトンパさん…

 

 

「お近づきの印にこれ…

 

「トンパさんこのジュース腐ってるよ」

 

トンパの言葉を最後まで聞かずスパッと言い放つ。

 

「行こう、レオリオ、クラピカ。

 

それじゃあね、トンパさん」

 

「あ、あぁ」

 

 

 

「珍しいじゃねーか、ゴンが話も聞かず立ち去るなんて」

 

ゴンは原作通りにトンパと仲良しごっこをする気は無かった。

あの人がどれだけ改心しても、歪んだ感情でハンター試験の受験生を陥れてきたことに変わりはない。

ああいう人間には最初から近づかないのが得策だ。

 

 

「だって、あんな腐ったジュース渡そうとしてくる様な人、怪しいもん」

 

「…ふむ、我々はゴンを侮っていたようだな。

謝罪するよ、ゴン」

 

「二人とも私のことをどう思ってたのさ」

 

「「単純一途」」

 

ハモった声にゴンは怒る気も失せ、三人同時に笑いあった。

 

そんな和やかな雰囲気を切り裂く凄まじい奇声が、試験会場にこだました。

 

「ウガァアアア!!」

 

 

「何だなんだ?!」

 

 

注目の中心にいた人物は、腕が無くなり蹲る人物を上から見据えると言葉を繰り出した。

 

 

「気をつけようね◇人にぶつかったらまず謝らなくちゃ♠︎」

 

 

奇術師ヒソカだ!

 

そう誰かが声を上げるとその場には動揺が広がった。

去年の噂を知っているものは元より、今日初めて出会った者すらその不気味な存在感に恐れを為した。

 

あー無理。

絶対近付かないでおこう。

目をつけられて青い果実なんて言われた日には終わる。

うん、ごめんレオリオ、クラピカ。

君たちのこと見捨てるわ。

 

まだ試験は始まってもいないのに、これから巻き起こるヌメーレ湿原での凶行に手は出さないと固く誓った。

 

 

 






うちのゴンちゃんは少し冷たいです。
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