ゴンになったのでクソ親父をぶん殴りに行く 作:GON2929
目の端にトンパと会話しているふわふわの銀髪の少年が映る。
下剤いりジュースを物ともしない少年キルアを、トンパが呆然と見送っているのを横目に確認した。
キルア・ゾルディック。
今後ゴンとはながーくふかーい仲になる暗殺一家期待の次期当主だ。
生意気そうな猫目の少年キルアは、スケボーを操りゴンの前を通り過ぎる。
その時バチリと目が合った。
しかしふいっと直ぐに視線を逸らされた。
キルアがゴンを無視する...何かショックだ。
もしかしたらゴンの視線を鬱陶しく思ったのかもしれない。
ここでキルアに嫌われる展開とか、予想だにしなかった。
その時試験開始の合図が鳴った。
気を取り直して試験官の説明を聞く。
「2次試験会場まで私について来ること。
これが一次試験でございます。」
サトツはそう言い放つと徐々にペースを上げていった。
数十キロも走り続けると、隣で走っていたレオリオは突如奇声を発し裸ネクタイで必死にゴンたちに追いすがった。
それを見たクラピカも、自前の民族衣装を仕舞いより走り出す。
ゴンは二人(ほぼレオリオ)を応援しつつも、キルアの気配を探った。
うーん、ここまで来てまだキルアから声がかからない。
本来なら「君、年いくつ?」「もうすぐ12歳!」なんて会話で二人の出会いが始まる筈なのに。
レオリオのペースも上がり、最後尾付近だったのが一気に前へ出る。
ようやく、前方に居たキルアがスケボーで悠々自適に試験管の背後をついていってるのが見えた。
今ここで声かけないと、この先いつチャンスが来るか分からない。
ゴンはレオリオとクラピカに断りをいれ、キルアの元へと走った。
「こんにちは!」
「...なに」
笑顔で声をかけたのに、キルアの態度は素っ気ない。
な ぜ だ
「えーと、私、ゴンっていうの!君は?」
「.....................キルア」
長い沈黙の後、ボソッと回答してくれた。
何だこのインキャ特有の会話の続かなさは!!!!
キルアってこんな感じだったのか?!
「キルアね!私ゴンっていうの?歳は?私はもうすぐ12歳なんだけど!!」
「...ふーん」
反応は、薄い。
しかしようやく、キルアはこちらを向いてくれた。
「同い年、ね…」
「?」
「やっぱオレも走ろっと」
トンっと格好良くスケボーから降りると、片手に収めゴンと横並びになってくれた。
ゴンは大親友(予定)を離すまいと、会話を続けた。
「それカッコいいよね!」
「そうか?普通だぜ」
「後で乗らせてよ!」
「いいぜ、その代わりその釣竿みたいなの見してくれよ」
二人の会話のテンポは徐々に噛み合ってきた。
キルアって友達居なかったみたいだし、どう接すれば良いか分からなかったんだろう。
精神年齢的には18歳+12歳の私が会話をリードすれば、後は自然と話は弾んだ。
てかよくよく考えたら、私精神年齢三十路じゃん…
「いつの間にか一番前に来ちゃったね」
「うんだってペース遅いんだもん こんなんじゃ逆に疲れちゃうよなー。
結構ハンター試験も楽勝かもな、つまんねーの 」
既に五時間以上も走ってる受験生たち。
少し息が上がっている私とは対照的に、キルアは汗一つ流してない。
ゴンは素直にそんなキルアを感心した。
そしてヌメーレ湿地までの長い長い階段が現れた。
「ゴン、おまえ疲れてんだろ」
「え?」
隣を走るキルアがゴンの耳元で呟く。
確かに、ゴンは予想の数倍は疲労していた。
いくら主人公補正がかかっていても、疲れるものは疲れるみたいだ。
肉体が女な事も一つの要因かもしれない。
「……引っ張ってやってもいいぞ」
そんなにキツそうに見えてたのか…
キルアからすれば、ただの気まぐれなんだろう。
真っ直ぐ前を向いたまま彼は、普段と変わらずクールな顔をしていた。
ちょっと悔しいな、自分より歳下の子に心配されたみたいで。
「…ありがとうキルア。
でも自分で頑張るよ!」
心配かけないよう精一杯の笑顔を取り繕う。
キルアはピクッと少しだけ眉が動いたけど、あっそと一言で流された。
キルアの素っ気なさは思春期特有の女の子に対するアレです。