ヒロ滅のアカデミ刃   作:far

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オノレ花粉メ。

他サイトの 逆行ジェノサイダー兄上 面白いよとコッソリダイマ。


講義。これが鬼殺隊だ。

 「フンヌッ!」

 

 パンッ!

 

 はじけるような、いや実際に はじけ飛んだ音がした。

 

 禰豆子が両手の拳を、腰の前で打ち合わせるように近付けるポーズ(ダブルバイセップス)を取り。

 えいや、とばかりに気合を入れると。

 

 なんということでしょう。

 ただでさえ、常時ムッキムキだった禰豆子の身体が、更に一回り以上は大きくなったではありませんか。

 

 なお、はじけ飛んだのは禰豆子の着物ですが。

 肩から先の部分だけで、あとはパッツンパッツンになっただけなので、ご安心を。

 

 そして禰豆子は大きく息を吐き出し、語った。

 

 

「爆肉鋼体。筋肉を強化して、何であれぶっ飛ばす。これが私の個性です!」

 

 

 爆 までしか合ってねえよ。

 

 

 そんな謎のツッコミが、炭次郎の中から勝手に出てきた。

 炭次郎本人にも意味はわからないが、それが正しいとなぜか確信があった。

 爆血が正解なんだろうな、という予感さえもあった。

 

 

「お兄ちゃんは、私が守る!」

 

 

 力強く宣言する禰豆子に、確かに頼もしいけど、兄としてそれはどうなんだろうと思いつつも。

 でもどう頑張っても、禰豆子よりも強くなるのは難しそうだ、と炭次郎は心が折れそうになっていた。

 

 だが、そんな兄妹に物申す男が一人。

 

 天狗の面をつけた、催眠術が得意な水の呼吸の剣士で、今は鬼殺隊の育成担当の一人。鱗滝だ。

 

 なんやかんやで、結局は家族ごと鬼殺隊に保護してもらう事にした竃門一家だったが。

 一般人であるところの、母親と弟たちは普通に保護される事で合意したのだが。

 

 禰豆子は、誰がどう見ても一般人ではなかった。

 

 こんな筋肉むっきむきの少女…… 少女? うん、まあ少女がだ。

 

 「私、肌が弱くて日に当たれないんです~」

 

 などとホザいて… もとい、カワイコぶって… え~と… 不自然な言い訳 をして、家の中に閉じこもっているのは、どうにも不審すぎる。

 しかも引きこもっているのに、筋肉はムッキムキのままだ。

 

 それに鬼殺隊は常に人手不足だ。

 無駄に日本全国、ひょっとすると海外まで跋扈している鬼たちを退治するため、彼らも全国展開せざるをえないためだ。

 

 鬼殺隊は、政府非公認。フーーナッシー!

 自前の資本で、情報網整えて戦力と資材を揃えて、組織化して維持、運用するのは大変なのだ。

 

 まあ明治になる前の幕藩体制の下、藩という法さえ異なる半独立国家の間の移動や、武士のみに許される帯刀をしていたので。

 政府とも実は、何らかのつながりはあるのかも知れないが。

 

 ともあれ。そんな感じで人手不足な鬼殺隊に、即戦力というか即 (エース) な禰豆子という戦力を見逃す手は無かった。

 

 だがいきなり実戦に放り込むのも、色々と不安要素があるので。

 一応は、育手と呼ばれる、鬼殺隊の候補生を育成している人のところへ送ろう。という事になったのだ。

 そしてその案内にと送られた富岡さんのおせっかいで、ついでにと炭次郎も送られてきて。

 面接した鱗滝が、よし鍛えてやろうとした所で、禰豆子が拳を握って、こう言ったわけだ。

 

 

「必要ない。お兄ちゃんは私が守る」

 

 

 無論、鱗滝は反論した。

 戦わないのと、戦えないのでは意味がまるで違う。

 自分の身は自分で守れるようにならねば。

 男の決意というものを、踏みにじってはいけない。

 彼の、兄としての気持ちも考えてやれ。

 

 全部、無駄であった。

 

 

「お兄ちゃんは、私が、守るの」

 

 

 ついには個性を発動させ、単語ひとつひとつに莫大なカロリーを費やしつつ。

 それ以上何か言ったら……

 という無言の主張を、大迫力でこれでもかと訴える ギリ… ギリ… と鳴る拳をこれ見よがしに構え。

 ニッコリと笑顔を浮かべる、そんな禰豆子に。

 

 

「アッ、ハイ。」

 

 

 鱗滝は、折れた。

 

 

「だが最低限の知識は身につけてゆけ。鬼は、ヒーローは、ヴィランは。普通ではないぞ」

 

 

 尋常ではない、とか半端ないではなく。普通 ではない。というあたりに炭次郎は嫌な予感を覚えつつも。

 

 あれ? 俺ここで山を駆け回ったり、水の呼吸覚えたり、死んだはずの兄弟子とかに鍛えられる修行するはずじゃ…?

 

 そんな謎の確信を、またどこかから受信していたのだが。

 それも授業内容のアレさに、すぽーんとどこかへ飛んでゆく。

 実際、そんな展開もすっ飛んでいった事であるし、それでいいかなと思うぞ。

 

 

「さて、はじまりの鬼によって鬼になったものは、彼の体質やら性質を受け継いでいる。これにより狡猾で残忍になるが、迂闊(うかつ)で残念にもなる」

 

 うまい事言ったつもりか!? 禰豆子が不安がってるだろ!

 

「あと、はじまりの鬼は鬼になる前に体が弱く、ほぼ外に出なかったために日光に大変弱くなる」

 

 そんな理由かよ! もっと、こう…… あるだろ!

 

「同様に、あれるぎーを持っていたらしい、藤の花の成分が毒のように効く」

 

 鬼ってなんだっけ。桃とかじゃなくて藤なのって、そんな理由なんだ。

 

「これらは、はじまりの鬼に直に鬼にされた、オール・フォー・ワンに特に顕著だ。そこから更にオール・フォー・ワンに鬼にされたヴィランと称する鬼や、オールマイトは若干影響が薄まる。オールマイトに鬼にされたヒーローは更にな」

 

 良かったな禰豆子! 希望が持てたよ!

 

「つまり、迂闊で残念なのが、ちょっとオバカくらいですむ」

 

 良かったな禰豆子! かろうじて致命傷ですんだよ!

 

「実際、はじまりの鬼は我ら鬼殺隊の拠点をほぼ襲撃しておらん。そういう発想が無かったらしい」

 

 え? どういう事? 邪魔だとは思ってたけど、どうやれば潰せるのか、わかってなかったって事?

 

「だがその子世代のオール・フォー・ワンは、普通に襲撃してきてな」

 

 ヤバイじゃないですか。

 

「だがそれだとすぐに我らが滅ぶと気付き、それでは面白くないと協定を持ちかけてきた。拠点は事前の通達なしに襲わない。その代わり政府など他の組織に泣きつくな、とな」

 

 舐められてますけど、ヤバイのは変わりませんね。

 

「だがそれで百年も経つと、だんだんとヴィランの上層部が顔見知りになって、なあなあになってきてなあ…… しかもそこにオールマイトの反乱もあってな?」

 

 え。まさか……

 

「今では鬼殺隊は、成り立ての下っ端くらいしか相手にしとらんし、してもらえておらぬ。幹部である上弦なぞ、百数十年入れ替わっておらぬかもなあ」

 

 ええ~?

 

 

 そんなグダグダな鬼殺隊の現状に、兄が衝撃を受ける横では。

 話に飽きてしまって、勝手に筋トレを始める妹がいたりもしたが。

 

 そんな状況でも、ヒーローとヴィランはたまにガチッていたり。成り立てヴィランが一般人に、大きな危害を加えたり。

 幹部級が気まぐれで大犯罪を計画(鬼殺隊が対応する所まで含めて計画通り)したりするので、鬼殺隊も大変なのだ。

 

 だからたまにオール・フォー・ワンがお館様のところへお茶しに来ても。

 上弦と柱が、斬り合いした後に、一緒に鮭大根で一杯やりに行っても。

 鬼を集めた試練の山のはずが、人生リタイアしたヴィランたちの隠居所みたいになっていて、手鬼さんのマッサージ屋とかがあったりしても。

 

 鬼殺隊に、人手は、必要なのだ。

 だから、なんだ。うん。

 もう少し、まじめに聞いてやって。

 

 

 

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