ヒロ滅のアカデミ刃   作:far

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サブタイちょっといじりました。二文字だけだと、自分でもどんな話だったかよくわかんなくなるので。

それはそれとして、VISP氏の 徒然なる中・短編集(元おまけ集) を推してみる。
GS美神やら艦これやら、ワンパンマンに型月系にISオバロストパン幼女戦記にクロスオーバー。最近ではスパロボ時空。
様々なネタに手を出して、思いつくままに書き続けていくスタイルに勝手に親近感。

独立した短編や中篇を、一つの枠内で投稿していて、全部ゴッチャになってるわけでも、主人公が共通しているわけでもないので、知っているネタや気になった部分だけツマミ食いするのもアリかと。
個人的にはストパン転生ネタ101人ウィッチと、魔改造セシリアが逝くが印象深いです。


実録。これが奈多蜘蛛山だ。

 

「ああ…… 幸せってのは、こういう奴なのかも知れねぇなあ」

 

 

 奈多蜘蛛山。そう呼ばれる山で、一人の男がしみじみとそう口にした。

 そして続けて、語りだす。

 

 

「ド田舎の山ん中だから、人なんて滅多に来なくて食えないけど、俺らヴィランは元々あんまり食わないでいいし、それも珠世のおかげで血だけでもよくなったしなあ」

 

 

 はじまりの鬼、鬼舞辻 無惨はオール・フォー・ワンにその力の全てを吸収され、死亡した。

 無惨の作り出した鬼は、無惨が滅べば死ぬように呪いをかけられていて、それでほとんどの鬼は滅んだ。

 

 だが一部の鬼は生き残っており、その一人… 一人? 一鬼? の珠世という鬼がこの山にいるようだ。

 そして男はまだ語り続ける。

 

 

「珠世がいて、トゥワイスがいて、マグネがいて、サー・ナイトアイ がいて…… 日々、穏やかに暮らしていける。これが人並みの幸せってヤツなんじゃねえかなあ」

 

 

 そこまでは空を見上げて、独り言のように言っていた男が、グリン。と顔の向きだけを変えて問いかけた。

 

 

「それじゃいけないのかい? ……先生」

 

 

 視線の先にいたのは、やたらと体格のいい のっぺらぼう。

 問いかけられた のっぺらぼう、オール・フォー・ワンと名乗っているヴィランの首魁は簡潔に答えた。

 

 

「ダメだよ、弔」

 

「どうしてさ」

 

「いや、僕の後継者として育てたはずの君が、小さな幸せ見つけて穏やかに隠居生活 送ってたらダメだろ」

 

 

 もっともなツッコミだった。

 世間的には、その方がみんな幸せなのだが、巨悪であるところのオール・フォー・ワンにとっては、はなはだよろしくない。

 

 よっしゃ、これでドデカイ花火を上げてやらぁ!

 そう思ってコツコツ火薬の配合から仕込んだ大玉が、気付けば線香花火かヘビ花火か、というほど地味なものに変わってしまったのだ。

 そりゃあ、目を覚ませ! と言いたくもなろう。

 

 この場合、やっぱり覚まさないほうが世のため人のためになるのが、何とも言えないが。

 

 

「山で暮らすにしても、こんな人里離れたところで世捨て人みたいに過ごすのではなくて、せめて藤襲山(ふじかさねやま)でバイトでもしてはどうかな?」

 

 

 本格的に腑抜けているな。

 

 実際に会いに来て、死柄木の状態をそう見て取ったオール・フォー・ワンは、ひとまずヴィランに戻す前にワンクッション置こう、と方針を変えた。

 本来ならば、ここにいる他のメンツを皆殺しにしてでも、死柄木の目を覚まさせるつもりだったのだが。

 どうも、それでも動かない気がしたのだ。

 

 なぜ僕が、こんな 引きこもりを社会復帰 させるようなマネを…?

 

 内心そんな疑問を抱きつつも、言葉を選んで引越しへと死柄木の思考を誘導する。

 話術もまた、組織を維持運営するカリスマとしての必須スキルなのだ。

 

 ああ、そうだ。ここを襲撃させる予定だった、鬼殺隊の面々にも何か手を打たないと。

 でもあの子だけは斬っておこうかな。切り刻まねばと、何故か強く思わせる子だったんだよなあ。

 でも鬼殺隊に直接手を出すと、部下がうるさいんだよな。

 

 などと裏ではすでに、この仕事が終わったらというアフターの予定を組み立てながら、今の仕事を片付ける。

 そんな勤め人に役立つスキル並列思考。

 それを無惨から奪った個性の一つ、複数の脳を駆使して楽々使いながら、オール・フォー・ワンは思った。

 

 他の面々はともかく、なんでオールマイトの元サイドキック(サー・ナイトアイ)がここにいるんだろう?

 

 予知という個性を持つのは知っていたが、ネタバレに興味は無いので、放っておいたのだが。

 ひょっとして、何かを予知したがゆえに、ここで引きこもっていたとしたら?

 

 ついでに調べて… いや、いいか。誰かにやらせよう。

 弔の事だから、僕が直接やって来たけど。組織のトップが軽々と動くのは、あまり良くないからね。

 大物感ってのも、案外バカにできないものなあ。

 

 そうして裏ではツラツラとそんな思考を行いながらも、オール・フォー・ワンの説得は続く。

 

 

「藤襲山は今では立派な道も出来て、ちょっとした観光地になっていてね。温泉だってあるんだよ。そもそも一年中藤の花が咲いていたのは、その地熱のおかげもあるらしいよ」

 

「山の手入れをする仕事に、藤の花から作った香や香水、花の入った栞や花を模した飾りなんかのお土産を作ったり売る仕事もあるし、温泉宿なんかの店員も空きがある」

 

「なんなら、僕がお小遣いを上げるから、ちょっと行ってみるといいよ。まずは客として楽しんでみるといい」

 

「旅行くらいは、楽しんでもいいと思うよ、弔」

 

 

 こっそり教えた、最近は風俗も出来てね。というのが決め手になったあたりに、オール・フォー・ワンは後継者を選びなおそうかと、ちょっと考えたが。

 さすがに、そんな理由で変えるのも嫌だったので、もう少し様子を見ようかと考え直した。

 

 そして奈多蜘蛛山は無人となり。

 

 

「ここに鬼が巣食ってるとか、ガセネタかよ! 俺の出世が遠のくじゃないか!」

 

 

 そんな事を叫んだ黒髪のオカッパがいたらしいが。

 数日後、 無事死亡(サイコロステーキに転職) したらしい。

 

 世は全て事も無し。

 

 

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