はっきり言って私の生きるこの世界はいかれてると思う。昔はよかった、のかどうかさえ分からない。世界政府はいまいち歴史というものを私たちに教えてくれなかった。なんというかそれが当たり前だったし周りも疑問を持つということはなかった。ただ海軍は正義の味方で天竜人には逆らうな。海賊はこの世界の癌であると。
私は本当が知りたかった。だから私は海に出た。そしてそのことを心底後悔している。
みんなどうして一般人でいられるんだろう、退屈じゃないのかと疑問だったのだがその答えも分かった。
真実を知るにはこの世界は苛烈過ぎる。世界政府の御膝下で羊みたいに生きるのが一番だ。楽だ。
楽に生きるのは悪いことじゃないよ本当に。
私はホーマー・アデレード20歳。これは身の程を弁えない女が高みを目指したが故にとんでもない目に合う物語である。
まずは私の経歴を話そう。出身は偉大なる航路 エンドツー島の小さい町で父と母と三人で暮らしてた。
父は世界政府の役人で昔から何かと厳しく接してきた記憶がある。母も母で海軍将校でこれまた厳しく育てられた。正直すんごく嫌だった。4歳で初めて家出をしたものの怪物みたいな父母からは逃れられず即効連れ戻されたのは今でも覚えてる。死を覚悟したと共に絶対にこの家から出てってやると決意した。
18になったとき私は父の勧めで世界政府に就職した。独り立ちする決意をして14年間未だに私は父の下でお世話になっていたのだ。ただこれはチャンスだった。私が属することになったサイファーポールにはとんでもないやつがいると聞いていた。そいつに鍛えてもらえば私は何かが変わると信じていた。
そして初日にそいつに喧嘩を売り半殺しにされた上にサイファーポールを追放された(ついでにその後父にも半殺しにされた)。
その後母のコネを使い海軍に入隊した。私くらいの力があれば中将とは言わずとも大佐位の地位は貰えるだろうとタカをくくっていたがなんと私は見習いからのスタートだった。やってられるかと即元帥の下へ殴り込もうとしたが母にボコられ未遂に終わり無事に海軍除隊となった。
とまあ、情けない経歴を長々と話しているがもう少し我慢してほしい。
海軍除隊後はしばらく町のパン屋でバイトをしていた。なんでこんな暮らしを受容できるのか、私は疑問で仕方なかった。その時一枚の指名手配書を拾った。
「スラッピージョー100万ベリー」
しょうもない海賊だった。父と母の収入と比べるとはした金だが私のバイト代と比べると大金だ。
私は決めた。懸賞金で稼ぐ。父から六式のノウハウは学んでいる、覇気は・・・まあ・・・もうちょい!
下等な海賊程度なら狩れる!
結果から言うと楽勝だった。最初はビビったけどいざ実戦に入ればなんとでもなる。
パンを焼くのでは味わえないスリルと興奮。敵の攻撃はかわし一撃をぶち込む快感。
私はどこにも属せないが戦闘センスはある。このセンスを活かすんだ、そしていつか父と母を見返す。
いや・・・・?私は・・・どうしたいんだっけ?
当時そのことも分からないまま、いや・・・多分目を背けたんだ。何かを成し遂げることのなかった私が格下の海賊を殴り伏せて金を得た。だから私は何かを成し遂げたつもりになってしまった。
確固たる目的を持たないまま海で海賊に喧嘩を売って回る
「喧嘩屋ホーマー」の誕生だ。
さて小さな船を買って海に出た私が最初にぶち当たったのが経済的なやりくりだった。
最初の100万ベリーは本当に一瞬で使い切ってしまった。(多少贅沢した)
かといって世界政府が発表してる指名手配書は全部が全部が有用というわけではない。まず見つけられるのかどうか、敵うかどうか等の問題を吟味した上で選ぶ必要がある。
だから5万ベリーや数千ベリーの賞金首をちまちまと狙った。
だが問題は多々あった、懸賞金はあくまでも世界政府に対する危険度の目安であり賞金首の戦闘力をイコールするものではないのだ。それで何回か泣きを見た、せっかく手にした賞金が治療費に消えたり・・・。だがおかげで鍛えられたのも事実。六式も我流だが研ぎ澄まされてきた、覇気も自由に使えるぐらいに高まっている。喧嘩屋も形になってきた。
そして事件は起きた。世界最強と畏れ高い海賊「白ひげ」と海軍の戦争。マリンフォード頂上戦争。
私はこのときウォーターセブンに滞在中、新聞でポートガスDエースの処刑を聞いてはいたがさほど気にしてなかった。だってあんな奴私が勝てるわけないし、捕まえたやつすげーなぁ・・・くらいの感想だった。
だから世間が騒ぐほどこの戦争に興味はなかった。ただ一つ、無視できない情報があった。
母がマリンフォードで戦死した。自分でも驚いたあれだけ嫌っていた母が死んだと聞いて私は涙を流したのだ。悲しかったのかもしれない、でもそれよりもマリンフォードに向かおうとさえしなかった自分が情けなかった。肉親が戦争で戦っていることに無関心な娘がどこにいるというのだ。
その後母の死をきっかけに父は世界政府役人を辞めた。あれだけ気丈に振る舞っていた父があそこまで弱っているのを見て私は自分の無力さを思い知った。こういう時何もしてやれない愚かな娘。
父は数日のうちに病に倒れそのまま息を引き取った。
人は喪ったとき喪わずにすんだかもしれない可能性を探してしまう。後学のためならまだいい、だが大抵は過去にしがみつくだけの愚かな行為だ。
私はこれ以上愚かな自分を晒してはいけない。痛みや苦しみから目を背けてはならない。
私には目的がない、やりたいことなんかない。かと言ってただやれることをやるだけの凡人になり下がる気もない。
その為にはぬるま湯から抜け出さなくてはならない。
決めた、行こう新世界へ。
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