この世界は狂っている。だが世界はそれを受け入れている。
それならばそこに生きる生命が不平を言うだけ無駄なのだ。
彼らもまた世界の狂気を受けいれる他ない。
狩る側と狩られる側どちらかにしか入れないとしたらどっちにに入るかは決まっているだろう。
ホーマーも受け入れた一人だ。彼女は生きる意味を持っていない、それでもただ狩られる羊のように生きることだけは拒んだ。
ジハードもそうだ。この世界は正しく生きるには悪が多すぎる。
そして自分自身が悪となる。それが悪循環となって世界の腐敗は進む。
世界が腐っていなければホーマーもジハードも、かの海賊王でさえ別の人生があったのかもしれない。
しかしそれは意味のないもしもの話。
引っ込みのつかなくなった二つの刃が今ぶつかり合おうとしていた。
舞台は偉大なる航路前半の海エンドツー島。
多数の部下を従えて地面に直接座り込む男ジハード。
彼は近づいてくる人影を見てニヤニヤと笑みを浮かべる。
そして彼らに対峙するは喧嘩屋総長ホーマー。
「よう。根暗陰気野郎。もう出てきやがったか。世界貴族様のケツでも舐めて出してもらったのか?」
「かっかっかっかっか!相変わらず口悪いなあ喧嘩屋。それよりようここまで来れたな、道中狙われたりせえへんかったん?」
「狙われたけど全員沈めてやったよ。おかげで儲かったわ。サンキュな。」
「そーなんや~・・・それはそれはそれは・・・」
ジハードの顔から笑みが消える。
そしてゆらりと立ち上がり殺気を込めながらホーマーに近づく。
「で?今日は何しに来たん?」
「は?分かってんだろ?」
「俺のことまた潰しに来たんか?それやったら今回ちょっと厳しいんちゃう?これだけの人数一人でやるんか?」
「一人・・・?」
ホーマーは首を傾げる。
次の瞬間ジハードの部下が一人血を吹き出し倒れた。
「な・・・!?」
「なんだ!?」
そして次々と部下達が倒れていく。
一人でに倒れているのではない、彼らは襲撃を受けているのだ。
そしてその襲撃者の正体は細身の体の女。
しかしその姿は異形である、腕は4本あり頭には触覚が生えている背中には黒い甲殻が。
「なんだこの女いつのまに!?」
「いや私最初からいたから!」
ウイだった。
「ウイ雑魚ども任せたぞ。私はジハードをぶっ潰す・・・!」
「アイアイサー!」
「へえ・・・やるやんお前の仲間か・・・全然気づかれへんかった、かっかっかっか!」
「笑ってる場合かよ、ジハードォッ!!」
不意打ちも不意打ち。ホーマーは構えも見せずにいきなり拳をジハードの顔面に撃ち出す。ジハードはそのまま後方へ吹っ飛ばされる。その威力は大砲の如し、並みの人間なら頭がもげてしまう。
が当然ジハードは並みの人間ではない。吹っ飛ばされ廃屋に激突したジハードは瓦礫をどけながら立ち上がる。
そして邪悪な笑みを浮かべながらホーマーを見据える。
一方ウイは多数の部下に囲まれていたが彼女は余裕の表情。
4本の腕には爪のような鋭利な突起が並んでいる。
黒光りする甲殻、その姿はまるで。
「こ、この女・・・まるでゴキブリじゃねえか!」
「そだよ、ムシムシの実モデルゴキブリ。」
瞬間ウイは敵の背後に回り込み腕を交差させるように振り下ろす。その軌道は目にも留まらぬ速さ。そして覇気により強化されたその爪の切れ味は剣と同等。
「ぐはっ・・・・!」
「ん~デラウェア兄さんにも来てもらえばよかったな一人で多数相手は疲れる・・船の警護3人もいらなかったんじゃない・・・?」
「この害虫めが!」
敵が斬りかかる。しかし剣を振り上げた時にはもう既にウイは姿を消している。
そして足元で笑顔で構える彼女を敵は発見する。
もう間に合わない。
「くらえ!ゴキジェットォッ!!」
ウイが勢いよく羽を広げると凄まじい風圧が敵を襲う、耐えられずに上空へ飛ばされる。
そして空中で身動きが取れなくなったところにウイの追撃が入る。
「ゴキブレイド!!」
飛び上がったウイの4本の腕による斬撃が見事に決まった。
そして睨み合い互いに動かないホーマーとジハード。
「どないしてん、もっと殴ってきたらええやん。」
「こっちはてめえの能力知ってんだ、そう何発もくれてやらねえよ。」
「かっかっかっか!せやせや!せやったなあ!」
ジハードは笑いながらワークパンツのポケットから何かを取り出す。
「ほないくでえ・・・」
ToBeContinued