ジハードの試験管から光線が放射される。さっきまでのものとは比べ物にならない威力と質量。彼自身さえその反動で体をのけぞらせる程だ。
「月歩!」
ホーマーは光線から逃れるために空を蹴り飛び上がる。
それを見たジハードは彼女を追うように試験管の口を空へ向ける。
「おらあ!逃げろ逃げろ!!」
「っ!」
彼女は何度も空を蹴り光線から逃れ、殺虫剤から逃れる羽虫の如く逃げ回る。
必死に複雑な動きでジハードに読まれないように動き続けるしかない。
彼女が全神経を使い逃げるのに反してジハードは手首を捻っって試験管を傾けるだけ、彼女が逃げ回るのが愉快で仕方ない。
そして光線は放射され続ける。一発や二発ではない、彼女の覇気を込めた拳を何度も吸収したその質量は何倍にも跳ね上がり延々と彼女を襲い続ける。
「かっかっかっか!エネルギー切れまで逃げ回る寸法か!?おもろい!逃げてみろやぁ!」
明らかに彼女が不利だった。避けるのに精いっぱいで近づくことさえできない。
一回でも動きを読まれ避けた先に光線を置かれれば終わりである。
その上これだけの激しい動きをいつまで維持できるか。
空中を右へ左へ上下と動く。しかしだんだんと動きに切れがなくなってくる。
ジハードがそれに気づかないわけがない。彼女の動きをよく観察する。
逃げる方向のパターン、観るうちに見えてくる。
そして
「そこや!」
ホーマーの回避するタイミングに合わせて行先に予め照準を合わせる。
「っ!?ぬぉっ・・・・!」
光線がホーマーを飲み込む。
「かっかっかっかっか!かっかっかっかっか!ざまあみさらせアホボケカスゥ!!」
魚が釣れたような感覚。その快感に笑いが止まらない。
衝撃に耐えきれずにバラバラになった彼女を早く拝みたい。
逸る気持ちを抑えられない。
だが光線はまだまだ放射され続ける。
そう、まだ光線が止まらないのだ。
「っ・・・・!」
ジハード自身も違和感を覚える。
ここまで光線が出続けることは今までになかった。
明らかにこれはおかしい、だが敵は倒した、光線が止まらないからといってなんだというのだ。
「総長身体張り過ぎ。」
背後から声がする。
ジハードは即座に振り向くつもりが光線の制御が対処を遅らせる。
「コックローチ・コンバット!!」
ウイが四本の腕を交差させ一気に振り払いながら斬り抜ける。
「かっ・・・・・・・はぁっ・・・!!」
ウイの渾身の一撃でジハードが宙に弾き飛ばされる。
その拍子に試験管は手放され光線も消える。
だがまだ意識はある、このまま着地して次はこのゴキブリ女を殺す、それだけだ。
「六王銃」
全くの意識外からの衝撃がジハードを襲う。
吸収もできない、全身に衝撃が駆け巡りどこにも逃げ場がない。
意識を失う寸前ジハードが目にしたのは白目を向きながら両拳を前に突き出し構えた喧嘩屋総長の姿だった。
ToBeContinued