ビート ストローハット   作:Jaycob

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ハカマイリ

「・・・・・・あかんかあ、やっぱ勝たれへんなあ・・」

 

背を地につけ倒れたジハードは空を見ながらつぶやく。

もう立つことはできない。

 

「・・・殺さへんの?」

 

尋ねられたのはあぐらをかきジハードの隣に座り込むホーマー。

彼女とて立つことはできないほどにダメージを負っている。

 

「殺さねーよ、このまま世界政府に引き渡して賞金もらってやる。」

 

「総長ー!」

 

ウイが離れたところでジハードの部下たちを縛り上げて並べている。

妙にキレイに並べられたそれを見てホーマーはため息をつく。

 

「ウイー!別にキレイに並べなくていいんだぞー!どうせめちゃくちゃに詰め込むんだからー!」

 

「・・・なんやあいつ・・・前の時はおらんかったよなあ?」

 

ジハードが問う。

 

「ああ、新しく雇った。」

 

「なんなんお前、事業拡大狙ってんの?」

 

「別に、あいつが入りたいって言うから入れてやっただけ。」

 

「俺も入れてや。」

 

「ダメに決まってんだろ、死ね。」

 

ホーマーは考える。海軍にここまできてもらうか。自分の船で最寄りの海軍支部に連れていくか。

正直ジハードを船には乗せたくない、しかし海軍が来るまでここで待つのも退屈だ

 

 

「・・・なあ、俺らはいつまでこんなことするんや?」

 

「さあ、多分どっちかが死ぬまでだろ。」

 

「かっかっかっかっか・・!せやろなぁ・・・俺もまだお前を苦しめ足りんわ。」

 

「何度でも出てくりゃいい、その度ぶっ潰してやるよ。」

 

「さよか。」

 

ホーマーは膝を立て力を込めて立ち上がる。

頭はグラグラ揺れ今にも吐きそうだ。

 

「総長!無理しないで・・・あんだけやられたんだから・・・」

 

「うるへー、帰るぞ・・・もうここには用はねー・・・」

 

ウイは察する、機嫌が悪い時の総長だ、扱いにくい。

こういうときは従うに限る。

ウイはホーマーに肩を貸し船に向かおうとする、その時だった。

 

「墓参りしてけや。あそこだけはそのままにしといてやってんねんから。」

 

ジハードが言う。

不思議とその言葉には悪意がない。

ホーマーは足を止め、ウイの肩から離れる。

 

「悪いウイ、先に戻ってて。んでブルーに海軍に通報するように言っといて。」

 

「・・・うん、分かった。」

 

ウイは心配そうにジハードを見て少し躊躇った後にその場を後にした。

ホーマーはよろよろと歩きその場から少し離れた場所に向かう。

そこは整備こそされていないが荒らされてもいない、いくつもの墓が並ぶ墓地。

彼女は一つの墓の前に行き倒れるように座り込む。

 

「いっててて・・・・ごめん、ママ、パパ。全然墓参り来なくて。」

 

汚れてしまった墓石を手で拭って名前を見る。

そこに書かれる名前は

 

 

 

 

トッド・ネディ

 

 

「違う墓かよ!!」

 

 

思わず叫ぶ、体に激痛が走るが止められなかった。

 

「あった、アデレード・・・」

 

今度こそ間違いなく両親の墓を見つける。

 

「・・・ママ、パパ・・・・っ・・・ぐっ・・ひぐっ・・・」

 

涙がこみ上げてくる。彼女はいつだって泣くのを我慢していた。

本当に。彼女は泣いていないときは常に泣くのを我慢している。

戦っているときも、仲間と話しているときも、何をしている時だって彼女は泣かないようにしている。

彼女は究極の泣き虫だから。

 

「あああああ・・・・!うあああああ・・・・!っ・・・!ひぐっ・・・!」

 

大粒の涙をボロボロと溢れさせ鼻水も垂れ流す。

嗚咽が混じり咽び泣く、当然身体はズキズキと痛む、だがそんなことどうでもいい。

身体の痛みなど心についた傷の痛みに比べればなんでもない。

 

「ママ・・・・パパァ・・・!私・・!もうこんなの嫌だ・・・!何をしても楽しくない・・・!何をしたって生きたいって思えないよぉ・・・!ずっとこのままなのかなぁ・・・!?」

 

生きる意味とはなんだろうか。生きてても意味がないとすればその人は死ぬべきだろうか。否、そんなことは断じてない。

しかし自分の人生に意味を見出せぬまま生きる本人は想像を絶する苦しみの中を生きているのだろう。

 

「賞金稼ぎなんて・・・やってたって・・・!何の意味もないよ・・!お金なんか欲しくないもん・・!私はただ生きたいって思いたいだけなんだよ・・!でもそれを見つけられない・・!・・・もう・・死んじゃいたい・・・!」

 

「本当に?」

 

彼女は突然声をかけられ心臓が飛び跳ねる。

慌て涙と鼻水を手で拭い払う。

振り返るとそこにいたのはビーフだった。

 

「ビーフ!お前いつの間にいたんだよ!そういうのはウイの芸だろうが!」

 

呼吸を整え、いつもの総長を取り繕う。

それを見たビーフは彼女に近づきそのまま彼女を抱きしめる。

 

「死にたいなら僕が今殺してあげてもいい。でもね僕はそんなことしたくない。わかるよね?」

 

「・・・・・・・・・・・ビーフ・・・私・・・疲れたんだ・・・嘘を嘘で塗り固める自分に・・」

 

「そうかそうか。」

 

「自分のやりたいことが分からない・・・喧嘩ができるからって賞金稼ぎやってたって・・意味ないじゃん・・・私がいなくなってもこの世界は何も変わらない。」

 

「そうかな?」

 

「私はゴールド・ロジャーにはなれない・・!四皇みたいにも七武海さえ・・・!私はこの世界の無価値な塵でしかない・・・!」

 

彼女は海賊になりたいわけじゃない。この世界で、この狂った世界にとっての意味がある存在になりたかったのだ。いくら新世界を舞台に暴れ回っても今この世界で起きている表舞台に出ることはできない。

明らかに実力が足りていない。

 

「・・・・だったら、少し目標を上げる必要があるね。」

 

「・・・・・」

 

ホーマーが黙る。彼女だって分かっている。苦しみの中から抜け出すには変わるしかない、そして変わるためには痛みが伴う。自分ができないことに挑戦しなくてはならない。それは何よりも恐ろしく勇気がいることだ。

彼女はそれを20年避けてきた、自分のできることしかしてこなかった。

 

「総長・・ホーマー。君が決めていいよ。どんな選択をしても僕たちは君についていくよ。」

 

「・・・・・あんがと、ビーフ。」

 

「いいよ。」

 

「・・・・今日カレーがいい。」

 

「あいあい。」

 

「あと・・・そろそろ放して、すんげえ痛いんだ」

 

ToBeContinued

 

 

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