喧嘩屋はジハードの護送を海軍に投げ一行は新世界へと戻ってきた。
この短期間に二回も赤い土の大陸を超えたために一行は多大なる出費に頭を抱えていた。ジハードの懸賞金さえ焼け石に水となった。
「みんなちょっと聞いてほしい。」
ホーマーの招集によりキッチンに集まったクルー達。
いつもよりも真剣な総長に一同は緊張を覚える。
しかしそれよりもぶっちぎりで気になることがあった。
到底無視できない問題が。
「ホーマーお前服着ろよ。」
デラウェアが哀れな子供を見るような目で言う。
我らが喧嘩屋総長が全裸なのだ。
とはいえ全身包帯で巻かれている上に馬鹿力の割には身体が貧相なので大事なところは全く見えていない。が、酷くシュールである。
ミイラ女がキッチンで偉そうに号令をかけているのである。
「ごわごわするからヤダ。」
「お前・・・」
「それより聞けって!ブルー!」
「は~い。」
ホーマーの合図でブルーレットが紙束を持ってくる。
その紙とは、手配書である。
「なにこれ?次の仕事?」
ウイが手配書を手にして眺める。
すぐに彼女の表情が凍り付いた。説明を求めるようにウイはホーマーを見つめる。
「まあ、そろそろ喧嘩屋も2年になるわけだし・・・ここらで一発デカい奴を狙う。」
「だからってこいつらは・・・!」
珍しくウイが食ってかかる。
それを見たデラウェアも心配になり手配書を一枚手に取ってみる。
「・・・・おいおい、こいつはちょっと厳しいんじゃないか・・・?俺達もそれなりに修羅場はくぐってきた。こいつらにも全く勝てないわけじゃねえ。だが、こいつらに手を出すのはヤバいだろ。」
かつて海賊王と呼ばれた男ゴールド・ロジャー。彼の死により多くの海賊が海へと旅立った。
競り合い、殺し合い、荒れに荒れた大海賊時代の到来である。
その中でも他の海賊とは比べ物にならないでたらめな荒くれ者達。
彼らはこう呼ばれる。
最悪の世代、と。
「私、今までずっと賞金稼ぎやってきたけどさ・・・なんか今のままじゃ何も変わらない気がしてさ。・・・変えたいんだよ、私・・」
「いいんじゃないか。」
ビーフが口をはさむ。それ以上何も言わない。その一言が呼んだ静けさに他のクルーも表情が柔らかくなる。
「私は全然いいわよ~、むしろ楽しそ~。」
ブルーレットが満面の笑みで言う。
「・・・わーったよ、やるよ。ホーマーが決めたんだ。ついてくよ俺ぁ。」
「正直恐いけど私もやる。みんなでやれば大丈夫だよね!」
デラウェア、ウイも賛同する。
「ありがと、みんな。つーわけで!どいつを狙う?」
彼女は手配書を机の上に乱雑に並べる。
「あ、総長質問。・・・・最悪の世代・・って言っても、黒ひげは・・除外・・だよね?」
いきなり空気が凍り付いてしまった。
「・・・・・・・もちろん!いくらなんでもそれは無謀だ!黒ひげはなし!」
空気が元に戻りクルー達は手配書を各々選び始める。
「ユースタス“キャプテン”キッド・・・」
「あ~それ私も考えてた~。」
「だよな。」
デラウェアとブルーレットが息を合わせて一枚の手配書を推す。
「こいつ~民間人にやたら被害出してるから~。
「そういうやつ狙った方が俺たちの評判もよくなるんじゃね?」
「うわ・・・顔こわ・・・」
ウイが手配書を取りその形相に怯む。
「ウイお前ビビってんじゃねーか。」
「とかいうデラウェア兄さんも手ブルってる。」
「ブルってねーし!」
「こいつはどう?」
今度はウイが手配書を選ぶ。
「カポネ“ギャング”ベッジ。なんか弱そうじゃない?」
「四皇傘下だぞそいつ。」
ビーフがすかさず忠告する。
「じゃやめとこう・・・」
ウイが手配書を裏返す。
「いやみんなさ!ビビッてたら決まらないって!」
そういうホーマーも実のところ恐くて仕方ない。
だがここで止めれば一生このままだ。
「よし、ランダムに決めよう・・・」
ホーマーがナイフを取り出し目の前でぎらつかせる。
全員息を飲む。しかし総長がやるというのだ。今更ちょっと待ってなど言えるわけがない。
言いたくもない。
「・・・・おりゃっ!」
裏返しの手配書にナイフを突き立てる。
さあ、誰だ。喧嘩屋一世一代の大勝負のターゲットとなるのは。
モンキー・D・ルフィ
ToBeContinued