ストライフトリガー号は小さな港町に停泊していた。昨日地獄の片鱗に触れた彼らは未だにこの静けさが信じられずにいた。それぞれが自分の部屋で思いに耽る。
そして総長であるホーマーは港町の屋台で一人泣きながら食事をしていた。
「うう・・・ずずっ・・・!ひぐっ・・・!」
「お客さん飲み過ぎじゃ・・・」
「うるせー!そもそも酒頼んでねーだろ!」
マジックマンに言われたことが頭の中で何度も繰り返される。
リーダーなのに皆の気持ちを分かっていない。
そんなこと自分でも分かってる。
「ちくしょー・・・・!!私だって・・・必死でやってんのに・・・!」
ルッチやカク、元帥サカズキも自分を下に見る。それ腹立たしく思うのは汚いプライドのせいだろうか。或いは自分で自分を下に見ているからだろうか。
「でもまだ終わんねえ!泣くだけ泣いたら立ち上がってやる!・・・・っ・・・ううっ・・!ぐずっ・・・ひぐ・・!」
「おい!新聞!見たか!」
「ああ!とんでもねえな!」
広場で人が騒いでいるのが聞こえてくる。涙も引っ込みそっちが気になって仕方ない。
そういえばニュースクーがその辺を飛んでいたのを思い出しホーマーは新聞を求めて屋台を後にした。
「おーい、新聞くれー。」
ニュースクーから新聞をもらうホーマー。
普段新聞は読まない彼女だがこの前ビーフに新聞は読んだ方がいいと言われたことを気にしてか実行したのだ。
しかしその気軽な気持ちで買った新聞に恐ろしくもとんでもないニュースが載っていたのだ。
「・・・・な、んだ・・これは・・・・・」
その頃ストライフトリガー号では。
同じく新聞の記事に一同が頭を抱えていた。
一人を除き。
「・・・麦わらのルフィ・・・懸賞金・・・15億ベリー。」
「ビッグマムに喧嘩売って幹部ぶっ潰して逃げ果せたか。」
「麦わら大船団・・・やっぱりさ・・私らには早かったんじゃないかな。」
「ゴキブリ女君、そう気を落とす事はないよ。」
「そのゴキブリ女って呼ぶのやめて。」
「総長は~これ読んだかしら~」
「だろうな、あいつただでさえ落ち込んでんのにこれ読んだら・・・」
「自殺しかねない?」
「マジックマンお前とんでもねーこと言うなよ!・・・でもあり得るなあ!俺ホーマー探してくる!」
デラウェアは慌てて船から飛び出す。
「それで?あなた方喧嘩屋はこれからどうするので?もう麦わらは諦めると?」
「そこは総長次第だけど~」
「あの子は強い・・・が今度ばかりは諦めた方が彼女の為になるかもね。」
「ビーフ・・・」
マジックマンは彼らを見て吐きそうな顔をして軽蔑の意を示す。
「くっだらない・・・なんの為に逃げたのか。喧嘩屋というのはこんなにも退屈な集まりだったのかね?」
彼が正しいとは思わないが誰も反論しない。
なんの為に逃げたのか、死なないために・・・いや、皆の気持ちは一つのはず。
勝つために逃げたのだ。ここで終わってはいけない。
だがホーマーがどうするか。もし彼女が諦めるというなら彼らはそれに従う。
ホーマーが言った死ぬなという言葉、それは皆も同じように彼女に対して思っていること。
どんな情けない人生でもいい、生きていてほしい。
「やばいやばいやばい!!ホーマーが!ホーマーが!」
「死んだ?」
「てめえが死ねマジックマン!」
「デラウェア落ち着いて、総長がどうした。」
「行っちまった!」
「逝った?」
「黙れマジックマン!じゃなくて、ホーマーの奴一人で麦わらのとこ行っちまったんだよ!」
ToBeContinued