「ベルバラ君、ベルバラ君起きたまえ。」
マジックマンが気絶したデラウェアの頬を叩き起こそうとしている。
鼻が曲がりそうなニオイに表情は険しくなる。
「ベルバラ君?」
「デラウェアだよ!デラウェア・スクウェア―!お前わざとだろ!」
「あ、起きた。」
デラウェアが目を覚ます、身体的なダメージは少ないものの鼻に受けたダメージが酷い。頭がガンガン響き吐き気がする。
「う・・・くそ・・・・やられた。早くビーフに連絡いれねえと。」
「と思って既に繋いでいるんだなこれが。」
マジックマンが電伝虫を取り出して見せる。
『デリ?』
電伝虫から怒りに満ちたビーフの声が聞こえてくる。
「・・・悪いビーフ。やっちまった。」
『マジックマンからある程度は聞いている。だけどお前の口から直接聞こうか。』
「麦わらの一味がいた、ゴッド・ウソップとニコ・ロビンだ。見つかっちまって・・・やられた。」
『あれだけ気をつけろと・・・』
「まあいいじゃないかシェフ、おかげでホーマーさんを探しやすくなった。」
ホーマーも一味を追っているか、あるいは既にやられてその辺に倒れているか。
「・・・で、どうする。ビーフ一旦戻った方がいいか?俺あ。」
『いや、今戻ってきたら船が危ない。ここに一味の奴らが来るのは避けたい。』
「では私たちはこのまま麦わら狩りを?」
『ホーマーを探せ!!この狂人が!僕たちは戦いに来たんじゃない!』
珍しくビーフが怒鳴りつける。
これにはデラウェアも驚いていた。
「・・・あははっははははっは!悪いが私は麦わらを倒すために雇われたんだ。自分の仕事をさせてもらうよ。」
電伝虫を切るマジックマン。
「おいマジックマン。今やお前も俺達とはチームなんだぜ、協調性ってもんをだな・・・」
「もちろんホーマーさんは探すさ。だが私にもね、やっと巡ってきたチャンスなんだよ。生きる意味がこれで手に入る。」
マジックマンはデラウェアを置き去りにジャングルの奥深くへと進んでいく。
スティックハンマーを手の中で回しながら鼻歌を歌い闇の中を歩く、傍から見ればこれからゲートボールを楽しむ紳士にしか見えない。
視界の悪さは問題ではなかった。彼は見聞色の覇気により広範囲の気配を感じ取る。
デラウェアとの小競り合いが引き金となったのか随分と気配の動きが活発となっている。
おかげで場所が分かる。
彼は歩みを早める、獲物が近い、二人いる。
麦わら本人ではないが構わない、彼らを殺せば自ずと麦わらは現れるだろう。
彼は思い出してしまった、自分がどういう人間か。自らの好奇心が一度鼓動を打てばもう止められない。
命をかけた殺し合いの果てに見える結果が待ち遠しくてたまらない。
もう抑えられない、殺気を溢れさせ見つかっても構わないと言わんばかりに走り出す.
弾丸の様な速度で茂みも蔦もハンマーで破壊しながら突き進む。
そして遂に見つけた、そこにいたのは
懸賞金6600万ベリー 泥棒猫ナミ。
闇の中から飛び出したマジックマンは一瞬彼女と目が合う。
彼女の表情が恐怖に歪んだ。そして彼は彼女の頭をゴルフボールを飛ばす様なつもりでハンマーをフルスイングする。
鈍い衝撃音が轟く、マジックマンの覇気を込めた一撃が泥棒猫ナミの頭を吹き飛ばし辺りに鮮血が飛び散る、はずだった。
マジックマンは顔をしかめる、まるで玩具を取り上げられた子供のように。
「てめえ、ナミに何しやがる。」
巨大な肩部に加えとても人間とは思えない造型の男の片腕によりマジックマンの一撃は防がれていた。
「泥棒猫ナミに鉄人フランキーだな?」
マジックマンはしかめっ面のまま口元だけを笑わせ鉄人に問う。
ハンマーを持つ手に力が入る。
「ってことはてめえがウソップ達が言ってた賞金稼ぎだな?」
鉄人フランキーは腕を勢いよく振り払いマジックマン弾き飛ばす。
「ありがとうフランキー、死ぬかと思ったわ・・・」
「あぅ、これくらいどうってことねーよ。」
マジックマンは弾き飛ばされ気に衝突す寸前に受け身を取り木を蹴り地面へ着地する。
そしてハンマーで手のひらを叩きながら歪んだ笑みを浮かべ言い放つ。
「殺す。」
その一言にナミとフランキーはただならぬものを察知し身構える。
「いきなり殺すって・・・あーもー最近こんなのばっかじゃない私!やっと万国から抜け出せたのに~・・・」
「こええなら隠れててもいいんだぜナミ。・・・あ!?ナミ!?どこいった?!」
フランキーが流し目で横を見たときには既にナミの姿はなかった。
既に彼女は木の陰に隠れており顔だけ覗かせフランキーに声援を送る。
「よしフランキーやっちゃえー!」
「はええなおい!!」
その様子を見ていたマジックマンは顔色一つ変えずにハンマーで手のひらを叩き続けている。
「終わったかな?」
「おうよ、かかってきな。ジェントルマン。」
マジックマンは走り出しフランキーへ突進する。それを見たフランキーは左腕を前に出し狙いを定めるように彼に向ける。
「ウエポンズ左!!」
フランキーの左手から弾丸が連射され無数の弾丸がマジックマンに襲い掛かる。
彼は動揺することもなく右に左へ回避しながら突き進み続ける。
フランキーとの距離を詰めそしてそのままフランキーを通り過ぎていく。
「しまった!!ナミ!!」
「え?」
既にナミの目の前にマジックマンがハンマーをレイピアのように構えていた。
「自分はもう狙われないと?死ね。」
突き出されたハンマーはナミの身体を貫き背後の木すら穿つ。
「ナミィッ!!てめえええ!!」
フランキーが駆け寄る。しかしその時貫かれたはずのナミの姿が霞のように消えていく。
「ほう?」
「蜃気楼=テンポ」
マジックマンの背後にナミが立つそしてロッドを手に持ち先端を彼に向け
「突風ソード!!」
ロッドの先端から放たれたのは突風、しかしその勢いは高圧ガスと同等。
マジックマンはその突風を背に受け吹き飛び正面の木に叩きつけられる。
「流石だぜナミィ!!」
フランキーがサムズアップしながらそのまま駆け寄ってくる。
「伏せてろナミ!!ストロングー―――――ハンマーーーーーー!!」
フランキーの巨大な鋼鉄の拳が木ごとマジックマンを殴り飛ばす。
木の破片と共にマジックマンは吹き飛ばされていく。
「ナイスよフランキー。」
「あぅ、楽勝だったな!!ちょっと焦ったけどよ!」
「・・・・・・・」
マジックマンは木の破片の下敷きになりながら。
なりながら笑っている。大声で笑いたいのを堪えながら手で口を抑えながら笑っているのだ。
到底笑える状況ではないはずだが彼は笑わずにはいられない。
木をどけて立ち上がりナミとフランキーの方を見るマジックマン。
「流石は麦わらの一味。白ひげを相手にしたとき以来だこんな気持ちは。」
笑っているマジックマンを見てフランキーとナミは怯む。
「さあ、この戦争の往く末は如何なるものか?」
マジックマンが再び構える。
邪悪な笑みを浮かべながら。
ToBeContinued