ビート ストローハット   作:Jaycob

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レディ

 ウイは闇より飛び出し男の首を狙い爪の付いた腕を振り払う。

覇気で硬化した爪による一振りは人の首など容易に切断する。

 

「ふっざけんなてめえっ!!」

 

「おろすぞクソマリモオッ!!」

 

ほんの一瞬だった、ウイは何が起きたか分からない。

確かに獲物に対して爪を振り払ったはずが今自分自身が宙に弾き飛ばされていた。

 

「おめえがこっちだって言うからついてったんだろうが!それがさっきのとこ戻ってきてるたぁどういうことだ!!」

 

「うるっせえ!!ビブルカードがこっちだつってんだからこっちなんだよ!!」

 

緑の髪の男と金髪のタバコをくわえた男が怒鳴り合いながら刀と足で鍔迫り合いをしている。本来刀と足で鍔競り合いなど不可能なのだが事実ウイの目の前でそれは起きていた。そして彼女は理解する、彼らの衝突による衝撃に煽られ弾かれたのだと。

 

「くそ・・・!」

 

ウイは空中で翅を広げ体勢を立て直す。

 

(油断した・・・!けどなんか仲間割れしてるっぽい・・?まだチャンスはある・・!)

 

ウイは今度こそと二人に突進し両腕を広げて首にラリアットを仕掛ける。鉄よりも硬い爪が首にめり込み敵は呼吸もままならなくなるだろう。

 

「三十六煩悩鳳ォッ!!」

 

「悪魔風脚 首肉ストライクッ!!」

 

「きゃあああああああっ!!!」

 

男の刀から放たれた斬撃ともう一人の男の炎を帯びた凄まじい蹴りが衝突する。

ウイはその衝突寸前に明後日の方向へ飛び巻き添えを逃れる。

その衝撃に思わず変身を解き人間形態に戻ってしまった。

 

「あ?」

 

「あ?」

 

流石にもう気づかれてしまった。二人の男と目が合う。

懸賞金3億2000万ベリー 最悪の世代の一人に名を連ねる、ロロノア・ゾロ。通称海賊狩りのゾロ。

そしてもう一人は、懸賞金3億3000万ベリー ジェルマ出身の黒足 ヴィンスモーク・サンジ。

正面からやりあってまず勝ち目はないだろう、しかし暗殺のチャンスはもはやない。

 

「なんだお前いつからいた?」

 

「ずっといたよ私はぁ!!」

 

「お嬢さん、こんなところにレディが一人だなんて・・・。もしよろしければこの私が貴女を安全な所までエスコート致しましょう。」

 

一瞬だった。瞬きをした瞬間に黒足が自分の真正面にまで接近しており跪いている。

 

「ひっ・・!?」

 

ウイは咄嗟に後ろに退き姿をゴキブリへと変身させ戦闘態勢に入る。

 

「・・・おいエロガッパ。そいつ例の賞金稼ぎの仲間だ。気ぃ抜くなよ。」

 

その姿を見たロロノアが刀を向けてくる。その切っ先より放たれる威圧感は最悪の世代の名に恥じぬほどに凶悪。

 

「・・・・・・・・悪魔の実・・動物系・・・ゴキブリか・・」

 

それに合わせ黒足の目つきも変わる。先ほどの甘く柔らかい声が嘘のように低く鋭くなる。

その真剣な眼差しにウイは恐怖する。

 

「いや・・・虫だろうが関係ない・・・!俺は君への愛を貫くっ!!」

 

「なんの話だ!!」

 

初対面のウイとロロノアの声がシンクロしてしまう。

 

「なんにせよ、うちのクルーに喧嘩売ってただで済むと思うなよ嬢ちゃん。」

 

ロロノアが構えた。今にも斬りかかってきそうな気迫である。

しかしおとなしく斬られるつもりはない、そして負けるつもりもない。

 

「コンバットッ!!」

 

ウイはロロノアが動く前に彼の間合いに入り込み4本の腕を交差させ勢いよく振り払う。

 

「ちっ!!」

 

ロロノアは刀一本でその攻撃を防ぐ。筋骨隆々の男に防げないはずがない、だがロロノアの顔は険しい。

それほどにウイの一撃は重い、彼は片腕でもう一本の刀を持ちウイに向けて突き出す。

 

「くっ!」

 

ウイは串刺しになる前に後方へ飛ぶ。

この状況を打破する方法を冷静に考える、一度緊張の糸がほどければ取り乱してしまうだろう。

集中しなければ。

ただでさえ厄介な相手なのにそれが二人いる。

 

「だったら一人ずつ・・・!ゴキブレードっ!!」

 

次は黒足を狙う。爪を硬化させ黒足の銅を真っ二つにせんと腕を振り払う。

しかし彼女の攻撃は軽々しくも黒足の脚一本で防がれる。

黒足の眼差しが突き刺さる、カウンターを撃たれる前に距離を取らなくては。

 

「・・・・」

 

「・・・?」

 

しかし黒足はカウンターを撃ってこない。それどころか余裕さえ感じさせるその表情にウイは戦慄する。

続けてもう一撃を繰り出す、しかし何度も何度も攻撃しても脚で攻撃を防がれる。

覇気を使っているのか爪は全く黒足の肉に届いていない。

 

「うっ・・・!」

 

このままでは体力を消耗するだけと判断したウイは攻撃をやめ木の壁にしがみつく。

 

「はあ、はあ、はあ・・・」

 

黒足が追撃してくる様子もない。完全に遊ばれている。

 

「弐斬り・・・・」

 

下を見ればロロノアが二振りの刀を構えている。

まずい。

 

「登楼!!」

 

そのまま刀を切上げろウイは覇気を腕に集中させ防御を試みる。

衝撃音と共にウイは上空に打ち上げられ、捕まっていた木は縦に三枚におろされていた。

強い衝撃に耐えるのに精一杯でウイは次の行動に移れない。

そしてロロノアはその隙を逃すことなくウイの真上へ飛翔する。

 

「やばっ・・・!」

 

更に後方より黒足が飛んでくる。ホーマーと同じように空を蹴り宙に浮いている。

挟まれた、このままではかわしようも防ぎようもない。

 

「一刀流 飛竜 火焔!!」

 

ロロノアの体重をかけた重い振り下ろしが襲い掛かる。その勢いは刃に火が纏うほどである。

 

「悪魔風脚 牛すね肉 ストライクッ!!」

 

更には挟み撃ちをかけるように黒足の火炎を帯びた飛び蹴りが繰り出される。

ウイは目を見開く、総長ならどうするか。最後の最後まで諦めてはいけない、必ずこの攻撃を捌く。

 

「っ・・・・・・・!!!」

 

二つの攻撃がウイの身体を引き裂いたかと思えば、どういうわけかウイには傷一つない。

見れば黒足の蹴りとロロノアの刀がぶつかり合っていた。

目測を誤ったか、しかしこのチャンスを逃すわけにはいかない。

 

「ゴキジェット!!」

 

ウイは翅をはばたかせ風圧でロロノアと黒足を地面へ吹き飛ばす。

 

「なっ!?」

 

「うおっ!?」

 

二人は勢い強く地に衝突し地面に突き刺さる。

しかしすぐさま立ち上がり互いに額をぶつけながら怒鳴り合う。

 

「何しやがんだこのグルグル眉毛はぁ!!」

 

「いくら敵だろうがレディをぶった切ろうってなら俺は黙ってねえぞ。」

 

「・・・また仲間割れしてる・・・・麦わらの一味って仲悪いのかな・・・」

 

だがチャンスだ。これなら負けはしない。勝つこともできないがもしウイの予想が当たっていれば負けることもない。

 

「聞いていいかな?なんであなた達麦わらの一味はこの島に?」

 

「君との運命の出会いを果たすため・・・かな。」

 

「・・・そんなこと聞いてどうするつもりだ嬢ちゃん。」

 

「別に、もしかしたら海賊王の秘宝を探してるのかなっって。」

 

「ほう、お前も知ってるのか?」

 

「あなた達一味がバラバラに動いているのもそれが関係してる?」

 

「教える義理はねえよ。」

 

「・・・だよね!」

 

ウイはまたも二人に突進する。今度は全力でさっきとは比べ物にならない速度だ。

 

「なろっ!!」

 

ロロノアは身構える。

しかしウイは既にロロノアの遥か背後に抜けていた。

 

「何・・?」

 

「マリモ!俺がやる!!」

 

黒足が前に出てくる。

 

「さあ、俺の胸に飛び込んでおいで!!」

 

「お前そろそろ真面目にやれよ!!」

 

ウイは次は黒足めがけて突進する。攻撃はしない、スピードだけに集中して黒足の懐へ潜り込む。

そして

 

「・・・・・やっぱり持ってた。」

 

ウイの手には紙の切れ端が。

 

「あなた達が何を頼りにこの森の中を歩いているのか気になってたけど。やっぱこれだよね。」

 

ビブルカード。それは命の紙。

この紙は持ち主の居場所を示す。

ウイの予想が当たっていればこのビブルカードの持ち主はあの男。

 

「これもらってくね。」

 

ウイは軽くお辞儀をしてからカサカサと闇の中へと走り去っていく。

このビブルカードは約に立つ、あとはホーマーさえ見つかれば。

 

「ちっ・・!追うぞグルグル!」

 

「・・・・・・・・」

 

黒足が額を抑え俯いている、どうもただ事の様子ではない。

 

「あ?どうした?」

 

「女は蹴らないというポリシーとゴキブリを許せない料理人のプライドが俺の中でせめぎ合っている・・・」

 

「いいから早く来い!!」

 

ToBeContinued

 

 

 

 

 

 

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