ウイは暗い森の中を木から木へと伝い逃げる。
それを追うのは二人の男。海賊狩り ロロノア・ゾロと黒足 ヴィンスモーク・サンジ。ウイは自分の出せる力を全て逃げに集中させている。スピードだけを言えば四皇から逃げ切る自信さえある、彼女は常々そう思っていたが後ろから迫りくる気配をどうにも振り切れそうにない。特に黒足からは執念さえ感じる。
「しつこい・・・!」
「逃がすか・・・!!三十六煩悩鳳!!」
ロロノアが刀を振り斬撃がウイへと放たれる。
ウイは後方から迫る斬撃を背で感じる、彼女はそのまま体を横に回転させギリギリのところで避ける。
「うっ・・!!危ないなーもー!!」
「くそ!速いな・・・!」
「こらあああ!!マリモてめーーーー!あの子に怪我させんじゃねーーー!!」
「じゃあどうしろっつーーんだよっっ!!」
全力で走りながら黒足がロロノアを叱責する。
当然だが逃げる敵目掛けて攻撃を仕掛けることは何も悪いことではない。
「男なら足で追いついてみろってんだ・・・空中歩行!!」
黒足は空を蹴って飛び上がり空を飛ぶようにして距離を詰めてくる。
さっきよりも速度が段違いで速い。
「うおおおおおおおお!!」
目を血走らせた黒足が急接近してくる、ウイは思わず泣き叫ぶ。
「いやあああああああああ!!!」
「ボディ・パウンド~!!」
ウイと黒足の間に突如ブルーレットが割って入る。全身を砲弾のように丸めそのまま黒足へ全体重をかけた体当たりを食らわせる。
「ぐほぉっ!!?」
黒足はそのまま遥か彼方闇の奥まで吹き飛ばされていく。
「ったく・・!!あのバカ・・!!」
「ブル~~~~!!怖かったよ~~~!!」
ウイはたまらずブルーに抱き着く。
当分黒足の顔が夢に出てくるだろう。
「ウイはこのまま行って~、近くにマジックマンがいるから合流して一旦船に戻って~。」
「う、うん。わかった、ブルーは・・?」
「私は~ちょっとこいつぶっ飛ばしてから行く~。」
「・・・わかった、気を付けてね。」
黒足はどこかへ吹き飛んだがだからといって有利になったわけではない。目の前にいるのは最悪の世代。
それを相手取るというブルーレットを心配せずにはいられない、がウイは彼女の強さを知っている。
信頼を心の支えにウイはその場から離脱した。
ブルーレットとロロノアが睨み合う。
「賞金稼ぎか、俺も経験あるけどよ・・・狙う相手は選んだ方がいいぜオバハン。」
「ま~オバハンだなんて失礼ね~。」
ブルーレットは大きなお腹を揺らして笑って見せる。
「私たちのボスが選んだのよ~、だったらそれに従う。それだけよ~。」
「・・・へえ、思ったより骨のある奴らのようだ。だったら、俺も手は抜かねえ・・・」
ロロノアが頭にバンダナを巻く。より一層気迫が増す、しかし彼女は怯まない。
笑ってさえいる。そして彼女はそのまま体を丸めて回転しバウンドしながらロロノアを潰さんと襲い掛かる。
「ボディ・バウンド・パウンド~!!」
ロロノアは両手に刀、更に口に一本くわえ三本の刀を構えた。
そしてブルーレットが向かい来る瞬間を狙い一気に切り抜ける。
「鬼斬りっ!!」
砲弾と刀のぶつかり合いに凄まじい衝撃が発生し辺りの木がざわめく。
そして、両者全くの無傷。
「っ・・・・・・かってえな・・・・」
「おほほほほ~、そう簡単には斬られないわよ~。」
互いに背を向けたまま動かない。
相手の出方を伺う、そして沈黙が続く。
(闇雲に斬っても受けられる、奴のガードが甘くなる瞬間を見極める・・・!)
(下手に攻めれば斬られるわね~、受け太刀させないように一瞬で決めるしか~)
「百八煩悩鳳ぉっ!!」
先に動いたのはロロノア。振り向きざまに三本の刀を振り払い強力な斬撃を撃ち放つ。
ブルーレットは即座にその場から飛び回避する。
「百八煩悩鳳っ!!」
更に二発目が撃たれる。彼女の避ける方向を読んでの二発目。
ブルーレットが着地したところに斬撃が襲い掛かる。
「まだまだ~。」
彼女は体をその場で捻りながら突進を始める。斬撃をかいくぐりロロノアとの距離を一気に詰める。
「見切った!!」
ロロノアがカウンターを狙い刀を振るう。しかしその一振りは空を斬るのみで彼女には届いていない。
(!?・・・歩幅を調整しやがった・・・!!)
「ボディ・ハウンド・パウンド~~~!!!」
ブルーレットは至近距離で急激に速度を上げ全身でロロノアにぶつかる。
彼は吹き飛ばされんと足腰に力を込めその場に留まらんと堪える。
しかし彼女の質量と勢いはそれを上回りロロノアを押していく。
「ぬおおおおおっ・・・・!!」
やがてロロノアを木へと押し付ける。しかしまだ勢いは止まらない。
ロロノアの体は木にめり込み、そして
「これで~!終わり~!!」
彼女は更に力を込める。
彼女の体当たりは木を破壊しロロノアを吹き飛ばす。
ロロノアは身体を木に打ち付けられその場に倒れる。
「・・・これで終わりなわけないわよね~。」
しかし彼女は警戒を解きはしない。
当然ロロノアもその場に既に立っている。
手応えはあったが見ての通りロロノアは大したダメージを受けた様子はない。
「やるじゃねえか、オバハンよぉ・・・」
「びっくりしたわ~、たいていの敵ならこれで倒れるのに~。」
これ以上の戦闘は得策ではない。もうウイはマジックマンと合流し船に帰還できただろう。
ここが引き際か。
「勝負はお預けするわ~ロロノア~。」
「あん?」
「まだこっちのボスも見つかってないから~、優先事項は一応そっち~。」
「・・・お前らも大将不在か。」
「あら~そっちも~?だったら~お互いに引いた方がいいんじゃな~い?」
互いに見合い、そして沈黙の後に背を向けて歩き出す。
一旦この場は幕引きとなった。
ブルーレットはビーフに連絡を入れる。
「ビーフ~、そっちはどう~?」
『・・・ウイとマジックマン、デリも戻ってきた。…だが・・・・』
「ど~したの~?」
『お客さんが一人・・・来ている。』
ToBeContinued