「おい、ビーフ!飯!」
喧嘩屋拠点船ストライフトリガー号の甲板にて金髪の男が声を荒げている。
彼はこの船の航海士デラウェア・スクウェアー。次の目的地への航路をまとめ終え腹を空かせてキッチンへ向かったところ食事が用意されておらず腹を立てたようだ。
「俺がちまちまと海図とにらめっこしてる間にお前はなにしてたんだっつー話よ!」
「デリ、ご飯はブルー達が帰ってきてからだって言っただろ?」
乱れた黒髪を後ろに束ね茂みのような黒髭をも一本に束ねた肥満の男は答える。
彼がデラウェアの怒りの矛先である船の料理人ビーフ・ブリスケット。
料理どころか材料さえも用意せずに椅子に腰かけて新聞を読んでいた。
「じゃ今から作っときゃいいじゃねえか、ブルー達が帰ってきたらすぐにディナータイムにできるようによ。」
「ブルーは帰ってきたらまず風呂に入るしそのあと総長と話し込むだろ、どうせ時間食うんだから帰ってきてから作ったほうがいいんだよ」
「いや作り置きでいいじゃーん・・・」
「作り置きは僕のポリシーに反するんだよ。」
そのとき電伝虫が二人の会話を止めた。
「デリ、君が出てよ」
「は!?お前のほうが近いし絶対お前じゃん!」
「こういうタイミングでなる電伝虫はだいたい面倒な話なんだ、だから僕は出たくない」
「ビーフお前何歳だよ!そんなんじゃ世の中やっていけないぞ!」
と言いながらも電伝虫のベルが何度もなるにつれデラウェアの心拍数は上がっていく。
電伝虫を無視できない小心者それがデラウェア・スクウェアー。
「はい喧嘩屋、デラウェアでございます。ご用件をどうぞ」
『総長さんはいるかい?』
「申し訳ありませんがただいま総長は席をはずしてまして・・・失礼ですがどちら様でしょう?」
『困ったねえ~、急ぎの用事なんだが~・・・』
「えっと申し訳ないがお先にお名前を伺っても?」
『ボルサリーノ』
「失礼を承知で忠告しますけどねボルサリーノさん、こういう時は先に名前を名乗るもんですよ。」
「デリ」
「んだよビーフ!俺は間違ってねーだろ!」
「そいつ海軍大将の黄猿、ボルサリーノだぞ」
「は?・・・」
空気が凍り付く。黄猿といえば海軍最大戦力の一角。海賊であろうがなかろうが敵に回してはいけない人物であることにデラウェアはたった今気づく。
ビーフは立ち上がりデラウェアから受話器を奪い冷静な声で返す。
「失礼ボルサリーノ。総長はいま留守だが急ぎの用ならすぐに彼女の電伝虫につなぎますが?」
『ああ~それは助かるね~。お願いするよ~。あ、それとさっきの忠告だが~・・・ありがた~く受け取っておくよ~』
「総長、海軍大将ボルサリーノからだ。つないでも?」
ビーフが電伝虫の通話を転送し通話が途切れる。
デラウェアは自分で自分の頭を壁にたたきつけている。
「ああああやっちまったああ!そうだよボルサリーノって言ったら黄猿じゃんかよ!俺のバカ!」
「ただいま~今帰ったよ~」
ドアが開き大きな球体がねじ込むようにキッチンへと入ってきた。
「お帰りブルー」
「ど~してデリは頭を壁に叩き付けてるの~?そういう動物だったっけ~?」
彼女はストライフトリガー号の整備士ブルーレット。
ボールのような体で物腰は柔らかいがかつて解体屋としていくつもの船を破壊したデストロイヤーでもある。
「ブルーどいてって!入れない!」
続けて入ってきた細身の女性は喧嘩屋の平船員ウイ。
喧嘩が得意というわけではないがどういうわけかいつの間にかいたという。
本当に、いつの間にか いたのである。
「ビーフ、ホーマーは帰ってきてないのかい?仕事の報告があるんだけどね~」
「総長はね・・・」
そのときまたも電伝
虫が鳴る。
「噂をすればだ。・・・デリ!うるさい静かにしてくれ!」
『もしもー、聞こえるー?』
「総長聞こえてるよ」
「ホーマー、こっちは仕事終わったよ~」
『お疲れブルー!さすがあんたは仕事が早い!ってかなんかガンガンガンガン聞こえるけど何工事中?』
「いや・・デリがちょっとね」
『ははっ!相変わらずバカやってんべ』
「それでボルサリーノはなんて?」
『ああ。そのことなんだけど現地で話すわ。私も今から向かうし』
「了解どこへ向かえばいい?」
『ニューマリンフォード』
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